インフィニット・オメガバース   作:蓮零

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本当に…申し訳ございませんでした!!!

まじでごめんなさい、ここのところ、テストと重なってしまいまともに文を打つ余裕がなく、やっと終わったところでした。

この話を読んでくれる読者の皆様、申し訳ありませんでした!!

だから、どうか見捨てないでください!



原作開始
第五話 女だらけの花園に、その笑顔は最大の殺し文句


「…いよいよアイツらに会えるんだな」

 

木から舞い散った桜の花びらが風によって何処かに吹かれ行く光景を目にしながらも、長い黒髪をポニーテールにした少女はそんな事を呟いた。

 

そんな少女の目線の先に見えるのは、限りなく青く、そして、どこまでも広がる空と海。その相反する二つの青の中心に存在する一つの島。ーーその島にはまるで島全体に広がるようにして建てられている、ひとつの巨大な建造物が存在していた。

 

IS学園。それは、世界中から集まるIS操縦者の育成用の特殊国立高等学校のことである。操縦者に限らずIS専門のメカニックなどISに関連する人材はほぼこの学園で育成されている。また、学園の土地はあらゆる国家機関に属さず、干渉も受けない。そのために、他国とのISとの比較、新技術などの試験などにも適している為、そういった面では重宝されているのだ。

 

海の彼方から見えるIS学園を視界に入れながらも、少女は自身が着ているIS学園の制服のポケットから、一枚の写真を取り出した。

 

そこに写っていたのは、幼いながらも鋭い目付きをしていて、竹刀を片手に胴着を纏い、少し照れ臭そうな表情をした黒髪の少女と色素が薄く、新雪のような灰色の髪に、見るもの全てを惹き付けてしまう淡い橙色の瞳をしている。整った幼い顔立ちに、可愛らしい笑みを浮かべた少年だった。

 

 

「やっとお前に会えるんだな…雪音」

 

 

6年ぶりに再会を果たすことになる幼馴染の名前を呟きながらも、少女はポケットの中に写真をしまい直し、その足をIS学園の方へと向けて歩き始めるのだったー。

 

 

 

◇◆◇

 

 

「…なぁ、雪音さん」

 

「…どうしたんだい?一夏さん」

 

「俺達、なんでこんな場所にいるんだろうな」

 

「…自分の胸に手を当てて、よく考えてみてよ」

 

「…ごめんなさい」

 

 

なんだか一種の漫才コンビのようなやり取りになってしまっているが、断じて違う。雪音は誰と知れずにため息を吐きながらも、自分と一夏がどんな現実に直面しているかを見るために、あらためて周りを見渡した。

 

現在、このIS学園の一年一組の教室にいる男子は僕、堀内雪音と親友である織斑一夏の二人のみであった。そのほかの生徒は全員、女子なのだ。世の中の男性からしたら天国じゃないかと言われてしまいそうな空間かもしれないが、実際にそんな現場に放り込まれてしまったら苦痛と苦労と心労でしかないと思う。

 

現に僕の隣にいる一夏は、教室中から突き刺さる数多の女子からの視線に耐え切れずに、疲れきったオーラをかもしだしながら机に突っ伏したまま、僕と会話をしている状態になっていたくらいなものだしね。

 

そんな一夏に同情の念を抱きながらも、僕自身も自分に向けられる視線に胃痛を起こすかのような錯覚に見舞われ、完全に疲れきっていたくらいなのだ。

 

 

雪音はどうにかして気を紛らわせるために、視線を窓側の席の方へと向けた。ーすると、視線を移した先にいた、黒髪ポニーテールの女子の生徒と目が合ってしまった。ーしかし、雪音にはその女の子に何処か見覚えを感じのだった。

 

「(もしかして、あの子、箒ちゃん…?)」

 

篠ノ之箒(しののの ほうき)、雪音と一夏の幼い時を一緒に過ごした幼馴染み。ISを開発した篠ノ之博士の妹である箒は、そのISが原因で6年前に別れて以来、会うことがなかったのだ。幼馴染みを前に、雪音は懐かしいさと嬉しさが同時に混じったかのような気持ちになり、自然と頬を綻ばせた。

 

 

