イヤ、本当にありがたいという言葉以外浮かばないくらいですね・・・。
これからもあんな感じで雪音に恋心を寄せているヒロインたちの話を書いていくと思いますので・・えっ?次は誰の話を書くかって・・・?
それはまぁ、創作の神様が降ってきてからですかね・・・。
「一夏、体調は平気?緊張してるのはわかるけど、そんな状態じゃ、試験は受けられないんじゃ....」
「あぁ...、大丈夫...だ。少し吐き気がするけど…雪音、お前は大丈夫なのか…?」
「僕はもう、昨日の内に散々緊張したからね..いざ当日となってみると案外平気ものだよ?」
「....なんで前日に緊張したからって平気なんだよ..?俺の受験へのメンタルはそこまで強くねぇよ..」
「人間は考え方次第で何事も適応が出来る生き物だからね、一夏もきっとこの先はなれてくる日がくるよ!」
「イヤ、俺は絶対無理。」
「そんなはっきりと否定しないでほしいんだけど!?」
僕と一夏は現在、私立藍越学園の入試試験を受けるために、2月の中旬になりながらも未だに降り積もった雪が残る藍越学園の受験会場までの道を二人一緒になって歩いていた。
そんな日にもかかわらず僕と一緒になって試験を受ける幼馴染の織斑一夏は現在、入試試験当日というせいなのか、電車に乗っている最中もガチガチに緊張したような状態が続いていたため、目的の駅に着いたと同時にグロッキーな状態になりさがっていた。
まぁ、緊張する気持ちも分からなくはないが、何事も人間は考え方次第でどうにかなると言うからね、一夏にはあっさり否定されてしまったが、緊張するよりも楽に考えてしまえばなにごとも大丈夫!(あくまで雪音個人の意見です)
とりあえず未だ気持ち悪そうな表情が抜けきらない一夏の背中を擦り続けながら歩き始める。そうしているうちにか、いつのまにか僕と一夏は目的地である藍越学園の受験会場がある建物の前に辿り着いていた。
なんでも、藍越学園で過去の入試試験時に、不正行為を行った人がいたため、カンニング防止対策として、どこかの建物の一室を借り入れ、そこを受験会場としているらしい。
「ここが受験会場か~。なんか無駄にでかい気がするよな」
「確かにね。そういえば今日はここで藍越学園以外にも入試試験をやってる学校があるって聞いたよ。」
「そうなのか、まあどこだとしても俺たちには関係ないことだけどな」
「それもそうだね、それよりも早く中に入っちゃおうか?一夏」
「おう、了解だ。」
そう言って僕と一夏は建物の中へと入っていくのだった。この時、まさか自分達が何気なく行った言葉がフラグになるとも知らずに....。
◇◆◇
「...なぁ、雪音」
「...なんだい、一夏?」
「気のせいだと思いたいんだけどさ....。」
「うん、それならきっと気のせいじゃないかな」
「....じゃあ、一応言うけどよ....。」
「一夏、駄目だよ?その先を言ったらどうなるかーー」
「俺達ふたり共、絶対に迷子になったよな?」
「言わないでって言ったじゃん!?そんな現実を僕につきつける感じで言わないでほしかったよ!」
僕は思わず、自分が必死になって目を反らしていた事実をあっさりと言い切った親友に対して非難の言葉を漏らしてしまう。
「まぁ、落ち着けよ。別に迷子になっただけですんだじゃないか、まだ時間だってあるし、あと、お前なんで涙目になってるんだよ...?」
「一夏が変なところに行っちゃうから迷子になったんでしょ!どうするの!?これで試験会場に行けなかったら、僕たち完全におしまいだからね!!あと涙目なのは誰のせいだと思ってるのかな!?」
「まぁ、とりあえずそこら辺を探してみようぜ。おっ、あそこになんかでかい扉があるぜ!行ってみるぞ。」
「ちょっ..一夏!!人の話を..待って!勝手に入ったら不味い気がするんだけど!?」
しかし、もう遅かった。雪音の制止の声を聞かずして、一夏は目の前の扉を開いてしまった。
するとーー。
「...あれ、コレって..。」
「..ISだよね..?」
