超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress   作:シモツキ

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第七話 最初のお勉強

世界とお姉ちゃん達の為に旅立ったわたし達。旅には色々不安があるけれど……実は少し、楽しみでもあった。だって、わたしはお姉ちゃんに連れられて他国に行く事が何度かあったけど…基本的に行った事があるのは教会かその周辺位で、各国の大部分は知らないままだったから。それに…お姉ちゃんやイリゼさんが教えてくれた旅の話は、わたしにとって憧れでもあったから。

 

「あの、わたしも頑張りますからねっ!」

「え?あ、うん…頑張ろうね」

 

流石にちょっと唐突過ぎたからか、隣にいたイリゼさんはきょとんとしていた。…いきなり言うのは駄目だね、覚えておかなきゃ……。

 

「その様子なら長い距離歩くのも大丈夫そうね。ネプギア、旅は基本徒歩になるから覚えておきなさい」

「あれ?そうなんですか?わたしはてっきり空港から行くものと…」

「ネプギアとイリゼは勿論、私達も犯罪組織にはマークされてる可能性があるから飛空挺は出来るだけ避けたいのよ。こっちの動き把握されても困るし」

「あいちゃんは分かるですけど…ほんとにわたしもマークされてるです?わたしただのナースさんなのに…」

「女神が全力を出す戦場で物怖じせず味方の治療をしたり、ノンアクティブモンスターと正面から戦えたりする人はもうただのナースさんではないよコンパ…」

 

普段はほんわかしているコンパさんだけど…実は凄く強い。女神化なしなら一応女神であるわたしより強いんじゃ…って思う位強い。アイエフさんもいーすんさんも常識離れした強さだし、わたしの周りの人は皆戦闘能力がおかしい気がする…いーすんさんは普通の人じゃないけど……。

 

「ま、そういう事だから必要でもない時に目立ちまくったりするのは厳禁よ?」

「はい、気を付けておきますね」

「ネプテューヌだったら…うん、絶対無理だろうね」

「ねぷねぷは目立ちたがり屋さんですからね…」

 

そんな話をしながらわたし達は街を出て、国境管理局へと向かう。……あ、そう言えば…

 

「あの、だったらわたしとイリゼさんで空輸するのはどうですか?郊外なら人目もないですし、そっちの方が速い……」

「そ、それは遠慮するですっ!」

「え…こ、コンパさん…?」

「も、もうあんな思いをするのは嫌ですぅ!」

「…ねぷねぷ航空の件がトラウマになってるんだね、コンパ……」

「あれはトラウマになっても仕方ないわ…」

「 ? 」

 

わたしが提案した瞬間、コンパさんはぶるぶると震えだしてしまった。しかもイリゼさんアイエフさんはそれを見て懐かしそうにしながら肩を竦めている。…完全にわたし、蚊帳の外だった。…ねぷねぷ航空って事は、お姉ちゃんがコンパさんにやったのかな…?

 

「ま、まぁそういう事だから空輸は避けよっか、ネプギア…」

「は、はい…」

「ま、一刻一秒を争う訳じゃないものね」

 

という事で、やはり移動は陸路に。わたしも別に「絶対空から行きたいんだもん!」という訳じゃないからすぐに食い下がり、皆に着いていく形となる。

そうして数刻後、わたし達は国境管理局へ到着した。

 

「へぇ…ここが国境管理局…」

「あれ、ギアちゃんは初めてくるですか?」

「はい。お姉ちゃんと出かける時はいつも二人で空飛んで行ったので…」

「そういうところは女神って便利よね、ちょっと羨ましいわ」

「…アイエフも頑張れば飛べるんじゃない?厨二を魔法に昇華させちゃった訳だし」

「厨二ゆーな、あれは狙ってやったんじゃなくて気付いたら出来る様になってたのよ」

「……え…あ、アイエフさんの魔法って厨二病からきてるんですか!?」

「え、ネプギア知らなかったの!?ちょっ、イリゼあんたのせいでネプギアが知らなくてもいい事知っちゃったじゃない!」

「えぇ!?や、それはそうだけど…私責められるの!?」

 

クール&ビューティーの名前が相応しそうなアイエフさんは、真面目で仕事も出来て突っ込みも上手いという、正に『格好良い年上の女性』。…だと、思ってたけど……

 

「……厨ニ病、だったんですか…?」

「うぐっ…そ、そんな悲しそうな目で見ないで……」

「……わたしはアイエフさんが厨ニ病でも、今まで通り尊敬してますからね」

「逆に辛い!そういう気遣いは逆に辛いわよ!…うぅ……」

 

わたしはアイエフさんが落ち込まない様フォローを……した筈なのに、項垂れてしまった。…あ、あれ……?

