超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress   作:シモツキ

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第六十八話 増援と、そして……

お姉ちゃん達守護女神の奪還は大局に影響を及ぼす…軍人さんっぽく言えば、戦略的な意味のある行動なんだから、犯罪組織も強い部隊や中核である四天王が出てきてもおかしくない。そういう前提でわたし達はここに来ていたけど……お姉ちゃんを抱き締め、お姉ちゃんに後頭部を優しく撫でられていた今のわたしは、その想定が完全に頭から抜け落ちていた。…そんなタイミングで現れた四天王に対し、わたしは言いたい。あまりにも間が悪過ぎるって。狙ってやったなら、性格が悪過ぎるって。

 

「その、声……マジック・ザ…ハード…!?」

「とっくに廃人になっているかと思ったが…流石は守護女神。犯罪神様が我等を用意しただけはある」

 

やっぱりお姉ちゃんは目がよく見えてないみたいで、現れたのがなんなのかは声で判別していた。でも、その耳も普段より聞こえなくなってるらしいから…マジックが従えているモンスターや兵器まで正確に認識出来ているのかどうかは分からない。

 

「感動の再会に水を差すなんて…随分と趣味が悪い事をしてくれるね」

「そーだそーだ!あたしだって嫁勧誘を我慢してたんだから、えーと…マジック?…も我慢しなきゃ嫁勧誘してあげないよ!」

「ふん、こちらとてジャッジがやられたのだ。貴様等の再会などに配慮出来るものか」

「ジャッジがやられた…?…という事は、イリゼが…」

「うん、イリゼさんは勝ったみたいだね」

 

それまでは一歩下がった位置にいたREDさん達四人が、マジックと言葉を交わしながら前へと出る。その後に続く形でコンパさんも前に出て、最後にベールさんを優しく近くの岩へ座らせてあげたアイエフさんも前に。……これ、って…

 

「…み、皆さん…マジックと戦う気なんですか…!?」

「……っ…む、無茶よ…皆…四天王は、生半可な力で勝てる…相手じゃ、ないわ…」

「大丈夫ですよ、ネプテューヌさん。ボク達は別に倒そうって思ってる訳じゃないですから」

「そうです、ギアちゃん達が休む時間を稼げればそれでいいんです」

「や、休む時間?…わたし達の心配なんていりません、四天王が相手ならわたし達が……」

 

皆さんの強さを疑っている訳じゃない。でも四天王はお姉ちゃん達でも本気を出さなきゃいけないレベルの強さを持っていて、それをコンパさん達だけで相手にする…というのは、流石に無理がある話。だからわたしはお姉ちゃんをベールさんと同じ様に座らせて、マジックの前に出ようとして……

 

「……あれ…?」

 

…すとん、と階段を登りきった状態でもう一歩登ろうとした時みたいによろけてしまった。転ぶ事はなかったけど……今ので分かった。自分の身体は今、万全の状態じゃないって。

 

「ど、どうして…」

「短い時間でも、全力を尽くして集中力をフル稼働させていたらそれ相応に疲労するものだよ、ネプギア」

「ユニ達も同じよ?あんた達はあんだけ高出力の攻撃を放ったんだもの、ガス欠寸前でしょ?」

「そ、それは…すいません、そうです…」

「気にしないで!結界破る為にはあれが必要だったんだもん、三人は悪くないよ!」

 

そのやり取りを聞いて、ユニちゃん達の方を見ると…ユニちゃん達もまた、わたし達と同じ様に前に出ようとして……って状態だった。…ファルコムさんの説明はその通りだと思うし、お姉ちゃん達の救出に手を抜いたらその方が後悔するって断言出来る。でも…ううん、だからこそ…全力を出して、成果を上げたからこそ動けないというのは歯痒かった。

そんな中、ぐ…っとわたしの腕が下へ引っ張られる。

 

「え…お姉ちゃん!?」

 

何が?と思って振り向くと、わたしの後ろにいたのは近くの岩に身体を預ける形で座っていた筈のお姉ちゃん。お姉ちゃんはここまで這って来たみたいで、わたしの腕を引っ張って身体を起き上がらせていた。

