超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress   作:シモツキ

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第四十二話 一息つけたところで

「さて……じゃあ最後になったけど、経緯はどうあれ貴女達には助けられたわね、感謝するわ」

 

犯罪組織に逃げられてから数時間後。私達は保護(自力で人質状態から脱してるから保護って表現は合わないけど)したチカさんを連れて、教会まで戻ってきた。……ここ最近ではトップレベルに落ち込みながら。

 

「感謝なんてそんな、チカさんを助けられたのは完全に偶然でしたし…」

「偶然、ね。…まさかアタクシの救出を、教会が進めてなかったなんて……」

「チカがただのか弱い少女であれば、即刻救出作戦を進めていたかもしれぬな」

「…アタクシ、病弱なんだけど…」

「それ以前に教祖じゃろう?」

「いや病弱は生まれつきよ、教祖以前に病弱よ…」

 

と、教祖と教祖代行…というより親戚の会話を交わすチカさんとイヴォワールさん。私なら大丈夫だって信じてたから、って言うところだけど……それを言わないのは年の功が成せる心理とかかな?

 

「…まぁ、あの場でそのまま連れていかれていればこちらが不利になっていたのは紛れもない事実。教会の者として、私からも感謝をさせて頂きますぞ」

「ネプギアも言いましたけど、本当に気にしないで下さい。…むしろ、千載一遇のチャンスで誰一人捕縛出来なかった事を謝罪します…」

「なんのなんの。話を聞く限り、教会主導で行なっていたとしてもどれだけ成果を上げられたか怪しいものですし、何より今回の件に関して教会は、ケイブの協力以外何一つしておりませんからな。責める理由がありませぬよ」

「それに、人には逃げられたけど見方によっては施設を掌握とも言えるのが今回の結果。何れにせよ、今回の件で犯罪組織に打撃を与えられた筈よ」

 

全員…とは言わずとも、ある程度の人数は捕らえ、施設から各種情報を手に入れるつもりでいた私達だったけど、その結果は構成員には全員逃げられ、情報も殆どが持ち去られたか廃棄されたかで入手不能という散々なものだった。勿論イヴォワールさんとチカさんは私達の為に誇張表現してる…なんて事は無いし、実際私達もそれは分かってるけど……やっぱり、たらればを考えて気落ちしてしまう。

 

「ここまで何だかんだ成功続きだったけど…それで私達、無意識に油断してたのねきっと…」

「特にわたし達は、イリゼちゃんやギアちゃんが凄い活躍してたからって気を抜き過ぎだったです…」

「相手は巨大な組織だって失念していたから、こんな事になったんだよね…」

「み、皆さん…何もそこまで落ち込まなくても…」

「…ネプギア、アンタ前からイリゼさん達と一緒にいたんだから、何か元気付けてあげたら?」

「わ、わたしが?そんな事言われても……あ、こういう時こそREDさんお願いします!お姉ちゃんと波長が合いそうなREDさんなら出来る筈です!」

「え、アタシ?…なんかちょっと失礼な言い方された気もするけど…嫁候補に頼られちゃ、やらない訳にはいかないよね!ネプギア、ちょっと教えて!」

 

ずーん…と私にコンパ、アイエフが落ち込んでる中、何やら話しているネプギア達。ちょっと気になってそっちを見ると…何やら自信ありげな表情でREDがこっちを見ていた。

 

「……えと、何…?」

「はいはいちゅーもーく!アタシ、よく知らないネプテューヌの事を、ネプギアから聞いた情報だけでモノマネしてみます!」

『……はい…?』

「こほん。……ねっぷねぷにしてやんよっ!」

((え…えぇぇぇぇ……?))

 

びしっ!とポーズを決めて、ネプテューヌの決め台詞(?)を口にしたRED。続けてREDは「カンガルーの様に!」とか「ねっぷねっぷ〜♪」とか「プリン大好きねぷ子だよ!」とか、かなり意味不明なモノマネを続けていく。…えーと、何これ?どういう事?私達は何を見せられているの?後、最後のはネプテューヌ言ってないよね?

そして……

 

「……ふぅ…」

((や、やりきった顔を…モノマネ終わった(の・です)…?))

