はい。雷門中学着きました。けど松風君は居ないね。
サッカー部の子はちょくちょく見るけどキャプテンの神童君? はピアノ弾いてるし、ちょっと和風な錦君って子はたらふくおにぎり食べてるし皆サッカーしてない。おかしいなぁ、この時間帯部活だと思ったんだけど皆遊んでる……というより違う部活?
なんかよく分からない。とりあえず声を掛ける勇気はないし、松風君捜索! けど見つからない……。
うーん、困った。部外者なのであまり雷門中学をうろつくのもよくない。なのでとりあえず雷門中学は後にして市街地行きました。
なんでかって? 腹減った。それだけ。
んで、適当に稲妻町歩き回ってたら居たよ松風君。夕暮れ時かな、稲妻町の河川敷をなんとなく歩いてたらなんか呟きながら座ってた。
なになに? 「サッカーが消えた……」って言ってる?
え、どしたの松風君。サッカー消えたの? え? マジで? 私普通にサッカーしてるけど大丈夫だよね?
あ、私の普通は大丈夫じゃありませんでした。私異常なのかな……。
また話がズレた。とか考えたらなんか1人増えてるよ……。松風君の元に現れた男の子。
んー、誰? 私には分からん。でもイケメンってのは分かる。私は松風君の方がタイプだけど。……惚れちゃったしね。てへっ!
今のは忘れろ。
誰に言ってるか分からないけど忘れて、お願い。
私は忘れた。良し。
「松風天馬。これよりお前からもサッカーを消去する」
「サッカーを……消去……?」
いつの間にか話がちょっと進んでたっぽい。
サッカーを消去とか言ってるイケメン君に松風君は首を傾げる。まぁ私にも何言ってるか分からん。
もしかしてあれかな、ちょっと痛い子なのかな……。とか思ってたらイケメン君自己紹介してくれました。
「私はアルファ。我が使命はサッカーの消去。残る痕跡は松風天馬、お前だけだ」
お、おう……なんかすげぇ事言ってるんじゃ……。
サッカーの消去ってマジかな? さっき松風君もサッカーが消えただの言ってたから何か関係あるかも。って言うのも一応思い当たる節あるのよね。
私があった神童君達。彼ら完全にサッカーしてなかった。もしかしたら何か関係あるかも。
「痕跡……? 俺だけ? まさかお前のせいなのか! 雷門が変なことになってるのは!」
松風君も同じこと思ってたっぽい。てことは既に卓球のラケット持ってたおチビちゃん……確か西園君? にも会ったのかもね。
私は嫌な予感しかしなかったから見ないことにした。いや、あの流れなら絶対「僕卓球部の西園信助!」とか言うよ。私の勘は外れない。
あと西園信助君であってたか心配。間違ってたらごめんね西園君。
「そうだ」
あ、アルファ君肯定したよ。てかアルファ君ってどこの国の子?
さすがに日本ではないでしょ。アルファって絶対あれだよね、ギリシャ文字のαだよね? そんなキラキラネームきっと日本じゃ付けな……いよね? 私はジャパニーズを信じる。
また話がズレた。
アルファ君が肯定したことにより今回のみんなの異変は彼の仕業に決まり。で、きっと松風君からもサッカー奪うつもりだね。
多分松風君は自分が狙われてることに気付いてないけど。だって……。
「許せない、サッカーを消すなんて! みんなを元に戻せ! サッカーを返せ!」
ってめっちゃ怒ってるし。うんうん……お気持ち分かるよ、松風君。松風君が怒るなら私も激おこだよ。
許すまじアルファ君。イケメンは罪だぜ。
「NO。我々が行うべきはその逆。サッカーの完全消去」
「そんなこと……させない!」
私がボケーッと見てる間に話進んでるけどさ。これ結構ヤバくない?
とか思ってたらアルファ君がボールを取り出した。
しかもなんかボタンっぽいのから変化した近未来っぽいボール。
「拒否はできない」
ボールを地に置いたアルファ君。
ボールにちょこんと触れた。
『タイムワープモード』
これは私もびっくり。ボールから綺麗なお声を持ったお姉さんの音声が発せられました。つかタイムワープモード?
私の知ってるタイムワープなのだとして、未来科学的な考えをするならこの後起こることは……ってこうしちゃいられない! 私はそれと同時に動き出す。
「ちょ……うわっ……!?」
まずい! 松風君と一緒にアルファ君はグランドへ落ちていく。
ボールを中心に広がる光に松風君もアルファ君も飲み込まれる。
「まさか……ほんとにタイムワープ!?」
これには私も驚きを声に出した。だってタイムワープだよ? あの過去に行ったりするタイムワープ。
やばいよ、松風君が違う時間に連れていかれちゃう! 私もなんとかその光に飛び込んだ。
視界を覆う白光。一瞬の目眩しのあと、重い瞼を開くのと同時に視界がぼんやりとひらけていく。見える景色はさっきと違う。
成功……したと思う。でも意識失ってたかも。ちょっと記憶がぼんやりしてるんだよね。辺りを見渡す。
タイムワープ……したの? よく分からないけど暑いってのは分かる。
ここめちゃくちゃ暑いな。もしまだ日本なら沖縄だったりして。ハハハ、ご冗談を奥様。
とか思ってたらマジで沖縄でした。松風君見つけたんだけど沖縄がどうたら言ってたからここ沖縄だね、うん。
で、アルファ君も居たのでその場には出ず、こっそり話聞いてたんだけど今は松風君の過去らしくてほんとにタイムワープしたっぽい。ここで松風君にとってサッカーをやるキッカケが起こるんだって。
なるほど、大体理解したよ私。多分それ邪魔するんだ、アルファ君は。そして、松風君のサッカーを消す。
じゃあそれを阻止しなきゃ、松風君のこと好きなんでしょって? 分かってるよ、もうやられたんだよコンチクショウ!
