超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress   作:シモツキ

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第十六話 不穏な空気

ラステイションの機動兵器、MGことマルチプルガーディアン。その輸送方法は、プラネテューヌと同じく基本的には車両を利用する。それは勿論、兵器が剥き出しで移動していたら国民の不安を煽るという理由もあるし、戦闘用に色々と詰め込んであるMGで移動するより輸送に特化してる車両を使った方が燃費が良いという理由もある。

────そんな車両が、正体不明の集団に襲撃された。当然護衛の車両もある筈の軍用輸送車を襲うなんて、そこらの強盗や山賊とは思えない。戦力的にも、襲う利益的にも、あり得るのは……

 

「犯罪組織が襲撃者なの!?」

「分かりません!通信が途絶したみたいです!」

 

先導するユニを追って、私達は走る。ユニ…というか教会からの情報では、輸送中に突然襲われ、輸送車の壁になった護衛車が走行不能になったらしい。それ以降通信途絶してしまい、情報を得られなくなった為にまず私達は走行不能となった護衛車へと向かっていた。情報収集と、護衛車に乗っていた人の救助の為に。

 

「私達の近くで起きたのは不幸中の幸いね…!」

「すいません、これは完全にうちの問題なのに…」

「気にしないでユニちゃん。人が危ない目に遭ってるなら女神としてほっとけないし…MGを渡す訳にはいかないもんねっ!」

「なんでちょっと鼻息荒くなってんのよネプギア…!」

 

ネプギアには明らかに女神としてのものとは別の意図がある様に聞こえるけど…言葉自体はその通り。助けが必要な人がいると聞いて何もしないのは女神の道に反するし、どんな組織であれ軍用機動兵器を奪われるのは後々の被害に直結する。特に後者は私達自身への被害にだってなりかねないし、それだけでもユニに協力する理由としては十分だった。

 

「あっ、なんか煙が見えたよ!あれじゃないかな!」

「だね!…っとRED、REDは無理に来なくてもいいよ?何があるか分からないし…」

「もー、水臭い事言わないでよイリゼ。乗りかかった船から降りるアタシじゃないよ?」

「…分かった、近くに襲撃者の仲間がいるかもしれないし皆油断しちゃ駄目だよ!」

 

その純真っぽさと天真爛漫さですぐ私達と打ち解けたREDも、今は共に走っている。…ほんと、REDはネプテューヌと雰囲気が似てるなぁ…趣味は大分違うっぽいけど。

そうして走る事暫く。段々と道の整備状態が良くなり、大型車両でもすんなりと通れる位の道へ合流したところで……横転し煙を上げている車を発見する。

 

「見つけた…!生存者はいる!?いるなら返事しなさい!」

 

車辿り着くと同時に扉を叩いて声を張るユニ。続いて私達が扉を開くと……

 

「ぐっ…重傷者はいますが、全員…生存してます……!」

 

ゆらり、と私達が開けた方の扉(逆は地面に接しててそもそも開かない)から一人の軍人が出てきた。そこから車内を覗くと…確かに、全員息がある。

 

「……っ…良かった…コンパさん、手当て出来ますか…?」

「勿論です!でもまずは、全員車の外に出さないと診られないです!」

「なら、皆で運び出すよ…!」

 

私はそう言うと同時に空を向いている扉を全て開け、極力怪我した軍人さんを揺らさない様にしながら外へと引っ張り出す。…軍人さんは勿論大の大人だけど、人外筆頭の女神であれば女神化せずとも持ち上げる事が出来るんだよね。背丈の格好でネプギアとユニは二人で協力して引き上げてるけど。

 

「わたしは早速診ていくです。あいちゃんとREDさんは診易い様皆さんを並べて下さいです」

「了解よ、任せて」

「はーい、じゃあこの女の人はアタシが運んであげるね!」

 

私達が外へと出した軍人さんは、アイエフとREDが道路横の草原に寝かせていく。

コンパはまだ手当てを始めない。全員手当てしなければいけないのは明らかだけど、目の前の人からやるより重傷の人から始めた方が結果的に生存確率は上がるから。それに…場合によっては、コンパ特有の治療を行う必要もあるから。

 

