双極の理創造   作:シモツキ

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第七十九話 夏休みと言えば

「あー違う違う。食器はよく使うやつを前、あんまり使わないやつを後ろにやるんだよ。他の物収納する時だってそうするだろ?」

「…そりゃそうだ」

「家事ってのはな、如何に効率化するかなんだよ。どうせ毎日やるんだったら、省ける無駄は省きたいと思わないのか?」

 

ぶっきらぼうに、でも結構しっかりとした指示が千嵜から飛んでくる。それに沿って、俺は食器棚内部の配置を入れ替えていく。…突然どうしたんだ、って?…俺もよく分からないっすよ…。

 

「…千嵜って、そんなに几帳面な性格してたっけ?」

「なんだ知らなかったのか?俺はワールド几帳面選手権町内会部門準優勝なんだぞ?」

「それは凄……くねぇ!全く聞いた事のない選手権だし、町内会部門の準優勝じゃワールドには箸にも棒にもかかってねぇじゃん!何を堂々と言ってんの!?」

「町内会で二番目なら、まぁまぁ凄い方だろ」

「町内の人全員が参加してたならね!てか架空の選手権だよねぇ!?」

 

真顔で意味不明なボケをぶっ込んできた千嵜に、茶碗を持ったまま全力で突っ込み。…えー、何故この状態になったかを努めて客観的に説明致しますと、

 

1.お昼過ぎに千嵜と妃乃さんが遊びに来た。

2.綾袮さんと妃乃さんは話し込んでいて、雰囲気的にはいり辛い。

3.千嵜と話そうにも特に話したい事柄はなく、ゲームって気分でもなかった為に手持ち無沙汰となって、そこで拭いた後乾かしていた食器がそのままだった事を思い出す。

4.片付け開始。その最中に千嵜が食器棚の配置に気付き、指導が始まる。

 

…こんな感じでございます。アレだね、これは4で俺が選択ミスした(片付け始めちゃった)のが原因だったね。

 

「いいんだよ別に。大切なのは自分自身がどう思うか…お前の気持ちはどうなのかって事なんだからよ」

「…格好良い感じに言ってるとこ悪いけど、俺の気持ちは一貫して『何言ってんのこいつ』だからね?」

「……ちっ」

「舌打ちすんなよ!?感じ悪っ!」

 

そんなやり取りをしながら入れ替える事十数分。茶碗や湯呑みだけでなく、箸や丼なんかの位置も徹底的に変えていった結果、食器棚内部の印象は大分変化した。具体的に言うと…結構すっきりしてる。

 

「…なんか見るからに使い易そう」

「だろ?感謝してくれても構わないぞ?」

「そんな偉そうに言われるとしたくなくなるなぁ…まぁ、一応するけど」

 

頼んでもいない指導とはいえ、便利になったであろう事は事実。そう思って言葉を返すと、千嵜は「気にすんな気にすんな、俺がお節介焼いただけさ」みたいな顔をしていた。…ほんとに何なのこいつ…。

 

「…しかし、あっちは盛り上がってるなぁ」

「羨ましいの?」

「羨ましいなぁ、あの位置は寒くない程度にクーラーの風受けられそうだし」

「どんな視点で見てんだ…盛り上がり関係ないし……」

 

どうも綾袮さんと妃乃さんは先日ロサイアーズ姉妹を誘ったお出掛けについて話しているらしく、見るからに楽しそうな雰囲気が漂っている。…綾袮さんが楽しそうにしてるのはよくあるけど、妃乃さんはちょっと新鮮だなぁ…。…単に見る機会が少ないだけで、実際は妃乃さんもよく楽しそうにしてるって可能性もあるけど。

 

「…その視線、お主妃乃に注目しておるな?」

「何その口調…って、し、してないよ失礼な!ちょっと視線がそっち行ってただけだわ!」

「いや、妃乃を見てるな?って指摘に対して『失礼な』は、そっちの方が妃乃に失礼だろ…」

「あ…うん、そうかも…ごめんなさい妃乃さん…」

 