 

「なんというか…ギアちゃんは真っ直ぐ過ぎですね……」

「ほんと、なんかごめんねアイエフ…」

「えと…わたし何か不味い事言っちゃったんですか…?」

「不味くはないけど…うん、まぁ…気遣いは気遣いだって気付かれない事が大切なんだよ…私もそこまで気遣いは得意じゃないんだけどね……」

 

なんだか微妙な雰囲気になってしまった私達。……という事で、多くの事を見聞きするだろうこの旅でまずわたしは『コンパさんが空輸は苦手だという事』『アイエフさんは厨ニ病だという事』『イリゼさんは気遣いが不得手だという事』を知るのだった。…どうしよう、今のところどうでもいい事と知らない方がいい事しか知れてないよ……。

 

 

 

 

「ネプギアに必要なのはまず、前衛としての目だね」

 

国境管理局を通り、プラネテューヌから出てから十数分後。林道を歩く中でイリゼさんはそう言った。

 

「前衛としての『目』……しゃ、写輪眼辺りを開眼すればいいんですか…?」

「ネプギアはうちは一族じゃないでしょ…というかうちは一族ならもう数回開眼の機会あっただろうし…」

「で、ですよね…それでその、前衛としての目って一体…」

 

一応わたしだってそこそこ戦闘は経験してきたし、戦闘の為の知識だって最低限はあるからイリゼさんが言うのが『戦闘では何を気を付けて見るべきか、どう考えて見る必要があるかというのがあって、それは役割毎に違う』…っていう事だというのは分かるけど、わたしにはそこまでしか分からない。

 

「前衛ね…でもネプギアの場合、必要なのは一概に前衛としての目…とは限らないんじゃない?」

「わたしもそう思うです。イリゼちゃんやねぷねぷと違って、ギアちゃんは女神化したら武器が射撃も出来る…えと…えむぴーびーえる?…になるんですよ?」

「うん、それはその通り。だから私が意識してるのはネプギア一人や私達との連携じゃなくて、候補生同士の時の事なんだよ」

 

あぁ、と納得した様な表情を浮かべるコンパさんとアイエフさん。二人の反応を確認したイリゼさんは言葉を続ける。

 

「ネプギアは確かに遠近どちらかがメインの戦い方じゃないから、ネプギア個人で考えれば一番必要なのは適宜距離を切り替える為の『中衛』としての目。けど、今後ネプギアが共闘する事になるだろう候補生は…長距離からの射撃と超長距離での狙撃を主軸にするユニと、中・長距離から魔法による制圧を基本にするロムちゃんラムちゃんの三人。この三人と組むなら、当然ネプギアは前に出る事になるよね?」

「この面子じゃネプギアしか前衛出来ないものね。後確か、双子はどっちかが攻撃より支援を優先する傾向があるらしいわよ?まぁ後衛って事には変わりないけど」

「勿論私がその場にいれば私が前衛、ネプギアは自分の力を一番活かせる中衛として動くのがベストだけど…私がいつもいる前提で考えるのは、ねぇ?」

 

肩を竦めるイリゼさんにわたしは頷く。状況によってはわたし達が別行動をする事もあるだろうし、イリゼさんが怪我をして戦えなくなる時だってあるかもしれない。だったらわたしも前衛として戦える様にならなきゃだよね。それに、誰かに頼ってばっかりでお姉ちゃんを助けられる訳もないし。

 

「分かりました、わたし前衛としても戦える様に勉強します!」

「その意気だよネプギア。でも半端な能力は身を危険に晒すだけだし、慣れないうちは無理に前に出ようとしなくていいからね?」

「それも分かってます、それでまずはどうすればいいんですか?」

「百聞は一見にしかず、最初は見てくれればいいよ。その為にこの林道選んだんだから」

「あ、もしかして…何か討伐クエストを受注していたですか?」

 