「こんなものだよね。それで、どうだった?」

『……な、何が(です)?』

「え?」

『え?』

「…………」

「…………」

『…………え?』

 

え?いや…本当に何?私達いきなりモノマネ見せられただけだよ?しかもそこまで上手い訳でもないんだよ?…ねぇ、ちょっと……

 

「誰か説明してよッ!?」

「ぴいっ!?」

『イリゼさんがキレた!?』

「あー!ちょっと!ロムちゃん怖がらせないでよ!」

「あ、ご、ごめんキレてないキレてない。キレてないからロムちゃん怯えないで…」

「……ほ、ほんとに…?怒ってない…?」

「ほんとほんと、キレてないっすよって言っちゃう位怒ってないから…ね?」

 

落ち込んでたところに理解不能過ぎる事態が起きて、つい心の声を心だけに留めておけなかった私。けどそれは、ネプギア達からすれば突然キレて大声を出した様にしか見えない訳で……結果ロムちゃんに怯えられてしまった。……うぅ、意味分からないしまた悪い癖出たし怯えられるしで散々過ぎる…。

 

「…加入以降ほぼ毎日思っているけど、ほんとにこのパーティーは賑やかね…」

「あ、あはは…わたしのチョイスがいけなかったのかな…」

「いやそれ以前の問題でしょ。多分イリゼさん達、なんでREDさんがモノマネしたか分かってないわよ?」

「え……あの、少しでも元気なってもらえるかなと思ってREDさんに頼んだんですけど…」

「そ、そうだったんですか…?」

「……えぇー…」

「えぇーって言いたいのはこっちの方よ…でも元気付けようとしてくれてたのね。それはありがと」

「どう致しましてだよ!…でもよかったぁ、反応悪かったけど別にスベってた訳じゃなかったんだね」

「それは…まぁ、うん……」

 

と、皮肉にも私が声を上げた事で、会話は私達三人が理解していなかったという事に辿り着き、無事相互理解に到着する。…最後私がREDの言葉に対してお茶を濁した事については…訊かないでね?要はREDは性格こそネプテューヌと似てるけど、見た目や声は別に似てないって事だからそれで納得してね?

正直元気はそんなに出てないし、私なんかはただただ災難に遭っただけな気もするけど…それでも気は紛れた私達三人。私達は何とかしようとしてくれたネプギア達に感謝しつつ、意識を本題へと切り替える(因みにチカさんは呆れ顔を、イヴォワールさんは苦笑いをしていた)。

 

「犯罪組織がただのならず者集団ならば、そもそもこの様な状況にはなりませぬ。過ぎた事、と安易に開き直る者は同じ轍を踏むのでしょうが、必要以上に振り返る事もまた己が為になりますまい」

「ですよね…ご教授ありがとうございます」

「女神様にご教授など滅相もない、老人の戯言とでも思って下され。…しかし、まさかまたもマジェコンヌの名を冠する相手に騙されてしまうとは…」

「またも、ってどういう事です?」

「昔…と言っても、貴女方が初めて来た時に、儂はルウィーの使いに扮したマジェコンヌさんに騙されてしまいましてな。何を吹き込まれたか、その結果どうなったかは…」

「あぁ、そういえばそんな事言ってたけど…それもマジェコンヌが原因だったのね。…改めて考えると、ほんとマジェコンヌは一人でよくあそこまで出来たものよね……」

 

意外なところで意外な事実が判明。同時にただでさえ半端ない活動量(守護女神三人を唆してネプテューヌを天界から落としたり、アヴニールと裏で繋がってたり、ルウィー教会を掌握してたり、移動大陸を不動大陸に変えてしまったりetc…)だったマジェコンヌさんの悪行記録に新たな1ページが追加されてしまう。……教会掌握とか女神の力コピーとかは分かるけど、他国の使いに扮する事まで自分でやるなんて…そこまでして一人で進めたかったのかな…。

 

