ペルソナ3×仮面ライダーエグゼイド【ゲンムがほぼメイン】 作:K氏
監督のリスペクト精神がフルスロットルだし、オーズ周りも攻めてくるし、今年の最後の最後でとんでもない映画が世に放たれたって感じでした……
あ、今回は後書きの方にちょっとした設定みたいなののっけてます。
新たに現れた仮面ライダーストレガ。そして、現時点においてS.E.E.S.側唯一の仮面ライダー、プロトスナイプ。両者ともに銃を武器にしているだけあり、戦いは熾烈を極めた。
基地の入り口を、光弾が飛び交う。
「フッ」
「ハッ!」
ストレガは、ガシャコンリボルーレットガンの大きさの問題から、片手で撃鉄を起こしながらトリガーを引く。
一方で、撃鉄を起こす必要のないガシャコンマグナムを使うプロトスナイプは、とにかく連射しまくる。
そして、双方ともに銃撃を数発受ける。この時点で、プロトスナイプの方が弾幕という意味では上回っているが、単純な火力ではストレガの方が上回っていた。
現に、プロトスナイプのゲージの方が、ストレガよりも減っている。ストレガのゲージがまだ三分の一程しか減っていないのに対し、プロトスナイプは既に半分。
「なるほど。あのリボルーレットガンとやら、連射は不向きだが、単純な火力ではマグナムより上か……いや、それだけではないな」
冷静に状況を見極める黎斗は、更にリボルーレットガンのある性質を見抜いていた。
それは、銃身上部にある三つの枠。ストレガが撃鉄を起こす度に弾倉部分が回転し、そしてトリガーが引かれると弾倉の回転がストップ。さながらスロットマシンのように、枠の中に絵柄が現れるのだ。
「『フォーチュンギャンブラー』というガシャットの名前。そしてあのガシャコンウェポン。随分と分かりやすいな。ミネルバ、敵のガシャコンウェポンの出目を逐一記録しておくんだ」
「っ、了解、です!」
恐らく、スロットの出目次第で何らかの効果が発生するのだろう。現時点ではどういった効果が発生しているのかが分かりづらいが、与えるダメージアップや防御力アップがあっても不思議ではあるまい。
「おや、流石はゲーム会社の社長……いえ、創造者なのだから当たり前と言うべきですかね」
「随分と余裕そうじゃないか……ならば」
そう口にするなり、黎斗は懐に手を伸ばす。
「――! なんやするつもりか! させるかオラ!」
その仕草を見逃さなかったジンが、黎斗よりも素早く拳大の物体――手榴弾を手にすると、そのピンを抜き、黎斗に向かって投げつける。
「……ち、ィ! ――ミネルバァ!」
その間に黎斗は、懐から目的のものを取り出していた。だが、このままでは手榴弾を避けるのは到底難しい。
だから、黎斗は手にした赤いそれ――『ゲキトツロボッツガシャット』を、迷う事無くプロトスナイプへと投げ渡した。
「……! いけない!」
「やらせませんよ!」
ようやく黎斗の元へと向かう手榴弾に気付いたプロトスナイプは、それを撃ち落とさんとガシャコンマグナムを向けるが、そうは問屋が卸さない。
それを邪魔するように、ストレガが発砲。プロトスナイプはその銃撃と、黎斗から投げ渡されたガシャットの受け取りに専念せざるを得なくなってしまう。
――そして、手榴弾は黎斗の足下へと転がり――
「…………!」
激しい爆発が起こる。手榴弾の破片が飛び散り、巻き上がる炎と煙が、黎斗の姿を覆い隠す。
「黎斗さん!」
「余所見は、禁物ですよ!」
黎斗の安否を気遣うプロトスナイプに、ストレガが容赦なく銃撃を加える。
「クッ……仕方ありません!」
なんとか銃撃を掻い潜り、ゲキトツロボッツガシャットを手にしたプロトスナイプは意を決し、ゲーマドライバーのレバーを戻すと、手にしたゲキトツロボッツのガシャットをドライバーのもう一つのスロットへと差す。
ライダーとしての経験がまだ浅く、ゲーマドライバーの持つ機能の全てを把握しきれていないストレガは、思わず首を傾げる。
「何を――」
「第参戦術!」
その声と共に、プロトスナイプは再度レバーを開く。
『ガッチャーン! LEVEL UP!』
『ババンバン! ババンバン! バンバンバンバンシューティング!』
ここまでは、通常のプロトバンバンシューティングと同じ流れ。
しかし、ゲキトツロボッツガシャットが加わる事で、プロトスナイプは更なる力を得る!