 

「…駄目、ね…立ち上がるのも…こんなに、辛い…なんて…」

「な、何してるのお姉ちゃん!?」

「何、って…戦う、為に…来た、のよ…」

「そ、そんなの無理だよ!そんな身体で戦ったら…ううん、そんな身体じゃ戦う前に死んじゃうよ!」

「だと、しても…わたしは守護女神よ…友達が…わたし達の為に…協力してくれる、人達が戦おうと…してるのに…休んでなんか…いられない、わ…」

 

そういうお姉ちゃんの顔に、余裕なんて一欠片も浮かんでない。こうして話すのすら辛そうなお姉ちゃんが、それでも戦おうとするのは…きっと守護女神としての使命感と、コンパさん達への思いがあるから。そんな姿は正にわたしの憧れのお姉ちゃんで、やっぱりお姉ちゃんはここにいるんだってこの瞬間実感出来たけど…だからって、お姉ちゃんに戦わせる訳にはいかない。

 

「守護女神でも無理なものは無理だよ!…お姉ちゃんが無理する位なら、わたしが…」

「ネプギア、は…さっき全力出した…ばかり、なんでしょ…?…貴女まで、無理する事は…」

「わたしよりよっぽど無理な状態のお姉ちゃんに言われても納得出来ないよ!いいからお姉ちゃんはここにいて!じゃなきゃ、折角助けたのにお姉ちゃんが……」

「あーもう五月蝿い!私達が時間稼ぐっつってんだから、あんた達は黙って休んでなさい!ベール様もノワールもブラン様も同じよッ!」

『え……っ!?』

 

姉妹喧嘩…じゃないけどわたしは段々ヒートアップしていってしまって、もう半分位衝動的に立ち上がろうと……した瞬間、キレ気味のアイエフさんに一喝された。しかもここと同じ動きが他でも起こっていたみたいで、皆揃って怒号の対象になっていた。それはあまりにも唐突且つ意外な展開で、わたし達は一瞬萎縮してしまう。

 

「ったく…ねぷ子なんか特に普段は楽しよう楽しようとするくせに、こういう時は率先して無茶しようとして…そういうのは逆にしなさいっての…」

「頑張る皆さんは好きですけど、無茶する皆さんはあんまり好きになれないですね…」

「同感よ。さて、じゃあ…ネプギア達が戦えるようになるまで、なんとしても八人を死守するわよ!」

 

カタールを格好良く振るって、マジックと対峙するアイエフさん。皆わたし達の壁になる様に立ちはだかって、四天王とモンスターと兵器を同時に相手にするという無茶な戦いなのに誰一人尻込みしないで、本来なら守る側にいるわたし達の為に戦ってくれようとしている。未だ力のちゃんと戻らないわたしは……皆さんの身を案じて祈る事しか出来ない。

 

「退け、女神でもない者など相手にならん。それともここで朽ち果てる事を望むか」

「相手にならないとは、私達も軽んじられたものね…貴女の要求を聞く気はないわ」

「朽ち果てる事も望んでないからねー、だ!」

「ふん…ならば貴様等の命は我が刃でもって刈り取ってやろう。愚鈍たるその命が犯罪神様の糧となれる事、喜ぶがいい…!」

『……っ!』

 

皆さんを睨め付けたマジックはその手に大鎌を構え、地を蹴る。薄く笑いを浮かべるマジックが纏うのは必殺の気配。一気に距離を半分程詰めた彼女は大鎌に負のシェアを纏わせて、そして…………

 

 

 

 

 

 

 

 

「──残念だが、ここで糧を得るのは諦めてもらおうか」

 

マジックの進路を防ぐかの様に、わたし達の後ろから電撃が迸った。

眼前に放たれた電撃を前に、攻撃を中断して飛び退くマジック。誰一人として予想していなかったその攻撃にわたし達が驚く中……電撃の主が、皆さんの前へと降り立つ。それは、その人は……

 

「……貴様…!」

 

────元お姉ちゃん達の宿敵であり、今は仲間…そして昔は昔の女神様に協力していた女性……マジェコンヌさんだった。

 

 

 

