超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress   作:シモツキ

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第二話 二人との再会

思いもよらない事は、案外よく起こる。別の次元に飛ばされたり、雪に埋もれたり、それを知り合い(の同一人物)に見つけてもらったり、その先で一度会ったっきりの友達と再会したりと、起こる時は本当に起こる。

思いもよらない事は、思いもよらないんだから回避や準備のしようなんてない。…でもそれは、正真正銘想像する事が『現実的に』不可能な事の時だけ。だから私は思った。──浮かれてないで、もっとエストちゃんがしそうな事を想像しておくべきだったと。だってエストちゃんなら…悪戯っ子で私の力を評価してくれてる彼女なら、これはあり得ない事じゃなかったんだから。

 

「ちょ、ストップストップストップ!待って聞いて!私の話を……うわわわわわっ!」

「悪いやつから聞く話なんてないわ!」

「エスちゃんの敵は、わたし達の敵…!」

 

容赦無く襲いかかる多彩な魔法を、剣撃と身体能力全開の立ち回りで何とか凌ぐ。それを行うのは、私の訴えを一蹴しているロムちゃんとラムちゃん。私の知る二人と同一なのは見た目や性格だけじゃないようで、一撃一撃がまともに喰らえば洒落にならない威力を有している。

 

「ほらほら!わたしも無視しないでよおねーさんッ!」

「二人を焚き付けておいてよく言うよ…ッ!」

 

片手飛び込み前転で回避をかけた私の先へ、嬉々とした表情のエストちゃんが斬り込んでくる。前に会った時も不意打ちからの戦闘になったけど…今回はロムちゃんラムちゃんがいる上に、地の利も三人の側にある。今のところは地の利が影響してはいないものの、だからって最後まで機能しないとは限らない。

 

(せめて、女神化出来れば振り切って逃げる事も出来るのに…!)

 

エストちゃんを押し返し、直後にロムちゃんラムちゃんから放たれた魔法を跳躍で避けた私は、先程出来なかった女神化をもう一度試してみるも…やっぱり女神の姿にはなれない。三人も女神化はしていないから、そういう意味では現状フェアとも言えるけど…こんなフェアさがあったってしょうがない。……というか、そろそろ本当に不味い。

 

「……っ…エストちゃん、もう満足したでしょ…!これ以上は、私も…ッ!」

「むぅ、わたしはもうちょっとおねーさんと斬り結びたいんだけど…それもそうね。あー、ロムちゃんにラム。実はこの人は悪い奴じゃ──」

「……っ!ラムちゃん、今…っ!」

「うんっ!さっき言ったとーり、かちんこちんにしてやるんだからっ!」

「え?あ……ッ!?」

 

更にエストちゃんと数度打ち合い、二人の魔法を斬り払った私は、少し声に怒気を孕ませながらエストちゃんへ嘘の撤回を求める。これ以上戦えば本当に怪我をしかねないし、今ある余力でそれを避けようとするなら私は三人を傷付けなきゃいけなくなる。それだって成功するかは分からず、下手すれば怪我以上の事だって…。

そんな思いも込めて私が発した言葉は、やっとエストちゃんに届いた。私の言葉、それに状態も顧みて杖を下ろしたエストちゃんは、振り返ってロムちゃんラムちゃんへと声をかける。

けれどここで、私もエストちゃんも致命的なミスを犯した。エストちゃんが一言かければ、その時点で終わると思って気を緩めてしまった。……二人が既に、攻撃に入っていた事に気付かず。

 

(しまっ……ッ!?)

 

ロムちゃんとラムちゃんが杖を突き出した瞬間、私の足元に魔法陣が現れる。咄嗟に私は飛び退こうとし、エストちゃんも何かしらの魔法を使おうとしていたけど…もうどう見たって間に合わない。

足元から感じる、予兆の様な冷気。魔法陣が強く輝き、その光に私は氷漬けにされる自分の姿を容易に想像出来て……

 

 

 

 

──気付いた時には、私は空を飛んでいた。

 

「間に合った……!」

 

