ペルソナ3×仮面ライダーエグゼイド【ゲンムがほぼメイン】   作:K氏

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 ああ、またなんだ。また嘘予告なんだ。

 正直色々とやりたい事尽くしなもので...ここは社長の大暴走でも見て、ゆっくりしていってね!(何様)


ゲームマスター、キタローになる。
ゲームマスター、主人公になる。


――十年前の深夜0時、ムーンライトブリッジ。

 

 本来なら今もなお車が行き交う静かな橋は、今や目も当てられない程の惨状と化していた。

 車は横転し、煙を吹き、酷いものは既に炎上してしまっている。

 

 一体、何故。誰がこんな事を。

 

 誰にもわからない。何故なら、それを目撃した者は、一人たりともいないのだから。

 

「……私、は」

 

――今しがた、車から這い出してきた少年を除いては。

 

「私はァ……不滅だァァァ!!!」

 

 ボロボロの身体を無理矢理腕で引きずって這い出してきた少年は、おおよそその見た目から出てくるとは到底思えないような台詞を吐く。

 

「……はっ!? なんだここは!? 夜だと!? 私は、私は確か……何をしていた?」

 

 まるで記憶喪失にでもなったかのように頭を抱える少年。

 

「そうだ、私はレベルXを限界まで極めて……違う、マイティアクションXオリジンで……それも違う。そうか、クロノスとの最後の戦いで……ぐぬぅ、どれも合っているようで違ァう! それになんだこの姿はァ! 子供、子供だ! 恐らくこの視線の低さ等を鑑みるに……小学生、だと……? 私は、若返ったのか? だが、こんな場所に見覚えは……」

 

 錯乱する少年だが、ムーンライトブリッジの惨状を目の当たりにしたからではない。ただ単に、自分自身の事で困惑しているようだった。

 

「……ん?」

 

 ふと、考え事をしてその場をウロウロと歩き回っていると、チラリと視界の端に、真っ白な何かが映る。

 本来なら彼にとって気に留める事でもないのだが、偶然にも目に入ったそれは、人間の腕のようだった。

 

 ようだった、と形容するのは、それが果たして、本当に人間のそれなのかが疑わしかったからだ。

 一体どんな人間が、腕にドラムマガジンを備えているというのだ。

 

(……仮面ライダーか? それとも、それに近しい何かか?)

 

 いずれにせよ、現状を確認する為にも、その現代日本において異常としか思えない光景を確かめるべく歩み寄る。

 

「……これは」

 

 それは、確かに人の右腕だった。……本来あるべき場所から千切り取られ、断面から配線が飛び出し、スパークしている事を除けば。

 

(ロボット、か? ……これがそのパーツだというのなら、まだ周りに何か……)

 

 そう思い、少年は周辺を歩き回り、探す。

 

 程なくして、それは見つかった。

 

(女? ……いいや、ただの女じゃない)

 

 膝をついた状態で項垂れるその金髪の少女は、一切微動だにしない。まるで、そもそも生きていないかのように。

 だが、本来右腕のあるべき場所に右腕がなく、そこから配線を垂らしている事から、彼女こそが件のロボットなのだと推察できる。そこまで行けば、考えられる事は一つ。

 

機能停止状態(スリープモード)か。ボディの傷を見る限り、余程激しい戦闘があったようだな」

 

 冷静にその機械の少女の状態を確認すると、(恐らく)動かないのを良い事に、彼女の身体を(まさぐ)り始める。

 念の為に言っておくが、少年にやましい気持ちなどこれっぽっちもない。というより、()()人間はもはや性がどうだの色欲がどうだのといった話を、軽く超越してしまっている節すらある。

 

「ふむふむ……なるほど……」

 

 普通、そんな風に弄ったところで何も分からないものだが、彼は違う。伊達に神を自称してはいない。していた、ではなく現在進行形でしているのがポイントだ。分野こそ異なれど、多種多様な装備を制作した手腕は、ここでも発揮されている。

