「はい、とうちゃーっく!」
静まり返った夜の街の一角に、翼を携えた少女とその少女に空輸される形で飛んできた少年が降り立つ。少女の方は元気いっぱいであり……少年の方は…というか俺は、ぐったりだった。
「やっと…着いた……」
「大丈夫?顕人君ってもしかして高所恐怖症だった?」
「高所恐怖症の有無に関わらず、あんな経験したら大半の人間はこうなるわ……」
着地したその場で前屈みになり両膝に手をつく俺。慣れてる様子の宮空さんはけろっとしているけど…俺は違う。恐怖の系統としてはジェットコースターやバンジージャンプと同じ何だろうけど…一応の安全が保障されてる娯楽と違って、これは宮空のちょっとしたうっかりで死んでしまう上、そもそも命綱も安全装置も全くない。おまけにそれ等よりずっと長い時間なんだから……
「こんなもん軽く流せる訳があるかッ!」
「急に何!?何に対しての突っ込み!?いや空輸についてってのは分かるけど…その突っ込みは何に反応して出てきたの!?」
「あ、悪い…つい思いが口から溢れ出した…」
「突っ込み内容とは裏腹に詩的な表現だね…どうする?あんまりにも辛いならちょっと休んでもいいよ?」
「いや…それはいいよ。少し調子が戻ってきたから」
色々と胸の中で燻る思いはあるし、休んだ方が早く楽になる気はする。けど、それより俺は先に進めたかった。だって、気になる事が既にもう幾つかあるんだから。
「それじゃあ行こっか。ここからは徒歩だから安心していいよ」
「えーと…それはありがたいけど、行くってどこに?今のところ、国の名所の一つしかそれらしきものはないんだけど」
「うん、だからそこ行くんだよ」
「……ほんとに?」
俺は訝しげな目で宮空さんを見る。国の重要指定文化財へと向かってどうするというのか。こんな位中観光したって面白くないよ…。
「ほんとほんと、ここで嘘吐いたってしょうがないし」
「…なら、真っ直ぐ進めばいいの?」
「そうしたいならしてみてもいいよ?多分警備員さんに止められるけど」
「じゃあどうやって……あ、隠し通路?」
「お、冴えてるね。それともフィクション好きだったりするのかな?」
なんと、もう俺の趣味(というか夢)を見抜かれてしまった。ふっ…宮空綺袮、君はなかなかどうして鋭い奴だな……なんて冗談はともかく、実際はただ言ってみたっぽいだけなのでそれには返答を返さず、歩き出した宮空さんの後を追う。
宮空さんが向かう先にあるのは、なんて事ない普通の雑貨ビル。扉を開け、彼女は躊躇いもなく入っていく。
「…なんか、使われてないです感が凄いねここ…」
「まぁね。だってここで使われてるのは隠し通路への入り口だけだし」
部屋の端の扉の前に立ち、壁に指を引っ掛けてる宮空さん。…まさか、忍者屋敷とかにあるどんでん返しか!?
「これで認証してもらってっと…うん?どしたの顕人君」
「…いや…ちょっと思ってたのとは違って……」
期待してた俺の前に現れたのは、回転する壁!…ではなく液晶画面だった。…や、凄いよ?指紋認証とかシステマチックで格好いいし、防犯能力的にも指紋認証の方が優秀だよ?…でも人って期待が外れると、それが凄くても凄くなくてもちょっと残念に感じる生き物なんだよね…。
「…あ、ねぇねぇ顕人君。この扉ってどう開くと思う?」
「え、どうも何も…ドアノブあるんだから引き戸でしょ?」
「残念不正解!正解はシャッターみたいに上下に動くタイプなんでしたー」
「いやいやいや、そんなすぐバレる嘘吐かれても困……ほんとだった!?」
認証完了したのか電子音がなり、その瞬間上へとスライドした扉に俺は目を剥く。え…ドアノブの意味は!?そしてシャッター方式の意味は!?