飛んでいると言っても、自力じゃない。私は首の後ろと両膝の裏に腕を回す形…所謂お姫様抱っこの体勢で抱かれていて、飛んでいるのもその相手。

自分が飛んでいる事、抱かれている事に気付いた私は、私を抱いている相手…助けてくれた人へと目を向ける。目を向けて……私は再び驚いた。だって、助けてくれたのは…飛びながら安堵の声を漏らした、その人は……

 

「……ディール、ちゃん…?」

 

私が会いたいと思っていたもう一人の女の子。またね、と再開を約束した友達…ディールちゃんだったんだから。

 

 

 

 

「エスちゃん、ごめんなさいは?」

「…別に…わたしだって最後のはわざとじゃない……」

「ご・め・ん・な・さ・い・は?」

「……ごめんなさい」

 

おろおろと怒り怒られの二人を交互に見るロムちゃんラムちゃんと、気迫に押されて私へ頭を下げるエストちゃん。事件や襲撃ではなく訓練だったと教会の職員や人だかりを誤魔化すブランに……何か前に会った時には無かった雰囲気でエストちゃんを叱責するディールちゃん。…ルウィー教会の敷地は、先程とは違う意味で人目を集めそうな状況になっていた。

 

「はぁ…悪戯も過ぎればただの悪事だって事位、エスちゃんなら分かってると思ってたんだけど…」

「わ、分かってるわよ。でもそれは受け手次第…」

「じゃ、イリゼさんに訊く?」

「…今日のディーちゃん、厳しい…」

「そりゃそうでしょ…これ最悪ここと信次元の戦争の切っ掛けになってたかもしれないんだから…二人なら多少の加減はしてくれてたと思うけど…」

 

流石のエストちゃんもディールちゃんには頭が上がらないのか、それともちゃんと悪いと思ってくれてるのか、私の時程お茶目な様子は出てこない。…というか、戦争って…確かに私は女神だけど、発想が過激だよ…。

 

「…わたし達も、ごめんね…?」

「あ、ううん。二人はそこまで反省しなくてもいいよ。エスちゃんに騙された訳だし」

「…一応言うけど、別に騙してはいないわよ?『わたしから仕掛けた結果』出会ってすぐ戦闘になったんだし、『敵に回したら』危険な人だし」

「…わたしその時の会話聞いてないけど、口振りからして明らかに恣意的な伝え方してるよね…後、謝るならわたしじゃなくてイリゼさんにね?」

 

一先ずお叱りが終わったからか、ディールちゃんに話しかけるロムちゃん。すると途端にディールちゃんは表情を緩め、それから二人の謝罪を私に振ってくれた。

二人のおずおずとした「ごめんなさい」を受けた私は、軽く手を振りつつ気にしないでと返答する。…ここにきてやっと私が口を開いたって?…しょうがないじゃん、私半分位蚊帳の外だったし…。

…と、そんな事をしている内に誤魔化しを終えたブランがこちらへ。

 

「ふぅ…そっちは済んだ?」

「あ、はい。…すみません、ブランさん」

「貴女が謝る事じゃないわ。それと、誤魔化したとは言っても注目はされたままだから、済んだのなら中に入って」

「みたいですね…ほら、行こう皆」

 

例え事件性がない(という説明をされた)としても、女神が人前で模擬戦してたり穏やかじゃない雰囲気をしていたら注目されるのは当然の事。だからディールちゃんはそれに同意し、他の皆も正面の出入り口に向かって……私は一人、ぽつーんと残されてしまった。

 

「……?何してるんですかイリゼさん」

「あ…な、何でもないよ何でも…」

 

着いてきてない事に気付いたディールちゃんに呼ばれ、皆の後を追う私。

残されたと言っても、私は言われてない…と思った訳じゃない。私が出遅れたのは……単純に、ディールちゃんが喜んでいるようには見えないから。

 

(…あんまり、嬉しくなかったのかな……)

 

行動はどうあれ、エストちゃんは嬉々とした表情を見せてくれた。でもディールちゃんは私を助けてくれた時こそ安堵してたけど、それからは殆ど私に感情を向けてくれていない。これまでは状況が状況だから、ってのもあったと思うけど…それが理由になるのもさっきまでの事。なのに今も平然としてるのは……多分、今のディールちゃんにとって私はその程度なんだって事。……思いは、私の一方通行だったって事。

 

 

……なんて、柄にもなく私は友達関連で凹んでいた。馬鹿みたいに友達を信じようとするのが、私なのに。

 