『ア・ガッチャ! ぶっ飛ばせ! 突撃! ゲキトツパンチ! ゲキトツロボッツ!』
追加で聞こえてきたのは、プロトバンバンシューティングとは異なる、熱血系の歌。
それと共に、プロトバンバンシューティングのパネルの前に、新たに赤いパネルが追加され、そこから赤い身体をした、小型のロボットのようなものが飛び出してくる。
「何……!?」
たじろぐストレガだったが、気を取り直し、その小型のロボット――ロボットゲーマを撃ち落とそうとするが、ロボットゲーマは機敏に動き回り、逆にストレガに攻撃を加えていく。
そして、出現した赤いパネルが元々あったパネルと重なり、プロトスナイプの身体を通過すると、ロボットゲーマはプロトスナイプの頭上に舞い戻り、そのまま落下。
落下したロボットゲーマがプロトスナイプと文字通りゲキトツ……する事は無く、ゲーマのボディが分裂し、それぞれがプロトスナイプの身体に被さる。
プロトスナイプの前髪のようになっていたパーツが捲れ上がり、頭部にはV字アンテナのついたヘッドギアのようなものが装着される。
更に、胸部及び両肩を、如何にもロボらしいアーマーが覆い、極めつけにその左腕には、元のプロトスナイプのそれよりも一回り大きいアーム――ゲキトツスマッシャーが装着されていた。
「何です、それは……!」
「仮面ライダープロトスナイプ、レベル3、であります」
レベル3へとレベルアップを完了したプロトスナイプは、そう宣言するやいなや、ゲキトツスマッシャーが装着された左腕を、思い切りストレガへと突き出す。
瞬間、ゲキトツスマッシャーに内蔵されたロケットブースターが、腕の動きと連動し点火。さながらロケットパンチのようにストレガに向かって飛ぶ!
「な――」
射出されたアームに一瞬呆気に取られかけたストレガは、すぐさま態勢を立て直すが、ガシャコンリボルーレットガンでは間に合わないと判断し、両腕で防御する。
だが、それこそがプロトスナイプの狙い。
「そこッ!」
プロトスナイプは、今もなお手にしているガシャコンマグナムでストレガを銃撃。
本来、ゲームコンセプトにおいて格闘戦に特化したゲキトツロボッツではあるが、何もそれだけにしか能がないというわけではない。ロボット特有の高い精度という側面が、ガンシューティングゲームであるプロトバンバンシューティングとの親和性を発揮し、ストレガの防御の薄い部分への更なる精密射撃を可能としたのだ。
結果、ガードを崩されたストレガは、ゲキトツスマッシャーの一撃をモロに受けてしまう。
「が、は」
57トンものの威力を誇る強化アームの直撃を受けたストレガは、肺から息を絞り出す。
そのライフゲージは、残り2メモリ程度。このままでは、キメワザを受けない内にゲームオーバーになってしまうだろう。
対するプロトスナイプは、ゲキトツスマッシャーを回収すると、警戒したままストレガへと歩み寄る。
「勝負あり、ですね」
「グ……認めましょう。私にはまだまだ、同じ仮面の使い手との戦いの経験が浅い」
「ならば、この場は引き下がってくれるのですか」
「そうですね……」
そう言いながら、ストレガは身体をよろめかせながらも、なんとか立ち上がる。
「……置き土産ぐらいは、残していきましょう!」
気付いた瞬間、既にストレガはフォーチュンギャンブラーガシャットを、ガシャコンリボルーレットガンに、素早く装填していた。それこそ、リボルバーに弾丸を装填するが如く。
ストレガの変身者たるタカヤの主武装は、リボルバー。それも、かなり長い間使っている。
だからこそ、その動作は彼にとって慣れ親しんだものであった。
『FORTUNE CRITICAL FINISH!』
「――ッ!」
予備動作をまるで感知できなかったプロトスナイプは、咄嗟にガシャコンマグナムを放り出すと、ゲキトツロボッツガシャットを素早く左腰のキメワザスロットに装填、スイッチを押す。
ゲキトツスマッシャーは強力な武装だが、その反面、左手が固定される。ガシャット等を握れない為に、唯一空いている右手にガシャコンマグナムを持ったままでは、キメワザを放つ事が出来ないのだ。
プロトスナイプがキメワザに入るより少し先に、ストレガがガシャコンリボルーレットガンの撃鉄を起こす。
瞬間、弾倉部分が回転。銃身上部の枠の中のスロットもまた、回り始める。
そして、ストレガの指が、トリガーに掛かった。
(間に合え――!)
