双極の理創造   作:シモツキ

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第七十一話 案内の先で和の装いを

一昨日は案内があった。昨日は模擬戦があった。客人がもてなされるのは当然の事で、しかも立場ある綾袮さんと一緒にいる俺の二人が両方とも客人の二人と歳が近いとなれば、駆り出されるのも割と普通の話。だから三日目である今日もまた用事があっても、それは別に驚く事ではなかった。

 

「顕人くーん、準備出来たー?」

「あー出来た出来た、待たせたね」

 

学校が終わってから早々に帰り、帰宅後もすぐに着替えた俺と綾袮さん。出かける時は大概女の子の方が準備に時間がかかる(印象がある)ものだけど、干していた洗濯物を取り込んだり二人分の弁当箱を洗ったりしている内に、先に綾袮さんが準備完了になってしまった。

 

「時間はまだあるから大丈夫だよ。でも、急ぐ事でもないんだから家事は後回しでもよかったんじゃない?」

「後に回すとうっかり忘れたりするんだよ」

「それはまだ慣れてないから?」

「逆。慣れてきたからこそ、やってないのに普段の感覚でやったと勘違いしちゃうの」

 

家事と慣れに関する話をしながら俺達は外へ。慣れってほんと怖いんだよね。自然と意識してやってた事が無意識に変わるから、それが注意散漫に繋がったりするし。

 

「ふぅん…時間までは後三分かな」

「じゃ、中で待ってる?外は日差しがあって暑いし」

「中も別に涼しくないじゃん…だったら風の通る日陰の方がいいよ」

 

そう言いながら綾袮さんは日陰へと身を移し、俺もそれに続く。そして凡そ三分間日陰で過ごしていると…電車の如く正確な時間で、家の前へと一台の車が停まった。

 

「あ、来た来た。それじゃ行こっか」

 

車の後部座席の扉が開き、運転手さんも降りてくる。そこへ綾袮さんが歩いていくと、運転手さんは足を揃えて礼。…とまぁこの時点で分かる通り、これは協会からのお迎えで、向かうのはやっぱり双統殿。より正しく言えば、双統殿の中じゃなくて前が目的地だけど。

 

「忘れ物はない?」

「ないよ、ってか忘れる程の荷物もないし」

「そっか、まあそうだよね。…………」

「…………」

 

俺達が乗り、運転手さんも座った事で動き出す車。乗ってる間はただ到着まで座ってるだけだし、手持ち無沙汰ではあるけど…だからって会話が盛り上がったりはしない。だって、さっきまでもずっと会話の時間はあったし、話したい事は大体もう済ませちゃってるんだもの。

 

「(…と、思ったけど…話す内容がない事もないか……)…ねぇ、綾袮さん」

「うん、どしたの?」

「これまで訊き忘れてたんだけどさ、えーと…BORG…だっけ?ラフィーネさんとフォリンさんが所属してるのは」

「そうだよ?」

「…それって、何の略なの?」

 

何だかんだで訊いていなかった疑問を思い出した俺は、名称を確認しつつ綾袮さんへ質問。この言葉が出てきた際の文脈からイギリスの霊装者組織だってのは分かったけど、何の頭文字なのかまでは分からなかったんだよね。仮に想像がついても、訊かなきゃ合ってるかどうか確認出来ないし。

 

「あー、そういえば教えてなかったね。BORGってのは、『Britannia Of Royal Glory』の略称だよ。最初はブリタニアじゃなくてブリテンだって言われる事もあるけど…取り敢えず意味は分かるでしょ?」

「まぁね。何ともまぁイギリスっぽい名前だなぁ…」

 

ブリタニアと言えばイギリスだし、ロイヤルもグローリーもイギリスらしいと言えばイギリスらしい(完全に俺のイメージだけど)。…後、ちょっと格好良い響きだな…文法的にどうなのかは知らないけど。

 

「それはわたしも同感かな。後、アメリカなら『Unite Spirits』、ドイツなら『Obersten Flügel』…って風に各国でそれぞれ組織の名前が違うから、規模の大きい所位は覚えておいた方がいいかもね」