「……あぁ、そうだイリゼさん」

 

少し先を歩くディールちゃんが、教会の中へ入る直前不意に止まる。ふと思い出したような声を出し、手を後ろで組んだディールちゃんの声で私が俯きがちだった顔を上げると、ディールちゃんは見返りの姿勢で微笑んでいて……

 

「──約束、しましたもんね」

 

決して満面の笑みではない、少し大人びた…でもその奥に幼さを感じる、穏やかな微笑み。そんな笑みを見て、私は思った。……やっぱり、また会えて良かったって。

 

 

 

 

教会に入った私は、応接間へと案内された。ブランと私は向かい合う形で座り、私へ対する若干の壁を感じるロムちゃんラムちゃんはブランの両側に座って、ディールちゃんエストちゃんはそれぞれ一人用ソファへ。

 

「さて、と…貴女はわたしの事を知っているらしいけど、一応自己紹介をさせてもらうわ。わたしはブラン。ルウィーの守護女神、ホワイトハートよ」

「あ…うん。私はイリゼ。原初の女神、オリジンハートの複製体で、守護する国はないけどれっきとした女神だよ」

「イリゼ、ね。まずはうちの者がやらかした事をわたしからも謝罪するわ」

「い、いいよ別に。…いや良くはないけど…ブランにまで責任追及するつもりはないから」

 

簡素な自己紹介を終えたところで、早速ブランは謝罪を口にする。するとロムちゃんラムちゃんは「お姉ちゃんは悪くない…」みたいな表情を浮かべて、エストちゃんは「真面目ねー」と言いそうな顔に。…この三人はブランやディールちゃんより表情がよく変わるね。

 

「そう。じゃあ…二人への説明も兼ねて、ここに来た…いえ、来てしまった経緯を教えてもらえるかしら?それと、二人との関係もね」

「勿論…って、あれ?二人は私の事話してないの?」

 

てっきり私の事は知っていて、自己紹介は初対面の形式的なものだと思っていたから、全く知らない様子のブランに私は驚く。…まぁ、かく言う私もディールちゃんの事は皆へざっくりとしか言ってないし、エストちゃんの事は調査に絡んで伝えたイストワールさん以外は知らないだろうけど…。

と、いう事で私は何故この次元に来てしまったかを伝え、二人は私とどういう間柄なのかを説明。すると途中でロムちゃんラムちゃんは何かを思い出したのか、「あー!」と揃った声を上げていた。

 

「…って訳で、わたしがおねーさんと会ったのはここに来る前なの。わたしが会っていたのはディーちゃんよりずっと短い間だったけど」

「…………」

「……?わたしの説明、何かおかしかった?」

「いや、そうじゃなくて…彼女、イリゼの視点で言えばエストより先にディールと会っているのよね?でも、貴女の視点で考えると、ディールより先の時間軸で会っているようにも思えて…」

「あ、言われてみると確かに…エスちゃん、イリゼさんと会ってからここに来るまではどれ位だったの?その期間によっては、矛盾が生じない?」

 

一通り説明が終わったところで、ブランは一度考え込んで…それから私達が気にも留めていなかった点に疑問を呈した。

考えてみれば、それはとても不思議な事。一体時系列はどうなってるんだとか、まさかエストちゃん何か隠してるんじゃ…とか各々思い浮かべる中、一人エストちゃんは「あぁ…」と声を漏らして、そこから訳知り顔で続ける。

 

「時間の流れは次元ごとに違うのよ。ディーちゃんとおねーさんが飛ばされた時も、戻った時にきっちり同じ分の時間が過ぎてた訳じゃないでしょ?」

「そういえば…じゃ、あんまり客観的な視点は機能しないって事かな?」

「多分ね。わたしも経験則以上の事は言えないけど」

 

事例を出して教えてくれたエストちゃんに確認をすると、エストちゃんは断定こそしないものの首肯してくれた。…因みにこの話の際、ロムちゃんラムちゃんはぽかんとしてたけど…この説明はディールちゃん達に任せればいっか…。

 