「うぅ…女神様の手を煩わせて、すい…ません…」

「そんなの気にしないで、戦って傷付いた国民を助けるのは女神として当然の事なんだから。…コンパさん、この人で最後です」

「じゃあ、その人も寝かせて下さいです。それと車は……」

「危ないから移動、だね。二人共、爆発しても大丈夫な所に移動させるよ」

 

全員運び出した私達は目を合わせ、女神化した後車両を持ち上げる。見たとこ即爆発しそうな風には見えないけど…気を付けて運ばないと…。

 

「…ここら辺で大丈夫では?」

「そうだね。指挟まない様にゆっくり降ろそうか」

「な、なんか家具移動させてるみたいな言い方ですね…」

 

ユニの突っ込みに苦笑しながら車両を安置。その後皆の元に戻ろうと振り向くと……コンパが軍人さん達の列の丁度中央辺りで立っていた。

それを見て不思議そうな表情を浮かべているネプギアとユニ。……あ、そっか。

 

「二人はコンパの治癒魔法見るの初めてだっけ?」

「あ、はい。…コンパさんって魔法使えたんですか?」

「うん、と言ってもほぼ全て我流だけどね」

「そうなんですか…わたしコンパさんは普通の手当て専門だと思ってました…」

「旅を始めたばかりの頃はそうだったよ?…その頃のコンパはまだ普通の人だったな…」

 

と、私が昔の事に想いを馳せていると…コンパの足元に魔方陣が現れ、淡い光を帯びながら広がっていく。それが軍人さん達全員をカバーする程に広がると、淡い光が一瞬強くなり、魔方陣から生み出される様に光を帯びた包帯が現れた。

 

『包帯……?』

「コンパにとって包帯は、手当ての象徴なんだろうね」

 

包帯は数秒程宙を舞った後、次々と軍人さん達の怪我へと向かい、しゅるしゅると巻き付いていく。そして……

 

「凄い…怪我が癒えてる……」

 

──魔法の包帯が消えた時、それまであった筈の怪我は綺麗に消えていた。それこそ、物を消す類いのマジックの様に。

 

「ふぅ、これで取り敢えずは大丈夫です」

「おぉー!アタシの嫁候補として申し分ない手当てだね!」

「…けど、これは応急処置なんでしょ?」

「はいです。これで暫くは持つですけど、後でちゃんと手当てしなきゃ傷がまた開いちゃうです」

「…なら、それはうちに任せて下さい。アタシ達が来たのは近かったからですが、それとは別に救援部隊がこっちに向かっていますから。それと…ネプギア、イリゼさん」

 

まずコンパに向けて、続けてくるりと振り向いて私とネプギアの方を見るユニ。

 

「アタシは、逃走を続けてる輸送車の援護に向かおうと思っています。二人共、着いてきてくれますか?」

「援護…軍人さん達の方はどうする気?」

「それは、コンパさん達にお願いします。…それを含めて、皆さんいいですか?」

「そういう事ね…いいわ。私達と歩み合わせてるんじゃ機動力ガタ落ちでしょうし」

「アタシもいいよ、それより援護なら急いでいかないと不味いんじゃない?」

「なら、二人は…?」

 

もう一度、私達を見るユニ。そんなユニの反応に、私達は顔を見合わせ…返す。

 

「協力するよ、ユニちゃん!」

「REDの言う通り、急がないと…ね」

 

言うが早いか私達は飛翔。後に続く形でユニも飛び、戦闘痕を目印に輸送車と襲撃者を追い始めた。

 

 

 

 

──飛び続ける事十数分。私達が逃走を続ける輸送車と襲撃者の車両に追い付いたのと、襲撃者の車両からの射撃で輸送車のタイヤの一つが撃ち抜かれて逃走不能になったのはほぼ同時だった。

 

「あれは…航空兵器……!?」

「あんなものがあったなんて……ネプギア、ユニ!まずはアレの注意を引くよ!」

 

