超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress   作:シモツキ

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前話と今話の間にて、OIで黄金の第三勢力(ゴールドサァド)前日談を書きました。前日談が書かれたのはケーシャとエスーシャなのですぐに関係する訳ではありませんが、今後二人の話となる際にはそちらを読んでいる前提で物語が展開しますので、それまでに読んでおく事をお勧めします。


第八十七話 抱えてるかもしれないもの

「うーん、やっぱりなんか変だよねぇ…」

 

手を組んで、もう座椅子の一種と言っていいんじゃないかって位大きいクッションに座って…呟く。

 

「変?お姉ちゃんどうかしたの?」

「お、物語の定番を利用したわたしの策に早速嵌まったねネプギア」

「え、な、何の事?」

「ほら、冒頭又は場面転換の後最初に出るのが疑問文だったり考え事してる最中の台詞だったりする場合って、高確率で誰かがそれに応答するでしょ?だからわたしはそれを逆手に取って、誰かを召喚しようと思ったの。で、ネプギアが来たの」

「わたしは部屋から出てきただけなんだけど…そうなんだ。よく分からないけど凄いね…」

 

現在わたしは今日の日中、ビーシャとクエストをこなした帰りの出来事について考えていた。…あ、今ネプギアは部屋から出てきたって言ったけど、別にわたしは廊下でクッション置いて考えてた訳じゃないよ?わたしとネプギアはそれぞれが持ってる部屋の他に二人で共用してる部屋があって、わたしがいたのはその共用してる…って、あれ?知ってるの?…そっか…わたし達が捕まってる間に、読者の皆はわたしの知らない皆になっちゃったんだね……。

 

「…お姉ちゃん?」

「あ、ううん気にしないで。…置いてかれた分は、今後の展開で巻き返せばいいんだもんね。何せわたしはもう主人公に復帰してるんだから!」

「あ、うん…それで、何について考えてたの?」

「えっとね、それが侃侃諤諤で…」

「か、侃侃諤諤?重要な会議でもしてきたの?」

「あ、ごめんごめん。侃侃諤諤じゃなくてかくかくしかじかだったよ」

「あぁ、かくかくしかじかだったんだ…聞き慣れない四字熟語が出てきたから驚いちゃったよ…」

「わたしは滅多に使われない四字熟語をネプギアがちゃんと知ってた事が、ちょっと嬉しいかな」

 

という事で今度はちゃんとクエスト後の出来事を説明するわたし。説明してみてもやっぱり、あの時のビーシャの様子はおかしいと思う。

 

「…って事があったんだ。ネプギアはどう思う?」

「うーん…確かにそれは変だね。…一応訊くけど、道中でお姉ちゃんはビーシャさんに距離取られるような事は…」

「してない…と思う」

「じゃあ、急に体調が悪くなって、それで木にもたれかかってたとかは?」

「それもないんじゃないかな。何してるのって訊いたらビーシャ慌ててたけど、その後はいつも通りだったもん」

 

訊いた直後のビーシャは、それこそプレスト仮面の正体を隠そうとする時位に慌ててたけど、逆に言えばおかしな行動を取っていたのはその時だけ。…その時だけ、って事は…やっぱりあの場に何か原因があったのかなぁ…。

 

「…ネプギア、ネプギアだったらどういう時に木の側…っていうか裏に行きたい?」

「わたし?わたしだったら…誰かを尾行する時、とか…?」

「尾行かぁ…でもそれならあの時だけ隠れるのは不自然だよね。あの場に居たのはわたしとビーシャ、後はモンスター位だし…」

「お姉ちゃんの気付けなかった人がいるかも…は、言い出したらキリがない可能性の一つだし…」

 

 

 

 

『……じゃあ、モンスター…?』

 

わたしとネプギアは目を合わせ、二人揃って同じ事を口に。皆と言葉がハモる事は偶にあるけど、「あれ?わたしがもう一人いるのかな?」って思うのはネプギアとの時だけなんだよね。髪型が分からない状態で顔だけ写すとわたしとネプギアってほんと判別難しいし。……って、そういう話じゃなくて…。

 

