超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress   作:シモツキ

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第百二十七話 逆襲、開始

作戦が開始してから、数十分の時が経った。プラネタワーの一角…司令室としての機能を有し、守護女神奪還作戦時には指揮所として使われた部屋は、その時同様国防軍人が集まりつつあった。

 

「えぇ、そうよ。予定通りに進めて頂戴」

「いつ状況が動くか分かりません。ですが必ず向こうは動く筈ですから、警戒は怠らないで下さい」

「報告は逐一行うように。但し一刻を争うとなればそちらの判断で動いてくれて構わない」

 

インカムを通じて、自国の教会と連絡を取る三人の教祖。耳と口は通信に勤しみつつも、目は大型モニターに映し出される情報へと走らせている。

 

「…イストワール様。指定区画への人員配置、完了致しました」

「分かりました。では、これより当区画へ出入りしようとする人物は誰であろうと止め、確認を取るように。例え女神様であっても、素通りさせてはいけません」

 

軍の司令がイストワールへと報告。それを受けたイストワールは一つ頷き、普段以上に落ち着いた声音で言葉を返す。些か幼さを感じる彼女の声も、今はどこか風格が漂っていた。

 

「…今現在の女神様の位置は?」

「はっ、モニターに移せ」

「了解」

 

イストワールから問われた司令は部下の一人へと指示を出し、それを受けた一人はコンソールを操作。それによってモニターの端へと映っていた女神の情報が拡大され、更に細かい情報を表示されていく。

 

「ふむ…時間と位置から考えても、向こうが動くとすればそろそろでしょうか…」

「…哨戒を出しますか?」

「いえ、その必要はありません。こちらから動かずとも、向こうが女神様の動きを察知すれば……」

 

 

 

 

「──遂に耐え切れずヤケを起こしたか」

 

顎に手を当てたイストワールが推測を立てる中、司令は提案を口に。だがそれを彼女は否定し……次の瞬間、部屋の中央にマジックが現れた。

 

『……ッ!』

 

それは、突然の出来事。だがそれに内心で驚きはすれど、慌てふためく者はいない。

コンソールを操作していた者も、出入り口で警備していた者も、全員が携行していた拳銃、或いは肩に掛けていた武器を抜き放ち、鋭い視線と共にマジックへと向ける。司令は教祖四人の前へ、付き従っていた副官はその司令の前へ瞬時に立ちはだかる。……が、そこで軍人達を驚かせたのは、他でもないイストワール。

 

「……噂をすれば、ですね」

「……!い、イストワール様お下がり下さい!」

「いいえ、大丈夫ですよ。…ここでやられるようであれば、どちらにせよその時点で作戦は失敗ですから」

 

彼女が行ったのは、マジックとの正対。それに副官が慌てて駆け寄るも、それをイストワールは手で制す。…彼女の表情に、冷静さを失った様子は微塵もない。

 

「作戦?また小賢しい事を企んでいるのか」

「えぇ、小賢しい企みです。犯罪組織を壊滅させ、女神様達を奪還し、一度は犯罪神の撃破にまで至った、人類の叡智を行使しているのです」

「人類の叡智?…ふん、滅びを早める事が叡智とは笑わせてくれる」

 

犯罪神に仕える四天王と、女神を支える教祖の視線が交錯する。まだ剣の一振りも、銃弾の一発も放たれてはいない。だが今のやり取りだけで、空気は戦闘時のそれと遜色無い程に剣呑なものと化していた。

 

「……女神を下がらせよ。今すぐに引き返し、ここへと戻ってくるのであれば、今回だけは見逃してやらない事もない」

「随分と寛大なんですね。まさかそちらから情けを、しかも自分達にとって利のない提案をしてくれるとは」

「あぁそうだ。犯罪神様の慈悲を無下にせず、心より感謝するといい。…最も、犯罪神様の与えて下さる真の慈悲はこんな瑣末な物ではないがな」

「そうですか。…では、それを拒否する…と言ったら?」

 

言葉の裏に煽りと皮肉を含ませながら、やり取りが続く。マジックは戻るよう要求し、イストワールは回答ではなく感想で返答。肯定し話を続けるマジックは高圧的な態度を崩さなかったが…それに対するイストワールの言葉を聞いた瞬間、ぴくりと眉を動かした。