うっかり悪い事を言ってしまったと千嵜に言われて気付いた俺は、その場で謝罪。向こうは自分達の会話に夢中でこっちの話を聞いてないみたいだけど…まぁ、悪いと思ったら謝罪するのが基本だしさ。

 

「てか、結局見てはいたんだな」

「…見てたよ、けど疚しい感情は一切持ってないです」

「あそう。さて、それはさておきもう一杯麦茶貰っても……」

「ぶ……っ!?ちょっ、え…はぁ!?」

 

視線の話は割とあっさり終わり、麦茶の二杯目を求めた千嵜。既に内容は十分伝わり、後は発言を疑問形にするだけ…というところで、突如妃乃さんが大声を上げた。

 

『……?』

「お、落ち着いてよ妃乃…そんな一瞬でそこまでのリアクションに至る程嫌だった?」

「い、いやそういう訳じゃないけど…ちょっと場所変えて話すわよ…」

 

妃乃さんが綾袮さんの腕を掴み、二人はリビングから廊下へと出ていく。……喧嘩、ではないと思うけど…。

 

「……直前に綾袮さんが何言ったか聞いてた?」

「聞いてなかった…何言ったんだろうな……」

 

扉が閉められた後、俺はピッチャーを、千嵜は麦茶の入ったコップを持ってぽつりと呟く。……ほんとなんだったんだろう…。俺、気になります。

 

(とはいえどうするか…後で聞いてみる…のは、なんかちょっと盗み聞きしてたみたいで嫌だなぁ……)

 

がっつり聞こえたんだから盗み聞きも何もって話だけど、女の子同士の会話となると取っ付き辛い。でもあれだけの反応って事はそれなりの言葉を言った訳で、まぁ何でもいいや…なんて感じには流せない。

 

「…………」

「…………」

「…一先ず向こう行く?」

「だな…流石にキッチンで突っ立ってるのは時間の無駄過ぎる…」

 

…なんてやり取りを経て、俺達はリビングに移動。千嵜の方にも訊きに行ってみようなんてつもりはない様子で、更に二人も中々戻ってこない為に段々と間が持たなくなり、次第に気になるという気持ちも薄れ……はしないものの、今は別の事を、という気持ちの方が強くなっていく。そうして、数十分もした頃には……

 

「これさ、ちょっと前にぶっ倒れる寸前までやったんだよねぇ」

「そりゃまたヘビーユーザーになったもんだなぁ…」

 

何を言ったのかは脇に置いて、普通に二人でゲームをしていた。ま、正直考えたって答えの出ないものだしさ。

 

「…そういや、御道は実家に帰省しないのか?」

「あー…しないかなぁ。少なくともそういう予定はない」

「…帰るかどうかは御道次第だけどよ、時には顔見せた方がいいと思うぜ?遠くに住んでる訳でもねぇんだし、帰るのは別に大変でもないだろ?」

「時にはも何も、ちょいちょい帰ってるよ。大変でもないどころか、帰ろうと思えばすぐ帰れるんだから」

「あ、そうなのか…悪ぃ、意味のない事言ったわ…」

 

家族絡みとなると千嵜はどこか独特の雰囲気となって、その時の言葉は大概「そうだよなぁ…」と思わせる内容だけど…今回はそうでもなかった。勘違いからの言葉なんだから、当たり前っちゃ当たり前だけど。

 

「気にすんな気にすんな。…けど、そうだな…お盆には一回顔出そうかな」

「なんだその返し…だったら土産買ってきてくれよ?」

「なんで買ってこにゃならんのだ…そもそも自分で遠くじゃないって……」

 

ゲームは続けつつ、言葉に「何言ってんだ…」という思いを乗せて突っ込んだその時、扉が開いて綾袮さんと妃乃さんが戻ってきた。……脇に置いていた事柄の当事者が、帰還した。

 

「あ、またそれやってるんだ」

「え?…あ、うん。これを選んだのに深い理由はないけどね」

 

戻ってきた綾袮さんの最初の言葉は、なんて事ないありふれたもの。ちらりと見てみれば、表情も大きく変化していたりはしない。

 