「いやいや、モンスターはないでしょ。自分で言っといてなんだけど、ビーシャだよ?」

「だ、だよね。何度かプレスト仮面モードのビーシャさんとモンスター討伐やった事あるけど、何にも変な様子はなかったもん」

「でもだとするといよいよ謎だよね。…もしかすると、あの時わたしから殺意の波動でも出てたのかな…」

「え、お姉ちゃん殺意の波動に目覚めたの…?」

「失われし過去と共に、闇の存在となったパープルハート!…とか格好良くない?」

「ど、どうだろうね…でもがっつりじゃなくてちょっとダークになったお姉ちゃんなら、見てみたいかも…」

 

二人で同じ事を考えた後は、二人で『ダークパープルハート』の想像をしてみるわたしとネプギア。今日もわたし達姉妹は仲良しです。

 

「…あっ、でもダークパープルハートじゃロボっぽいやつと紛らわしいか…」

「なんか話逸れちゃったね…今更だけどさ、ビーシャさん自身に訊くのは駄目なの?」

「駄目っていうか、直後に訊いた時ははぐらかされちゃったんだよね。改めて訊いたら答えてくれるかな?」

「それはビーシャさん次第じゃない?訊いてみなきゃ分からないと思うよ」

「まぁ、それもそっか。それじゃ明日訊いてみようかな」

 

という事で、『あの時ビーシャは何してたのかな?』という疑問は、『本人に訊こう!』っていうすっごく当たり前な結論(っていうか手段?)に辿り着いた。…え、この結論なら今の会話の意味ない?ノンノン、二人で話した結果辿り着いた、って事に意味があるんだよ。

 

「ありがとねネプギア。わたしの疑問に付き合ってくれて」

「わたしは気になったから話に乗っただけだよ」

「それでもわたしは助かったもん。今度はわたしが話に乗ってあげるから、ネプギアも何か疑問を持ったら遠慮せずにわたしに言ってね」

「そう?じゃあ、その時はお願いね」

「うむ、何でも答えてしんぜよう」

「あはは、何それ〜」

 

疑問そのものは解決してないけど、どうするかが決まっただけでもわたしはすっきり。しかもすっきり出来たのがネプギアのおかげなんだから、妹思いなわたしとしては気分が良いに決まってるんだよね。

…と、いう事で気分の良くなったわたしはそれからネプギアと遊ぶのだった。

 

 

 

 

ギルドの支部長はいーすん達教祖と同じで、わたし達女神程は自由に動けないらしいんだよね。まぁ支部長って言ってしまえば大企業の社長さんみたいなものだし、社長さんが真昼間から遊んでたりするのは変なんだけどさ。……って言ってるわたしは社長どころか国の長だけど…わたしはわたしらしくねぷねぷしてるのが一番だもんね!

で、何でそんな事を言ったかっていうと……

 

「ねぷねぷ、遊びに来たよー!」

 

──その支部長であるビーシャを遊びに誘ったら、二つ返事でプラネタワーに来たからなんだよねぇ…。

 

「いらっしゃーい。…………」

「……ねぷねぷ?」

「…ビーシャってさ、ほんとに支部長?」

「うん、そうだよ?」

「…だよね…うん、そこは間違いないよね…」

 

わたしがただの町娘ならともかく、女神なんだから偽情報を掴まされたままでいる…的な事はない筈。となればビーシャが真昼間から遊ぶタイプの支部長って事になる訳で……女神のわたしがこういうタイプだから、黄金の第三勢力(ゴールドサァド)もそういう人が支持されるって事なのかなぁ…。

 

「……?わたし何か変?」

「変っていうかなんていうか…まぁそれは後でいいんだよ。それよりじゃじゃーん!ちょっと前に貰った物をビーシャと遊ぶ時まで取っておいたんだー!」

「おぉー!…って何それ?」

 

ごそごそと棚から引っ張り出したのは、凄く質素な…それこそ必要最低限の機能しか考えてないような厚紙の箱。何にも書いてない箱だから、ビーシャのテンションはまだ普通。

 

「ふっふっふ…さぁ、ご覧あれ!」

「こ、これは…もしかしてプラモデル?」

「そう!しかも…まだ一般発売されてない、我らがプラネテューヌ製MGのプラモなんだよ!」

「おぉーっ!」

 

中を見た途端に目を輝かせるビーシャ。しかもそれが非売品の人型ロボットだって事で、男の子みたいな趣味嗜好のビーシャは一気にハイテンションへ。……あ、プラモって事で勘違いしちゃう人がいるかもしれないから言っておくけど、MGってマスターグレードの事じゃないからね?