 

「……何だと?」

「拒否すると言ったらどうしますか?…と言ったのです」

「愚かな。まさかそれが自らの首を差し出す選択だと分からない訳ではないだろう?」

「えぇ、分かっていますとも。…貴女にそれが出来るのであれば、ですが」

 

張り詰められていた室内の空気に、一層の緊張が走る。そしてそれは、イストワールの内心も同じ。

この選択が吉と出るか凶と出るか、自分達の選んだ道の先にあるのは生か死か。己が肩にかかる多くの命を前に、彼女の精神は引き絞られ……それでもイストワールは、堂々たる態度でマジックの眼前へ。

 

「さぁ、殺せばいいじゃないですか。それが要求を飲まなかった我々への、犯罪神の制裁でしょう?」

「…………」

「…何を躊躇っているのですか?わたしは原初の女神、オリジンハート様より生み出された存在です。それを討ったとなれば、犯罪神への大きな手土産となるというのに。それとも……それが出来ない理由が、あるとでも?」

「……チッ」

 

沈黙のマジックと、静かな威圧感を放つイストワール。両者の間に走る緊迫の空気は部屋全体へと広がり、緊張が最大まで膨れ上がった次の瞬間……顔を背けて舌打ちをしたマジックは、闇色の粒子となって霧散した。

 

「……ふぅ…漸くネプギアさんの推測が正しい事が立証されましたね」

「そうね。これで最大の懸念事項が払拭されたわ」

「ですが少々危ない橋を渡り過ぎでは?必要以上に煽っていたようですし…」

「何はともあれ、成功は成功だ。だが……」

「はい。今はまだ、準備が整っただけに過ぎません」

 

敵の消滅で緊張が解けていく中、それぞれの表情を浮かべつつもこうなる事が分かっていた様子の教祖三人がイストワールの側へと寄り、イストワールもまた安堵の吐息を漏らす。……が、それも僅かな間の事。

一度解いた緊張感を張り直し、イストワールは元の場所へ。それからある者へと言葉をかける。

 

「…聞こえていましたか、ネプテューヌさん」

「えぇ、ばっちり聞いていたわ。…一応確認するけど、誰も怪我してない?」

「大丈夫です。何せマジックは、何もせず消えましたから」

「なら……聞こえているわね、皆!これよりオペレーション・トゥルースカウンターはセカンドフェイズに移行!作戦の事を発令して、各員行動を開始しなさい!わたし達の手で、もう一度……犯罪神の臣下を、討つわよッ!」

 

スピーカーより響く、守護女神の声。その声に従い軍人は動き出し……プラネタワーから遠く離れたある場所で、九人の女神が飛び立った。

 

 

 

 

「ここまでありがとう、皆。こっちに軍の部隊が向かっているから、貴方達は真っ直ぐにプラネタワーへと戻って頂戴。…貴方達のおかげで、わたし達はここまで移動する事が出来たわ」

 

トラックから飛び出たわたしは、運転席に回ってここまでわたし達を運んでくれた職員の皆に労いの言葉をかける。…これから女神様が戦いに行くのに、自分達が安全な場所へ行くなんて…って言われると思ったけど、素直に応じてトラックを転進させてくれた。…分かってくれてるのね。その方が、わたしも安心して戦えるって。

 

「んっ、ぅ…狭い場所で身を屈め続けるというのも、楽ではありませんわね」

「そう?わたしはかくれんぼしてるみたいでいやじゃなかったけど」

「ときどき急にがたんっ、ってするのはちょっといやだった…」

「まぁ、二人は身体が小さいからね。私も少し負担だったかな」

 

見送りつつ上空へ上がると、先に上がっていた皆の内、比較的背の高いメンバーが身体を解していた。…わたしは…狭い所って、偶に心が落ち着いたりするわよね。

…というのはさておき、作戦開始時にはプラネタワーの地下にいたわたし達が、何故トラックから出てきたのか。……それは、わたし達が段ボールに梱包され、ここまで運ばれてきたから。

 

「にしてもまさか、段ボールに詰められる日が来るなんて…」

「こんなの子供の悪戯、又は悪い大人の遊びだよな普通……」

『わるい大人…?』

「うっ…そ、そう悪い大人だ。二人はそんな奴に関わったら駄目だぞ?」

 