「よく分からない所凝ってるよねぇ…さ、入って」
「う、うん…これから行くのはからくり屋敷か何かだっけ…?」
「違うよ、そう言いたくなる気持ちは分かるけど…」
扉をくぐり、エレベーターで地下へ降り、歩く歩道的な名前のアレに乗り、またエレベーターに乗る。最初は突っ込みに忙しくてそれどころじゃなかった俺だけど…段々と進むにつれ、俺は特別な機関に近付いているのだという思いから心拍数が上がっていく。
そして……
「さ、後はこのエレベーターを出たら目的地到着だよ。ここは『双統殿』。日本の霊装者を取りまとめる組織、霊源協会の中央機関…まぁ、分かり易く言えば能力者達のお城だよ!」
俺は、双統殿に……霊装者の総本山に、足を踏み入れた。
*
双統殿はその名の通り、中央の屋敷の両側にそれとは別の屋敷が位置している。中央の屋敷は所謂『本部』らしく、左右の屋敷はそれぞれ霊源協会の二代派閥の本拠地らしかった。と、いうか……
「宮空さんがその二大派閥の片方のトップの孫なの!?」
「の、が多いなぁ…」
「そ、そりゃそれ位驚いてるって事だよ…だって、宮空さんだし…」
「え、それ何気に酷くない…?」
宮空さんはクラスでは結構人気者で、こう接していると何か人を惹きつける様な魅力がある人物だ…というのは伝わってきている。でも、それはあくまでただそれだけの話であり、霊装者としては普通の人物…そう思っていた。それがまさか未来のトップ候補だったとは…。
「…なんか今までちょいちょい軽んじててすいませんでした」
「え、更に何気に酷くない…?」
「なので権力で私をぶっ潰そうとするのは勘弁して下さいませ」
「更に更に何気に酷くない!?あれ!?わたしいつの間にか顕人君の怒り買ってた!?」
「あ…ごめんごめん冗談、驚きでつい変な冗談言っちゃった…」
「そ、そうだったんだ…態度変えるとか止めてね?ここじゃみーんなわたしを丁重に扱ってきて肩凝っちゃうんだから…」
そう言いながら宮空さんは肩を回す仕草をする。…まぁ確かに、他人に敬われる事を望んでる人でもなきゃ敬意だらけの場所なんて疲れるだろうもんなぁ…。
「…でも、それは失礼って思われない?その敬意払ってる人達に」
「式典とか以外なら大丈夫だと思うよ?実のところ君も結構特別な存在だから」
「そっか……へ?」
大体落ち着いてきたなぁ…と思ったところで再び投下される驚きの事実。それをあまりにもさらっと言うものだから、俺は一瞬聞き流してしまった。
「…えと、どゆ事?」
「あのね、うちの組織の中には一人予言の能力者…あ、わたしの翼と同じ固有タイプの能力ね…がいて、その人が後に霊装者の世界へ大きな影響を及ぼす二人の霊装者が現れるって予言してたんだ。で、その二人の内の一人が…」
「俺…って事?」
「そういう事。その予言の能力者さんの予言はほぼ百発百中らしいから、間違いないと思うよ」
……ごくりと、唾を飲み込む。俺が、予言された霊装者?特別な存在?
