双極の理創造   作:シモツキ

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第四十四話 真面目さと緩さと

俺が霊装者となって以降、毎日…ではないけど今に至るまでずっと続けられている綾祢さんのコーチング。戦いに関してはきっちりと指導してくれる(言動自体は普段通りだけど)おかげで、俺の戦闘能力は成長を続けている。

 

「ふっ……ぅ…!」

 

飛び回る複数のターゲットを目で追いながら、空中でライフルを構えて射撃を行う。目標を捕捉する事も飛ぶ事も霊力を込めた実体弾を撃つ事も、個々なら慣れれば決して難しい作業ではなくなるけれど、それ等を同時に行うとなると話は別。これは例えるならクロールをしながら英単語の暗記を頑張りつつその後の予定を思い出そうとするようなもので、こういう事を平然とこなせるようになるまではもう少しかかりそうだった。

 

「大事なのは意識しなくても出来るようになる事だよー!じゃなきゃその内頭がパンクしちゃうからねー!」

「それは、分かってるけど…!」

「それが出来れば苦労はしないって?うん、じゃあ出来るまで苦労するしかないよね」

「でしょうね…!」

 

複数の事を安定して同時に行う為には、出来る限り無意識下でこなせるように、手順や動きを身体に覚え込ませるしかない。特に飛行と付加はどんな戦闘でも必要になるだろうから、飛行ならば走る様な感覚で、霊力の付加なら呼吸する様な感覚でやれる様になる事を俺は目指したい。……出来るようになるかどうかはともかく、目指しはしたい。

 

「一つ…二つ……!」

 

某白い悪魔さんの真似をしてみながらターゲットを撃墜。流石にそちらと違って俺は外してしまう弾丸もそこそこあったけど…それは持ち前の霊力量でカバー出来るから問題無し。折角の長所なんだから、それを軸に戦闘スタイルを組み立てないとね。

そこから続ける事数分。特に問題もなく指定した数のターゲットを処理し終えた俺は軽く息を吐き、綾祢さんの近くへと着地する。

 

「…今のはどうだった?」

「うーん、まぁ悪くはなかったと思うよ?飛行も安定してたし、射撃だって霊力がちゃんと通ってたし。予測射撃はまだまだ甘い感じがあるけど、それは経験がものを言う部分だから仕方ないしね」

 

綾祢さんの評価はまずまず。彼女は過度に甘い評価をしたり逆に厳しい評価をしたりはしない性格だから本当に『悪くない』出来だったんだと思うし、それは普通に安心する。…けど、俺は知っている。綾祢さんが100%この文面通りの事を思ったのなら、悪くはなかったじゃなくて良い感じだった、とかまた成長したね、とかのもっと前向きな表現をするって。

 

「…気になる事、あった?」

「気になるっていうか…まぁ、そうと言えばそうかな」

「そう…じゃ、教えてくれないかな?それも可能なら直したいし」

「んー…どうしよう…」

「どうしよう?」

 

綾袮さんの口から出た、思っていなかった言葉に訊き返す俺。どう言えばいいんだろう、とかどう指南すればいいんだろう、なら分かるけど……どうしよう、って…それは伝えるか伝えないか迷ってるって事?だとしたら…何故に?

 

「いやね、気になる事はあったよ?あったけど…もしかするとまだ言わない方が良さそうっていうか…」

「えぇぇ…そう言われると凄く気になってくるんだけど…」

「あー、そっか…早急に直すべき事ではないよ?それでも聞く?」

「聞く」

 

早急に直すべき事ではなく、言わない方が良い可能性もある事柄とは一体何なんだろうか。何かを言いかけた後「やっぱなんでもない」…と言われるのと同じく、人間半端に情報を出されると妙に興味を惹かれてしまうもので、ぶっちゃけこの時俺は自身の為になるかどうかは二の次でただ気になる気持ちを満たしたい思いで聞く事を決めていた。…ま、まぁ直すには聞かなきゃ始まらない訳だし?結局いつかは聞くだろうから問題ないっしょ、うん。