「深い理由もなしに俺を付き合わせたのか…図々しい奴め……」

「なんかやろうぜっつったのはそっちでしょうが…過去を捏造すんな」

「…妙な事してるわね。口じゃそんな事言ってる癖に、仲良くゲームしてるんだから…」

 

言葉と行動がミスマッチなのは俺達自身も理解しているところ。…なんなんだろうね。ある程度の歳になると、気心の知れた相手と毒を混ぜた会話したくなる時があるのは。

それから二人はソファに座って俺達のプレイを眺めていて、俺達はそのままゲームを続行。数分後には勝敗が付いて……そこで、綾袮さんが口を開いた。

 

「…あのさ、ちょっといいかな?」

 

呼び掛けられた俺はコントローラーを手にしたまま、視線をTVから綾袮さん達の方へと向ける。同様に千嵜も視線を移して、俺達と綾袮さん達で向かい合う体勢に。…と言っても、肩越しに向いてるから完全に正対してる訳じゃないけど。

 

「…何か用?」

「ううん、何でもないよ」

『(そっか・そうか)……何でも(ない・ねぇ)の!?』

「ううん、冗談」

「しょうもない冗談言ってんじゃないわよ…」

 

何でもなさそうな顔でボケた綾袮さんに俺と千嵜が同時突っ込みを行うと、更にその後妃乃さんが呆れ気味に突っ込み。…全員に突っ込まれてるよ綾袮さん…。

 

「えへへ、ボケられるチャンスがあるとついボケたくなっちゃって…」

「あー、それは分からん事もない」

「悠弥もここで同意するんじゃないっての…話進まないからさっさと言いなさいよ」

「はーい。えっとね、わたしと妃乃は今度出掛けるんだけど、二人は知ってる?っていうか、顕人君は知ってるよね?」

 

知ってるっていうか、ロサイアーズ姉妹を誘っているのを隣で聞いてたね。…と同意すると、千嵜は「ほー、そうなのか」みたいな反応をしていた。けど別に今はそれを詳しく教える必要はないらしく、千嵜に対しての説明はない。

 

「で、わたしは二人も誘おうかな〜って思ったの。その方が色々と都合が良い……じゃなくて、遊ぶなら人が多い方が楽しいし」

「いや、今はっきりと都合が良いって聞こえたんだけど」

「えー?気のせいじゃない?」

「気のせいじゃねぇだろ」

「……それで、どこ行くかなんだけど…」

((流された!?酷ぇ!))

 

自分で蒔いた種の癖に、綾袮さんはまさかの処理放棄。それに俺達がショックを受ける中、マイペースのまま綾袮さんが次の言葉を……

 

「…ええっと、そのー…場所は……」

『……?』

 

…と思いきや、何故か突然綾袮さんは歯切れが悪くなり始めた。それを変に思った俺たち二人が見つめると、綾袮さんはちらちらと視線を逸らしてしまう。

 

「ちょっと綾袮、どうしたのよ」

「…うぅ、妃乃ぉ…いざ言うとなったら、何だか恥ずかしくなってきちゃったよぉ…」

「はぁぁ!?は、恥ずかしいも何も貴女が言い出したんでしょ!?ここに来て何言ってんのよ!?」

 

様子のおかしい綾袮さんへ妃乃さんが声をかけると、どういう訳か綾袮さんは泣き言らしき言葉を口にする。一方妃乃さんはそんな綾袮さんを叱責し……え、何?これは一体何を言おうとしてたの?

 

「それはそうだけど…妃乃、言ってくれない…?」

「わ、私だって嫌よ!それじゃ私が提案したみたいになるじゃない!」

「そうしてくれていいから!発案者の立場はあげるから、ね!」

「要らないんですけど!?遠慮じゃなくて、シンプルな拒否で言ってるんだからね!?」

 

俺達そっちのけで押し付け合う(?)二人に、一体どんな反応をしたらいいものか。…そんな事を思っていたら、おずおずと千嵜が質問を行う。

 

「…えーと…俺等は闇カジノか何かにでも誘われてんの…?」

「闇カジノ!?…いや、確かに普通じゃない場所なのか、とは俺も思ったけど…だからって闇カジノ出す!?ここでそんな名前出されたら、余計話がこんがらがるよ!?」

 

…話を進展させるような一言を言ってくれるかと思いきや、出てきたのは明らかに不要な発言だった。…気持ちは分かるけどね。ヤバい場所に連れてかれるのかって思う気持ちは分かるけどね!