 

「どうどう?凄いでしょ〜」

「うん、凄いよねぷねぷ!女神様ってこういう事にも優遇してもらえるの!?」

「まぁね。でも実際に貰ったのはMG開発に関わってるネプギアの方で、わたしはネプギアから一個譲ってもらっただけなんだ」

「あ、そっか。ふふ、流石は同好の士ネプギア…」

 

箱からプラモのパーツが付いてる板(ランナー、だっけ?)を取り出したビーシャは、ネプギアの名前を出すと、ふっ…とプレスト仮面の時みたいな笑みを浮かべる。…そういえば、わたしがこれ貰った時のネプギアも楽しそうだったなぁ…。

 

「…それで、これ作っていいの?」

「勿論!ビーシャと一緒に作ろうと思って取り出したんだもん」

「やった!ではねぷねぷ隊員!ニッパーとヤスリよーい!」

「え、ビーシャが隊長なの?…まぁいいけど…待ってて」

 

前にもわたしはビーシャと一緒にプラモ作りをした事があって、その時に道具一式も購入している。偶に作るだけなら一通り揃える必要はないらしいけど、やっぱり一式あった方が作る時に気分も乗るもんね。

それからすぐにわたし達は製作を開始。二人だから製作時間は二分の一!…って事にはならなかったけど、その分楽しくお喋りしながら作る事が出来て……

 

「後は、上半身と下半身を合体させて……」

「ビームライフルと機関砲を装備させれば……」

『出来たーー!』

 

数時間後、完成したMG…ルエンクアージェS型を掲げるビーシャと、その隣でガッツポーズを取るわたし。ビーシャ程じゃないけどわたしの中にだって男の子的趣味嗜好はあるし…何より、作ってた物が完成するのは嬉しいよね!

 

「細過ぎない絶妙なデザイン、SFっぽさを感じる武装、主人公が乗っても映えそうなツインアイ…格好良い!格好良いよねぷねぷ!」

「うんうん。じゃあ完成した事だしさ、早速変形させてみようよ!」

「もう、ねぷねぷはせっかちさんだなぁ…でもそれには乗った!」

 

手脚を畳んで、機首ユニットを展開させて、他にも回したり移動させたりして…ビーシャはプラモを人型から航空形態に変形させる。差し替え無しの完全変形を再現してくれたプラモ会社の人には感謝しなきゃだね。

変形させたり、射撃ポーズを取らせたり、幾つかパーツを外して死闘の後っぽくしてみたり……そんな遊びをする事数十分。他人が見ればそれは幼稚な遊びっぽく見えるのかもしれないけど…わたし達にとっては、凄く楽しい時間だった。

 

「いやー、楽しかったねぇ…」

「だね。あ、なんか飲む?」

「うん、飲む」

 

一息吐くと同時に喉乾いたなぁ…と思ったわたしは、共用の部屋にある小さめの冷蔵庫からジュースを出してコップを用意。二人分淹れながら……考える。

 

(…訊くなら、そろそろだよね)

 

ビーシャと遊びたいって思った気持ちに嘘偽りはないし、プラモを作っていた間は忘れかけてたけど…今日の本来の目的は、例の件について訊いてみる事。あんまり期間を置き過ぎると訊き辛くなっちゃうし、ちゃんと今日訊いておかなきゃ…。

 

「お待たせー、ビーシャは友達だから半額だよ」

「いいの!?…って、お金取るの…?」

「あはは、冗談冗談。…というか、まずお金取る事より半額にしてもらえる事に反応するんだ…」

「お、お金は大事だもん」

 