夢を見続けながらも一方で『常識的な視点』というのを身に付けてしまった俺は、聞いた瞬間には「まっさかぁ」と思った。でも、宮空さんは嘘を吐いている様には見えないし…俺の心は、それが真実である事を大いに欲している。
「…予言される霊装者って、割といるものなの?」
「ううん、そんなの滅多にいないよ」
「じゃあ、俺は…凄い存在になれるって事…だよな?」
「それは…まぁ、顕人君の努力次第じゃない?予言はほぼ百発百中ってのはあくまでこれまでの結果からの言葉だし、予言は別に顕人君をパワーアップさせたり守ったりするものではないもん」
「そりゃそうだ…でもうん、そんな予言があるんだったら……頑張らない訳にはいかないよね」
にっ、と俺は無意識に笑みを浮かべる。でも…それをどう思ったのか、或いは何を考えているのか、宮空さんは応援するでも注意するでもなく、ただ少し困った顔をするだけだった。それがよく分からず首を傾げている内に、宮空さんの案内は再開する。
「…それはともかく、これからちょっとお偉いさんと会う事になるんだけど…そういうの大丈夫?」
「お偉いさん?…まぁ、多分大丈夫かな。一応お偉いさんと話す機会ある仕事してるし」
「あ、生徒会執行部所属だったもんね。それは助かるよ」
お偉いさんって言っても接した事あるのは校長先生や講演に来てくれる役所の人とか程度だけど…とは思ったものの、大事なのは『目上の人と話せるか』という事だろうからそれは言わずに済ませる。…学生にとっちゃ校長先生だって緊張する相手だし。
「…っと、顕人君ちょっと待っててくれる?」
「待つ?なんかの手続きでもするの?」
「ううん、お着替え」
「あ……了解」
流石に女の子の着替えに同行する訳にはいかない。普通にその時点で事案発生だし、所謂美少女の類いである宮空さんの着替えを視聴してたら何か良からぬ事をしてしまうかもしれない。…マジで危ない、恐らく初心な俺にとってはほんと危ない。
(…着替えかぁ…男なら凝った格好でもしない限り1〜2分で終わるけど、女子の場合はもっとかかりそうだもんなぁ…鏡の前で何着も見ては止め、見ては止めを繰り返す的な……)
ぽけーっと天井を眺めながらそんな事を考える。宮空さんの趣味を知らないからどんな服を着るのか…いやそれ以前に服装に迷うタイプなのかどうかすら謎だけど、まぁそこは一般女性のそれに合わせて考えるもの。宮空さん見た目も中身も子供っぽいし、パーカーみたいな動き易い服とかロリータファッションみたいな可愛さ前面に押し出した服装かなぁ……
「お待たせー」
「……ん?」
…なんて思っていたのに、部屋から出てきた宮空さんが纏っていたのは彼女の印象とは程遠い、落ち着いた色合いの制服(学生服じゃないよ)だった。
「…ま、まぁ趣味は人それぞれだもんね……」
「趣味?…言っとくけどこれ、任務上必要だから着てるだけだからね?」
「…あ、そういう事?」
「どういう事だと思ってたの…友達紹介じゃないんだから、お偉いさんに会う時に制服着るのは当然でしょ」
「ごもっとも…」
かなり的外れな想像をしていた事が分かって内心恥ずかしくなる俺。…いやほんと、何考えてんだろうね俺…。
「まぁいいや…大丈夫だとは思うけど、会ったら失礼のない様にね?気難しい…訳じゃないけど、ちょっと厳格な人だから」
「それは心配ご無用、俺は目上の人に敬意払うの得意だし。得意っていうか、厳密には自然に出来るタイプだから」
「なんか思った通りだなぁ…わたしは堅苦しいの苦手でいつも上手く出来ないんだよね、あはは」
「家柄が家柄なんだからそこは上手くやろうよ…」