 

「そんな場所に誘う訳ないし行く訳もないでしょ…ほら早く言いなさい、カルピス作ってあげるから」

「ほんと!?…って、そんな事じゃ釣られないよ!カルピスだったら自分で作れるし、最悪原液で飲むもん!」

「原液で!?口と喉がえらい事になるわよ!?悪い事は言わないからそれは止めておきなさいよ!」

「…あのー…いい加減話の路線を戻してくれませんかね…?」

 

もう何故かカルピスの話をし始めてしまった二人(後から原液で飲む、というのは冗談であった事が判明した)に今度は俺が声をかけるも、二人からの応答はなし。それでもだからってゲームに戻る訳にはいかず、しょうがないから千嵜と溜め息を吐きつつ肩を竦め合っていると……

 

「……だったらもういいわよ…私が言うから、貴女はその後の説明をしなさい…」

「うん、ありがとう妃乃……」

 

漸く話が纏まって…というか妃乃さんが折れて、話が進む事になった。……なんでしゅんとしてんの、綾袮さんは…。

 

「…あー…ほんとに勘違いしてほしくないんだけど、これはあくまで綾袮発案だから」

「念押すなぁ…やっぱ闇の感じなのか?まさか主犯か共犯かってとこ気にしてるのか?」

「勝手に犯罪にしないで頂戴…じゃあ、こほん……」

 

咳払いをし、妃乃さんは佇まいを正す。それから一拍の溜めを入れて……言った。

 

「……海水浴、行こうと思ってるのよ」

 

…………。

 

……………………。

 

「…あ、なんだ海水浴か」

「やっと何なのか分かったな。非合法が感じがなくて一安心だ」

「けどまぁ、思ってたのとは違う方向性だったよね」

 

佇まいを正しながらもその後視線を少し逸らした綾袮さんの言葉を受け、俺と千嵜はすとんと答えを頭に落とし込む。ふーん、海水浴ねぇ。混むんじゃないかー、とか荷物に気を付けないとなぁ、とか思うところは幾つかあるけど、それなら即断るようなものじゃ…………

 

 

 

 

『……海水浴、だと…?』

 

雷に打たれたような、或いは全身全霊の一撃を無傷で凌がれたかのような衝撃に襲われる野郎二人。唖然としながら無意識に訊き返すと、女子二人は「反応遅くない…?」と言いそうな視線をこちらへ向けていた。

 

「え、えぇそうだけど…何よその顔…」

「…俺今、どんな顔してる…?」

「悠弥…というか、二人共劇画タッチみたいな顔になってるわ」

「そ、そうか……」

 

指摘されて顔を触ると、確かに眉毛が太くなっていたり、顔の彫りが深くなっている……気がした。…まぁ、それはこの際あんまり重要じゃない。

 

「…綾袮さん、なんでその話を俺達に……?」

「…だから、さっき言ったじゃん。そっちの方が都合良い…もとい、人が多い方が楽しいかなって…」

「うん、わざとだよね?わざと言い間違えてるよね?……え、と…それは、二人にとって不快だったりはしないの…?」

 

海水浴。それは即ち、海に行くという事。海で泳ぐという事。……水着になる、という事。そう、水着…水着なのである!

