ペルソナ3×仮面ライダーエグゼイド【ゲンムがほぼメイン】   作:K氏

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 嘘予告ではなァい!連載だァ!

……普通に別で作るべきなのか、それともタイトルを変えるか。うーむ。


ゲームマスター兼社長、月光館学園に転入する。

「……やれやれ。ギリギリ間に合ったか」

 

 港区の巌戸台駅。夜遅くという事で元々人が少なくなっている時間ではあるが、今ばかりは違った。

 世界を彩るのは、夜の帳の青ではなく、緑がかった不気味な色彩。そして、人間の代わりに立っている、棺桶のオブジェ。

 

 そんな奇怪な光景を目の当たりにしても、今しがた駅から出てきた二人の男女は特に気に留めるでもなく、手元のパンフレットと携帯電話に目を通していた。

 

 男の方は、やや長い前髪の下に中世的な顔つきを隠し、どことなく尊大な雰囲気を醸し出す少年。

 女の方は、金色の髪に、透き通るような空色の瞳をした少女。

 共通するのは、二人ともこの港区は辰巳ポートアイランドにある高校、月光館学園の制服を着ている事だ。

 

「全く、この時間は実に気に食わない。文明の利器が一切使えなくなるとは……」

「……やはり、パピヨンハートの欠片の一部を携帯電話に搭載するべきだったのでは?」

「馬鹿を言うな。限られた資源を、よりにもよって時代遅れの電子機器にわざわざ使う理由は無い」

 

 どこかおかしな会話をしながら、うら若い少年少女二人はある方向に向かって歩き出す。

 だが、二人の間には特に甘い雰囲気など無く、例えるならば社長とその秘書といった方が正しい。実際そうなのだが。

 

 

 

 

******

 

 

 

 

「ふむ。奴らめ。珍しく襲い掛かって来なかったな」

「そうですね」

 

 特に何事も無く、目的の場所である建物……巌戸台分寮へと辿り着いた二人は、特に迷う事無く、中へと入っていく。

 

「……出迎えも無しとは」

「時間が時間ですし、あまり無茶を言うのはよろしくないかと」

 

 不満さを隠すつもりもないのか、尊大な態度を崩さない少年に対し、冷静に突っ込みを入れる少女。

 

「やぁ。やっと来たね」

 

 そんな彼らに、唐突に声を掛ける者がいた。

 

「ん……?」

 

 人の気配など一切無かったにも関わらず、突然聞こえてきた幼い少年の声。その声がする方を見てみれば、囚人服に身を包んだ小学生ぐらいの少年が立っているではないか。

 

「この寮の人間、なのか?」

「……下がってください。この子供は……」

 

 純粋に疑問に思う少年とは裏腹に、少女は警戒心を露わにする。

 

「この子供は、なんだ?」

「……分かりません。ですが、駄目なのです」

 

 理由も分からない警戒心。どうやら少女自身もよく分かっていないようだが、分からないという事が分かってもなお、彼女は警戒を止めない。

 

「……君。何の用だい?」

「黎斗さん!」

「心配はいらない。……それに、これは勘でしかないが、恐らくスルーは出来ないイベントだと見た」

 

 だが、そんな少女の困惑と警戒を他所に、黎斗と呼ばれた少年は囚人服の少年へと声を掛けた。

 

「ここに署名を。一応、決まりだからね」

「ほぅ……?」

 

 囚人服の少年の指し示す方を見れば、カウンターの上に何やら一枚の書類が置かれている。

 内容をかいつまんで説明すると、「今後行う全ての事に責任を負う事」といったような具合だ。

 

「……寮生名簿にしては、随分と大袈裟な事が書いてあるじゃないか。いいだろう」

 

 しかし、契約書云々でこう言った書類は見慣れているせいか、特に何の違和感も抱く事無く、彼はその書類の空欄に、自分の名前を記入した。

 

 『檀黎斗』、と。

 

 直後、少女は書類に名前を記入するまでもなく、囚人の少年は意味深な台詞を語り掛け、まるで影に溶けるように消えてしまった。

 

 

 

******

 

 

 

 

「申し訳ない。何分、最近この辺りは物騒なもので」

「いえ、お気にせずに。銃というチョイスは日本ではあまりお勧めしかねますが、まぁ、脅しとしては十分でしょう。今のエアガンは威力も相当なものと聞きますし」

「感謝します」

「そんなに畏まらないでください。ビジネスではあるまいし。それに私はこれから、貴方の後輩になるのですから。ね、桐条美鶴さん?」

「……ありがとう。では、そのように」

 