コンパさんの言葉に頷くイリゼさん。その後イリゼさんはきょろきょろと見回して…あった、と声を上げる。

 

「ほら、あそこにあるもの分かる?」

「えと、あれは…人参ですね。……え、人参?」

 

イリゼさんが指差す先に目を凝らしたわたしが見つけたのは、地面から生えている人参らしき茎と葉。…それはいいけど…人参ってこんななんでもない所に生えるものだっけ?少なくとも、わたしが普段食べてる人参は畑で栽培されるものの筈だけど……。

 

「…怪しいわね」

「見るからにおかしいですぅ」

「罠…としてはお粗末過ぎですけど…」

「案外引っかかる人はいるものだよ、駄目と言われたらやりたくなる類いの人とかは特にね」

「あー…お姉ちゃんみたいなタイプが引っかかるんですね…」

 

もしもお姉ちゃんがここにいたら、絶対「あ、何あれ何あれ!ねぇねぇちょっと引っこ抜いてみようよ!」とか言って近付いちゃうだろうなぁ…近付いて触って、罠にかかっちゃうんだろうなぁ……。

 

「ま、要はあれがモンスターの擬態な訳だよ。今ならじっくり狙って攻撃出来るから、遠距離攻撃で叩いてしまうのが一番楽だけど…」

「それじゃギアちゃんのお勉強にならないです」

「そう、だから罠にかかるとします。…コンパ、後衛頼める?」

「勿論いいですよ」

「私は?私も戦えるわよ?」

「アイエフはネプギアと一緒に見ててもらえる?モンスターの数的に、三人じゃ速攻で終わっちゃうから」

「あぁ、ネプギアがよく見られる程度には時間かけなきゃいけないものね…分かったわ」

 

方針が決まり、イリゼさんとコンパさんがモンスターの元へと向かう。当然わたしとアイエフさんはその場で見学する事に。

そうして数十秒後に二人はモンスターの元へ到着。そこから更に一歩出たイリゼさんが人参擬態中のモンスターに触れ、モンスターが地面から飛び出した瞬間…戦闘が開始した。

 

「っとと…分かってる罠に引っかかるのはもどかしいね!」

 

飛び出すと同時に頭突きを仕掛けるモンスターの一群。それをイリゼさんは跳躍する事で避け、それと同時に前に出たコンパさんが早速一体を巨大注射器で貫いた。

 

「顔、特に目線をよく見るのよネプギア。今回重要なのはそこなんだから」

「大丈夫です、分かってます」

 

一体倒したコンパさんは即座に後退。モンスターは味方を倒したコンパさんを当然狙おうとするけど…両者の間に降り立ったイリゼさんがそれを阻止。片手持ちのバスタードソードを手に走り込む。

 

(…これがイリゼさんの戦い方……)

 

返り討ちにしようとしたモンスターの突進を、斜め前に出ると同時に横薙ぎで両断。続いて軽快なステップでモンスターを翻弄しつつモンスター陣の中に入り込み、格闘を含めた戦法で一体ずつ倒していく。

イリゼさんと一緒に戦う事はこれまでにもあったけど、こうしてじっくり見るのは初めてだった。イリゼさんの戦い方は、自らのスタイルを相手にぶつける…というよりも、相手のスタイルや戦法をバスタードソードの持ち替えを基本とした技術で崩していくというもの。お姉ちゃんはそれとは真逆の、身体能力と太刀の切断力を活かした突撃と猛攻で圧倒するスタイルだから、尚更イリゼさんの戦い方は目新しく見える。

 

「残り半分ッ!」

 

攻める…と思いきや退き、牽制…に見せかけた重い一撃を放つ。コンパさんはイリゼさんがモンスターから離れた瞬間や、モンスターの注意が完全にイリゼさんへ向かった瞬間に強襲する。結果一体一体着実にモンスターの数は減っていって、半分を切った辺りからはもう『ずっと俺のターン!』状態だった。

そして……

 

「ふぅ、お終いっと」

 