ブレーキの音を響かせながら停止した輸送車にも私達は衝撃を受けたけど…それ以上に衝撃を受けたのは、襲撃者達に随伴して飛ぶ数機の機動兵器の存在だった。

機関砲らしき兵装で輸送車の周辺を撃つ、数機の機動兵器。目的が撃破ではなく輸送物の強奪だからか、輸送車自体は被弾してないけど…だからって無視出来る訳がない。

二門の銃から放たれたビームと、複数本の剣が最後尾の機動兵器に襲いかかる。その内の一発…ユニの放った射撃は、噴射炎をたなびかせる機動兵器のメインスラスターらしき部位を撃ち抜き地面へと落下させた。

 

「まず一機……って、アレは…ッ!?」

 

機動兵器の全容を把握しようと、地面に突っ込んだ機体へ目をやった私は……その姿に、驚愕を隠せない。…いや、機動兵器の姿に驚いたのは私だけじゃない。ラステイションの女神であるユニも、趣味の関係で機動兵器への造詣も深いネプギアもその『あり得ない筈の機体』に目を見開いていた。だって、その機体はどう見ても──キラーマシンタイプだったのだから。

 

「ゆ、ユニちゃん…どうしてキラーマシンが…」

「アタシにだって分かんないわよ!キラーマシンはお姉ちゃんがアヴニールを解体した時点で、一部除いて生産停止してる筈だもの!」

「でも、このキラーマシンはどう見ても新型……」

「ストップネプギア、ユニ!そういう事は後回しだよ!」

「あ……は、はい!」

 

二人のやり取りを制し、各個行動開始の指示を出す私。ネプギアの疑問は分かる…というか私も抱いたけど、襲撃者は私達があーだこーだ考えてる間待ってくれたりはしないんだから、考えてる場合じゃない。

 

「ここまでよく逃げたわ!敵はアタシ達が蹴散らすから、もう少しだけ頑張りなさい!」

 

空飛ぶキラーマシンと私達に気付いた襲撃者の車からの射撃を避け、輸送車の運転席部分の上へと強行着地したユニ。ユニは声を張り上げて私達の事を伝え、膝立ちの姿勢で輸送車を包囲しようとする襲撃者の車両を牽制する。ユニがそっちに向かってくれたなら、私は……!

 

 

「武器や推進器が違えど、キラーマシンが相手なら…!」

 

追い縋る様にキラーマシンの一機へ近付き、一閃。その一撃で左腕部の機関砲の砲身を斬り飛ばし、反撃に移られる前にキラーマシンの背に沿う様にしてバレルロール。一気に左側から右側へと移動した私はそこから更にもう一撃叩き込む。

 

(この感覚…もしかして、これまでの陸戦タイプより装甲が薄い…?)

 

装甲を叩いた長剣から伝わる振動で、一つ情報を得た私。同水準の技術で陸戦兵器と空戦兵器を作ったのなら、空戦兵器の方が軽装甲になるのは当然の話だからこの見立ては間違いない筈。そう思った私は、右腕部の斧を振るってくるキラーマシンから離れつつ攻撃目標を切り替える。

 

「パワーならこっちの方が……ってねッ!」

 

最大速度で別のキラーマシンの前へと躍り出た私は、長剣を両手で持って大上段の構えを取る。キラーマシンもそれに反応してメインカメラと私の視線が交差するけど…このサイズ差で避けられる訳がない。大上段から振り抜かれた長剣は胴体をしたたかに打ち付け、胴体装甲をひしゃげさせた。

 

「やっぱり…ネプギア!こいつは関節部を狙う必要はないよ!」

「その様ですね…精密性より火力なら…!」

 

私の言葉に同意しつつ、ネプギアはビーム弾をばら撒きながら輸送車の方へ移動。戦法も関節狙いの近接格闘から弾幕による装甲削りへと移行した様だった。…だったら、私は…ネプギアに注意を向けたキラーマシンを落とす!

 

「このまま、一気に決めるよ…ッ!」

 

女神の基礎能力に圧縮したシェアの爆発を乗せ、背後から一撃でもってキラーマシンの頭部を破壊。飛び去ると同時に大剣を射出し、抉れた頭部を切り口に胴体を貫く。新型とはいえ単なるキラーマシン系列の機体なら…私は負けない!