「規模って言われても、俺そういうのは全然知らないんだけど…BORGはどんな感じなの?」

「質はうちと同じ位、量はうちより少ない…みたいな感じ。あ、でも国への発言力はうちより上だって話だよ」

 

ぽんぽん出てくる新情報に若干気後れしつつも、出来うる限り今知った事を頭に入れていく。…やっぱ綾袮さん、やる気があればしっかり覚えられるんだね。

 

「…でも、発言力に関しては組織単体で考えられる話でもないからね。首脳陣の実力によっても変化するし」

「じゃあ、うちの発言力は?」

「うーん…低くはないけど、規模に見合ったレベルかと言われると…って印象かな。細かく言うと結構長い話になるけど、聞く?」

「いや、そこまで気になってる訳じゃないから遠慮しとくよ。今から疲れても困るしさ」

 

普段はそんなにしない真面目な話を、疲れない程度の広く浅くで続ける俺達。そこまで気になってる訳じゃない、と言いつつも興味を惹かれていたのは事実で、気付けば車は双統殿周辺にまで来ていた。

 

「…合流したら即スタート、だよね?」

「そうだよ。…今日は緊張してる?」

「昨日に比べたらしてないも同然だよ。…上手く出来るかの不安はあるけど」

「じゃ、先に観光協会にでも行ってみる?」

「そこまでの事じゃないでしょう…」

 

到着が近くなれば、着いてからの事を考えるのが自然な流れ。そんなやり取りをした数分後には双統殿の前へと車が停まり、家の前の時同様後部座席の扉が開かれる。

 

「ご到着致しました」

「うん、ご苦労様」

 

綾袮さんは労い、俺は頭を下げて順番に降車。それから見回すと…合流予定の相手はすぐに見つかった。

 

「あ、いたいた」

「待たせちゃってごめんねー」

「いえ、時間通りですし問題ありませんよ」

 

ここで待ち合わせていた相手…ロサイアーズ姉妹を見つけて駆け寄る俺達二人。双統殿前(と言っても対外的には双統殿は国の文化財って事になってるから、姉妹がいたのはそこそこ離れた位置だけど)なんてあんまり待ち合わせに便利な場所とは言えないけど…仕方ない。だって、二人はここら辺の事を殆ど知らないし、それを教えるのが今回の目的なんだから。

 

「じゃあ、早速行こうと思ってるんだけど…大丈夫?先に済ませておきたい事とかない?」

「そういう事はここに来る前に済ませましたので大丈夫です」

「わたしも大丈夫」

「ま、そうだよね。だったら顕人君の後に続いてGO!」

「え、俺が先頭歩くの?…別にいいけどさ…」

 

という事で今回の目的、『二人への周辺案内』がスタート。けど俺もそこまで双統殿周辺は詳しい訳じゃないし、双統殿内部と違ってどこに何があるか覚えておかなきゃいけない訳でもないから、案内と言うよりは見て回るという形に。

 

「…あの施設は何?」

「スーパー銭湯…だね。銭湯は分かりま…もとい、分かる?」

「温泉に近いものですよね?…しかしスーパーとは?ランク付けか何かなのですか?」

「いや、大浴場以外にも色んな施設があったり、浴場も種類が豊富だったりする銭湯をそう言うんだよ」

 

回る最中で質問を受けたら今のように説明をして、歩みを進める。…てか今何の気なしに説明したけど、異性にお風呂について説明するのはどうなんだろう…邪な感情はないし、不純な単語も出てないから大丈夫だとは思うけど…。

 

「…ふむ……」

「……?どうしたのフォリン、何か気になった?」

「あぁいえ、慣れない場所なのでつい見回してただけです」

 

フォリンは何やら見回していたようで、必要はなかったらしいものの綾袮さんがフォロー。俺を先頭に行かせたからか、今日は綾袮さんが結構気を配っていた。…もしかすると、先頭に行かせたのも何か意図あっての事かもしれない。今のところは『なんとなく言ってみただけ』の可能性が濃厚で、多分これが覆る事はない気がするけどさ。

