双極の理創造   作:シモツキ

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第十一話 その選択は、大切なものの為に

「緋奈ー、帰ったぞー」

「お兄ちゃんお帰り〜」

 

御道達より一足先に店を出てから十数分後、千嵜家の敷居を跨ぐ俺とわざわざ玄関まで出てきた緋奈が、挨拶を交わす。今の千嵜家の日課とも言えるそのやり取りは、今日も遺憾無く遂行された。…俺が失いたくない、普通の生活の1ページが、今日もまた刻まれる。

 

「今日は遅くないね、よしよし」

「お兄ちゃんは毎日帰りが遅くなる悪い子じゃないからなー。緋奈も今帰ったところか?」

「そんなところ、帰りに買い物してきたからね」

 

と、俺が質問をしたのは緋奈が私服ではなく学校の制服を着ていたから。お袋の洗濯の都合で制服は帰ったらすぐ着替えてくれ、と言われていた俺達は今もそれを守っている。…と言うと何か特別な思いがあるみたいになるが、ぶっちゃけ帰ったら着替えるのが習慣化したから続けてるだけなんだけどな。少なくとも俺は。

 

「買い物…おいまさか彼氏にあげる為の何かじゃないだろうな…?」

「え?まぁ…彼氏というか、男の人にあげる物は買ってきたね」

「はぁ!?お、俺は許さんからな!何処の馬の骨とも分からん野郎に緋奈はやらん!」

「お兄ちゃん…そんなにわたしの事を…」

「当たり前だ…緋奈は俺の大切な妹だからな…」

「お兄ちゃん……」

「緋奈……」

 

 

「…で、実際何買ってきたんだ?」

「お茶碗。お兄ちゃんのやつ、底にヒビ入ったまま放置してたでしょ?」

「そういや買うの忘れてた…助かるよ緋奈」

 

暫しそれっぽい空気を楽しんだ後、普通に会話を続ける俺と緋奈。いやほら、普通の兄妹はこんな禁忌っぽい事は冗談でもしないんだろうけど…両親が他界して実家に二人で済んだら兄妹なんてどう考えても普通じゃないしな。人前でもねぇしセーフセーフ。

 

「全く、お兄ちゃんは何かあればちゃんとするけど何もないと全然ちゃんとしないんだから…」

「はは、返す言葉もねぇよ…さて、早速夕飯作るか。緋奈、何か食べたいものあるか?」

「なんでも良いよ…って言うと、むしろ困る?」

「まぁ、困るというか当てにはならんな」

「じゃあ…昨日は炒飯だったし、今日は麺物とか?」

「麺物か…なら昨日の残り物使った塩焼きそばはどうだ?」

「うん、それでいいよ」

 

夕飯の料理が決定。という事で俺は自室に行き、着替えた後にキッチンで手を洗って冷蔵庫の中身を確認し、調理開始。途中ちょっとリビングのテレビを点けてみたり、ちょっと強めに包丁を扱ってまな板を響かせ名料理人気分になってみたりしながら塩焼きそば作りを進める。…塩焼きそばって言うけど、別に普通の焼きそばには塩使われてない訳じゃないよなぁ…そらを言ったらラーメンだって醤油や味噌、豚骨でも塩を使う訳だが。

 

「あのさー、お兄ちゃん」

「ん?どうかしたか?」

「昨日、送ってくだけだって言った割には帰ってくるの遅くなかった?」

「うっ……」

 

世間話感覚でそんな事を言ってくる緋奈にたじろぐ。いや、実際世間話のレベルではあるが…正直に言えない事&嘘言って出てきたというダブルパンチのせいでどうしても即答は出来ない。…とはいえ黙ってるままって訳にもいかんし…ううむ……

 

「……結構、遠い所だったんだよ…」

「遠い所?じゃ、時宮さんは電車通学?」

「あー…そうじゃない、かな…?」

「ふーん…」

 