 

 

 

 

わたしの火力支援とイリゼさんの重斬撃により、一機、また一機とキラーマシンの数は減っていく。…初めてみた新型っぽい機体を壊すのはちょっと残念だけど、我慢我慢…。

 

「ユニちゃん、そっちはどう!?」

「どうもこうも…あっちはアタシが麻酔弾使ってるからって容赦なく撃ってくるから、こっちの人員守るので精一杯よ!」

 

視線を下げて見れば、襲撃者達は乗ってきた車両を盾にして、輸送車を半円状に取り囲んでいる。それにユニちゃんと輸送車に乗っていた人とで対抗してるみたいだけど…ユニちゃんの言う通り、手詰まり状態に見えた。

 

(…ここまでキラーマシンの数を減らしたんだから、後は頼めばイリゼさんが引き受けてくれるかもしれない…そうすれば、わたしもユニちゃんに加勢出来る、けど……)

 

ユニちゃんのX.M.B.は(どういう原理かまでは分からないけど)およそ銃で撃てるものならあらかた使える、文字通りの万能銃。でもわたしのM.P.B.Lが撃てるのはビーム弾頭だけで、とてもじゃないけど普通の人間に対して撃てる代物じゃない。…それが、今は歯痒かった。

 

「……っ!?ネプギア!アンタちょっとそこ退きなさい!」

「へ……?」

「グレネード!アンタ爆風浴びたいの!?」

「あ……っ!」

 

余計…ではないけど雑念混じりの事を考えていたせいか、危うくわたしは車両の上部へ飛んできたグレネードの爆風に巻き込まれるところだった。た、助かったよユニちゃ────え?

 

「もう、あったまきた!いいわ、そっちがその気ならアタシだってやってやろうじゃないッ!」

「え、ゆ、ユニちゃん?」

 

ジャコン、と重々しいリロード音がX.M.B.から聞こえてくる。見ればX.M.B.の砲身も一部変形していて、それまでの麻酔弾とは一線を画す弾頭を使おうとしているのは明白だった。……っ、まさか…!

 

「出てこなければやられなかったのよ!あの世で後悔しなさいッ!」

「……ーーッ!ユニちゃん駄目ぇぇぇぇぇぇっ!」

 

ユニちゃんが引き金に指を添えた瞬間、わたしは飛び出した。飛び出して、手を伸ばして──届いた…っ!

わたしの手が触れた事でX.M.B.の向きがズレて、放たれた弾頭は車両から撃墜されたキラーマシンへと向かっていく。そして着弾した弾頭は……先程放たれたグレネードより、数段規模の大きい爆発を引き起こした。……やっぱり…!

 

「あ、アンタ…何してくれてんのよ!?」

「それはわたしの台詞だよ!今のどう見ても対戦車クラスだよね!?今の、人に向けて撃つものじゃないよ!」

「こっちはもう負傷者が出てるのよ!先に仕掛けてきた方に遠慮しろって言うの!?」

「それでも殺さずに済みそうなのに、そんな物を使うのはおかしいよ!悪い人だって、人間なんだよ!?」

「五月蝿い!そういうならアンタがこの状況を……」

「喧嘩してる場合じゃないでしょうがッ!まだ戦闘は終わってないんだよッ!?」

 

わたしとユニちゃんの間に、一本の剣と怒号が割って入る。その主は……イリゼさん。

 

「……っ…で、でもイリゼさん…」

「でもじゃない!それとも二人は増援が見えない訳!?」

「ぞ、増援…!?」

 

ぴしゃり、とわたしの言葉をイリゼさんは制して飛び去る。その先にいるのは…それまでいなかった筈の、新たなキラーマシン。それを見て、流石にわたしもユニちゃんも少し頭が冷える。けれど……

 

「……ユニちゃん、ごめん…」

「ふん…今は相手を倒すのが先よ!アンタはさっさとイリゼさんの援護に……」

「ぶ、ブラックシスター様!二号機が動いています!確認出来ますか!?」

「二号機?二号機……って、まさか…!?」

 

飛び立とうとした瞬間、輸送車の車内に残っていた軍人さんがそう言った。そして次の瞬間……半壊していた輸送車のハッチが、弾け飛んだ。

 

「このタイミングでなんて……人員の中にパイロットは!?」

「い、いない筈です!」

「じゃあやっぱり……きゃぁぁっ!」

 