一夏によって開かれた扉の先にあったのは、まるで中世時代に存在するかのような鉛色の東洋甲冑をメカメカしく模様したような機械が室内の中心に二機おかれてた。
そして、好奇心せいか恐る恐るといったように雪音と一夏はその二機の方に近づいていくのだった。鉛色のISを見ながらぽつりと雪音は呟いた。
「..この機体、純日本産第二世代型IS打鉄(うちがね)じゃないか...なんでこんなところにあるんだろう?」
「よくISの正式名称なんて覚えてるよな、雪音は」
「昔から束さんに色々と教えてもらったおかげだからだよ。でも、なんでこんなところにISがあるのかな?」
「なんでだろうな。俺にはさっぱりだよ」
「まぁ、普通はそうだよね....。」
そんな風にキョトンとした様子の一夏に苦笑しつつも、雪音は自分の顎に手をやり、頭の中に思考を張り巡らせた。
「(どうしてこんなところにISが?見たところ展示用に飾ってある訳でもなさそうだし..それに活用するにしてもこんな建物の中なんかじゃ装着しづらいのに...)」
そんな風に思考の渦を展開させている中で雪音は気がつかなかった。鈍感で唐変木な自分の親友がISに触れようとしていたのを、そして、それがキッカケで雪音の人生が変わってしまうことなどもーー。
キュイイン
「....えっ?」
突然、雪音の耳には何かを起動させるかのような音と誰かの呟きが響いた。雪音が慌てて後ろを振り向くと、そこに居たのは女性にしか起動させることが出来ないと言われている筈のISを纏っている自分の親友の姿が目に飛び込んできた。
「一夏....なんで、君が...ISを纏ってるの....?」
「イヤ、せっかくだから記念に触れてみようと思ってさ..軽く触れたら、いつの間にか起動させたみたいで」
「起動させたって....そんなバカな..」
「それにしても、これどうやったら解除できるんだ?」
「いや、どうして一夏はそんなに冷静に受け入れてるんだい!?」
あまりにもいつも通りな一夏を前に思わずツッコミを入れてしまう雪音。しかしそうするしかなかった…。目の前の現実を直視することなど、雪音には出来なかった。むしろ、混乱とこれは夢なのではないかと言う気持ちの方が強いのが原因でもあるからだ。そうしているうちにーー。
バタバタバタガチャ!
突然、扉が開かれたと思うと同時に、ISを起動させた音を聞きつけた職員らしき人物たち数名程が、部屋の中へと入り込んできたのだ。
「ちょっと貴女達!ここは立ち入り禁止のところなのよ!!試験を受けるんだったら正規の...ところ....で?」
「....主任、自分には男がISを纏っている姿が見えるのですが...」
「同じく、私もです。」
「なっ、なんで男がIS..に!?とっ、とりあえず、貴女たちは本部に連絡を入れて!あとそこにいる貴方もISに触れてみなさい!」
「えっ、僕もなんですか!?」
「そうよ!だからさっさと触りなさい!」
「わっ..分かりました。」
雪音は職員の女性に言われるがままに、ISに触れた。
そしてーー。
キュィィン
なんと雪音自身までもがISを纏ってしまったのだ。
「まさか、こっちの男も....!?とりあえず、本部にはもう一人も起動させたって報告を..!!なんでこんなことが..!」
バタバタと職員達が慌ただしく出ていく背中を見送りながらも雪音はどこか疲れきった表情で、小さく声を出して言ったー。
「…受験勉強が全部無駄になった...。」
しかし、そんな少年の響きは部屋の中へと、虚しく吸い込まれていくのだったーー。
この日、世界で初めてISの男性起動者が現れた。それも二人も。一人は世界最強と呼ばれるISの操縦者である織斑千冬を姉に持つ少年、織斑一夏。もう一人は一般人でありながらもISを起動させた少年、堀内雪音とーー。
そして堀内雪音の運命を変えてしまう歯車が回り始めたのだったーー。
とりあえず、次回からは原作編が始まります。
原作に行くまでの導入が長くて申し訳ありません。
次回も楽しみにしてください。