納得したのか、まだ疑ってるのか。そこのところは謎ながら、緋奈はそれ以上に訊く事はなかった。……が、また嘘重ねちまったな…一応こういう嘘吐いたって時宮に言っておかねぇと…。

そうして数十分後。塩焼きそばを完成させた俺は皿に盛り付け、緋奈と食卓を囲む。

 

「ん、良い匂い…やっぱり料理はお兄ちゃんの方が上手いよね」

「んなこたねぇよ、俺だって何でも作れる訳じゃないしな。頂きますっと」

 

結局昨日はゆっくり夕飯食えなかったなぁ…と思いながら塩焼きそばを口に運ぶ。…うん美味い。昨日の夕飯と比較すると尚美味い。緋奈には悪いが正直なところは俺の方がずっと料理上手だな。

 

「そういえばさ、昨日は炒飯で今日は塩焼きそばなんだよね。明日は脂っこくない方がいいなぁ」

「じゃ、キャベツ一玉を齧るか?」

「それは夕飯と言えるの…?」

「あー悪い、緋奈はレタス派だったか」

「そこじゃないそこじゃない…」

「だよな、まぁ安心しろ。キャベツは塩焼きそばに入れたし、二日続けてキャベツにはしねぇよ」

「だからそこじゃないって…はぁ、お兄ちゃんはズレてるよね、色々…」

 

いつものノリでふざけていたら、妹に呆れられてしまった。多分「いや冗談だからね?」と言っても「分かってる分かってる」と呆れながら流されるだろう。……俺はボケ発言をしているだけで、本当にズレてる訳じゃないと信じたい。ズレてるんだとしても、それは霊装者としての経験のせいだと思いたい。

 

「…ほんと、お兄ちゃんって一人暮らししたら大変そうだね。家事はちゃんと出来るから、えらい事にはならないと思うけど」

「うん?それは緋奈が男捕まえてうち出てく可能性を示唆してるのか?」

「ううん全然。わたしがそうすると思う?」

「ううん全然」

「なら、それが答えだよ」

 

妹にマジな心配をされるのは、兄としてどうなんだろう…とは思うが、それよりも俺は変な可能性を示唆している訳では無いと知って一安心。……緋奈には生涯独身でいてほしい、って訳ではないが…そこら辺は、兄として複雑なんだよな。一昔前のドラマなんかで「お前なんぞにうちの娘はやらん!」と言う父親が出てきたりするが、その父親が娘の幸せを願ってない訳じゃないだろ?それと同じ様なものさ、多分。

 

「…………」

「……?どうしたの?急にぼーっとしちゃって…」

「…や、何でもない」

 

もぐもぐと塩焼きそばを食べる緋奈。緋奈と二人で囲む、この食卓。……もし、俺が霊装者として協会に所属したら、この空間はどうなるのだろうか。

この食卓は、数年前まで二人じゃなくて四人で囲んでいた。厳しかったけど、俺等が小さかった頃はよく遊びに連れて行ってくれて、どんな話でも真剣に聞いてくれた親父。口煩いところはあったけど、何かを見せ忘れてたりしても何だかんだちゃんとやってくれて、俺達の好きな料理を自己流で研究してより美味しくしてくれたお袋。俺が俺になる前に夢見た、俺の家族。……でも、もう二人はいない。俺がどんな選択をしようと、どんな道を進もうと、二人が帰ってきてくれたりはしない。既に、俺達は大事な人達を二人失っている。

俺は、二人が死んだ時の緋奈の様子を覚えている。年相応に元気で、でも何気にしっかり屋の緋奈が、あの時は廃人一歩手前だった。俺がいなければ壊れてしまいそうな、ギリギリの状態だった。今はなんて事ない様子にまでなった緋奈だが、俺は内心分かっている。今の緋奈が、俺と、家族との思い出が詰まったこの家ありきで成り立っているんだと。