突き刺されたバスタードソードが抜かれると同時に消滅する、最後の人参型モンスター。他に隠れてるモンスターの影もなく、クエストは完了の様だった。

 

「お疲れ様です、イリゼさんコンパさん」

「はいです。でも殆どイリゼちゃんが倒してくれたですよ?」

「そんな事ないよ。…いや倒した数はその通りだけど、コンパがいいタイミングで動いてくれたから私も余裕持てた訳だし」

「ふふっ、そう言ってくれると嬉しいですね」

「でしょ?…それでネプギア、見ていて何か分かった?」

 

バスタードソードをしまいつつ、イリゼさんはわたしに問いかける。分かった事、かぁ…えっと……

 

「お姉ちゃんとイリゼさんじゃ全然戦い方が違うんだなぁ…っていうのを最初に思ったんですけど…これは駄目ですか?」

「駄目じゃないよ?前衛としての目…ってのからはちょっと離れるけど、色んな人の戦い方を知って違いを認識するのは為になる事だからね」

「よかったぁ…あの、わたしはイリゼさんとお姉ちゃん、どっちのタイプでしょうか…?」

「そうだね…どちらかと言えば私タイプじゃない?」

「私もそう思うわ、と言ってもイリゼの戦い方は特殊だから参考程度に留めておいたほうがいいだろうけど」

「ですよね、ビームソードじゃ持ち方変えても威力は殆ど変わりませんし…」

 

わたしの武器、ビームソードは見た目剣だけど、実際には焼き溶かす武器だから、鋭く高速で当ててもちょんと触れさせるだけでも斬れ味は変わらない。そもそもわたしのビームソードは柄に内蔵されたバッテリーをエネルギー源にしたビームを刀身として形成する武器で、軽量且つ名工に作られた刀にも劣らない斬れ味を誇る強い装備だけど、エネルギー補充やメンテナンスを怠るとビームの出力が落ちたり刀身が形成出来なくなるし、どんなに刃がボロボロになっても鉄の棒として殴りつけられる実体剣と違って刀身そのものが無くなっちゃえば武器にならない。だから信頼性や劣悪な環境では実体剣の方が現状上で……

 

「ネプギア…地の文地の文……」

「……はっ…!…ご、ごめんなさい…」

「ほんとにギアちゃんは機械大好きですね…」

「お、お恥ずかしながら…」

「同じ様な機械好き…正確には開発好きだけど…もいるし、いいと思うけどね。…こほん、他には?」

 

いつの間にか求められてもいないのに説明を始めていたわたし。造詣が深いものに対してはこうしてつい説明したくなっちゃいますよね……な、なりますよね…?

…それはともかく、今はそういう時間ではない。他に気付いた事といえば…

 

「…これはそんなに自信がないんですけど……あまり、コンパさんの方を意識してない様に見えました」

「あ、いいねネプギア。それに気付けたなら上出来だよ?」

「ほんとですか?やったぁ…!」

 

イリゼさんは戦闘中、モンスターや周りの環境(障害物とか使えそうな物とかに気を付けてたのかな?)にはよく目を走らせていたけど、後衛であるコンパさんの方は一度か二度見た程度だった。…様に見えたけど、それが正解だったみたいでわたしは少し嬉しくなる。

 

「よく見てたね。ネプギアの見立て通り、私は殆どコンパの方を向いてない。それがどうしてかは分かる?」

「えっと…わざわざ見なくても、コンパさんならどう動いてるか分かる位の仲だから…ですか?」

「半分正解、でもそれは見なくてもいい理由だね」

「見なくてもいい…って事は、もう半分は『見られない』…?」

「その通り。ネプギアは優秀な生徒さんだね」

「そ、そんな事…えへへ……」

 

嬉しそうに微笑むイリゼさんに褒められて、わたしまで嬉しくなる。……こうして誰かに一つ一つ指導してもらうのって、久し振りかも…。

 