…という俺の思考を知ってか知らずか返答を受けた綾袮さんは話す事を決定し、こほんと一つ咳払い。

 

「えーとね、わたしが気になったのは空中での動き方なんだ。自分で何か空中機動に思うところがあったりする?」

「空中機動か…いや、ないけど…」

「だよね。ちょっと実演しながら説明するから見ててくれる?」

 

そう言って綾袮さんは跳躍。空中にて霊力の翼を展開して、床から約数mの位置で滞空を始める。……数歩前に進んで上を見上げればスカートの中が覗けそうだけど、俺はそんな事をする程愚かでもなければ勇気があったりもしない。

 

「まず、普通の霊装者はこう。空中で推力が偏っちゃってるなぁ…って思った時は偏ってるのとは逆側の推力を落とすし、ある程度慣れてきたら身体を振って方向転換をしたりする」

「ふむふむ」

「で、顕人君の場合だけど……」

 

普通の霊装者の例を終えた綾袮さんは、左翼の推力を上げて少しずつ右側へとずれていく。ここでさっきは左翼の推力を調整(下げる)事で安定させていたけど…今度は逆に右翼の推力を上げる事で右へと流れていた身体を止めた。そしてそこから霊力推進を様々な方向へ散らす事で回ったり向きを変えたりをひとしきり行い、その後「これで分かった?」という言葉と共に着地する。

 

「流石に完全再現は出来ないけど、ざっくりやると顕人君の空中機動は今みたいな感じなんだよ」

「…姿勢制御にしても方向転換にしても、推力を上げる事の一辺倒で対応させてる…って事?」

「そう!ある程度訓練を積んだ霊装者は推力を下げたり姿勢変えたりで調整するんだけど、顕人君の場合は推力の足し算だけで賄っちゃってるんだよ!」

「推力の足し算…言われてみると、確かにそうだったかも…」

 

推力が偏ったと思った時は足りない側の出力を上げ、方向転換の時も姿勢制御スラスターを積極的に使い、射撃の反動も上手く衝撃を吸収する事より逆噴射での相殺を優先する……思い返せば、綾袮さんの言う通りこれまでの俺は霊力推進の強化で何でもやろうとしていた節があった。…だって、俺にとってはそれがベストだと思っていたから。

 

「…それを指摘したって事は、足し算一辺倒は不味いって事…だよね?」

「一応ね。霊力推進なんて極端な低出力の時を除けば出力を上げれば上げる程、推進器の同時使用数を増やせば増やす程制御が難しくなって身体の負担も大きくなるんだもん。普通の魔物一体二体と戦う程度なら大した事ないだろうけど、強敵だったり長期戦になったりするとその負担が響いてくる可能性は十分にあるんだよ」

「それは…まぁ、そうだよね」

「それにさ、あんまり出力頼りだと動きが硬くなっちゃうんだよ。これは鳥と飛行機の動きを比べてみると分かり易いんじゃないかな?」

 

俺の質問に答え、出力頼りの場合に発生する弊害も綾袮さんは教えてくれる。…考えてみれば、トップエース級の霊装者にこうしねワンツーマンで指導してもらえるなんてかなりの高待遇だよね…なら、それには態度で示さないと。

 

「……分かったよ、綾袮さん。今後はもっと柔軟な空中機動が出来る様意識してみる」

「うん。…けど、これはあんまり優先順位高くしなくてもいいと思うよ?負担の話は言った通りだし、硬いってのも魔人とか凄く空戦能力が高い魔物とかじゃない限りはあんまり関係しないだろうし。まぁ言ってみれば『ハイレベルな戦い』では問題になる…って感じかな」

「そっか…でも、直すに越した事はないでしょ?」

「まあね。とはいえ今のままだって戦えてるし、本来なら一番の問題になる霊力消費が馬鹿にならない事も霊力量が並外れてる顕人君ならそこまで気にする必要はないんだから、今は出来る事をより洗練させるより出来ない事を出来るようにする方が良い、ってわたしは思うよ」

「…そう言うなら、まぁ…気に留めておく位にしておくよ」

 