 

「…中々発見が多いですね、ラフィーネ」

「うん。実際に見て分かるものが多い」

 

暫く見て回り、赤信号で待っていた時。ラフィーネさんとフォリンさんは、そんなやり取りをしていた。言葉そのものはどっちも淡白だったけど…ここまでの案内が意味あるものになっていたのであれば、俺も綾袮さんもして良かったと思える。…って、これは最後に思うべき事か…。

 

「…あ、ところで二人は何か食べたい物ある?」

「…と、言いますと?」

「食事はどこかお店で取ってくればいい、って言われてるんだよ。それも一つの案内になるからって」

「そういう事ですか。…食べたい物……」

「値段は気にしなくていいからね?食事代は経費で落とせるから」

 

更にそこから数分後。長くなった日も落ち始めたところで、綾袮さんは夕食の話を二人に振った。食べたい物はあるかという問いを受けた二人は顔を見合わせ、恐らくは視線で意思疎通を図って…言う。

 

「…では、折角日本に来た訳ですし…和食を食べてみたいです」

「OK。でも、和食って言っても色々あるから、もう少し条件が欲しいかな」

「条件…そうですね、高級そうな和食はこの数日で頂いているので、それよりは大衆的なもの…でどうでしょう」

「ま、まだ広いね…顕人君、何がいいと思う?」

 

和食と言っても千差万別で、和食を満遍なく揃えている…なんてお店はそうそうない。となると丼系だとか海鮮系だとかのジャンル位は決めないと選べない訳で、意見を求められた俺は考える。

 

「…ふぅむ…やっぱ『和食と言えば?』で出てきそうなものの方がいいんじゃない?俺等だって外国行った時、なんだかよく分からない洋食出されたら反応に困るし」

「和食と言えば…お寿司とか天ぷらとか?」

「そうそう。でも寿司は避けた方がいいんじゃない?外国はあんまり生魚を食べる文化無いみたいだし、海苔も消化出来ない…って、あれ?それは生海苔だけだっけ?」

「そうだったと思うよ?……じゃ、うどんとか蕎麦は?」

「あぁ、それはいいかも。天ぷらとかかき揚げとか合う和食は多いし、乗っけなくてもうどんや蕎麦置いてる店なら大概別の和食もそれなりに置いてるしね」

 

綾袮さんが質問&提案し、それを俺が考えるという形で出した『うどん・蕎麦』で二人の反応を伺ってみると、二人の反応は良好。という事で俺達はうどんと蕎麦を扱っている店舗を探し、そこへと入っていった。

 

「…外見だけじゃなく、内装も和風なんですね…」

「…でも、お客は皆洋服…」

「ふ、普段から和服を着てる人はもう滅多にいないからね…もうって言うか、俺が生まれた時には既にだけど…」

 

ビルだったり横文字の名前のお店だったりと和の要素が然程無かった外に比べ、店内は和食の店なだけあってその要素を前面に押し出している。そしてそんな店内が二人にとっては興味を惹かれるのか、色んなものへと目をやっていた。

 

「メニューはこれだよ。…読めるよね?」

「大体は読めると思います。…これは『そば』ですよね?」

「うん、蕎麦だよ。フォリンは蕎麦にするの?」

「あ、いえ…今のは確認しただけで…」

 

案内された席にあったメニュー表は二つだったから、俺と綾袮さん、ラフィーネさんとフォリンさんでそれぞれメニューを読む。…そういえば……

 

「…俺も、食事代は経費で落ちるんだよね…?」

「うん、当たり前だよ」

「だ、だよね…」

 

…当たり前かぁ…うん、俺も落ちるよなぁとは思ってたけどさ…高校生は経費なんて言葉そうしょっちゅうは耳にしないから、不安になっちゃうのよ…。

 