雪音は箒の方へと目を向け、満面の笑顔で小さく手を振った。しかし、箒のほうはそんな雪音を見た途端、瞬時に顔を紅く染めてしまい、雪音は全力で目を逸らされてしまうのだった。

 

 

「(…僕、何かしたのかな……?)」

 

 

少しばかり、目を逸らされたことにショックに受け、落ち込んでしまう雪音であったのだった。そんなこんなで過ごしている内に、いつの間にか教室の扉が開かれ、サイズが合わない丸メガネかけた、穏やかそうな女性が入ってきた。

 

「全員揃ってますねー。それではSHRを始めますよー。」

 

その女性はサイズが合わない大きな丸メガネに、学生にしか見えない童顔で緑色のショートカットの髪をしている。胸が大きすぎる為か、それ以外のサイズが合っていない服が、少しダボついている所を見ると、あまり先生には見えてこないという皆の心の声が、雪音には聞こえてきたような気がしたは、気のせいにしておこう…。

 

「このクラスの副担任をすることになりました。山田真耶(やまだ まや)と申します。」

 

山田先生は、穏やかな表情を浮かべながらクラス全体を見渡して自己紹介を始めた。

 

「それでは皆さん、1年間よろしくお願いしますね。」

 

「よろしくお願いします、山田先生。」

 

 

シーーーン

 

 

…あれ?なんで僕以外の皆は無反応なの?普通ここは先生に返事を返すところだよね?いや、みんな返事を返してあげようよ!?なんか山田先生が僕のことを救世主をみるような目で見てくるんだけど!?

 

「っ!…は、はい!よろしくお願いしますね!堀内君!」

 

「あ、あはは…よろしくお願いします、山田先生」

 

涙目になりながらもこちらをみて、本当に感謝されていることがヒシヒシと伝わってきた。…大丈夫ですよ。山田先生、その気持ちは僕にはよーく分かりますから…。

 

「そ…それでは、皆さんの自己紹介に移りたいと思います…出席番号順でお願いします」

 

自己紹介かぁ…どんな風に言えばいいのかな?あまり変な感じにならないようにしないと…出席番号順だから、僕の紹介はしばらく先になるはずだけ…。

 

そんな風に僕は自分の番が来たときのために、しばらく自己紹介の内容を考えているとー。

 

 

「…お、織斑くん、織斑一夏くんっ!」

 

「へっ!?は、はい!」

 

「あ、あの、大声出しちゃってごめんね?うるさかったよね?お、怒ってる?怒ってますか?」

 

 

 突然、隣の席から声が聞こえてきた。どうやら一夏の番が来たようだが、反応がなかっただけなのに山田先生があたふたとしていた。なぜか山田先生には人に保護欲を沸かせる要素か何かを持っていると思うのは僕の錯覚なのだろうかと?思い始めてくるくらいだ…。

 

「いや、そ、そんなに謝らなくても…っと言うか自己紹介しますから、山田先生落ち着いてください!」

 

「ほ、本当ですか!?約束ですよ?絶対にしてくださいね!?」

 

 

 一夏がやるのか、どうせなら僕の時の参考にもなるだろうし、しっかり聞いておくとしょう。

 

 

「え、えっと…お、織斑一夏です。よろしくお願いします…」

 

 

 立ち上がって自己紹介を始めた親友にクラス中の女子の視線が突き刺さる。ここから一夏がどんなことを言うのかと興味津々と言った様子で、次の言葉を待つ。

 

 すると、一夏は無言のまま、深呼吸をし始めた。一体どんな事を言うのだろうかーー

 

 

「以上です!」

 

 

ガタガタガタッ!

 

 

あまりにも簡潔的すぎる自己紹介に僕を含めたクラスの半数以上の女子がずっこけた。

 

イヤ、一夏!?もう少し何か言うべきでしょ!ここまであっさりすぎると流石に親友の僕でもそれには驚きだよ!

 

よく見てみなよ!?君の自己紹介のせいで山田先生がどうすれば良いのか分からなくなって、涙目でオロオロして困惑している姿を!