突っ込んでくれるかな、と思ったら嬉々とした反応が返ってきてしまった。その後すぐに期待した返答が来てくれたからよかったけど…危うくボケに対してより強いボケで被せられるところだったよ…。

 

「ふぅ…ねぷねぷ、これはどうするの?飾っておく?」

「あ、うん。そのつもりだけど…ビーシャ欲しい?」

「欲しい!…けど、いいよ。女神じゃないわたしが貰っちゃったら、ちょっとズルい気がするから」

「…作るのはズルくないの?」

「うっ…て、手元に残す訳じゃないからセーフだよセーフ!」

「都合良いなぁ…気持ちは分かるけどね」

 

自分の所有物かどうか、っていうのは重要な部分。そう言うならいいから貰いなよ、って言うのもビーシャに悪いなぁと思ってこの話は止め、ジュースを一口含んで……

 

「……あのさ、ビーシャ。この前の事、もう一回訊いてもいいかな」

 

ビーシャの目を真っ直ぐに見て問いかけるわたし。その瞬間、ビーシャのコップを口に運ぼうとしていた手が止まる。

 

「…この前の事、って…?」

「一緒にクエストをした日の帰りの事だよ」

「……打ち上げの話?」

「いやそれじゃなくて…ほんとに分からない?」

「…………」

 

ゆっくりと目を逸らしたビーシャは、思い当たる節が無くて困ってるようには見えない。分かってるけど、話したくはないからわざと違う事を口にしてる…そんな感じがビーシャにはあった。直後に訊いた時もはぐらかされたし、こうなるとほんとに気になってくる。

 

「…何か、隠してる?」

「べ、別に隠して…ない訳じゃないけど…些細な事だよ、うん」

「それなら話してよ」

「それは…め、女神様のお耳に入れるような話では…」

「いやビーシャはそんなキャラじゃないでしょ。わたしそんな敬われ方した事一度もないんだけど」

「む、むぅ……」

「…話したくない?」

 

何を隠しているかを、わたしは知りたい。でもその中での興味の割合はせいぜい二割ってところで、気になる一番の理由はビーシャが心配だから。もしネプギアの言っていた通り何か病気だったら、それか何者かに狙われているとかだったら、ビーシャはそれを抱えているって事になる。もしもそうなら、わたしは友達として力になりたい。

でも、それが人に話したくない事なら、無理に訊くのは傷付ける事になっちゃうかもしれない。無理にでも訊くべき事かもしれないけど…知りたいのも、力になりたいのもわたしの都合なんだから、それを押し付けちゃうのはよくないよね。

 

「話したくない事なら言わなくてもいいよ。けど…もし誰かの助けが必要だったら、その時はわたしを頼ってくれていいからね?」

「ねぷねぷ…」

「何たってわたしは女神だもん。そんじょそこらの可愛い女の子とは頼りになるレベルが違うってところを見せてあげるよ!」

「…ありがとね、ねぷねぷ。そう言ってもらえてわたし、ちょっと心が軽くなったよ」

 

わたしが握った両手を腰に当てて胸を張ると、ビーシャの表情が少しだけ柔らかくなった。それまで逸らしていた目もちゃんと合わせてくれて、わたしはそれだけでも訊こうとした意味はあったかな、って気持ちになる。

これから先、話してくれるかどうかはビーシャ次第。訊き出すんじゃなくてビーシャが話したいって思った時、躊躇せずに言えるような立場であろうとわたし自身で決めた以上、もうどうこう言ったりはしない。話してくれるなら真剣に聞いて、まだ話したくないようなら気持ちを切り替えて思いっきり遊ぼう…そうわたしが思っている中、ビーシャは何かを決意したような顔で口を開……

 

「お客様がいらしているところにすいません。少しいいでしょうかネプテューヌさん(*・ω・)ノ」

「ほぇ?いーすん?」

 

ビーシャが何か言おうとした直前という、絶妙なタイミングで廊下から声をかけてきたのはいーすん(ノックは…したかどうか分からないんだよね。いーすんの力じゃ思いっきりパンチするとかじゃないと音が聞こえてこないし)。なんだろうな〜と思って扉を開けると、いーすんはふよふよ浮きながら入ってくる。