アルファ君意外と仕事が早い。犬を助けようとした松風君がその衝撃で動いた木材の下敷きになる。それを助けようとしたストライカーがいたっぽいけどその人のシュートをアルファ君が妨害した。
おい、アルファ。さっきは半分冗談だったけど今回はマジで怒ったぞ私。
「分岐点、インタラプトの補正完了」
そんな私の怒りなんて知らないアルファ君はやることをやったという顔で通信機で誰かに報告する。なるほど、アルファ君が主犯ってわけではなく上がいるか。そいつ絶対ぶちのめす。
って今はそれはいい。怒りを沈めて冷静でいよう。多分事の中心にいる松風君の方がもっと混乱してるはず。私が冷静でいないでどうする。
「心配は無用だ……。全治1ヶ月、そんなところだ」
私より冷静に淡々と言うアルファ君。全治1ヶ月も結構大変なことだろうがゴラッ。松風天馬のサッカーを消去しただって……? それが人を怪我させといていう言葉か。
頭に来たけどそれどころじゃなくなった。松風君が苦しみ始めた。
そうか、サッカーは松風君にとって大きな存在。それが頭から消えようとしてるから脳に負荷がかかってるんだ、本当のとこはよく分からないけど。
松風君が苦しんでる。それだけで私の怒りをMAXで買ったよアルファ君。
まぁ知らないだろうけどね、あとでぶちのめしてやる。
私はシードだし、ゴッドエデンで育てられたから戦場に放り出されても生きて帰ってこれる自信あるよ。だから、アルファとだってやり合えると思う。
ここでもう出てやろうと思ったけどなんだか松風君の様子がおかしい。
痛々しそうに声をあげてるのは同じなんだけどなんていうかちょっと耐えてる感じがある。
痛みに反抗してる……? どうやらそれが当たったっぽい。
なんと松風君、消えゆくサッカーの記憶の苦しめの中立ち上がった。
「俺はサッカーが好きだ……。俺はサッカーが大好きなんだ。大好きで大切なものなんだ! 大好きで大切なものは……絶対に守らなきゃ!」
松風君……。
ちょっと見惚れた。嘘、めっちゃ見惚れた。
大好きで大切だから守る。この想いの強さがあれば……。
「だから俺はサッカーを忘れない! サッカーは絶対に渡さない!」
やっぱり。松風君は強い意思を見せた。もう分かる、彼に対するインタラプト修正は失敗。
松風君はサッカーを忘れたりなんかしない!
松風君はなんとかサッカーの記憶を維持したみたい。アルファ君は何か連絡を受け取っている。指示を貰ったみたいだ。
「この事態を解決する新しい方法が提案された……。場所を変える」
『ムーブモード』
本日2度目のまずい!
やばいよ、ムーブってこれ絶対ワープだよ。どんだけハイテクなのよあのボール。松風君を包む光に私はもう一度飛び込む。
なんとか成功したみたい。パート2。
んで、着いたのはグランド……?
グランドだね。確実だ。なんか適切なんだって、アルファ君によると。なんのこっちゃ。
「喜べ。お前の好きサッカーの時間だ」
偉そうに構えてサッカーしようとか低い声で言うアルファ君。サッカーやろうぜはもっと明るく言うんだぜアルファ君。
ていうかなに? 急にサッカーやるの? もしかして松風君とサッカーやりたかったのアルファ君、ツンデレか?
とか思ったけど絶対に違うね。あれだ、きっと違う方法に移っただけだ。で、なんかアルファ君側の人が人数増えたけどあれなんだ? イケメン可愛い子勢揃いだけど。
「お前達……サッカープレイヤーだったのか?」
松風君が問う。うん、見た感じサッカーボールを持ったアルファ君とサッカーチームメイトだよね。でも違うんだとさ。そんな次元の低いものではなく、時間の干渉を許されたなんたらかんたららしい。
正直知らんがなと思ったから聞き流した。私今時点でアルファ君めっちゃ嫌ってるし。いや、だって好きな人いじめられたら誰だってね?