このまま魔物や力を悪用する霊装者に会う事なくいつまでも過ごせるかは分からない。それに期待し生活するのは、楽観視でしかないと分かってる。…けど、もしかしたら今の生活はこのまま続けられるかもしれないけど、俺が霊装者になりこの家を離れれば、俺の守りたいものは絶対に無くなってしまう。残ってくれた緋奈も、守れなくなってしまう。

 

(…ってのは、建前…だよな……)

 

…分かっている。それは正しいけど違うって。緋奈を守りたい気持ちに偽りはないけど、本当は緋奈の為だけじゃなく、俺自身の為に守りたいんだって。既に俺の夢見た居場所は崩れてしまったけど、だからこそ残った居場所だけは、何がなんでも失いたくないんだって。……時宮へ言った通り、我が儘なんだよな、俺は。

 

「……なぁ、緋奈」

「ん、どうしたの?」

「今度、出かけないか?どこ行くか、何するかはまだ決めてないけどよ」

「ノープランなのに誘うんだ…けどいいよ」

「そっか。……緋奈」

「なーに?」

「…俺はどっかに消えたりしないから、な」

「……うん」

 

──やっぱり、俺の意思は変わらない。俺は、緋奈と…家族との思い出が詰まったこの家で、普通に生活したいって。

 

 

 

 

それから翌週の土曜。俺は、再び時宮と会った。…いや、クラスメイトだから毎日会ってるっちゃ会ってるんだがな。

 

「……で、何故こんな所に呼んだんだ?」

 

俺が時宮に来る様言われたのは、学校近くの寂れた公園。一応遊具も広さもそこそこあるから平日午後辺りは人が来たりもするが…午前となるとまず人が来る事はない。…まぁ、一般人に聞かれたくない話するにゃ悪くない場所だな。

 

「あら、貴方の家や双統殿の方が良かったかしら?」

「いやそういう訳じゃないが…極端な話、所属するかしないか俺が答えるだけだろ?」

「所属するにしろしないにしろ、それが入念に考えてからの答えか見定めなきゃならないもの。そんな簡単に終わらせる気はないわ」

「…マメだな」

「自分の同級生が相手なんだもの、こっちだってなあなあで済ませたりはしないわよ」

「そりゃそうか…」

 

取り敢えずベンチに座る俺と時宮。……そういや…

 

「…結構年相応な服着るんだな」

「なによ、年相応な格好しちゃ悪い訳?」

「そうじゃないんだが…まあなんだ、そういう格好悪くないと思うぞ」

「え?…あ、ありがと…」

 

休日である今日、時宮は当然ながら制服を着ていたりはせず、ブラウスにカーディガン、フレアスカートといういかにも女の子らしい出で立ちだった。…本人の手前『悪くない』なんて言ったが、ぶっちゃけ悪くないどころか普通に可愛い。顔もスタイルも良い分余計に可愛い。…口にしたりはしないけどな!

 

「…私服を家族以外の男に評価されるなんて…もしかしたら、初めてかも……」

「ん?何か言いたい事あるならはっきり言ってくれないと聞こえないぞ?」

「な、なんでもないわよ。そんな事より本題入るわよ、本題」

 

目を丸くした後、俯きがちにぶつぶつと時宮は何か言っていた。そういう事されると気になってしまうが…本人が話してくれる気配ないなら仕方ない。それに、俺は雑談をする為にここに来たんじゃないしな。

 

「本題、ね…取り敢えず結論から言おうか」

「えぇ、まずはそれを聞かせてもらうわ」

「…所属は、しない」

「……考えは変わらなかったのね」

 

一拍おいて、俺の答えに時宮は返答した。それはまずは答えを受け止める、そんなスタンスなんだと思う。…さて、ここからどういう話をするつもりなのやら…。

 

「じゃ、次は妥協ラインがあるかどうか探すとしましょ」

「あぁ……あ?妥協ライン?所属するかしないかの二択じゃねぇのか?」

「あるにはあるわ。所属を強制出来ないけど、お互いの為に出来るならば保護・管理下におきたい…ってのが協会の本心だもの」

「管理、か…あんまり心地のいい響きじゃないな」

「ストレートな表現をしてるだけよ。そもそも、保護と管理は一緒になってる事が多いでしょ?」

「そりゃ、まぁそうだな」

 

