ペルソナ3×仮面ライダーエグゼイド【ゲンムがほぼメイン】 作:K氏
読んで貰えてるかよくわからないですが久しぶりの投稿です。
「――お見事です」
その日、大きく不気味に輝く満月が天に登った。それが意味するところはつまり、新たな大型シャドウが出現するという事に他ならない。
現に、風花のペルソナのサーチ能力で、その存在が確認されている。
そして、S.E.E.S.の面々はこれを討伐すべく、港湾部某所に存在する旧陸軍の基地へと乗り込んでいった。
だが、そんな彼らを追うように、突然その二人は現れた。
半裸の少年らしからぬ風貌の少年に、眼鏡の少年。
復讐代行人、ストレガのタカヤとジンだ。
「お目にかかるのは初めてですね」
「え、誰……!? 私のルキアには、今の今まで何の反応も……!」
風花のペルソナは、主に探知能力に優れたペルソナである。それ故に、見る限りではシャドウではない人間が、自分のペルソナの探知に引っ掛からなかった事に、戸惑いを隠しきれないでいた。
しかし、そんな彼女を気にも留めず、タカヤは自己紹介をしだす。
「私の名はタカヤ、こちらはジン。"ストレガ"と、我々を呼ぶ者もいます」
「ストレガ……確か、ネットで噂されている、復讐代行者か」
「おや。まさか、かの有名な幻夢コーポレーションの社長が我々の事をご存知とは」
「構成員までは知らないがね」
自分達以外の影時間適性者の突然の登場に驚きを隠せない一同だったが、黎斗は相も変わらず平静を保ち、ミネルバに至っては既に臨戦態勢に入っていた。
「さて……今日までの皆さんのご活躍、陰ながら見せて頂きました……聞けば、人々を守る為の"善なる戦い"だとか」
「まぁ、一応は間違っていないが」
何か含みを感じさせる一言に、ゆかりと美鶴は引っ掛かりを覚える。だが、次に放たれたタカヤの一言に、意識を逸らされる。
「実は、今日はそれをやめて頂きに来ました」
そこから語られたのは、あくまでも可能性の話。
シャドウや影時間を消せば、力――ペルソナが消えるかもしれない。なればこそ、自分達は止めねばならないのだと。
それは同時に、目の前の二人に関する、ある事実を示していた。
「まさか……ペルソナ使いなのか!?」
美鶴の言葉に、黎斗とミネルバを除くS.E.E.S.の面々が驚愕する。
「もう少し、頭を使って欲しいものだ……貴方がたは力が消えても――」
「構わないさ、少なくとも私は」
即答。これからタカヤによる説得が始まろうかというところで、黎斗がバッサリと切って捨てた。
これは仲間達のみならず、タカヤらも驚きを隠せない。
「……躊躇なく言いよったな、この社長」
「ほう。それは、シャドウを危険視するからですか? ……それとも、貴方には他の力があるから、でしょうか?」
他の力。言うまでもなく、『仮面ライダー』の事だろう。現状、ペルソナ使いでなくともシャドウを倒しうるこの力は、召喚の際に精神力を消耗するペルソナ使い達にとっての、もう一つの切り札になり得る。
「ふむ。半分は正解だという事にしておこう」
「半分やと?」
「そうとも」と、黎斗はあっけらかんと言い放つ。一応言っておくと、現段階でS.E.E.S.の戦闘メンバーの中で、最も戦闘能力に劣るのが彼である。風花はサポートの為、含まないものとする。
「君達の言葉から何となく感じた事だが……君達はペルソナという力に、特別なものを感じているんだろうね」
「せや。ペルソナがあるから、わしらはこの影時間で自由に動ける。ここは、わしらのテリトリーっちゅうわけや」
「それに、復讐代行という仕事から察するに、君らは人殺しに対して……いや、人が死ぬ事に忌避感や嫌悪感を感じていない。違うかな?」
「ええ。ですから、シャドウが人を襲おうが、放っておけばいい。シャドウでなくとも、人が人を襲う」
「確かに」
異様な会話に、S.E.E.S.の面々も口を挟めない。タカヤもそうだが、黎斗も冷静ながら、高校生らしからぬ言動である。