みっちりとした解説の末に出た結論が『そんな急いで直さなくてもいい』って感じなのは若干拍子抜けだったけど…最初渋っていた綾袮さんへ教えてくれるよう迫ったのは自分だったと思い出し、拍子抜けしたという旨の言葉を俺は飲み込んだ。

 

「…じゃ、他に直すべき事はある?」

「一先ずはないよ。強いて言うなら実弾ライフルは霊力量だけじゃなくて残弾にも気を付けた方がいい、って位かな」

「あ、あー…霊力には余裕あるのに弾切れとか勘弁過ぎるね…無計画にバカスカ撃つのは避けないと…」

 

ひとしきり改善点の指摘を受けた俺は弾薬(訓練用)を補充し、もう一度同じ想定で訓練を再開。今度は予測射撃と弾薬消費に気を配りながらターゲットへ射撃を撃ち込んでいく。

 

(ぐっ…い、意識しなきゃいけないものを意識するのは一応出来るけど…意識しちゃいけないものを意識しないようにするのは凄ぇ難しい…!)

 

どれだけ意識しないようにしようとしても…いや、意識しないようにしようとすればする程、空中機動の癖が脳裏をちらついて忘れられない。覚えておきたい事は忘れるくせに忘れたい事は残るだなんて、ほんといい趣味してるよ人の脳は…こういうの心理的な問題もあるんだろうけど……。

 

「……っ…はぁ…疲れた…」

 

思考の事で四苦八苦しながら訓練を続けて十分弱。さっきよりも全ターゲット撃退完了までの時間は短くなったと思うけど……疲労に関してはさっきよりも増えてしまった。…綾袮さんが始め言うのに消極的だったのは、こういう脳的、心理的な疲労を見越しての事だったのかも……。

 

「お疲れ〜、明日だって学校あるし今日はこの位にしたらどう?」

「だね…うーむ、まだまだ俺は未熟だ…」

「未熟って事はまだまだ成長出来るって事、折角やる気あるんだからこれからも頑張っていこうよ。わたしも手伝ってあげるからさ」

「…そう言われちゃ、頑張らない訳にはいかないね」

 

……という事で今日の訓練はこれにて終わり、俺は帰る準備を開始。霊装者になったばかりの頃は手間取っていた各種片付けも、今や慣れて手早く進められるように。そして帰り支度が終わった頃、綾袮さんは快活ながらもしっかりと指導してくれる大先輩から、快活でちゃらんぽらんな同級生の少女へと戻っていた。…綾袮さんも綾袮さんで切り替え速いなぁ…。

 

 

 

 

「そういえばさ顕人君。最近流行ってる噂について知ってる?」

「噂?」

 

綾袮さんがその話題を振ってきたのは、俺達が外へ出る為地下通路を通っていた時。全くもって脈絡のないその振りに対し、俺は考えるよりもまず訊き返した。

 

「噂だよ。その反応だと、顕人君は知らないのかな?」

「いや、知らないから訊き返した訳じゃなくてね…まぁ思い付くものはないから結果は知らないんだけど…」

 

噂なんてその前に『風の』が付いたりする事からも分かる通り、本人の意思関係なしにどこかしらから吹き込んでくるものだけど…吹き込む間口を自らは特に開けてない俺にとって、今流行ってる噂なんてまあまず思い付きやしない。捻り出そうとすれば、一つ位は出ると思うけど…そんな出し方したものを『流行ってる』とは言えないよねぇ…。

 

「そっかぁ…顕人君って、噂話嫌いだったりする?」

「嫌いって事はないよ。噂話という体裁での陰口は嫌いだけど」

「うん、それはわたしも嫌い。…じゃ、噂話しても大丈夫って事かな?」

「そうだね、話したいなら聞くよ?」

 

どうせ帰路ではいつも雑談しかしてないんだから、その内容が噂についてであっても何ら問題はない。そう思って言葉を返すと、綾袮さんはこくんと頷いて話し始めた。

 

「あのね、これは噂っていうか人伝ての体験談なんだけど…」

「え、何その怪談みたいな始まり方…もしかして噂って、学校の七不思議的なやつ?」

「ううん、違うよ。…最近、結構な時間ぼーっとしちゃう子が多いみたいなんだ」

「…………」

「不思議なものだよねぇ、数分ならともかく結構な時間なんて──」

「ちょ、ちょちょちょちょちょ…ちょっと待った綾袮さん」

「ほぇ?」

 

地下通路から地上(の建物)へと上がる中、俺は綾袮さんの語りを遮った。あ、あれ…なんか噂が俺の思っていたのと違うぞ…?

