……なぜ、こうなってしまった。俺は昨日普通に寮内の一人部屋に帰って寝て普通に起きて鍛錬して朝飯食べて普通に星導館学園に来たはずだ。だったらなぜ……
「比企谷?どうした?」
「……比企谷、どうしたの?」
「……どうした?」
なぜこの3人(その内一人は初対面)、リースフェルトと天霧、そして沙々宮という女子と一緒に学園内を歩かなければならなくなった?
***
時間を遡ると……
「比企谷も一緒に案内してもらおうよ」
最初はこの言葉だった。しかし俺は断ったら
「行くぞ比企谷」
問答無用でリースフェルトに連れられてしまった。はい、三分ならぬ一分で連られてきました。そして冒頭に戻る。
「はぁ……俺は一人で回るつもりだったんだが」
「仕方ないじゃない?ユリスってそういう所頑固そうだし」
「……はぁ」
マジでめんどくさいな。てか普通無理やり連れてくるか?それに……
(狙われていることに気付いて無いのか?)
そう、リースフェルトだけを狙っているのかリースフェルトにしか殺気が向けられていない。
「……はぁ。めんどくせぇ」
さっきからめんどくさいしか言えてねぇ……自重するか。
***
リースフェルトが案内してくれた所は案外よく、連れてこられて正解だった思えた。まぁ連れていく時がアレなんだがな。そして俺達は噴水広場で休憩をしていた。
「あ、俺飲み物買いに行くけどなにがいい?おごるよ」
「そうだな。では冷たい紅茶を頼む」
「……私はリンゴジュース。濃縮還元じゃないやつがいい」
「俺は持ってるから大丈夫だ」
「了解」
そう言って天霧は高等部校舎の方へ走っていった。さて、俺はイヤホンにして少し周りを警戒しようかね。それから何か沙々宮とリースフェルトは話していて遂にはリースフェルトが胸の校章に手をかざすのを見た。しかし俺はそれを護るように2人の前に立ち、出刃包丁みたいな刀を盾みたいにする。
「ッ!?」
「え」
すると数本の矢が刀の腹に当たり砕ける。どうやら前の奴のようだな。
「噴水だと!?」
ホントいつから潜んだいたんだか。黒ずくめの襲撃者は水面から上半身出し、その手にはクロスボウ型の煌式武装が握られている。
「また不意打ちか」
「だろうな」
確かに前回の襲撃者と同一人物だろう。だが違和感を感じる。なにかが違うと第六感が告げてくる。なら……
「霜天に坐せ…氷輪丸!!」
刀を出刃包丁から浅打に変え、さらに鍔が星の形をした刀に変える。そしてその刀から氷の竜が生まれ、黒ずくめの襲撃者を凍らせる。
「1人目」
そしてさらに殺気が感じる所に氷輪丸を向かわせ、もう一人凍らせる。
「……ふぅ」
「「……」」
「ん?どうしたお前ら」
「い、いや……」
「……すごいとしか言いようがない。さすがは死神」
「まぁ、足止めには充分だからな」
なぜこんなにびっくりしてんだ?まぁ俺が慣れてるってこともあんのか。
「ま、まぁいい。それでは不埒者を風紀委員に突き出すとしようか」
「賛成」
「……ハッ、どうやら黒幕さんはお人形遊びが好きなようだ」
「なに?」
俺は一人の黒ずくめの襲撃者の氷を溶かし、関節を動けなくしてフードを取る。
「なっ……」
「……これは」
そこには顔なんてない、本当の人形で作られたものだ。
「……こんな奴らに最近の冒頭の十二人はやられたのか。手口がやらしすぎる」
「あぁ。襲撃にあった奴らは報われないな」
「……」
何故か沙々宮は人形を凝視しているが俺には関係ないことだ。本人に関わることならなおさら入っちゃいけねぇからな。
「……さて、誰が黒幕なのやら」
天霧がこっちに向かってくる中、俺は一人呟くがそれは周りは騒ぎ出して、掻き消された。