「貴方がたなら分かるはずだ。退屈な日常から乖離した現状を、楽しんでいる自分を」
「た、楽しんでなんて……」
タカヤのその一言に、動揺するゆかり達。しかし、それすらも黎斗は、少し笑うだけで流す。
「全くだ。こんなもの、ゲームとしてはまだまだバグだらけ。コンティニューすらできないとは、プレイヤーからクソゲーと呼ばれても無理はない。楽しめるクソゲーも無くはないが……それとこれとは話が別だ」
「……そういえば、貴方はただ一人、ペルソナを召喚できず、しかしあの力を使っているわけでもありませんでしたね。ならば、力を持つ事に憧れを抱いたりなどはしないのですか?」
「それこそ、愚問だな」
メンバー最弱一歩手前ながら、余裕綽々といった態度を崩す事無く、黎斗は口元を緩める。
「私はプレイヤーではない。ゲームを作る側の人間だ。彼女に与えた仮面ライダーの力も、私が生み出したもの。……そしてゲームとは、それを楽しむプレイヤーの存在が不可欠だ」
「……何が言いたいんや、己は」
「単純な事だ。影時間によって影人間が増えれば、その分、私の創り出したゲームをプレイする人間も減っていく。それは、経営者としても、クリエイターとしても看過できない事だ」
「……つまるところ、自分の目的の為にしか戦っとらんってわけやな。結局お前も偽善者ってこっちゃ」
「少なくとも、私達には人を救ったという実績がある。進んで人を殺すような君達に、どうこう言われる筋合いはないと思うな」
自分達を他所に、どんどん話を進めていく黎斗に、ゆかりは同年代として違和感を感じつつも、それは彼が社長という存在であるからと、そう自分で納得させた。
「あー……それなんやけどな」
と、黎斗の発言を聞き、ジンがブレーキを掛ける。
「わしらな、やり方をちぃとばかし変えたんや」
「……何?」
明彦と美鶴は眉をひそめる。彼らのやっている事は、黎斗と彼らの対話から察するに、人殺しなのだろう。それでやり方を変えるとは、より残酷な手口になったのか、それとも……。
「ある方からの贈り物のおかげです。以前よりも、我々の生活はそれなりに改善はされた、かもしれませんね」
「贈り物ぉ?」
首を捻る順平を他所に、ジンは手にしたアタッシュケースを開くと、中からある物を取り出す。
ライトグリーンのバックルに、紺色で手の平大の物体。
「……! ドライバーにガシャットだと!?」
美鶴が、今宵幾度目かになる驚愕の表情を浮かべ、そしてすぐさま黎斗を見やる。
他のメンバーも同様だ。ミネルバは相変わらず構えているが。
「い、いや。私は知らない。あのガシャット……まさか、ゲンムが作ったのか!?」
「おや、ご存知でしたか。いやはや、我々のペルソナは、貴方がたのそれと比べると強力なのですが、制御に難がありましてね……これは、素晴らしいものだ」
そう言いながら、タカヤはジンから渡されたゲーマドライバーとガシャットを、黎斗達に見せつけるように掲げる。
そして、ドライバーを腹部に当てると、自動的に彼の腰にベルトが巻かれる。
「ふふ……たまには、他人の意見を取り入れるというのも、悪くない」
微笑みを称えながら、タカヤは手にした紺色のガシャットを起動させる。
『FORTUNE GAMBLER!』
その音声と共に、ガシャットと同じ紺色のゲームエリアが展開。
タカヤの背後には、ガシャット――『フォーチュンギャンブラー』のロゴと、弾倉がルーレットのようになっているリボルバー拳銃をこちらに向けた男の絵が描かれたホログラムパネルが出現する。
「そのおかげで――我々は新たなステージに立てた!」
『ガシャット!』
そして、ガシャットをドライバーに装填。
「さぁ、賭けなさい! 貴方がたの命を! 運命を!」
タカヤの内を巡る高揚感。その赴くがままに、彼はレバーを開く。それと同時に、彼の周囲にいつものセレクトパネルが出現。
『ガッチャーン! LEVEL UP!』
いつものレベルアップの音声と共に、タカヤは左手をそのまま左に伸ばし、あるパネルに触れた。