子供は親に保護されているが同時に管理もされている訳だし、国民は国に管理される代わりにそれ相応の保護も受けている。管理無しに保護するのは無理があるし、保護なき管理を望む奴はそうそういない。一挙手一投足まで管理される事もまたねぇが…ま、要は時宮の言う通り、そういう事だな。

 

「こっちはさっきも言った通り、出来る範囲で保護・管理をしたい。そっちは?なにならOK…ってのは難しそうだから、なにが譲れないかを教えて頂戴」

「そうさな…最低限風呂とトイレは別、部屋は二つ以上、日当たり良しは譲れないな」

「それなら家賃は…って何の話よ何の!?」

「何のってお前…呼び出しておいて内容忘れるのはどうかと思うぞ?」

「悠弥が何言ってるんだって事よ!殴るわよ!?」

「へいへい…前も言った通り、俺は今の生活を続けたい。最低限…っつーか、それが唯一絶対の要素だ」

 

一旦挟んだボケはさておき、改めて譲れない部分を口にする俺。それを聞いた時宮や、腕を組んで考え込む。

 

「今の生活、ね…結構ざっくりしてるから、提案に悩むわね…」

「ざっくりしてるか?」

「してるわよ、うーん…そうなれば、まず住む場所変えてもらうのは無理よね?」

「無理だな」

「…緋奈ちゃんを移転先に連れて行ってもOKなら?連れてく連れてかないに関わらず、転校はせずに済む様取り計らうわよ?」

「それでも駄目だ。今の家である事が重要だからな」

 

家というのは所詮物で、物質的にはかけがえのないものではない…けど、我が家には、緋奈にとっての千嵜宅には、『両親との思い出』という付加価値があって、それは変えの効くものではない。それに、俺にとっても両親と毎日を過ごした家から離れるのは嫌だし、な。

 

「そう…なら、訓練を受けるだけなら?万が一の時不味い、ってのは分かってるでしょ?」

「それはそうだな。…だが、類は友を呼ぶとも言うだろ?」

「魔物は霊装者の友じゃないんだけど…」

「そうは言っても、霊装者としての勘が鈍きゃ気付かず済んだものも気付いてしまうかもしれない。そうなれば、知らず知らずにそっち絡みの事に巻き込まれるかもしれない。これを否定出来るか?」

「…確かにあり得る事ね。私はそれでも自衛力を付けておくべきだと思うけど…それは私の個人的な考えに過ぎないもの」

「…時宮って、性格の割に相手の意見を聞けるんだな」

「それどういう事よ……」

「これでも褒めてるんだ、腹立てないでくれ」

 

 

時宮が提案し、俺が否定。その否定を元に更に提案し、それをまた否定。俺は妥協ラインを探すという定でありながらも全然妥協する様子を見せなかったが…時宮はそれに怒らず、何度も何度も提案を続けた。

そして……

 

「あー……駄目ね、取りつく島もないわ…」

 

もう何度目かも分からない問答の後、遂に時宮は音を上げた。…っつっても、時宮の言う通り取りつく島もない相手に、ある程度自分の意思なく決められている協会からの要望を通そうとしてるんだからそもそも無理難題という話。…粘り強いんだな、こいつは。

 

「…厄介な相手で悪いな」

「別に、そんな事は……」

「気遣いは必要ねぇよ。言ってる俺自身がそうおもってるんだ、時宮がそう思ってもそりゃ普通の事だ」

「そう思うなら、少しは譲歩しなさいよ」

「それは出来ない相談だな」

「だと思ったわ…はぁ……」

 

嘆息する時宮。…なんかほんとに悪い気がしてきたな、だからって意見が変わったりはしないが。

 

「…………」

「……時宮?」

「…うん、分かった。いいわ、お祖父様にはそう伝えるから」

「そう、って?」

「所属しない、って事。ここまで否定するんじゃ、誰が訊いても同じでしょ?」

「まぁ、な…」

 