 

「そういう事か……やはり私は天才だァ……!」

 

 そう言うと、おもむろに少女の首元のリボンを乱暴に剥ぎ取る。

 見ればそこには、淡い水色に光る蝶が宿っているではないか。

 

「この蝶のような物質が一体何なのかは分からないが……少なくとも分かるのは、この蝶こそがロボットの身体を動かす原動力のようになっている事だ。オマケに、この腕から察するに火器管制も行える、一種のシステムを構築していると見た。となるとこの物質、相当な情報量が詰め込まれているのか?」

 

 同時に、少年はこの物質が地球上に存在しえない物なのではないかという仮説を立てていた。地球の隅々まで見たわけではないが、彼の知る限り、このような物質は見た事がない。

 いや、近しい存在がかつて風都という街に出回っていたという話は聞いた事があるが。確か、地球上の物質や概念等の記憶を内包しているというメモリだったはずだ。

 

「そして、このロボットがあまりにも人間に近い姿をしているのにも、何か関連があるはずだ……もっと詳しく調べたいところだが……」

 

 そうして彼女の肢体を眺めていると、遠くからサイレンの音が聞こえてくる。

 

「……そういえば、この周りの状況。何か大規模な事故か何かがあったようだが……いや、ただの事故ではない。ただの事故で、現場にこんなロボットがいるものか。大方、証拠隠滅を図れると踏んで運用したんだろうが。だとすれば、残念だったなァ……」

 

――その時、少年の顔を見る者がいれば、ドン引きすること必至だっただろう。

 

 これまた、子供のものとは到底思えないような邪悪な笑みを浮かべた少年の脳内で、一つの計画が組み立てられていた。

 

 

 

 

 翌日、この事故の報道の際、一人の少年が行方不明扱いとなっていた。

 

 時同じくして、機械の少女を擁していたとある企業が彼女を回収した際、首元に内蔵されていたはずの蝶型の物質、『パピヨンハート』が無くなっているのを確認する。が、少女の状態から「恐らく敵との交戦の際に紛失、あるいは消滅した」と判断され、闇に葬られる事となった。

 

 

 

 

 そして、数年後。ゲーム業界に震撼が走る。

 

 突如として流星、もとい彗星の如く現れた謎のゲーム会社。本来なら大企業が目に留める事すらないような無名の会社が発売したゲームが、何がどうしてそうなったのか、世界的に大ブームを巻き起こしたのだ!

 

 メディア媒体からの予告も無しに発売されたそのゲーム――『マイティアクションX』は、最初期に限定された店舗で少数が発売された折に口コミで話題となり、徐々にその生産数を増やし、ついには日本中はおろか、世界的なヒットタイトルとなったのだ。

 

 このゲームを制作した会社の名は、『幻夢コーポレーション』。たった一人の少年が起業し、更に当初は金髪の美少女と噂される秘書の二人だけで運営されていたが、『マイティアクションX』の発売以来、この会社を見つけ出し、入社を希望するクリエイターやプログラマーが跡を絶たない。

 

 2009年現在、幻夢コーポレーションは一躍、既存の有名ゲーム会社と肩を並べる程の大企業へと成長した。

 会社を生み出し、経営する傍ら、自ら主導し数々のヒットタイトルを世間に送り出してきた少年は、今や高校二年生になろうとしていた。

 

「……ほう。月光館学園、か」

「如何いたしますか、黎斗さん」

「……桐条グループから直々の推薦だ。いいだろう。出向いてやろうじゃないか」

 

 少年の名は、檀黎斗。()()()()においては幻夢コーポレーションの元社長であり、仮面ライダーゲンムとして暗躍し、最終的にはドクターライダー達と共に人類をパンデミックの危機から救った()()()男である。

 




多分続きます(社長のキャラを再現できるとは言っていない)

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