味方にパイロットがおらず、第三者もいない状況なら、動かしているのは敵しかいない。戦闘中に乗り込んだのか、最初から潜り込んでいたのか……とにかく今は輸送車から姿を見せたMGを止めなきゃと思ったけど、MGは立ち上がるや否やスラスターを全開に吹かして跳躍。その衝撃でわたしもユニちゃんも吹き飛ばされてしまった。

 

「い、今の音は……うわッ!?」

 

一気に飛び上がったMGは抜剣し、イリゼさんへと振るう。それをギリギリで気付いたイリゼさんは宙返りをする様な動きで避けたけど、その間にMGはイリゼさんの横をすり抜けて、キラーマシンとすれ違う様に退避していく。

 

「……っ…残りの機体は!?」

「そちらは動いていません!奪われたのは一機だけです!」

「くっ…一機取れれば満足だっていう訳…!?」

 

スタスターを吹かし、大跳躍でどんどん離れていくMG。それに合わせる様に襲撃者の車両も離れ始め、逆にキラーマシンはそれまでと打って変わって乱射を始める。……正直、ここからMGの奪還をするのは困難だった。

 

 

 

 

襲撃者達が撤退をしてから数分後、ラステイションのMG小隊が増援として到着した事で、戦闘は終了した。

 

「ブラックシスター様、我々がもっと早く来れていれば…申し訳ありません…」

「…気にしないでクラフティ、本国の基地からじゃ仕方ないわ。…それより、追撃は出来る?」

「可能な限りはやってみます。全機、作戦は続行よ!」

 

結果から言えば、死傷者はゼロ。奪われたMGも一機だけで単純な被害はかなり少なく済んだと言える。…けど、ユニ……それにネプギアは、悲観的な表情だった。

MGの飛んでいった方向へ向けて発進するMG小隊。それを見送り、私はユニに声をかける。

 

「……緊急事態でこの結果なら、上々だよ」

「…そうかも、しれませんけど……」

「ユニは最初の救助から今に至るまで最適な指示を出してたし、そもそも私達がもっと離れていたら救助も援軍も間に合わずに被害は大きくなってたかもしれない。…それは分かるでしょ?」

「…お気遣い、ありがとうございます」

「一応、ユニよりは年長だからね」

 

そうは言ってもユニは浮かない様子。それは、完璧主義のノワールを見て育ったからなのか、それとも……ネプギアとの言い争いが関係してるのか。…何れにせよ、それは今すぐには聞けそうになかった。

 

「…こちらへの救助は?」

「あ、はい。こちらへともう向かっている様です。…すいません、他国の女神様にまで迷惑をかけてしまい…」

「女神は自国他国構わず人を助けるものですよ。それに、私はプラネテューヌの女神という訳ではないですからね」

「そう言って頂けると幸いです。我々は大丈夫なので、先にお帰り下さい」

 

そう言って輸送車に乗っていた軍人さんのリーダー格が頭を下げる。……うん、この状況ならその方が良さそうだね。

 

「…皆はもう教会に行ってるだろうし、私達も戻ろうか」

「…そうですね」

「あ、あの…イリゼさん……」

「話なら教会で聞くよ、ネプギア」

「は、はい…」

 

女神化したままだった私達は、そのまま飛翔し真っ直ぐ教会へと向かう。

──血晶を手に入れるのが目的だった筈が、大分予想外の展開になってしまった。結局血晶は手に入ったし、強奪騒動だってやれるだけの事をやれたと思っているけど……この一件で、それまでなんとかなっていたネプギアとユニの間に溝が出来てしまった様に感じる私だった。




今回のパロディ解説

・パワーならこっちの方が
機動戦士ガンダムZZの主人公、ジュドー・アーシタがガンダムVS系で発する台詞の一つのパロディ。…どちらかというと女神はスピードの方がずっと有利なんですけどね。

・出てこなければやられなかったのよ
機動戦士Zガンダムの主人公、カミーユ・ビダンの名台詞の一つのパロディ。グレネード系弾頭まで撃てるX.M.B.は凄いですね。そこらの設定は私が付けたものですが。

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