 

 

しかし、自分の今の状況を分かっていないのかキョトンとした表情の一夏に、僕はあたふたとしてしまっていた。しかし、僕は気づいてしまったのだ…一夏の後ろに、いつの間にか出席簿を片手に装備したあの人がいたことをーー。

 

 

スパァーーーン!!

 

 

「ぶへっらぁ!?」

 

 

 雪音はその一瞬をこのように思った…まるで疾風の如くの一瞬だったーーっと。

 

 あまりにも綺麗に一夏の頭にクリーンヒットしたのは、学生の皆さんには馴染みがあるであろう、出席簿だった。それを片手に携えていたのは黒いスーツにタイトスカートを着こなす抜群のスタイルに、まるで狼のような鋭い目付きをした黒髪の美女だった。

 

しかし、雪音にとっては昔から知っている馴染み深い人物でもあった。

 

「千冬さん!?」

 

「げえっ、関羽!?」

 

「久しぶりだな、堀内…あとそこの馬鹿者、誰が三国志の英雄だ!!」

 

 バゴォン!!先程よりも凄まじいほどの威力が込められた一撃が、一夏の頭へと振り下ろされた。自業自得とはいえ、見ていると一夏の頭がいつか禿げ上がるのではないかと少し心配なくらいだった。

 

「あ、織斑先生。もう会議が終わったんですね」

 

「あぁ、すまなかったな、山田君。生徒達への挨拶を押しつける形になってしまって」

 

やっぱり千冬さんはさりげなく優しいな、一夏には厳しいけど、それは家族だからこそなんだろうね。あんな姉さんが僕にもいたらよかったのになぁ~。

 

「い、いえ!副担任としては、これくらいの事はしないといけませんから…」

 

 千冬さんの言葉に、嬉しそうな表情で返事をする山田先生。なんか癒されますね~。

 

「諸君、私が君たちの担任の織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になるIS操縦者にすることが役目だ。私の言うことは良く聞き、良く理解しろ。分からない者や出来ない者には、分かるまで、そして出来るまで指導してやろう。私の仕事は若干十五歳の君たちを十六歳までに鍛えあげることだ。逆らっても構わんが、私の言うことは絶対だ。いいな?」

 

 イヤ、千冬さん?流石にそのセリフは少し無茶苦茶な気がするんですが…。

 

しかし結果は雪音の予想とは真逆へと変わった。

 

 

「「「キャアアアアアアア!!!」」」

 

 

「「うわ、耳があ!?」」

 

 

 雪音と一夏は突然クラスの女子の歓喜にも似た、悲鳴に咄嗟に耳を塞いだが、あまり効果がなかった。

 

 

「きゃあああああああ!千冬様よ!本物の千冬様よー!!」

 

「私、ずっと貴女の大ファンでした!!」

 

「お姉さまに憧れて九州地方から来ました!」

 

「あの、千冬様にご指導頂けるなんて幸せです!」

 

「お姉さまの為なら私、死ねます!!」

 

凄まじいほどの千冬さんの人気ぶりに唖然とするしかなかった。…これが千冬さんのカリスマ性の高さ…後、最後の子、さすがにそれは言い過ぎだと思うよ…。

 

「…毎年、何故私のクラスにはこんなに馬鹿者ばかりが集まってくるんだ?私に対しての嫌がらせか何かの為なのか?」

 

呆れたように、そして疲れたようにそんなに事を言う千冬さん。普通の人なら怒るべきところなんだけど…。

 

「きゃああああああ!!もっと叱って!」

 

「でも時には優しくして!」

 

「そして付け上がらないように躾をして!」 

 

もはや、敬語で話すことさえもままならないようだ。恐るべし、千冬さん。

 

すると、千冬さんは一夏の前まで来ると、鋭い目付きで一夏を見てきた。

 

「それで、織斑。お前は挨拶さえもマトモにやれないのか?」

 

「いや、千冬姉、俺はーー」

 

 

スパァーン!!