 囚人服の少年が消えた直後、奥の方に薄っすらと見える階段から、一人の少女が警戒心を露わに現れた。

 ようやく本当の入寮者に出会えたと、穏便に事を済ませようとした黎斗だったが、その少女――恐らく月光館学園の生徒なのだろうが、制服の上にピンクのカーディガンを着ている――は何を考えたのか、おもむろに太股のホルスターから銀色に光るモノ――拳銃を手に取り、それを自分自身の額へと押し付けたのだ。

 

 これには流石の黎斗も困惑し、思わず「ま、待て! 早まるな!」と言ってしまったのだが、直後にその少女の先輩らしい凛々しい女性が止めに入り、加えて明かりもついた事で丸く収まった。

 

 正直、先程の奇行について問いただしても良かったのだが、恐らく求める答えは得られないだろうと考えた黎斗は、あえて黙っている事にした。ちなみに秘書の少女はと言えば、冷静に事の成り行きを見守っているだけだった。

 

「え、えーと……桐条先輩。この人達ってもしかして……」

「ああ。今日来る予定の転入生だ。だが、随分と遅かったようだな」

「ええ。電車が人身事故を起こしまして。全く、傍迷惑なものです」

「なるほど、それなら仕方がないな」

 

 そんな、どこか違和感の感じるやり取りの後、入寮者二人と転校生二人の自己紹介が行われた。

 

「改めまして、檀黎斗と申します。以後、お見知りおきを」

「は、始めまして。私は岳羽ゆかり。え、えと……よろしく」

「よろしく、岳羽さん」

 

 同年代とは思えない程の社交的な挨拶に、ピンクの少女、ゆかりは思わず緊張で噛んでしまう。そんな彼女を気遣うように、黎斗はにっこりとゆかりに微笑みかけた。

 

「あの、それでそちらの方は……?」

「ああ。これは失礼。ご紹介が遅れました」

 

 そう言うと、黎斗はやや後ろで静かに控えていた少女に、前に出るよう促す。

 

――めちゃくちゃ美少女、ってか外国の子!?

 

 その少女を見たゆかりは、思わずごくりと息を呑む。

 見るからに外人の美少女としか思えないその少女を見て、ゆかりは何故か敗北感を感じてしまう。

 

「初めまして。黎斗さんの秘書を務めさせていただいてます、ミネルバと申します。コンゴトモヨロシク」

「……え?」

 

 そんなどこからどう見ても外国人な少女の口から流暢な日本語が飛び出し、その敗北感もあっさり引っ込んでしまう。

 

「よ、よろしくお願いします……あの、日本語お上手ですね?」

「ええ、勉強しましたから」

 

 ミネルバと名乗った少女は、そう言って柔らかくほほ笑んだ。

 

 

 

 

******

 

 

 

 

「では、黎斗君。自己紹介お願いね」

「わかりました。ただ今ご紹介に預かりました、壇黎斗です。どうぞよろしく」

 

 その日、月光館学園では、ある話題で持ち切りになっていた。それは、2年F組に転入してきた二人。

 

 一人は外国人の見た目ながら、流暢な日本語で話す美少女。そしてもう一人は――

 

「はいはーい! 質問!」

「ちょっと、もう授業があるんだから休み時間に……」

「しかし先生。彼らも何かしら聞きたい事があるようですし、今のうちに済ませた方が、授業に集中できないという事にもなりかねません。大丈夫です。慣れてますから」

「そ、そうね。そういう事なら……」

「もしかしてもしかして、檀黎斗ってあの幻夢コーポレーションの!?」

「ああ。如何にも」

「じゃあ、マイティアクションXを作った!?」

「おや、プレイしてくれているのかい?」

「勿論! 何週やっても飽きないぜ!」

「それはうれしい限りだ。君、名前は?」

「俺は伊織順平! 気軽に順平って呼んでくれ!」

「よろしく、順平君。君はどうやら、私のゲームの熱狂的なファンのようだね。なら君には今度、新作ゲームのテストプレイをお願いしようかな」

「マジ!?」

 

 そのやり取りの直後、教師が何やら悔しそうな顔をしていたのは、また別の話。

 

 




>檀黎斗は力を溜めている……

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