俺はある日を思い出していた。
ある武家屋敷にオレンジ色の髪の男とアホ毛の少年が向かい合っていた。
『ってことだ。俺達死神の力が完全に無くなる前に、お前に引き継ぐことになった』
『……他の方達は納得しているんですか?』
『あぁ、心配すんな。恋次やルキアだって納得しているし、白哉だってそうしたんだよ。てか爺さんもそうするって言ってたんだ。俺達はお前を認めているんだ。胸をはれ』
『……分かりました』
『けど、その前にちょっとした誓いをたててぇんだ』
『誓い…ですか?』
『あぁ……』
オレンジ色の髪をした男は一度目を閉じ、目を開く。その目には男の魂が宿っていた。
『目の前に誰かが危険なら護れ。例え小さな命でも護れ!前を見ろ、進め。決して立ち止まるな!そして…………後悔するな』
『……はい!』
決意をした少年の目には、男と同じく魂が宿っていた。
『……斬月のおっさんと白をよろしくな、八幡』
『……はい。そして、あなたを超える死神になります。一護さん』
その光景はとても懐かしくて、また自分に決意が覚えられる。
「………や!」
懐かしいな。そういえば一護さん達は今なにしてるんだろ……まぁあの人達は元気だよな。てか本当一度しか一護さんに組手勝てなかったし…てか斬魄刀無くても強いってなんなの?おかしいでしょ。
「……谷!起きろ!」
そういえば一勇や苺花は今度の星武祭に来るって言ってたな。あ、2人に鬼道教えないとな。会うのが楽しみ……
「いい加減に起きろ!!」
「ふぁっ」
机が叩かれる音で起きると、目の前に苦笑いの天霧とこめかみをひくつかせてるリースフェルトがこっちを見ていた。
「……悪い。寝てた」
「あはは……」
「全く……」
「で、なんの用だ?」
「比企谷、外見て」
「あ?……あ」
天霧の通りに見てみるともう夕暮れだった。あ、確かに起こされるわ。
「……はぁ。比企谷、今朝のことは本当に感謝している」
「お、おう。まぁそこまで気にすんな」
「いいや、お前が気にしなくてもこちらが気にする。だから今回のことは貸しにしていい。何か一つ要求があれば力を貸そう。だがそれ以外で馴れ合うつもりはない」
「あ、はい」
それを聞くとリースフェルトは教室から出ていく。
「同じこと言われたな」
「天霧もか」
「俺の場合は『まだ決着はついていないが、お前もあの襲撃に気付いてたようだからお前に借りが出来ている。一つ要求があれば力を貸す』ってね」
「……巻き込んですまんな」
「あはは……」
天霧苦笑いが多いぞ……はぁ。
「ははっ、振られたなお二人さん」
隣から同情とからかいがこもった声をかけられる。隣を見るとチャラそうな奴がいた。
「ま、相手があのお姫様じゃ仕方ないさ」
「あぁ。まぁ馴れ合うつもりはこちらもない」
「俺は仲良くなりたいんだよな……」
「ふぅん…あ、天霧のルームメイトの矢吹英士郎だ。よろしくな」
「よろしく」
そういえばなんか天霧疲れた顔してるな。
「なんか疲れてるがどうしたんだ?」
「あぁ、授業の合間に聞かれてね……」
「……あぁ。まぁ《
「……へぇ。比企谷って結構物知りなのか?」
「家柄な」
なんせ砕蜂さん率いる隠密機動がいるからな。あの人達の情報収集力は伊達ではない。
「家柄…比企谷………え、マジで?あの一族?」
「まぁな。これでも一応次期当主だ」
「マジか……」
「ちなみにリースフェルトは本物のお姫様で、リーゼルタニアの第一王女だ」
「へぇ、そうなんだ」
「俺の商売が!?」
矢吹が悲壮とも言える声を出す。もしかしてこいつ新聞部とかそんな所だったか?
「あー…悪い。今度なんか面白い情報来たら教える。まぁないと思うが」
「はぁ……まぁそれでいいぜ。てかそれは期待しちゃうな」
「期待するな……」
まぁ意外性のある情報なら教えるか。
「……なんでそのお姫様がこんなところで闘ってんだろう?」
「さぁな。さすがにそれはプライバシーだから分からん」
「俺もだな~」
それから俺は2人と別れ、自分の寮室に入って休む。途中なんか音が聞こえたが気のせいだろう。
翌日の放課後……
「……誰?」
「それはこっちのセリフだ……」
「この子は沙々宮紗夜。紗夜、この人は比企谷八幡だ」
「…………」
どうしてこうなった?