 

「マジェ…コンヌ……?」

「久しいな、守護女神達。…君達が無事でよかった」

 

落ち着いた銀色の髪をふわりとなびかせながら振り向いたマジェコンヌさん。マジェコンヌさんはお姉ちゃん達四人を一人一人見やって、全員目にしたところでふっと安心した様な笑顔を浮かべた。

 

「マジェコンヌ…貴女も、来て…ましたの、ね…」

「前回の封印から犯罪神の復活がこうも早くなったのは、間違いなく私に責任があるのだからな。のんびり暮らしてなどいられないさ」

 

そう言ってマジェコンヌさんは再び視線を前に。その先にいるマジックは…どういう訳か、邪魔をされたのに愉快そうな表情を浮かべている。

 

「…いやはや、驚いた…まさか貴様が、いや貴女まで現れるとは…」

「…………」

「こうして実際に会うのは初めてですね。貴女のおかげで…貴女が世界に悪意を振りまいてくれたおかげで犯罪神様の復活は大きく前進した。忠実なる犯罪神様の僕として感謝致しますよ、マジェコンヌ」

「…ふん、白々しい。結果的にそちらの利になったとはいえ、内心では犯罪神のシェアを横取りした私を快くは思っていないのだろう?」

「おや、バレていましたか…その通りだ、シェアの横取り…そして犯罪神様のお姿の模倣など、許しがたいにも程がある。…そういう意味では、貴様も一緒くたに潰せるこの状況は幸いかもしれないな」

 

丁寧な、謙った口調でマジックはマジェコンヌさんに接する…けど、皮肉としての敬語だったみたいですぐにそれは止めてしまった。ギロリとマジェコンヌさんを睨むマジックの姿に、焦りの感情は感じられない。

 

「この状況を、幸いと言うか」

「あぁ。…まさか貴様、自分一人が来ただけで戦力差が覆ったとでも思っているのか?今の貴様では、我に勝てる可能性など万に一つもないというのに」

「…ふっ、そうだな…確かに私一人では勝てないかもしれない。……だが…」

 

マジックの蔑む様な言葉を、マジェコンヌさんは飄々と受け止めてしまう。…そう、マジェコンヌさんは今でも強いけど、世界を破滅させようとしていた時の強さはもうない。だからまだ状況としては劣勢な筈で、マジェコンヌさんの飄々とした言葉の真意がわたしには見えてこない。……けど、その瞬間に複数人の足音が聞こえた。そして、マジェコンヌさんは言った。…私達なら、って。

 

「え……?」

 

わたしとお姉ちゃん達の間をすり抜ける様にして、六つの人影が駆け抜けていく。その人達はマジェコンヌさんの後ろ…広がっているコンパさん達に連なる様に立っている所に並び立って、それと同時に武器を構えた。

一瞬、何が起きたの?…って状況を理解出来なかったわたし。でも、その人達の後ろ姿を見て…気付いた。その人達が皆、わたしの知ってる人だって。

 

「い、いきなり独断専行されて驚いたよマジェコンヌさん…」

「モンスター無視していくのは止めてほしかったかな…追おうとしたモンスターとわたし達が鉢合わせる形になっちゃったし…」

「あぁ、すまない。我ながらあれは軽率だったと反省している…」

「……!皆さん…!」

 

MAGES.さんに、マーベラスAQLさんに、ファルコムさん。鉄拳さんに、ブロッコリーさんに、サイバーコネクトツーさん。……その六人というのは…間違いなく、前の旅でお姉ちゃん達に協力してくれた皆さんだって。

皆さんの登場に、皆さんがここへ駆けつけて来てくれた事にわたしは胸が高鳴る。ピンチにそれまで不在だった仲間と昔死闘を繰り広げた敵が助けに来てくれるなんて、それはなんてドラマチックな展開なのか。凄い…こんな事が、実際に起こるなんて…これなら、これだけの人がいてくれるなら、もしかしたら本当にわたし達候補生組が回復するまでの時間稼ぎも出来ちゃうかも──

 