『GEKITOTSU CRITICAL STRIKE!』
キメワザの音声が鳴ると同時に、プロトスナイプは捻り込むように拳を突き出し、ゲキトツスマッシャーを射出。
回転しながら飛翔するゲキトツスマッシャーに、ガシャコンリボルーレットガンの銃口から飛び出した、コインの形をした無数のエネルギーの弾幕が襲い掛かる。
コイン型のエネルギーがゲキトツスマッシャーとぶつかり、小爆発を起こしながら弾ける。
その切迫した攻防が、どれほど続いたであろうか。
たった数秒のようにも、はたまた数分にも思える打ち合いの末、プロトスナイプとストレガの間でぶつかり合っていた鉄拳と弾幕の中心から、激しい爆発を起こす。
「――ッ!」
先程のジンの手榴弾とは比較にならない程の爆発に、プロトスナイプは腕で自らを庇う。
『――では、またお会いできる日を、楽しみにしていますよ』
そんな風に、タカヤの声がエコーが掛かっているかのように聞こえたかと思えば、プロトスナイプが気づいた瞬間、既に復讐代行人の二人は、忽然と姿を消した後だった。
「……逃げられた」
口にした通りの事実に、プロトスナイプから変身解除したミネルバは、知らず知らずのうちに、拳を強く握りしめていた。
だが、今は立ち止まっている場合ではないのも、また事実。
「……そうだ。黎斗さんは」
先程、ジンの手榴弾を受けた黎斗の安否を探るべく、辺りを見渡す。
だが、何故か黎斗の姿は何処にもない。
(爆発にやられて……? まさか、そんな事……)
しかし、可能性が無きにしも非ずなのが苦いところである。事実、今現在の黎斗は、ペルソナ能力を持たない、影時間に適性があるだけの人間でしかない。
これがペルソナ使いであれば、ある程度は耐える事はできただろう。だが、常人が手榴弾の一撃を浴びれば――
『――えるか! ミネルバ!』
「美鶴さん?」
そこまで考えたところで、唐突に美鶴から通信が入る。
『まず――になっ――』
「なんです? よく聞こえません」
が、どうも通信状況が安定しないらしく、時折テレビの砂嵐のような音が混じり、よく聞き取れない。
『――ムが、ゲンム――入して――』
「え?」
だが、一瞬聞こえた『ゲンム』というワードに、ミネルバは反応せざるを得なかった。
――まさか、また来たのか? だがいつの間に? どこから侵入した?
全く気づけなかった、気づかなかった事から、恐らくはストレガとの戦闘の際、隙を突いて侵入したのだろう。
そして、その目的は恐らく――
そこから先の思考をしようとした時、S.E.E.S.の面々が潜っていった地下の方から、けたたましい爆音が轟く。
「この音は……バイク?」
バイクのエンジン音には違いない。ただし……ただのバイクではないが。
しばらくして、下層から光が溢れ、そして何かが飛び出していく。
――ゲンムだ。乗っているのは、モヒカンのように並ぶスパイク付きのヘルメットのようなものがついている、灰色のバイク。
ミネルバもテストの際に見た事があったそれは、プロト爆走バイクガシャットから召喚されたバイクだ。本来であれば、このガシャットを使って変身できるライダー……レーザーがレベルアップする事で変形する形態だが、キメワザスロットに挿す事により、人格の無いバイクとして召喚可能なのだ。
バイクに跨るゲンムは、ミネルバに目をやる事もなく、そのままミネルバの頭上を飛び越し、外へと走り去っていく。
その後、黎斗が外でボロボロになっていたのを発見。
そして、ゲンムはまたしても大型シャドウを倒すだけ倒し、何処かへ消えたという事が明らかになったのだった。
大雑把な解説
・仮面ライダープロトスナイプ ロボットシューティングゲーマー
ミネルバが変身する仮面ライダープロトスナイプが、正規版のゲキトツロボッツガシャットを使用してレベルアップした姿。
本編での判断材料が少ない為、便宜上レベルは3とさせていただく。
本来はジェットコンバットと相性がいいのだが、戦闘エリアが閉所であった為(それと、檀黎斗の都合により)、変身者であるミネルバと相性が良く、正規版が完成していたゲキトツロボッツガシャットが選ばれた。
前もってプロトスナイプ(及びスナイプ)による運用を想定し、格闘能力よりも精密動作に重きを置かれた調整が為されている。ゲームマスターが一晩でやってくれました。
・仮面ライダーストレガ ギャンブルゲーマー
復讐代行集団(三人だけ)ストレガのリーダー格の少年(?)、タカヤが、ゲンムから譲渡されたフォーチュンギャンブラーガシャットを使用して変身した仮面ライダー。レベルは2。
変身時の歌の通り、命懸けのギャンブルゲームを題材としたガシャットであり、その戦闘スタイルも運要素が強いものとなっている。
特に、専用武器であるガシャコンリボルーレットガンを使用したものが顕著で、Aボタンでは銃身上部のスロット、Bボタンでは弾倉の前面にあるルーレットによって、戦闘時に様々な効果が発生する。スロットでは戦闘能力や攻撃関係が、ルーレットでは状態異常や防御に関係する効果が発生する。
勿論、運が絡むだけあって自分だけに有利な効果が発生するというわけではなく、運が悪いと自分が不利になる事もある。逆に言えば、運さえ良ければ圧倒的なレベル差があったりという不利な戦況を、一気にひっくり返しうる可能性を秘めているが、それだけにかなりリスキーでピーキーなガシャットである。
「全然分からん!(ジャガー並感)」という方に大雑把に説明すると、パラドクス パズルゲーマーのように自在にエナジーアイテムを操れないが、わざわざエナジーアイテムを探し回る事なく、バフを掛けれたりデバフを与えたりできるという事である(ただし運次第)。
どうでもいいが、本編でコラボしたラッキーなレッドは特に関係ない。あと歌はタドルクエスト系統のものである。