話しながらそのお偉いさんの部屋へと向かう俺と宮空さん。…と、そこで一つ俺は気になって質問を口にする。
「…ところで、俺はそのお偉いさんに会ってどうすればいいの?一応俺を紹介するって形なら、俺はずっと黙っていればいい…なんて事はないよね?」
「あー、そうだねぇ…まぁ取り敢えず自己紹介はする事になるんじゃない?」
「そりゃそうだ、他には?」
「……さぁ…」
「え…さぁが出てくるの早くない…?」
「だって分かんないんだもん、仕方ないじゃん」
「そんな無責任な…」
「人との交流は予め言う事を決めておくものじゃなくて、その人と会って接して自然に行うものだから大丈夫だって」
「それは確かにその通りだけど…その通りだけどさ…」
「別に面接とかじゃないんだから気楽にいこうよ、もう着いちゃったしさ」
「もう着いちゃったの!?」
宮空さんが止まった先にあるのは、これまで見てきた中でも特に格式高そうな木の扉。確かにこれはどう見てもお偉いさんの部屋だった。そこから感じる独特の雰囲気もあって、何だか俺はそれを見ただけなのに緊張し始める。
「…え、ええと…まずは名前からだよな。次は出身学校と番号…ってだからこれは面接じゃねぇっての…!」
「うわ、なんか一人ボケ突っ込みしてる…だ、大丈夫…?」
「…正直あんまり大丈夫じゃない……」
「う、うーん…まぁ、その気持ちは分かるよ?回数こなしたって緊張するものは緊張しちゃうのが人間だもん」
「分かってくれてるならもう少しさっきの段階で協力してほしかった…」
「そんな事言われても…覚悟決めなよ顕人君。魔物相手に鉄パイプ一本で一矢報いろうとしてた君はどこ行っちゃったのさ」
「え……見てたの…?」
俺の質問に宮空さんは「見えただけ」と返す。…それはちょっと考えればすぐに分かる話。あの時宮空さんが攻撃を仕掛けた魔物と俺はすぐ側にいたんだから、魔物を見ていたなら自然と俺の動きも見えるというだけの話。
宮空さんは今一矢報いろうと…と言ってくれたけど、実際には悪足掻きもいいところの行動。それを見られていたと知って少し恥ずかしくなったけど…同時に、『俺はあの状況で動く事が出来た』という事にも気付く。
「あれがどんな心境からの行動だったかは分からないよ。でも…君は度胸がある。大変な場面でも動ける人間だって、あの瞬間証明されてたじゃん。…だからさ、頑張ってみなよ顕人君」
「……分かった、覚悟は決まったよ」
頑張ると言っても、大一番の勝負をする訳じゃない。国の役人や権威ある立場の人なら日常的にやっている様な、ある意味で常識の範囲内の行為。…でも、宮空さんの言葉は素直に嬉しかったし、やってやろうじゃないかという勇気も湧いてきた。……よし!
「…入ろう、宮空さん」
「OK、じゃ……」
「おじー様、お邪魔するよー!」
「えぇぇぇぇぇぇええええええっ!?」
*
お偉いさんの部屋ではなく、交流の深い親戚の家に遊びに来たかの様な感覚で扉を開けた宮空さん。しかもそのお偉いさんと言うのがまさかの宮空さんの祖父(よく考えたら宮空さんは派閥トップの家系なんだからお偉いさんと言うのが宮空さんの親や祖父母の可能性は十分にあった訳だけど)だった訳だから、もう俺はテンパり度マックスだった。目とかぐるぐる状態になってたかもしれない。
「ちょっ…綾袮……」
「…お前はほんとに……」
部屋の中にいたのは三人の大人。俺と宮空さんの入室にまず口を開いたのはその内の男女二人。外見と宮空さんへの言葉から考えるに…二人は恐らくご両親。…あれ?俺今『娘がハイテンションで連れてきた男』って立場じゃね?ヤバくね?