 

「噂って…ぼーっとしちゃうって内容なの?」

「うん」

「ぼーっとしてた後に何かが起きて、とか後からぼーっとしてた間にとんでもない事が起きてたのに気付いて、とかじゃなくて?」

「うん」

「……そんな五秒で本文が終わるような噂って、話のネタにして楽しい…?」

「え?…ちっちっち、分かってないなぁ顕人君。噂話って言うのは噂を起点に色々お喋りするのが楽しいんだよ」

「は、はぁ…そうなんすか…」

 

びしっ、と格言を言ったみたいに綾袮さんは指差してくるけど…そんな事を言われたって、俺は全く納得出来ない。起点って事ならわざわざ噂を持ってくる必要なくね?…と身も蓋もない事が真っ先に頭に浮かんでしまう。これは俺が特殊なのか、それとも傾向として噂話をよくする女性とそこまで積極的にはしない男性との差なのか…。

 

「顕人君、しっくりきてない感じ?」

「正直言うとそうね…今回の噂の場合、ここからどう話膨らませていくの?」

「どうって…あーそれあるよねぇって同意したり、何その話疑わしい〜って異論を唱えてみたり、わたしもそういう経験あるって自分の話題に持っていったり色々だよ?」

「…やっぱそれ、話の起点が噂である必要無くね…?」

「じゃ、噂の他にベストな起点ってある?」

「それは…そう言われるとちょっと思い付かないけど…」

 

上手く返せなかった俺に対し、綾袮さんはでしょう?…ととばかりに得意げな表情を見せてくる。よくよく考えてみれば会話の起点なんて、なんとなーく話したくなった事を口にするだけだからベストも何もって話なんだが…それを言ったら負け惜しみみたいになるから言わないでおこう。

 

「ふふん、分かってくれたかな?実際今も会話は続いてるでしょ?」

「『話題がない、って話題』…的なしょうもなさを感じる会話だけどね…それで本題はぼーっとしちゃう子が多い、だっけ?」

「……分かってないなぁ、顕人君は…本題に沿ってるかどうかはどうでもいいんだよ。勿論本題について話したいならそれでいいんだけどさ、別に会議じゃないんだから楽しめればそれでいいんだって」

「…ま、そだね」

 

綾袮さんの言っている事は終始『適当』だけど、一応筋は通っている。そしてその適当さは俺も普段は無意識に持ち合わせている訳で……何だろうね、綾袮さんが基本ボケ体質で俺が突っ込み体質だから『真面目に返そう』って意識が出来ちゃってたのかな?

 

「ぼーっと、か…最近気温も上がってきたし、早くも熱中症になっちゃったとか?」

「まだ熱中症になるレベルじゃないでしょ。それよりわたしは現実逃避だと思うな〜」

「現実逃避?」

「ほら、定期テストも近付いてきたじゃん」

「あぁ……」

 

中学以上の学生を数ヶ月(場合によっては毎月)の周期で苦しめるイベント、テスト。確かにそれは近付くと現実逃避したくなり、実際俺も「まぁまだ期末が残ってるし」とか「まだ受験生じゃないんだから…」とかを考えて直視を避けようとする事がよくあるから分からない事もないけど……

 

「…綾袮さん、テストだけじゃなくその後の補習とか追試とかもあるもんね…」

「ちょっと!?わたし赤点取ってたりはしないよ!?妃乃に山を張ってもらったり鉛筆転がしたりして頑張ってるもん!」

「それは頑張ってるとは言わないよ!?そしてそれで何とかなってるならまぁまぁ凄いよ!?」

「え、凄い?……えへへ」

「褒めてないよ!凄くはあるけどそれ一切誇れない事だからね!?」

 