作戦とはいえとても他人には見せられない、同じ段ボールでも某ソリッドさんとは似ても似つかない行為をしていた事にノワールとブランが肩を落とす中、ブランの発言にロムちゃんラムちゃんが反応。まさか訊かれるとは思っていなかったらしく、ブランは軽く狼狽えながら誤魔化していた。

何故わたし達がこのような事をしたか。それは、物理的な監視を欺く為。段ボール箱の中に入り、梱包されたわたし達は職員の皆に運ばれて地下の隠し通路、そして出口である偽装された建物まで移動し、そこからはトラックに乗せられて行けるところまで進んだ。どうせどこかでシェアを探知されて気付かれるだろうけど、普通に移動するよりは発見が遅くなるし、国の長が段ボール詰めを選ぶなんて相手も思わない筈。そういう考えの元、わたし達はそれを実行し……想定通り、十分な距離を稼ぐ事が出来た。

 

「…今回はネプギアのお手柄ね」

「ありがと、ユニちゃん。…でも、まだ喜んではいられないよ」

「その通りよ、ネプギア。もう向こうも動いてる筈だし…こっちも急ぐわよ!」

 

皆に声をかけ、ある方角へと向かって動き出す。距離を稼げたと言っても、ここでゆっくりしていたら何の意味もない。

 

(ここからは時間との戦い。焦っちゃいけないけど…余裕を持って、って状況でもないんだから…!)

 

世の中偶然や想定外がいつ起こるか分からない以上、ミスの出来ないもの程余裕のある時間配分をしなきゃいけない。…でも、それを状況が許してくれない。ここまでずっと相手の目を掻い潜る形でしか進められなくて、ここからの動きも相手次第の部分が多いんだから、こっちの都合を作戦に反映させるなんて無茶というもの。

だけど、それでも…賽は投げられた。やっぱり止めるなんて選択肢も、考え直すって選択肢ももう選べはしないし……選ぶつもりも、毛頭ないわ。

 

「ロム、ラム、いつどこで戦闘になるか分からないってのは理解してるな?」

「会敵した場合、ほぼ確実に貴女が初撃を担う事になるわ。先制攻撃、期待させてもらうわよ」

「防衛の助力、頼みますわよ」

 

姉の二人は妹へ、ベールはイリゼにそれぞれ言葉をかける。今は全員揃って飛んでいるけど…これから先、わたし達は四方向に分かれる事になる。それぞれが受け持つ目的の為に。それぞれが守るべき、国民の為に。

 

「皆、これを乗り切ったら今度こそ犯罪神との決戦よ。犯罪神は生半可な戦力で倒せる相手じゃないんだから……まずはこの戦い、完全勝利するしかないわ!」

「だね。それでは皆さん…御武運をッ!」

「うん、お互いにねッ!」

 

ネプギアとイリゼのやり取りを最後に、わたし達は文字通り四散。わたしとネプギア、イリゼ以外は自国に、イリゼはベールと共にリーンボックスへ。そしてわたし達は……

 

「…ネプギア、不安?」

「…ちょっとだけ、ね」

「ふふっ、まぁそうよね。…けど、わたし達が守りに入ればイニシアチブを四天王に渡す事になるかもしれない。それを防ぐ為にも…」

「うん、分かってるよ。…大丈夫、不安はあるけど…皆さんへの信頼もしてるから」

 

プラネテューヌを、信次元の人達を守る為に……ギョウカイ墓場へと、邁進する。

 

 

 

 

格納庫より現れたラァエルフが、次々と基地より発進する。スラスターと脚部ローラーを併用した高速機動で出撃していくF型装備群機体に混じって四脚の機体がホバー移動で地上を、背部に二対の翼を持つ機体が空を駆けていく。

しかし全機体が出撃した訳ではない。一部の機体、一部の部隊は出撃準備を完了させたまま、基地で待機を行っている。

 

「全機、各部スラスターとウイング、それに姿勢制御システムの確認は十分でしょうね?空で不調を起こしたらお陀仏よ!」

「はー、クラフティは真面目だなぁ。んじゃ俺も…ホバーシステムはちゃんと調整しとけよー。じゃなきゃだっせぇ機動をする羽目になるからな〜」

 