時宮の言う通り、俺は協会の人事部だろうが宗元さんだろうが…いや人事部あるのか知らないけど…意見を変えるつもりはない。…けど、そうなると今度はアレだな……

 

「……大丈夫なのか?俺って一応予言された霊装者なんだろ?」

「そうよ?けど貴方が所属する気ゼロなら仕方ないじゃない。そりゃまぁ、お小言位は言われるかもだけど…」

「ほんとにそれだけか?そこそこ偉い奴等に『ならばその責任、取ってもらおうか…』とか言われてエロ同人誌みたいな事されるとか…」

「あ、ある訳ないじゃない!霊源協会なんだと思ってるのよ!?馬鹿じゃないの!?馬っ鹿じゃないの!?」

「おーおー顔赤いぞー」

「誰のせいだと思ってんのよ!訴えるわよ!?」

 

どんな飛躍の仕方をしたのか、訴えると言われてしまった。……実は時宮弄るのが楽しくなってきたとかではないぞー。

 

「ふんっ、これ以上ふざけるなら実力行使するから」

「お、おう…ほんと、言い辛い事言わせる羽目になってすまん」

「だから仕方ないんだからいいわよ。それより、そこまで言うなら緋奈ちゃんとの生活、貴方なりに守りなさいよ?」

「…勿論だ。ありがとな時宮」

「えぇ、それと自分で言ったんだからこっちの世界には近付いたりするんじゃないわよ?それと……」

 

一拍置き、持っていたポーチをごそごそする時宮。なんか見せられるのかなぁ…と思っていたら……時宮は鞘に収められた刃物を取り出した。

 

「…………」

「ほんとは良くないんだけど、これで「ごめんなさいさっきのセクハラ発言は謝罪します和解金払いますなんなら訴えてくれても構いませんだから刺すのだけは勘弁して下さい!」いや違うわよ!?ちょっ、どんな勘違いしてんのよ!?」

「え、違うの……?」

「ある訳ないでしょそんな事…護身刀よ護身刀。実際には護身ナイフだけど、貴方ならこれ位使えるでしょ?」

 

呆れながら時宮は、ナイフを横にして俺へと渡してくる。護身刀、か…確かにこれなら能力落ちてる今の俺でも使いこなせるが……

 

「…渡してもいいのか?これ」

「万が一の事が起きて、その時『あの時私がこれを渡していれば、なんとかなったかもしれないのに…』って後悔したくないだけよ」

「ふぅん…やっぱ持ち歩いた方がいいか?」

「その方がいいけど…これもまたこっち側との接点になりかねない、って思うなら金庫の中にでも入れておいてくれて構わないわ。そこまでは強制出来ないし」

「これの世話になる羽目にならないのが、一番だけどな」

「その通りね。それじゃ、これで話は終わりよ」

 

そう言って時宮は立ち上がり、簡素な挨拶をして公園の出入り口へ向かう。そんな時宮の後ろ姿を見て……ふと、俺は思った事を口にする。

 

「……時宮、さっきお前は自分でこっちの世界に近付くなって言ったが…それは、もう話しかけてくるなって事なのか?」

「へ?……な、なんでそんな事聞くのよ…」

「なんでだろうな…ただなんとなく気になっただけだ。で、どうなんだよ?」

「どうって…それはその、あれよ…」

「あれ?」

「…た、偶になら話を聞いてやってもいい、って事よ……」

「そっか、じゃあ偶に話しかけさせてもらうよ」

「た、偶によ!?私だって暇じゃないんだからね!」

 

時宮は、何故か捨て台詞みたいにそんな事を言いながら去っていった。……やっぱ、ちょっと面白いな時宮って。

二度目の人生でまた霊装者の才があったのは不幸だと思ったが…時宮と知り合えたり、宗元さんと再会出来た事を考えると、そういう意味じゃ、不幸なだけじゃなかったのかも…な。


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