「ねー、話がだっかんされてないー?」

「ラムちゃん、それ多分…だっかんじゃなくて、だっせん…」

「そうそうだっせん。だっせんするならせめて、わたしたちにも楽しめる話にしてよね」

「あ…またもごめんね。ええと……そうだ、イヴォワールさん。下っ端を隠れ蓑にした本命のスパイについて心当たりありますか?」

「そうですな…言われてみればもしや、と思う者はありますが……そやつは既に逃げた後でしょうな」

「じゃあ、リーンボックス…というかわたし達の情報がかなり流れちゃって、今後は先手を取られたり、裏をかかれたりするんでしょうか…」

「あー、それは大丈夫よ。…いや大丈夫ではないけど、それはお互い様だもの」

 

ネプギアが口にした不安は私達全員が思っていた事で、情報漏洩をみすみす許してしまった事はかなり洒落にならない。だから場合によっては即刻その対処に動かなければ…と思っていた私だけど、その言葉を受けたチカさんはひらひらと手を振って大丈夫アピール。そんな反応に私達は揃って首を傾げる。

 

「お互い様…って、情報を奪われた事ですか?」

「そうよ?」

「それって…まさか、捕まっている間に情報を?」

「えぇ、それとついでに権謀術数に乗せられて情報吐いた様に見せかけて、上手い事偽情報を掴ませてやったわ。今頃犯罪組織はそれに踊らされてるか、盗んだ情報と合わずに混乱してるかでしょうね」

 

さも当然です、と言わんばかりの平然とした表情で答えるチカさん。それならまぁ、不幸中の幸いというかまだマシな結果って言えるけど、それよりも……それはもうちょっと誇示してもいい成果ですよ、チカさん。

 

「流石ですね、チカ。…でも情報盗まれた事には変わらないし、特命課も今後は気を付けないと…」

「私達も情報には注意しようか。情報戦、なんて言葉がある位には重要なものなんだからさ」

「ですね。…そういえばネプギア、本物の教祖と会えたんだからあの話するべきじゃない?」

「あ…そうだね。チカさん、プラネテューヌの女神候補生として、お話があるんですが…」

 

話がひと段落ついたところでユニから言葉を受け、ネプギアは二度目(パーティーとしては三度目)の報告と協力要求を口にする。それを私はラステイションの時は代行、ルウィーの時はきっかけと補足をそれぞれ私が担当していた会談も、遂にはノータッチでもきちんと進められる様になったんだなぁ…としみじみと聞くのだった。……え?会談の結果?どんな反応したか?…聞くまでもないと思うけど…。

 

「えぇ勿論協力するわ、協力するに決まってるじゃない。お姉様を助ける為ならば、アタクシはどんな手だって使ってやるわ!……え?世界の為?…それもまぁそうね、けど最優先すべきはお姉様よ!」

 

…ほらね?聞くまでもなかったでしょ?……ベールはほんと愛されてるなぁ…。

 

 

 

 

それから数日。私達の情報を元に、教会によって地下施設の調査が行われたけど、やっぱりこれといった発見や成果は得られなかった。でも、同時に『利便性のある施設をほぼ無傷で押さえる事が出来た』と軍部を始めとする一部からは感謝の声も上がったらしくて、私達としては何とも言えない気持ちに。…感謝されるのは嬉しいけど、失敗の結果ってなるの素直に喜べないんだよね…。

そんな私達は、今もリーンボックスに在留中。そして私は、借りた部屋で思考中。

 

「ふぅむ……リーンボックスでもそれなりに私達の活動が伝わってきてる様だけど…これからどうしようかな…」

 

この旅の大きな目的は、教会からの協力を得る事と、女神候補生に同行してもらう事と、各国に女神が再び世界の為の旅をしてると伝える事。先日一つ目はクリアして、二つ目は候補生がいない為に達成不能(だからそもそもここでは目的にしてない)で、残る三つ目もこのままなら滞りなく十分と言えるレベルに達する。そうなれば私達はリーンボックスを後にして、プラネテューヌに戻るんだけど……

 

「…やっぱり、女神候補生がいない分活動期間を伸ばした方がいいかなぁ……いやむしろ、短い方が後々いいのかも…?」

 