とりあえず何か始まりそうなので私は見とく。まだ出るタイミングじゃないね。もうちょっと様子見かな。
で、なにが始まったかというとアルファ君達が松風君をマジで虐め始めた。大好きなサッカーボールでボコボコにされる松風君。魔神ペガサスアークも簡単に破られた。
へぇ、そうやってサッカーは痛いもの辛いものっていう感情を植え付けて松風君のサッカーを消そうとしてるわけね。
ふざけやがって。ここだね、タイミング。
好きな人やられてるのを黙って見てられるかっての。
トドメを刺そうとしてるアルファ君を止めに私は飛び出そうとする。けど私より速く松風君の前に現れた者がいた。
なんか緑髪の爽やかな男の子。
てか私よりも飛び出すの速いって時点であの子……強いよ、きっと。緑髪の子が現れたので私はまた待機。ちょっと様子を見る。
なんとかなるさ。これは君の言葉だよ、と松風君の過去の言葉を伝えて彼を元気付けるとこに私は好感を持った。
とりあえず緑髪の子は味方だね。でも松風君の言葉を知ってるのはなんでだろう。
ファンって可能性は……ってのはさすがにないかなぁ。まぁもしファンならファンになる気持ちは分かるけどね! 私もそうだし!
忘れよう。はい、私忘れたー。忘れたったら忘れた。よし、忘れようね。
んで、松風君に対して味方っぽい発言してる緑髪の子。どうやらフェイ・ルーンって名前らしい。自己紹介してた。
で、そんな彼が言う。
「大勢で1人をいじめて楽しい? なら勝負しようよ!」
あ、私が言いたいことを代弁してくれた。少なくとも松風君がいじめられてたの見て思ってたことは同じってことね。
OK、ひとまず味方ってことで確定しようじゃないの。
彼の一言で試合をすることが決まった。
んで、彼は本当に何者なのか分からなくなったね。フェイ君が指パッチンしたと同時に何もところから人が出現した。それも試合に足りない9人分。
嘘だろ、オーマイ。盗み聞きによるとデュプリっていう化身の一種らしいけどシードの私でも知らない技術。
マジで何者か……本当に味方ってことでいいのかな? と、不安になるけど1度確定したことは今の事が終わるまで一応そういうことにしておこう。
疑ってたらやっていけない。まぁいざとなったら私が松風君助けるし、オールOK。
で、試合始まりましたよ。
相手のチーム名は『プロトコルオメガ』。やっぱ聞いたことないチームだね。
松風君のチームは雷門かと思ったんだけど……『テンマーズ』らしい。実はこの名前になったエピソードを私は全世界に大声で伝えたい。
「テンマーズ! 天馬がキャプテンだからテンマーズ!」
とフェイ君の可愛らしい発想で決まった安直な名前。でも私は最推しのチームです。
もう最高! テンマーズ凄い入りたいんだけど……。え、めっちゃ入りたいんだど!
でもフェイ君の正体も分からないし、まずは相手のプレイスタイルも見たいしやっぱ待機かな。
何度も言うけどテンマーズ最高。テンマーズやばいよ。テンマーズテンマーズテンマーズテンマーズテンマーズテンマーズテンマーズ……etc……。
はい、話がまたズレました。でも私は反省しない。テンマーズ素晴らしい。
ちなみに私がテンマーズテンマーズ言ってる間に試合はちょっと進んでた。フェイ君がやっぱり強いね。プロトコルオメガはかなり強いチームで敵の動きも私が焦ったくらい速いんだけどフェイ君はそれに対応できてるし、ちゃんと敵陣にも切り込めてる。彼の実力については私も感嘆したよ。
で、松風君だけどやっぱ苦戦してるみたいだね。
敵に翻弄されまくり。
あれは仕方ないと思うけどフェイ君曰く、まだ慣れてないだけらしい。へぇ。そうなのかーと思って私も敵の動きずっと観察してたけど確かに慣れれば瞬間的な対応はできるかもね。
プロトコルオメガが圧倒的に松風君や私を上回ってる点ってやっぱりスピードなのよね。そのスピードに目が慣れれば多少は対応できるかも。ただついていけるかというと微妙なところ。
まぁ松風君の潜在能力なら多少はやりあえると思うけどね、あれに付いていくのは大変そう。
それでその後の試合はプロトコルオメガと五分五分って感じかな。松風君がまだ付いていけてないのが大きいけどフェイ君に疲れが見えてきたね。
まだ前半だけどあのデュプリってのが相当体力使うっぽい。まぁ化身の1部とはいえずっと使い続けるのはやっぱり辛いよね。
そう、化身といえば一つ驚いたことがある。何を隠そうアルファ君。あの子、化身アームドできるわ。
アルファ君の使う化身、天空の支配者・鳳凰。それを身体と融合させ、鎧のように纏う化身アームド。フェイ君の解説をちょっと借りた説明だけど実は私も知ってるんだよね化身アームド。
てかアルファ君化身アームドできるのか……。できちゃうかー。うーん……未来的な技術使うなぁとは思ってたけど本当に未来人か?
……分からないし、今は置いとくか。
ま、それはそれとして化身アームドよりめちゃくちゃ驚いたことがあるんだよね。
なんか青い熊が現れたんだけど、ねぇ。