「中衛や後衛は敵との間に前衛がいるけど、前衛は敵の真ん前にいる事になる。そうなれば当然一番狙われ易いのも攻撃され易いのも前衛だよね?」

「中・後衛が高火力叩き込めば一時的には前衛から注意が逸れるけど…」

「前衛さんは敵を引き付ける事もお仕事ですから、さっきのイリゼちゃんみたいに仕掛けてまた自分が狙われる様にするんです」

「アイエフはともかく、コンパまで説明に入ってくるんだ…やっぱただのナースさんじゃないじゃん…」

「わたしはいつも後衛ばっかりですけど、だからこそ前衛さんがどんな動きをしてるかよく知ってるんです」

「後衛は自然と前衛の動きが見えるものね。私もイリゼ達女神と組む時は中衛や後衛になる事が多いから、結構皆の癖とか分かってるのよ?」

「それもそっか…うん、そうだよね」

 

説明とその補足から一転して、後衛は前衛の事を知れるという話になってしまった。わたしにとってはそれもまた勉強になるけど…こういう話になるとわたしは入れなくなるからちょっと寂しい。……わたしも候補生の皆さんやこれから仲間になってくれる人達と、いつかはこんな感じに話せたりするのかな?

 

「そういう意味じゃ、味方の動きを知りたいならまず後衛を…っと、話が逸れちゃったね」

「あ、大丈夫ですよ。前衛は中衛以降より相手から狙われ易い、狙われなきゃいけない立場だから、後ろへ出来る限り視線を移さない方が良い…って事ですよね?」

「そうそう、ネプギアは飲み込みが早くて助かるよ」

「そんな事ないですよ、イリゼさんの説明のおかげです」

「ふふっ、そうかな?」

「そうですよ、きっと」

「……なんかねぷ子の姉としての立場がぐらついてる気がするわね」

「もしかしたらイリゼちゃんも、ベールさんと同じ様に姉に憧れてたのかもですね」

 

元々わたしはイリゼさんを頼れるお姉ちゃんの友達、物怖じせず話せる女神の先輩として見ていたけど…バーチャフォレストの奥で、わたしの思いを全部吐露した上で一緒に頑張ろうと約束してから、前よりも親密になれた様な気がする。今思えばあの出来事は恥ずかしいものだけど…わたしは胸が軽くなった(ぶ、物理的じゃないですよ!?)し、こうして今に繋げる事が出来た。……人と話す事って、大事なんだね。

 

「じゃ、まとめといこうか。前衛は相手に狙われるし狙われる事が前衛の意義でもあるから、後ろを見過ぎない事が必要。援護や火力支援が邪魔にならない様にするのは後ろの担当が気を付けるべき事で、前衛はとにかく自分を中心にした動きをすればいいんだよ。それに…仲間の人となりを知って、何度も共闘を重ねていけば意識せずとも自然に連携出来る様になるからね」

「分かりました。前衛としてちゃんと戦える様、これから頑張りますね」

「うん。でも、さっきも言ったけど慣れない事は無理にしない事。約束だよ?」

「はい、約束します」

「よし、じゃあ街までもうそんなに遠くないし、行こっか皆」

 

授業の終わりと同時に歩き出すイリゼさん。わたし達も後に続き、遠くにうっすら見えてきた街へと向かって歩みを進める。

今学んだ事は、すぐに強さに繋がる様な事ではないと思う。言うまでもなくこれは複数人で戦う場合の教えであって、そもそも前衛や後衛が関係ない単独戦闘じゃほぼ役に立たないと思う。でも…それが普通なんだよね。強さに近道なんてなくて、一つ一つ積み重ねていくしかなくて、だからこそ沢山のものを積み重ねてきたお姉ちゃん達は強いんだから。だから……

 

(わたしも一つ一つ、積み重ねていかなきゃね)

 

──そう思えた事もまた一つの積み重ね。そう、わたしが気付けたのは…もう少し先の話です。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そういえば、前の旅では話と話の間に移動が全部終わってたのに、今回は移動だけで一話使っちゃったですね」

『そこ指摘(する・します)!?』




今回のパロディ解説

・写輪眼
NARUTOシリーズに登場する、三大瞳術の一つの事。ネプギアが写輪眼を開眼したら…瞳の色的にノワールやユニと少し被っちゃいますね。写輪眼は紋様がありますが。

・ずっと俺のターン
遊戯王シリーズで時折登場する、一方的な攻撃(や文字通りターンを渡さない展開)の事。本来ターンバトルの遊戯王ですらこれが起こるなら、普通の戦闘でも起こるでしょう。

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