待機中の部隊は三つ。その内二つの指揮官であるシュゼットとクラフティが、機体に新装備を纏った部下へと忠告を飛ばす。…しかし、その方向性は真逆。

 

「貴方…格好良いダサいの問題じゃないでしょうが」

「ちっちっち、それは大きな間違いだぜクラフティ」

「はぁ?何が間違いなのよ」

「あのな…男たるもの、機体も戦う時も格好良く出来た方が調子出るんだよ!だよなぁテメェ等!」

「はは、そりゃ確かにそっすね隊長」

「この装備での実戦はこれが初めて。ならばダサくはしたくねぇってものですな!」

「……貴方のところは楽しそうね…」

 

半眼で訊くクラフティに対し、シュゼットは大真面目に持論を展開。更にそれぞれテンションに差はあれど副隊長を始めとする何人かが賛同し、訊いたクラフティはといえば軽く呆れてしまっていた。…因みにシュゼットの部下の中でも苦笑いしている者もいれば、クラフティの部下の中で強く頷いている者もいる。

 

「しけた面してても雰囲気悪くなるだけだからな。…あ、別に男女関係なく賛同してくれていいんだぞ?」

「はいはい、浪漫の話は内輪でやって頂戴。あたしは暇じゃないんだから」

「つれねぇなぁ…じゃ、あんたはどう思うよ?特務隊長」

 

配慮なのか冗談めかしただけなのかよく分からないシュゼットの発言を、淡白にあしらうクラフティ。それに肩を竦めたシュゼットが次に話を振ったのは、現行の主力であるF型、エースを中心に新型動力炉と共に配備が始まったT型G型のどれとも違う、四基のコンテナを装備した部隊…特務隊の隊長。

プラネテューヌの出身であり、今も信仰しているのはパープルハートではないのかと一部で噂されていながら(勿論法の上での問題はない)その技量と戦術眼で瞬く間に特務隊長という立場まで上り詰めた彼を、近寄り難い存在だと思う人間も少なからず存在している。そんな彼は、シュゼットの問いかけに対し、静かに一言こう言った。

 

「……論ずる事ではないな」

「へぇ…そりゃ、どういう事だい?」

 

肯定でも否定でもない、強いて言うなら根底を否定する回答。その言葉にシュゼットの部下の何人かが隊長への愚弄と捉えて眉を潜め、シュゼット本人は若干声のトーンを落としつつも興味深そうな反応を見せる。そして、どういう事か尋ねられた特務隊長、メイジンはサングラスの奥の瞳を光らせ……

 

「浪漫とは千差万別。美しく風貌の良い姿にそれを感じる者もいれば、不恰好でも泥臭く戦う姿に感じる者もいる。…浪漫は自由だ、無限の可能性を秘めている。故に…論ずるまでもないッ!」

「お、おぅ…確かにその通りだな…」

 

言葉から熱を溢れさせながら、彼はそう言い切った。意見の内容こそ『十人十色』というシンプルなものだが、まさかここまでの熱を持って言うとは思っていなかったからか、シュゼットの返答にはにわかに気圧された様子があった。……特務隊長、メイジン・タカナシ。彼が内に秘める熱量を、シュゼットとクラフティ以下、多くの者が目の当たりにした瞬間だった。

 

「…メイジン、やっぱあんたも男だぜ」

「貴方は男っていうか野郎って感じだけどね……っと、来たわよ!」

 

感じ取った熱にシュゼットが笑みを浮かべ、クラフティが再び半眼をシュゼットへ向けた……その瞬間だった。各機体へ作戦目標の情報が転送され、司令部より出撃の指示が下りたのは。

 

「やはり現れたか…」

「こいつは…へへっ、こりゃ奴と縁があるなぁ俺達は」

「奴と縁があるのはあたし達じゃなくて、女神様達かもしれないけどね。じゃ…各機、あたしに着いて来なさい!アーテル1、出るわッ!」

「こっちも出るぞ!気張り過ぎて事故るなよ!」

 