山張り(友人頼り)と鉛筆転がし(運頼り)で赤点回避出来ているなら、それはある意味大したものなんじゃないだろうか。…一応綾袮さんは基礎というか最低限の学力は有している、という可能性もあるけど……いずれにせよ、マジでそんな手段でもってテストに臨んでるなら綾袮さんの今後が不安過ぎる…。

 

「…あ、そういえば顕人君ってどっちかと言えば勉強出来る方だよね?」

「え?…うーん…そらそこそこは出来る、と思うけど…」

「だよねだよね。ふふん、これで山張りの精度が上がるっ♪」

「え、俺にも山を張らせる気?」

「お願い!山張って!別に外れたからって文句言ったりはしないから!」

「…せめて一夜漬けとかはやろうよ…定期テストの範囲なんて数ヶ月分程度なんだから、一夜漬けでもそこそこ結果変わるものだよ?」

「わたしが漬けるのは糠味噌だけだよ!」

「嘘吐け!糠味噌漬けてる姿なんて一回も見てないぞ!……あ、嘘か!嘘漬けって事か!」

「え、何言ってんの?」

「あれ、そういうネタじゃなかった!?…うわ、超恥ずい……」

 

何故か山張りを頼まれるわ、バレバレの嘘を吐いてくるわ、挙句深読みし過ぎて滑るわ、ものの数十秒で散々だった。…今歩いてるのが人通りの多い場所じゃなくてよかった…人が多かったら絶対変な注目浴びてたよ…。

 

「まぁまぁそういう事で、山張り頼むね?」

「どういう事でだよ…あんまり軽いノリでいると俺からの協力を得られないどころか、時宮さんからも山張ってもらえなくなるかもよ?」

「大丈夫大丈夫、わたしの軽いノリで愛想尽かされるならそれはもう何年もなってる筈だもん」

「えぇー……」

 

今の言葉で、綾袮さんの性格は大分前から今の方向性を走っているという事が判明した。さっきまでは『何故山を張ってしまうの時宮さん…』と思っていたけど…今となっては同情するよ時宮さん……。

 

「……テストはさておき、長時間ぼーっとする事は避けたいよね」

「うんうん、それで山張りの事は?」

「家にいる時とかならまだしも、他の所にいる時は怖いものだね。授業中ならまるっとその内容が抜けちゃう訳だし、路上を歩いてる最中だったら撥ねられかねないし」

「ちょっとー、山張りの件はー?」

「…へいへい、考えておきますよー…」

 

話逸らして有耶無耶にしようと思ったけど、流石に今のは強引過ぎてバレてしまった。…と、いう事で俺は取り敢えず問題を先送りにしてお茶を濁す。…別に無理難題を頼まれてる訳じゃないし、どうしてもって言うならやったっていいけどさ…あのデカいぬいぐるみの件といい、なんかこのままだと優しいはおろか甘いも越えて、ただの都合良い奴になりかねないんだよね…流石にそれは勘弁だっての…。

 

「ほんとだね?考えてはくれるんだよね?」

「考える考える。…にしても、ほんと上手い具合に話が変わっていったなぁ…」

「ならいいけど…元々の話からは離れても、それはそれで楽しかったでしょ?」

「楽しかったっつーか、なんというか…ま、盛り上がりはしたかもね」

「雑談なんだから盛り上がったらそれでいいんだよ。さ、顕人君飛ぶよ!」

「うーい」

 

ある程度歩いた俺達は、そこから移動を徒歩から飛行に切り替え空へ。なんか結局ぼーっとする理由とかする人の傾向とかはさっぱりのままだけど…そもそも雑談のネタとしての噂なんだし、分からなくても問題ないか。それより山張りの件考えなくちゃならんしね。

──こうして今日も、俺と綾袮さんは家へと帰るのだった。


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