当然滞在期間が長ければ長い程、リーンボックスにおける犯罪組織の活動への牽制になるし女神のシェア回復にも繋がるけど……回復出来るのはあくまで女神のシェア、もっと言えば現女神一行にいる女神のシェアであって、ベール個人のシェアではない。おまけにベールには妹(女神候補生)がいないから「候補生の活躍につられる形で守護女神のシェアも…」って事も起こり辛く、結果私達がシェアを集め過ぎると相対的にベールのシェアが降下する事になり兼ねない。…守護女神四人を奪還は出来たものの、ベールのシェアは……なんて事になったら私、ベールにもチカさんにも顔向け出来ないよ…。

 

「ここは他国と同じ位にしておくか、それかそこまで個人シェアへの影響力が少なそうな私が単独で動くっていうのも……っと、もしもし?」

 

色々と選択肢を思い浮かべていた中で鳴った、私の携帯。電話の相手はイストワールさん。

 

「わたしです。今お時間宜しいですか?(・・?)」

「はい、大丈夫ですよ(あ、電話越しでも顔文字が分かる…これほんとどういう技術なんだろう…)」

 

別に疑ってた訳じゃないけど、受話口から聞こえてくるちょっと舌足らずな声は、間違いなくイストワールさんのものだった。……それ以前に言葉の中に顔文字混ぜる知り合いなんて、イストワールさん位なんだけどね。

 

「それは良かったです。旅立たれてから暫く経ちましたが…イリゼさんも皆さんもお元気ですか?(´・∀・`)」

「皆元気ですよ。…と言っても、途中一回プラネテューヌに戻りましたけど」

「あの時はケイさんの依頼でしたね。こちらもライヌさん含め、元気ですよ(^ ^)」

「…ライヌちゃん、ご迷惑をかけていませんか?」

「かけてませんよ。…強いて言えば、未だにわたしに心を開ききってくれていないせいでご飯をあげるのが大変ですが……(⌒-⌒; )」

「あはは、すいません…」

 

旅に連れていけないライヌちゃんの事は、あんまり口外しない方がいいと思ってイストワールさんに頼んでおいたんだけど…サイズ的な問題は勿論、女神不在の中教祖として忙しい筈のイストワールさんに任せるのはよくなかったのかもしれない。…感謝します、イストワールさん。

 

「…それで、どの様な要件なんですか?」

「あぁはい、と言ってもただの状況確認ですけどね( ̄▽ ̄)」

「それならば、定期的に連絡を入れてますけど…」

「業務的なものではなく、もっと身近な感じの確認ですよ。前の旅の時では、鍵の欠片を見つける度に話していましたからね」

「そういえばそうでしたね。でも、ほんとにわざわざ報告する様な事はありませんよ?リーンボックスでも毒殺されかけたり処刑されかけたりしてませんし」

「それは無いのが普通かと…というか、今そんな事されたらプラネテューヌとリーンボックスは戦争待った無しですよ(ーー;)」

 

あんまり笑えない冗談でしたね、と私とイストワールさんは互いに苦笑いを漏らす。…にしても、ほんとに前の旅に比べると今回は危機的状況ってのが少ない気がするなぁ…。

 

「…先手を打てるだけで、ここまで上手くいくものなんでしょうか…」

「そう、ですね…確かに先手を打てればそれだけで有利になるものですが、それだけではないと思いますよ?少人数で各国を巡る、という点では同じですが、今回は教会を始め協力体制がしっかりしていますからね。それに……」

「…それに?」

 

含みを持たせて言葉を区切るイストワールさん。私がおうむ返しの様に単語を聞き返したところで…イストワールさんは再び口を開いた。

 

「…きっと、ネプテューヌさん達が最初に大打撃を与えてくれたのが大きいんだと思いますよ?(´∀`=)」

「……今まで侮ってた訳じゃないですけど、ほんとに四人は凄いですよね」

「えぇ。何だかんだ言っても守護女神は偉大です。…複製された原初の女神様と、遜色ないと思える位には」

「え……それって…」

「今リーンボックスという事は、戦略を次のフェイズに移行するのもそう遠くないという事です。焦る必要はありませんが……相手は人類史の中で何度も女神を、世界を危機に陥れた犯罪神。決して抜かってはいけませんよ?」

「あ……は、はい。それは身を持って痛感しましたし、脅威度を違えない様気を引き締めます」

「お願いします。では、これからも頑張って下さいね。それとお土産、期待していますよ(・∀・)」

 