噴射炎をたなびかせ、こちらへと向かう敵に対して出撃を始める三部隊。それまであった些か緩い雰囲気はとうに霧散し、代わりにあるのは軍人の思考。

ラステイションが現れるであろうという作戦目標を確認した時、他国も同様に確認し…迎撃部隊の展開を、開始していた。

 

 

 

 

慌ただしく職員が教会内を走り回る中、どこか疎外感を感じている男が、ルウィーに一人。

 

「予め準備出来ないというだけで、こうも蚊帳の外になるとは…」

 

彼はガナッシュ。機械工学に通じ、その知識をもって平時は犯罪組織や残党の対応に当たっていた彼だが……進められつつある防衛線の構築に、現在彼の出番はない。

 

「もしMGやパンツァーが軍で正式採用されていれば、私も忙しくなっていたでしょうが……こんな想像をしても、仕方ありませんね…」

 

他国…特にプラネテューヌやラステイションと違い、大型兵器の運用がほぼなされていない現在のルウィーでは、彼の知識も技術も生かしようがないというのが疎外感の元凶。だが、彼が教会で働いているのは、偏に愛する女神の為。例え自分の力を遺憾なく発揮出来る場所があろうと、その女神がいなければ彼にとっては何の意味もないのである。

 

「…とはいえ、何かしら私にも出来る事がある筈。それが例え単純作業でも、嘆くよりはよっぽど有益ですね」

 

自分も武器を握れば戦えるし、引き金を引けば銃を撃つ事も出来る。しかし戦い慣れていない自分が安易に戦場に立ったところで、一体何の役に立つというのか。そう考えたガナッシュは、自分に出来る事を探して歩き出そうとする。……その瞬間だった。

 

「…ガナッシュ君、一つ頼みを…訊いてもらえるかな?」

「あ、貴方は……」

 

背後より声をかけられたガナッシュが振り返ると、そこにいたのは一人の男。元々は接点のほぼ無い両者だったが、最近はある目的の為、何度か顔を合わせていた。

 

「…頼み、とは?」

「アレを動かしたい。我等がルウィーの軍には優秀な人材が多いが…それでも今は、少しでも戦力を展開すべき時だからな」

「……っ…本気ですか?…確かに動かす事は出来ますし、十分実戦に耐え得る状態ではありますが…」

 

現れた彼の言うアレとは、とある試作機…より正確に言えば、データ収集も兼ねた改修機の事。その機体と所以ある彼はそのテストパイロットを務めており、ガナッシュはテスト班のリーダーを務めている。……だからこそ、ガナッシュは本気かと訊いた。その機体の…その機体が属するカテゴリーの実戦運用はルウィーにとって初の事であり、加えて相手は女神すら脅威と認定する程の存在であり、想定通りにいく保証など微塵もないのだから。

だが、彼は首肯した。力強く、臆する事なく、決意を秘めた瞳でもって。

 

「私には守りたい信念がある。守るべき者達がいる。そして何より……ルウィーはホワイトハート様が愛する国だ。そのルウィーと国民を守る為なら、如何なる困難も超えてみせる。…それは君も、同じだろう?」

「…そう、ですね…えぇそうでした。貴方は本気でそう考えている方であり、それは私も同じ事です。…いいでしょう。出撃準備を整えます」

 

強き意志を目の当たりにしたガナッシュは、一瞬言葉を失い…そして、彼の言葉に頷いた。彼の言葉はその通りであり、彼とガナッシュは近しい信念を…女神ホワイトハート様の為に、という志を持つ同士であるのだから。

機体が格納されている場所へと二人は走る。ガナッシュは勿論、彼もまた準備を進め、機体を立ち上げていく。──各国で行われる、戦いの準備。それは着々と、抜かりなく……犯罪組織から守った平和を崩されてなるものかという一人一人の思いを元に、進んでいった。




今回のパロディ解説

・某ソリッドさん
メタルギアシリーズの主人公の一人、ソリッド・スネークの事。同じ段ボールでもやってる事は全然違いますよ?何せ女神九人は梱包されてますからね。


・「〜〜浪漫は自由〜〜秘めている。〜〜」
ガンダムビルドシリーズの代名詞的台詞のパロディであり、その登場キャラであるユウキ・タツヤ(三代目メイジン)の台詞のパロディ。所謂元ネタパロディ、ですね。

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