触れられたパネルが跳ね上がると、そのままタカヤと同じぐらいの大きさにまでパネルが拡大。そこに描かれているのは、派手な襟が目立つライダーの絵。
『命賭ける! 運命の輪! 俺はギャンブラー!』
そのパネルがタカヤの身体を透過し、彼の身体を超人へと変化……否、変身させる。
果たして、そこに立っていたのは、シルクハットめいた帽子を被り、派手な襟と長い裾が特徴的なスーツを身に纏った仮面ライダー。
「では、改めまして自己紹介を。私は、そうですね……仮面ライダーストレガ、とでも名乗っておきましょうか」
「……随分安直じゃないか」
「意味は存じ上げています。が、だからどうだというのです。かつての魔女狩りでは、男も魔女として断罪されたそうですしね」
「いずれは、君自身も断罪されると?」
「さぁ、そこまでは。……ただ分かっているのは一つ。如何なる人間であろうと、生命であろうと、やがては死ぬという事だけです」
「道理だな。……ミネルバ、やれるか」
「問題ありません」
黎斗が一言そう告げるよりも早く、ミネルバはドライバーを装着し、プロトバンバンシューティングガシャットを構えていた。
「桐条先輩、皆を連れて先に向かってください」
「っ、しかし!」
「貴方もご存知でしょう? ライダーの力を。はっきり言って、今の貴方達で相手取るのは無謀というものだ」
冷静にそう言い放つ黎斗に、美鶴は一瞬、苦い顔をする。だが、彼女も伊達にこれまで戦ってきたわけではない。すぐに気持ちを切り替え、残るS.E.E.S.のメンバーに指示を飛ばす。
「……我々は、先んじてシャドウを討つ! 行くぞ!」
「でも――」
「いいから行きたまえ。ライダーの相手は、ライダーか怪物がするものだ。……それとも、君らでは大型シャドウをどうにもできないと言うつもりか?」
「……! 出来らぁ! 行こうぜ!」
黎斗の発破(?)が効いたのか、単に嫌な含みを感じて、負けん気が起きたのか。いずれにせよ、黎斗の言葉を聞き、S.E.E.S.の面々は奮い立ち、そのまま陸軍基地の深部へと潜っていく。
「第弐戦術、変身!」
『ガッチャーン! LEVEL UP!』
『バンバンバンバンシューティング!』
その間に、ミネルバはプロトスナイプ レベル2に変身。ガシャコンマグナムを召喚し、臨戦態勢に入っていた。
「ちぃ! 邪魔を!」
「そう慌てる事はないですよ、ジン」
「しかし!」
「そうだ。折角だから、ゆっくり楽しんで行きたまえ。タカヤ、君も自分以外のライダーとの戦闘は初めてだろう?」
「ええ――存分にこの力、試させていただきましょう!」
そう言うなり、タカヤ、否、仮面ライダーストレガは、自らのガシャコンウェポンを召喚する。
『ガシャコンリボルーレットガン!』
彼の右手に現れたのは、大型の拳銃。グリップ付近とボタンまでは、撃鉄が付いている事を除けばガシャコンマグナムと形状が似ているが、その銃身のほとんどが大型の回転式弾倉で占められており、全体的にはガシャコンマグナムのハンドガンモードよりも大きい。
「では、始めましょうか。当然ながら、掛け金は――その命です」
感情を感じさせない仮面の奥で微笑みながら、ストレガはその銃口をプロトスナイプに向ける。
「敵のガシャットは、どうも純正モデルのようですが……」
「関係ない。恐らく使い始めて間もないのだろうが、その程度では、プロトガシャットの性能差を埋められん。さっさと倒して、皆の後を追うぞ」
「了解、迎撃します」
「はん。自信過剰やのう……出来ると思とんのか?」
今ここに、新たなるライダーとの戦いの火ぶたが切られた。
なんだか文章力が下がってる気がしなくもない……いや確実に下がってるなこれ? それとも神が凄すぎるだけなのか……?
それはともかく、新ライダーストレガのレベルやら何やらは、多分次回になると思います。パンチ力? キック力? そこまではちょっと...。
あ、あと感想もどしどしお待ちしてナス!