 

「それは…事と次第によっては、目潰しルートかな」

「め、目潰し…」

「そうね」

「そうね、じゃねぇよ…怖ぇよ……」

 

自分でもちょっとテンションの方向性がよく分からなくなりつつある中、提示されたのは目潰しという言葉。しかも妃乃さんがさも当然だと言わんばかりに同意し、ちょっと背筋が寒くなる。この二人に…いや誰であろうと、目潰しされれば目がえらい事になるのは間違いない。

 

「…で、どうするのよ?目潰しか来ないか…」

『行ったら目潰し確定なの!?』

「…っと、ごめん間違えたわ。貴方達も来る?」

「それ言われた上でだと行くのが怖くてしょうがねぇよ…てか、割と妃乃は俺達が来るのに抵抗ないんだな」

「は、はぁ!?そんな訳ないでしょ!私は最初そんなに乗り気じゃなかったし、今だって大賛成って訳じゃ……」

「…あの、そんなキツい態度で言われると、少なからずショックがあるんですが……」

「あ……」

 

しっかり者の性格が影響してか、その後の説明は綾袮さんに任せると言っておきながらも続ける妃乃さん。…が、そこで千嵜が言わなくていい事言ったものだからさぁ大変。予想以上に強めの否定が帰ってきて、俺も千嵜もダメージを受けてしまった。…異性なんだから否定の気持ちを抱くのは至極当然ではあるけど…やっぱり強めの否定が来ると、ね…。

 

「…こんな感じに否定を露わにすると貴方達に悪いと思ったから、特に言わなかったのよ。…今さっき言っちゃったけど……」

「ま、まぁほら。今のは売り言葉に買い言葉の面もあったし、妃乃も嫌で嫌で仕方ないけど我慢してる…って訳じゃないからそこは安心して。…そうだよね…?」

「…ほんとに嫌だったら、こうして話に参加なんてしてないわ…」

「はは、そうだよね…うん、これは話が話だから仕方ないよ……」

 

言葉のキツさに一旦はダメージを負った俺達ながら、すぐに綾袮さんのフォローがあった事と、話的にしょうがないよなという自己解決によって、一先ずは回復。…と同時に、どうするか訊かれているという事を思い出す。

 

「…………」

「…………」

「……行くか」

「行きますか」

 

千嵜と顔を見合わせ、数秒。アイコンタクト…という程でもなく、ただ何となーく出来てるんだか出来てないんだかよく分からない意思疎通を交わして、俺達は決定した。多分見ようによっては深く考えず決めたっぽくなってると思うけど……そんな事は、ない。

 

「じゃあ、ちゃんと準備しておいてね?後荷物持ちはお願いね〜」

「…それだな、色々都合が良いって言ってた内の一つは……」

「あぁそうそう、緋奈ちゃんも誘ってるんだけど大丈夫よね?」

「別に構わねぇよ。それは緋奈が決める事だからな」

 

動向が決定した事で話は終了。都合が良い、の内容の一端が判明したり、ここにいない同行者が一人判明したりと情報が決定後に幾つか出てきて……

 

「……あ、そうだ。これって俺達が誰か誘っても大丈夫?」

「え?誰か誘いたい相手いるの?」

「そういう事。茅章さんなら綾袮さん達との関係性知ってるし、夏休み入ってから会ってないから誘おうと……って、茅章の事知ってるっけ?」

「いや知らんだろ。茅章は……」

「あー、彼ね。知ってるよ」

「うーん…ま、いいんじゃない?」

「そ、そう…なら誘ってみるよ…」

 

ふと思い付いた茅章を挙げてみると、意外にも二人は茅章の事を知っていた。…なんで知ってるのか謎だけど…まぁいいか。説明の手間省けたし。……てか、茅章はすんなりOKなのね…。

 

「一応言っておくけど、目潰しは半分位本気だからね?そこ忘れるんじゃないわよ?」

「へいへい…さて御道、ちょっといいか?」

「あいよ、少し席外すね」

『……?』

 

急に何だろうと小首を傾げる綾袮さんと妃乃さんを前に、俺達二人は廊下へ。出てから扉を閉じ、リビングから最も離れた場所まで移動し、そして……

 

 

 

 

 

 

『……海水浴、だとぉぉぉぉ…ッ!?』

 

──思春期の男子高校生らしい(?)反応をフルドライブさせる、俺と千嵜だった。


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