「時の流れる速度の違い、ね…それは中々思考のしがいがある理由…」

「ブランさん、話逸れてます…」

「あ…そ、そうだったわね…こほん。…確認だけど、貴女は故意ではなく事故で来てしまったと?」

「うん、事故というか軽率な行動というか…」

「つまり、帰る手段は……」

「…ないです……」

 

次元を超える手段を持つ人なんて、滅多にいない。だから出来なくても別におかしい事ではないんだけど…それでも自分の尻拭いを自分で出来ないという意味で、少し私は恥ずかしくなった。返答が敬語になったのは、それが理由。

 

「そう…エスト、貴女は帰してあげられるのよね?」

「え、母なる大地に?」

「…その場合は、エストちゃんにも来てもらおうかな。独りぼっちは、寂しいもんね」

「いいわ、一緒に……って危なっ!?あ、危うくわたしが自ら道連れになる流れに!?…おねーさん、いつの間にそんな性格悪いトラップ覚えたの…」

「いや、エスちゃんは人の事言えないから…」

 

先程の事に懲りず(?)にダークなネタを振ってきたエストちゃんだけど、私が驚くのではなく反撃をしたからか結構驚いていた。…でも実際に死の間際になったら、私はどうするんだろう…死ぬのは嫌だけど、大事な友達となら……っていやいやいや…流石の私もそこまで友達第一じゃないから……多分。

 

「……エスト」

「あー、はいはい。おねーさん、本持ってる?前みたいに持ってるなら、同じ方法で帰せるんだけど」

「本?……えっと…多分、今回は置いてきちゃった…これまでは勝手に着いてきたんだけどね…」

 

公園から出る直前に、私は今回もあると思って本を探した。けれど、本は雪の中にもその周りにもなかった。可能性としては、迷宮の時みたいに別の場所へ飛んでいるか、そもそも今回は残ったまま(飛んだのは事故だけど、ゲート開いたのは故意だった訳だし)かだと思うけど…。

 

「そう…じゃあ、無理じゃないけど結構危なくなるかも。とんでもない場所に飛んじゃってもいい?」

「そ、それは出来れば勘弁してほしい…。……けど…」

「けど?」

「…もしそれしか方法がないなら、お願いするよ。私には我が身可愛さで自分の居場所を忘れるなんて事、出来ないから」

『……っ…』

 

エストちゃんのいう『危険』が、緊急フォールド的なものだったら勿論避けたいところだけど……それよりも私は、信次元の皆と別れる事の方が怖いし辛い。

だから、私の口にした言葉は、深い意味なんてない単純な思い。でも……

 

「…ディールちゃん?」

「エスちゃん、どうかしたの…?」

「あ……う、ううん何でもない。それよりエスちゃん、エスちゃんの取れる手段に危険があるなら、グリモに手を貸してもらうのはどうかな?」

「そう、ね…いいんじゃない?でもグリモワールは今何かしてるみたいだし、他のプランも考えておいた方がいいと思うわ」

 

まるで何か触れちゃいけない面に触ってしまったかのように、二人は表情を曇らせた。…けど、それは即座に気付いたロムちゃんラムちゃんが訊くまでの一瞬の事。訊かれた二人はすぐにさっきまでの顔に戻って、グリモワールという人へ協力してもらう案を口にしていた。…グリモワール…確かディールちゃんが持ってた本の名前だったと思うけど…あれかな?某錬金術士みたいに精神を本に写してたとかかな?

 

「となると、後頼れそうなのは…イストワールかしら」

「イリゼさんがこちらへ来たのも半分はイストワールさんの力ですし、案外イストワールさんが何とかしてくれる可能性はありますね。…三日位待たされるかもですけど」

「三日なら安いものだよ。じゃあ、私は一回プラネテューヌに行ってみるから、ディールちゃん達はそのグリモワールさん?…に連絡を取ってくれる?」

「いいですけど…ちゃんとプラネタワーまで行けるんですか?」

「あ…そうだった……」

 

イストワールさんに、グリモワールさんに、危険はあるけどエストちゃん。この短い間に三つ(三人)もの帰還の可能性を知る事が出来た私は少し気分が上向きになって、早速行動に移そうとし……そこで自分が一人じゃまともに動き回れない身である事を思い出した。ルウィーの街中から教会までも全然分からなかったんだから、確かに一人でプラネタワーまで行くのは無謀過ぎる。

 