「……あの、うどんと蕎麦って、見た目以外はどう違うんですか…?」

「え?それは…う、うーん…?」

「……?違いはないと…?」

「い、いやあるよ?あるんだけど…顕人君、説明させてあげる!」

「えぇぇ…何その体のいい押し付け…」

 

暫しメニューを眺めていたフォリンさんからの質問に、綾袮さんは返答しようとするも…いい答えが思い付かなかったのか、眉間に皺を寄せた後俺へと振ってきた。するとフォリンさん、それにラフィーネさんの視線も俺の方へと向いて、何やら俺は答えなきゃいけない雰囲気に。

 

「…えーと…うどんは太めの麺で弾力があって、蕎麦はざる蕎麦っていうつけ麺的な食べ方もあって…一番の違いは材料なんだけど、味に関してはカレーとハヤシライス並みに違いの説明が難しい…かな」

「…説明に苦心しているのはよく伝わってきた」

「うぐっ…違いが分かるかと言えば勿論分かるんだけど、説明しろってなると一気に難しくなるんだよ…」

「はは…しかし、そうなるとどうしましょう…」

「なら、一つずつ頼めばいい」

「あぁ、その手がありましたね」

 

俺の説明は生きているのかいないのか、結局二人は『一人で一つ』ではなく『二人で二つ』という形で解決していた。…これを思い付いていれば頭捻って微妙な説明をする必要もなかったと思うと、ちょっと辛い。

 

「顕人君、お疲れ様〜」

「お疲れ様〜、じゃねぇ…っとそうだ、俺も何頼むか決めないと…」

 

説明していたとはいえあまり待たせては悪い、と思って素早く決めると、俺は店員さんを呼んで注文。全員分の注文を聞いた店員さんは下がり、運ばれてくるまで雑談タイムがリスタート。

 

「…そういえば、顕人さん。一つお訊きしたい事があるのですが…」

「訊きたい事?」

「…口調、変えたのは何か理由があるんですか?」

「あー…昨日あの後二人が年上じゃないって知ったもので…」

「そういう事ですか。心境の変化でもあったのかと思いました」

 

待つ最中で遂に敬語について触れられた俺が、頬をかきつつ訳を話すと…フォリンさんは興味があるのかないのかよく分からない顔をしていた。…ラフィーネさんとは比べるまでもないけど、フォリンさんもどちらかと言うと感情の読めない人だなぁ…。

 

「…っていうか、日本の敬語についても理解してるんだね」

「えぇ。ですが若干不安を感じる部分もあるので、もし間違っていた時は教えて下さいますか?」

「勿論、まぁ俺も完璧に敬語使える訳じゃないけどね。…にしても、任務の一環で外国語を一つマスターなんて大変じゃなかった?」

「……?…確かに大変ではありましたけど…」

「あーっと…そういえばこれも言ってなかったね…」

「言ってなかった?」

 

フォリンさんとの会話を続けると、その途中でフォリンさんは怪訝そうな顔をして…それから綾袮さんがおずおずと言葉を挟んできた。…これは……。

 

「日本が霊装者発祥の地だって話は覚えてるよね?その関係からか、霊装者の世界だと割と日本語も広まってるんだよ。…と言っても、ちゃんと学んでるのはそれなりの立場にいる人とか、うちとやり取りする機会のある人とかが殆どだけど」

「……それを伝え忘れたせいで、俺はフォリンさんから変に思われたんだけど?」

「うん…これは100%わたしが悪いね…ごめんなさい…」

 

…聞いてみたら、案の定のパターンだった。…知らんぷりして自分のミスを二人に知られないようにするよりはずっとマシだけど…はぁ、ほんとにちゃんとそういう事は忘れないでほしいよ…。

 

「…立場が逆転した?」

「しましたね。でも、この様子…何かあれば普通に逆転もするのが二人の関係性、なのでは?」

「うん。…眺めてるのも面白そう」

「ですねぇ…」

 

そして気付けば、姉妹に何やら観察されていた。俺としては綾袮さんが謝ってくれた以上長々と言うつもりはなかったんだけど、なんか二人はもう暫く続くつもりでいるような気がするし…と俺が困っていると…何とも絶妙なタイミングで、注文した品が運ばれてきた。