 

 

どうやら一夏には、慈悲などは存在しないようだ。

 

 

「織斑先生と呼べ。馬鹿者が」

 

「……はい、織斑先生」

 

 

一夏が可哀想だったが、今の千冬さんとのやりとりで、二人が姉弟であるということがばれてしまった。

 

 

「えっ…?織斑君って、千冬様の弟…?」

 

「それでISが使えるのかな?」

 

「いいなぁ~、変わってほしいくらい!!」

 

チラホラと女子達からの反応もあったようだが、おそらく変わったところで、私生活の千冬さんをみたら発狂をするのではないだろうか…一夏も僕も慣れているから平気だけど。

 

「…堀内、いまなにか失礼なことを考えていなかったか?」

 

「いえ、何も考えていませんよ。千冬さん」

 

なんで僕の思考を読み取れるんだろう…?この前は束さんにまで思考を読まれていたこともあったし…。

 

「まぁいいだろう、それと、学校では織斑先生だ。いいな?」

 

「はい、分かりました。」

 

「そうだ、ちょうどいいから、次はお前の自己紹介だ」

 

「えっ!?」

 

あまりにも突然すぎることに、僕は固まってしまった。いや、だって、さっきの一夏と千冬さんのやりとりのせいで、まったく自己紹介の内容を考えていなかったからである。しかし、千冬さんが言ったからにはやらなければいけないだろうし…。

 

「…分かりました。自己紹介をさせて頂きます」

 

「頼むぞ」

 

僕は一夏がしていたように、自分の席から立ち上がる。すると、千冬さんと一夏に向けていた視線のすべてが僕のほうへと向けられてくる。うっ、思った以上にきつい…。

 

お腹に力を入れ、一呼吸してから、僕は言葉を口に出し始めた。

 

「初めまして、堀内雪音と申します。趣味は花の世話に紅茶を入れること、特技はフラワーアレンジメントです。ISに関しては知識でしか知りませんが、それでも自分に出来ることは頑張りたいと思っています。」

 

そして、僕は自分が出来る限りの満面の笑みで紹介した。

 

 

「どうぞ、よろしくお願いします。」

 

 

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

 

 

教室に響く、沈黙。えっ?なんでこんなに静かなの…?僕、なにかやらかしたのかな…?

 

「…堀内、自己紹介としては上出来なんだが…その満面の笑顔は控えてくれ」

 

「えっ?…僕の笑顔なにかおかしかったですか…?」

 

「おかしくはないが、その、…おまえがすると色々とまずいからだ。」

 

「…?よく分かりませんけど、分かりました」

 

なんだか千冬さんの顔が赤くなっている気がするような…。それに、山田先生もなぜか僕の顔を見ないようにしてるし、クラスの大半の子の様子もおかしいような…?

 

「(やはり、雪音の笑顔は危険だ…。昔、幼い雪音の笑顔をみた道場の奴らのほとんどが、雪音の事を襲おうとしていたくらいだからな…もちろんひとり残らず沈めてやったが、あの時は私自身の理性もやばかった…)」

 

「(な、なんで堀内君の笑顔にこんなに胸がドキドキするんですか!?さっきも傍にいた時なんて、すごくいい匂いがしてきましたし、思わず襲ってしまいたく…って、私はなんて事を考えているんですか!?)」

 

「(ちょっと、もうひとりの男子もやばくない?)」

 

「(うん、あの笑顔は本気で反則だと思うよ…)」

 

「(それになんか、すっごく、あの人からいい匂いがしてくるし…)」

 

「(やばい、襲いたいかも…)」

 

 

なぜだろう、すごく寒気がしてくるのは気のせいかな?オメガ《Ω》のことは一夏と千冬さん以外にはばれてないはずなんだけど…ばれてないよね…?

 

すると、千冬さんが教卓の前にまで来ると、次のように言葉を出した。

 

 

「…とりえず、SHRは以上だ。諸君らには半月でISの基礎知識を覚えてもらうことになる。その後は自習となるが、基本動作も半月の内に叩き込んでおくことだ。いいな、よくなかろうと返事はしろ」

 

 

「「「「はっ、はい!!!」」」」

 

 

どうやら様子がおかしかったクラスの大半の子達は大丈夫そうだった。

 

 

これから、僕の学園生活はどうなっていくんだろうーー。

 

 




どうでしょうか?メチャクチャ難しかったですが・・・。

次回は冒頭で出たあの、幼馴染が登場します。もし書けるのならばあの金髪淑女も早く出したいところですね・・・。

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