「…えっと、その…早速迷惑をかける事になるんだけど…」

「地図を貸して「案内をしてほしい、そうでしょう?」…むぅぅ、なんだかさっきから扱いが悪い…扱いが悪いのはプラネテューヌの女神が担当の筈なのに…」

「う、うん…案内をお願いしても大丈夫かな…?(扱いが悪いのはこっちもなんだ…後ふざけてばっかりだからだと思うけど…)」

 

…まぁ、エストちゃんの事はさておきとして私が頼んだのはプラネタワーまでの案内。驚きの事態に巻き込んでしまったブラン達に頼むのは少し申し訳ない…というのが私の心境だったけど、この頼みに対してブランは嫌な顔一つせずに答えてくれる。私のよく知る表情で、私のよく知る雰囲気のままで。

 

「えぇ。ディール、エスト、案内は二人に任せるわ」

「ありが……──え…?」

 

──この時私は、自然に思っていた。ブランが案内してくれるだろうって。仕事があって忙しいから、一日待って…とかは言われるかもしれないけど、ブランは自分で案内をしようとしてくれるって。……でも、返ってきたのは二人に任せるという言葉。

勿論それは、自分よりお互い面識のあった二人の方がいいだろう…っていう気遣いだと思う。そこにあるのは単なる善意。けど……私は気付かない内に、自分が信次元のルウィーに出向いて、そこにディールちゃんとエストちゃんが来ているようなつもりになっていた。本当は私だけが『違う』存在なのに、その事を忘れていた。

ロムちゃんとラムちゃんが自分を知らないと分かった時にも感じた、この気持ち。私は知っているのに、仲間や友達だと思っているのに、相手はさっき会ったばかりの人としか思っていない……まるでこれまで積み重ねてきた事がリセットされてしまったかのような、心の冷えていく感覚。

 

「……?何か不味かった?」

「…ううん、全然。でも今からプラネテューヌに行くのは大変だし、案内は明日でいいよ」

「そう。だったら今日は教会に泊まっていくといいわ。二人が世話になった相手なら、わたしも無下には出来ないもの」

「わたしは世話されてないけどねー。でも、案内位ならしてあげるわ」

「わたしもいいですよ。…どっちかって言うと世話した覚えがありますが」

「ほぇ?ディールちゃん、大人の人をお世話してあげたの…?」

「ディールちゃん、けっこーしっかりしてるもんね」

「ちょっ…私が世話された事にしないでよ!?…そりゃ確かに全く世話になってないって言ったら嘘になるけど、それでも助け合ったって感じでしょ!?」

「ふふっ、じゃあそういう事にしておきましょうか」

「妥協したみたいに言わないで!?そしてエストちゃんとラムちゃんは面白そうな顔してないでよ!?も、もうっ!」

 

皆の厚意で宿と案内人を手にした私は一安心。それで気が緩んだ事もあって、今度はディールちゃんにからかわれてしまう。面白そうにしていた二人は勿論の事、ブランとロムちゃんも「あぁ…この人はこういう感じなんだ…」と何か理解したような表情を浮かべていた。…うぅ、次元が違っても女神は女神って事なのね……。

 

 

そうして私への聞き取りは終了し、今度は教会内の案内を受けた。教会内の案内を受ける中で、私は思う。…こっちの皆も優しいのに、二人と再会出来たのは本当に嬉しかったのに、それなのに皆が自分の知る皆でない事に気を落とすなんて……私は自分が思っているよりずっと贅沢な女神だったんだな、って。




今回のパロディ解説

・「〜〜独りぼっちは、寂しいもんね」「いいわ、一緒に〜〜」
魔法少女まどか☆マギカに登場するキャラ、佐倉杏子の名台詞の一つのパロディ。何かイリゼがダークな感じに…本気で道連れを望んでる訳ではありませんよ、えぇ。

・緊急フォールド
マクロスシリーズに登場するワープ技術の事。正確な計算を行わない緊急フォールドは危険が伴う…もしかしたら酸素のない次元や恒星みたいな次元に行くかもですね。

・某錬金術士
アトリエシリーズの一つ、不思議シリーズに登場するプラフタの事。グリモワールからプラフタを想像した方はそこそこいるのではないでしょうか?私もそうでした。

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