 

「…美味しそう」

「スープの色も食欲をそそりますね…っと、和食の場合は汁、と言うべきでしたか?」

「んー…麺類ならスープって言う人もそこそこいるし、そんなに気にしなくても良いと思うよ?何もテストしてる訳じゃないし」

「それより麺が伸びちゃうから、早く食べようか。…頂きます」

 

姉妹が注文したのはきつねうどんと天ぷら蕎麦。綾袮さんはかき揚げうどん、俺はざる蕎麦&天ぷらの盛り合わせと三者…ではなく四者四様の注文をし、それ等が全て運ばれてきた卓上は一気に所狭しな状態に。…厳密にはお盆が面積取っちゃってる訳だから、お盆がなければ余裕が出来るんだけどね。

 

(…と、思ったけど…二人は箸使えるのかな…?)

 

ざる蕎麦を一口食べたところで、またも俺は文化の違いが頭をよぎる。箸なんて日本人も偶に上手くない人がいるんだから、まだ来日数日目の二人はさぞ苦労を……と、思いきや。

 

「見た目から質素な味だと思っていましたが…これは予想以上に美味しいです…」

「うん、美味しい。…そっちも、一口いい?」

「勿論。そういう狙いで一つずつ注文したんですからね。では私もそちらを…」

 

二つの器をつっつきながら仲良く食べるロサイアーズ姉妹は、若干箸の持ち方が変である事を除けば問題無い様子だった。…なんというか、優秀だよね。

 

「……そして、和む光景だなぁ…」

「わー、顕人君変な目で見てる〜」

「ぶふぅっ!?ごほごほッ!?」

「うわわっ!?ちょっ、お蕎麦吹き出したりしないでよ!?」

「だ、誰のせいだと思ったんだ!そんな目で見とらんわ!」

 

ただ仲良い様子を見ていただけなのにあらぬ疑いをかけられ吹き出しかけるも、何とかむせるだけで留める俺。…マジでそんな目はしてないし……。

…と、ちょっとした(?)ハプニングはあったものの、特に問題もなく俺達は食事の時間を満喫出来た。特に姉妹は初めて食べる料理に気分が良くなっていたらしく……

 

「…天ぷら、追加注文してもいい?」

「あ、ならこれ食べる?」

「食べます」

「えっ……あ…フォリンさんも欲しかったのね…」

 

なんと俺の注文した天ぷら盛り合わせは、半分以上が二人に食べられてしまった。しかも海老の天ぷらは天ぷら蕎麦にあった筈なのに、それも取られてしまった。…でもそれもそれで和むからいっか。

 

「ふぅ…美味しかったですね、ラフィーネ」

「美味しい上、油の感じがあんまりないのが良かった。…でもまだ食べられたかも…」

「あはは…じゃあ、二人は満足出来た?」

『(はい・うん)』

 

なんて感じで夕飯が終了。食事について感想を話している二人に対し、綾袮さんが問いを口に。ラフィーネさんは満腹感の観点においてはまだベストじゃないみたいだったけど……味に関しては、二人共満足出来たみたいだった。

それから会計を経てお店を出て、俺達は双統殿前へと帰還。数時間で案内出来る場所には限りがあって、案内の内容も決して上手ではなかったと思うけど…夕飯も含め、姉妹からの反応は好感触だった。だから今日の案内は、十分成功だったと思う。

 

「…案内ってさ、割と人の仲を深めるのにも役立つんだね」

「まあ、事務的な案内だけじゃ会話が続かないからね」

「…二人は、もう暫くいるの?」

「いるよ?っていうか、もし逆にどっかの国に行く機会があったら、顕人君立候補する?するなら推してあげるよ?」

「それは…ちょ、ちょっと考えさせてほしいかなぁ、はは……」

 

……そんな事を考えながら、今日の事を思い出してまったりと帰る俺と綾袮さんだった。


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