イストワールさんの、ネプテューヌ達守護女神への…そして私への評価を意外なタイミングで聞いた事で私は動揺してしまう。しかもそれをイストワールさんは狙っていたみたいで、私が動揺しているうちに話をまとめて通話終了に持っていってしまった。……これは多分、イストワールさんの方もちょっと言うのが恥ずかしかったんだろうなぁ…してやられちゃったよ。

 

「…でも、その通りだよね。頑張ってくれたネプテューヌ達の為にも、期待してくれてるイストワールさん達の為にも、協力してくれてる皆や色んな人の為にも、私だって頑張らなきゃ」

 

油断すれば、成功に傲れば地下施設の時の様に足元をすくわれる。慎重になり過ぎて二の足を踏んでいたら、目的はいつまで経っても進められない。だから……動く事、考える事、注意する事、覚悟を決める事…どれかじゃなくて、どれもを選ばなきゃ、だよね。

 

「さてと、お土産期待してるって言われちゃったし、息抜きも兼ねてリーンボックスの人気お土産検索でも……」

 

そこで再び鳴った、私の携帯。タイミング的にもイストワールさんが言い忘れた事を伝えようとしてるのかな…と思った私は相手もよく確認せず、ちょいちょいと呼び出しを受けて耳に当たる。…あ、ならついでにさっきのお返しも──

 

「やあ、突然電話してすまないね」

「……あれ、その声…エスーシャ?」

「そうだが?」

 

電話越しに聞こえてきたのは、舌足らずな声ではなくちょっと低めの、クール感溢れる声だった。……わぉ、びっくり。

 

「えーと…こんな時間にどうしたの?ギルドに何か問題が?」

「いいや、大至急受注してほしいというクエスト依頼がきてね。その依頼内容は君達にとって大いにプラスになると思って連絡をいれたのさ」

「…と言いつつ、実際は受注も達成も確実にしてくれるだろう私達に頼めば、『急且つ厄介な依頼もこなしてくれるギルド』って評価を簡単に得られるって打算をしてるんでしょ?」

「さぁ、その話題には興味ないね」

 

興味ない興味ない言うエスーシャだけど、支部長なだけあって強かな面も持っているし、腹芸だってお手の物。…というか、女神も教祖も皆大概はそういう能力を有している。ネプテューヌやビーシャは怪しいところだけど。

…と、そんな感じに言葉の裏にあるものを探る私だけど、特に追求したりはしない。それ位の事は当然だって思ってるし、何より……元々教会への委託や受注制限を行っている依頼だけじゃなく、一般公開される筈の依頼まで私達に大きな利益がありそうなら優先的に回してくれって頼んでる時点で、私も人の事言えないからね。

 

「……で、その内容って言うのは?」

「とあるライブで突然欠員が出てしまったらしくてね。依頼内容は、当日その代理を務めてほしいというものさ」

「それって、運営スタッフが足りないから人手が欲しいって事だよね?…確かに普通のクエストよりは人目浴びるけど……そこまでの事かな?っていうか、当日でもないのに身内でスタッフ補充出来ないってかなり問題じゃ…」

「いいや、足りないのはスタッフじゃない」

「え?……って事は、まさか…」

「そう。足りないのはスタッフではなく出演者。……やってくれるな?」

 

なんと、足りないのはスタッフではないらしい。あぁそっか、それならスタッフより換えが聞かないのも分かるし、大々的に人目を浴びるんだから私達にはうってつけの依頼だね。こんな降って湧いた様な好機、逃す訳にはいかないよ。よーし、その依頼は……

 

 

 

 

 

 

「……い、いや…ちょっと皆で相談させて…」

 

────そりゃ、即決出来る訳がないでしょうが…。




今回のパロディ解説

・プリン大好きねぷ子だよ!
アホガールの主人公、花畑よし子のテレビCMにおける代名詞的台詞のパロディ。別に二人に関連がある訳じゃないですが…キャラの関係かどうしても結び付いてしまいます。

・キレてないっすよ
プロレスラー、長州力さんのモノマネ芸人である長州小力こと久保田和輝さんの持ちネタの一つのパロディ。いやほんとイリゼはキレてないです、テンパってるだけです。

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