「久し振りだにゅ、全員元気そうでよかったにゅ」

「ね、ネプテューヌさん達は元気って呼べる状況じゃないんじゃないかなぁ…?」

「あ…あれ!?MAGES.!?なんでここにいるの!?」

「あ…あれ!?何か物凄く昔のあたしにそっくりな子が目の前にいる!?」

「おー!何かよく分からないけど一気に可愛い子が増えた!何これボーナスタイム!?」

「話には聞いていたが…ふふ、こんな所で再会するとは予想外だったぞ、5pb.よ」

「お久し振りです…じゃなくて、初めましてなのかな?この次元のファルコムさん」

「…待って、どうして皆この人達に順応してるの?私、暫く不在にしていた事あったかしら…」

「あー…うん、そういう事じゃないわよケイブ…」

「わたし達もそこそこ順応出来てないですから大丈夫ですよ…」

 

……あれ、何この状況。ここ宴会会場だっけ?こんな賑やかに会話楽しめる状況だっけ?……な、なんでこうなったの…?

…と、わたしが思った瞬間、マジェコンヌさんの足元に斬撃が飛来する。

 

「……駄弁なら死んでからやれ、目障りだ…」

 

飛んできた斬撃が地面を斬り裂き破片が飛び散った途端、しんと静まる皆さん。けど…別に怖気付いた様子はない。それは標的になっていたマジェコンヌさんもそうで、彼女はやれやれと首を振りながら一歩前に出る。

 

「余裕がないな、マジック。…しかしそれも仕方のない事か、この状況であれば」

「…その言葉…まさか、これで戦力差が覆ったとでも言うのではなかろうな?」

「いいや、覆っているさ。確かに私含め、個々の能力では貴様に敵わないだろうが…それでもここにいるのは全員が一騎当千の実力者。…貴様こそ、よもやこれだけの実力者を相手に、女神候補生が回復するまでの短い時間で押し切れるとでも言うつもりか?こうしている間にも、私達は勝利条件に近付いているのだぞ?」

 

それまでずっと余裕の表情を見せていたマジックが、その瞬間遂に表情を崩して苛立ちの顔付きを見せる。…じゃあ、まさか…さっきの宴会みたいな雑談も、わたし達が回復する為の時間稼ぎの一環だった…?

 

「…………」

「今の女神候補生四人であれば、貴様も命の保証はないだろう。仮に生き延びたとしても撤退は余儀なくされ、わざわざ用意したその戦力も激減するだろうな」

「…脅すつもりか?後悔したくなくば、ここから退けと」

「さぁ、それはどうやら。だが、私ならここで無理には戦わず、各地で制圧されつつある犯罪組織の損害を抑える事に努めて再起の機会を伺うな。…先を見据えた戦略的撤退ならば、貴様の主も貴様を咎めはしないだろうさ」

「咎める?浅いな、我は犯罪神様に気に入られたくて従事している訳ではない。例え失望されようと、犯罪神様の利益となるなら我は喜んで行おう」

「…………」

「…………」

 

わたしの位置からマジェコンヌさんの顔は見えないけど…きっとこの二人の視線は今ぶつかっている。戦闘になるのか、それとも退いてくれるのか。そんな無言の緊張が数秒続いて……

 

「……いいだろう、今は貴様の口車に乗ってやる」

「ならば賢明な判断だ、と言っておこう」

「せいぜい一時の勝利に酔いしれているがいい、女神共。…だが、その後貴様等は知る事になるだろう。今得た勝利はちっぽけなものであった事を…守護女神の幽閉も犯罪組織も、所詮は手段の一つに過ぎなかった事をな」

 

そう言ってマジックはわたし達に背を向けて、モンスターや兵器と一緒にギョウカイ墓場の奥へと去っていった。そうしてマジックの姿が見えなくなった頃、去ると見せかけた奇襲を危惧して緊張感を保っていた皆さんも構えを解いて…その時やっと、危機は去ったんだな…とわたしは実感した。

 

「ふぅ…貴女も煽るわね、マジェコンヌ。怒って本気で仕掛けてきたらどうする気だったのよ?」

「負のシェアに飲まれた私にすら臆さず敵となり続けた君達がいるんだ、その場合も何とかなっただろうさ」

「えらい調子のいい事を言ってるにゅ」

「これはねぷちゃん達の力をコピーした影響かもね」

「ふっ、それは困ったものだ」

『え……?』

 