「……綾袮、元気は何物にも代え難い宝ではあるが…いい加減時と場を考える様にしなさい…」
「……!」
重要と言えば重要だけど、かなり本筋から脱線した思考をしていた俺。そんな俺の思考を本筋へ引き戻したのは…部屋の奥のデスクに座するご老人だった。ご老人の言葉はやんちゃな孫を注意するもの以外の何物でもなかったけど…彼の纏う雰囲気は、明らかに常人のそれではない。宮空さんのご両親も一般夫婦とは思えない雰囲気だけど…ご老人はそれ以上で、実際に経験した事もないのに俺は直感的に確信した。それは、大組織を率いる指導者のものだと。
「むぅ、おかー様もおとー様もおじー様も揃って厳しい…」
「綾袮…!」
「はーい……お待たせしましたお祖父様、お母様、お父様。こちらが例の予言の霊装者と思われる御道顕人君です」
「……っ…!」
苦手なんだけどなぁ…と言いたげな表情を浮かべた後、宮空さんはふっと真面目な雰囲気に切り替わって俺の名を出した。
遂に…という程前から待っていた訳じゃないけど、この時がきた。派閥のトップである宮空さんのお祖父さん、同じく中核を担っているであろうご両親、そして元気のいい同級生から令嬢へと変わった宮空さん。そんな完全に一般人には立ち入れない、立ち入ったとしても動けない様な場面で、俺は……目を閉じる。目を閉じて、軽く息を吐いて、ゆっくり目を開けて…口を開く。
「──お初にお目にかかります、御三方。私めは御道顕人、不躾ながら宮空綾袮様の同級生を務めさせて頂いております。本日は魔物に襲われていた所を宮空様に助けて頂き、この場まで案内をされる形で馳せ参じた所存です。無学故礼儀作法が煩雑ですが、その点はどうぞお許し下さい」
片膝を床につき、頭を下げて出来る限りの口上を述べる。緊張、というものは本番が近付くにつれ大きくなるもので、本番直前が一番大きくなる。でも一度始まれば、舞台に立ってしまえば、その空気に乗れてしまえば案外何とかなってしまう。…丁寧語尊敬語謙譲語ごちゃ混ぜだし、動きも思い付いたものを入れただけだから実際は全然何とかなってない可能性高いけど…うんまぁ仕方ない!むしろこれだけ出来たんだから上等だよ上等!…なんて空元気が出せる様なテンションになってた俺だった。
「ふむ…御道顕人、その名で正しいのだな?」
「はっ」
「そうか…目上の人間に対する敬意、安易な言動に頼ろうとせず考えうる限りの礼節を尽くそうとする態度、そして空気に臆する事なく言葉を紡いだ度胸…大したものだ、賞賛しよう」
「お…お褒めに預かり光栄です」
「…だが、過ぎたるは猶及ばざるが如しという事もある。権力にも大人の交渉にも派閥闘争にも無縁な君がそこまでするのは、慇懃無礼とも捉えられかねない事は覚えておくといい」
「え……あ、畏まりました…」
「…要は『君は正しい礼節に慣れてないんだから、無理に完璧な礼儀作法をしなくても大丈夫』って事だよ顕人君」
「……そうなの…?」
「そうそう、さっきも言った通りおじー様は厳格だけど理不尽な人じゃないもん」
「…こほん、些か訳に語弊はあるが…その通りだ。この状況で肩の力を抜く、というのもどだい無理な話かもしれぬが…無理をする必要はない」
空元気モードとはいえ、『無礼者め!言葉に気を付けよ!』的な事を言われるんじゃ…と一抹の不安が拭えなかった俺としては有難い言葉だった。…まぁそんな事言われたって冷や汗だらだらである事は変わらないんだけどね!
「さて、一方的に自己紹介させるというのも失礼というもの。…私は宮空刀一郎、霊源協会を統括する両家の一角、宮空家の当主だ」
「はい、その事については宮空さ…んから聞き及んでおります。……も、もとい聞きました」
「ふっ、敬語を使えぬ若者はいつの時代もいるものだが…必要以上に使ってしまうというのも珍しい話だな」
「も、申し訳ありません…」
「よい、敬語を使って責められるというのもおかしな話だ。半端な敬語が逆に難しいのならそのままで話せ」
「だってさ。あ、そうだおじー様、霊源協会とその関連の話をここでしようと思ってたんだけどいいかな?中核のおじー様やおかー様おとー様がいる場で話すのが一番いいと思ったんだけど…」
俺と口調逆じゃね?と言いたい位ラフな言葉使いで話を進める宮空さん。さっきは注意していたご両親だけど、もう仕方ない…と言った風に肩を竦めるだけで止めたりはせず、お祖父さんも首肯した結果、お偉いさんが三人いて俺は冷や汗だらだらというトンデモな状況で説明が始まるのだった。……確かに面子的には説明し易いのかもしれないし、三人が補足もしてくれるんだろうけど…こんな状況じゃ聞けても頭に残らねぇよ……。