マベちゃんさんの言葉にくすりとしたわたし達は、お姉ちゃん達がきょとんとした反応を見せた事で更にくすり。それを機に皆さんが集まってきて、わたし達女神は囲まれる形になる。

 

「それにしても、暫く見ないうちに皆強くなったんだね」

「あ、はい。…鉄拳さんは相変わらず…薄着?…ですね…」

「何とか間に合ったし、これで一安心だね。ノワールさん達、帰りはわたし達が肩を貸すよ?」

「情けない、けど…助かるわ……」

「…そう、だな…こんだけ…人がいる、なら…わたし達も安心、だ…」

『…おねえちゃん?』

 

これまでずっと別の案件?…でいなかった皆さんが揃って来てくれた事に驚いたり、二人のファルコムさんが顔を見合わせてたり、5pb.さんとMAGES.さんが親しげにしていたり…そんなちょっと気の緩んだ雰囲気の中、ふとブランさんが物憂げな呟きを漏らした。…ううん、ブランさんだけじゃない。お姉ちゃんも、ノワールさんも、ベールさんも…皆さんに肩を貸してもらって立った四人は安心した様な…でも同時に不安そうな表情を浮かべていた。

 

「…お姉ちゃん、どうかしたの…?」

「……ごめんなさい、ネプギア…帰り、の…事は…貴女と皆に…任せる、わ…」

「え…そ、それってどういう意味……」

「……っ…」

「あ…お、お姉ちゃん!?」

 

するり、と貸してくれている肩から滑り落ちて地面に倒れるお姉ちゃん。お姉ちゃんは地面にぶつかると同時に女神化が解けて……お姉ちゃんの白いパーカーワンピが、色水を零したみたいに真っ赤に染まった。そして、慌てて倒れたお姉ちゃんを起き上がらせようとしたわたしは……後悔する。

 

「あ……ぎ、ギアちゃん達は目を瞑って下さいです!あいちゃんッ!」

「……ッ!えぇ!」

「わわっ!?な、なんなの!?」

「ま、まっくら…!?(びくびく)」

 

いち早く気付いたコンパさんが声を上げてくれたけど、その声は間に合わなかった。アイエフさんがヘッドロックみたいな動きでロムちゃんとラムちゃんの視界を塞いでくれたけど、わたしとユニちゃんはもう手遅れだった。

お姉ちゃんの肩を掴んで起き上がらせた瞬間、ぼたり…と何かがわたしの脚に当たった。赤黒くて、生暖かくて、ぐにぐにとした、何か。それはパーカーワンピのスカート部分の下から垂れる様に伸びていて、その管の様な何かからは真っ赤な液体が滲み出ていて──

 

「……──っ!!」

 

それが何か分かった瞬間、お腹の奥から登ってくる不快感と嘔吐感に襲われ後退る。ケイブさんが駆け付けてきてくれて、背中をさすってくれる中、わたしは口に手を当てて吐きそうになるのを必死に耐える。

あの形が、あの色が、わたしの脳裏にこびりついて離れない。恐らくはこれまでもモンスターを倒してから、そのモンスターが消えるまでの瞬間に同じ様なものを見た機会も一度や二度位はあった筈だけど……モンスターと人じゃ、感じ方が違い過ぎる。忘れたくても忘れられそうにない、わたしの精神を一瞬で打ち砕いたそれは……

 

 

 

 

 

 

────お姉ちゃんの、内臓だった。




今回のパロディ解説

・「〜〜女神でもない〜〜朽ち果てる〜〜」
原作シリーズの一つで、本作の直接の原作、Re;birth2のEDムービー内にあるネタの一つのパロディ。ここで来るのが守護女神ではなくマジェコンヌというのもミソです。

・「〜〜そうだな…確かに〜〜……だが…」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズの登場キャラ、ガエリオ・ボードウィンの台詞の一つのパロディ。アインに該当しそうなキャラは……うーん、思い付きません。

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