 

「あ、お邪魔してまーす」

「わたしこそお邪魔してしまってすいません、ビーシャさん。……(。-_-。)」

「…いーすん?どったの?」

「あ、いえ…お客様が一般の方なら場所を変えようと思ったのですが、黄金の第三勢力(ゴールドサァド)のビーシャさんでしたら問題ないか、と考えていたところです

(´・ω・)」

「ふーん…じゃ、もしかしてこれからするのは真面目な話?」

 

わたしの問いにいーすんはこくんと首肯。いーすんが切羽詰まった顔をしてないって事は、どっかで大事件が起きたとかのヤバい話ではないんだろうけど…そうなると逆に、わたしの好きじゃない事柄な気がしてくるんだよねぇ…。

 

「えー…まず確認ですが、残党状態とはいえまだ犯罪組織は残っている…というのは分かっていますよね?( ̄^ ̄)」

「そりゃ勿論。もし分かってないと思ってたなら、それは流石にわたしを馬鹿にし過ぎだよ?」

「そうですよね。それでなんですが…比較的人の生活圏に近い森で、本来そこにはいない筈のモンスターを見かけたという報告が複数ありました(-_-)」

「それって…そこに犯罪組織の残党がいるって事?」

「現在は事実確認の為偵察が行われていますが…恐らくそうだと思われます(。-∀-)」

 

黄金の第三勢力(ゴールドサァド)として無関係な話じゃないと思ったのか、ビーシャも会話に参加。そしていーすんはビーシャの言葉に答えた後、わたしの方を向いてくる。

 

「…ネプテューヌさん、わたしが何を言いたいか分かりますね?」

「えと…いーすんもジュース飲みたい?」

「…………」

「ねぷねぷ…さっきのわたしと同じような事してるじゃん…」

「うぐっ…わ、分かってるよ。犯罪組織だったら、制圧をしに行ってくれって事でしょ…?」

 

何が言いたいか…それは分かってるけど、わたしの性格が素直にそれを言う事を躊躇わせる。しかも今回敵の可能性に上がっているのは、他でもない犯罪組織の残党。これが書類仕事とかならもっともっと誤魔化しにかかるところだけど…犯罪組織絡みの事を面倒臭いとは言えないもんね……。

 

「…犯罪組織じゃなくて札付きワルズとかの可能性はないかな?ほら、あの組織のトップって大魔王だし…」

「いや、あの方は別に悪人ではありませんから…(ー ー;)」

「だよねぇ…OK、分かったよ。わたしが制圧するから、偵察に向かった人達には無理をしないようにって連絡してあげて」

「分かりました。…因みに、ネプテューヌさんが行くという事で良いのですか?ネプギアさんと相談し、どちらかが向かうという事でも構いませんが…(´・ω・`)」

「いいよいいよ。残党とはいえ相手は犯罪組織なんだから、楽する為に妹へ押し付けるなんて事したくないもん」

「そうですよね…ふふ、ネプテューヌさんならそう言うと思っていました(^∇^)」

 

満足そうな笑みを浮かべるいーすんにつられてわたしも笑顔に。仕事はあんまり好きじゃないわたしだけど…やるって決めた以上は前向きにならなきゃ格好悪いもん。明日はしっかりと制圧して、女神の力を見せ付けてあげなきゃね!

 

「それでは明日、お願いします。とはいえ相手はネプテューヌさんの言う通り、残党であっても犯罪組織。もし危険を感じるようでしたら、退く事も選択肢に入れて下さいね?(>人<;)」

「はーい。…折角遊びに来てくれたのに物騒な話しちゃってごめんね。ほらほらいーすん、お詫びにいーすんもゲームか何かに付き合ってよ」

「お、お詫びにですか?…まぁ、邪魔してしまったのは事実ですし、少しだけなら……」

「…待って、ねぷねぷ。明日はそのお仕事、わたしにも手伝わせてくれないかな?」

「へ?」

 

話は終わったんだから…と思い、空気を変えようといーすんを引き込むわたし。けれどビーシャは…凄く意外な言葉を口にした。

 

「…駄目?」

「だ、駄目じゃないよ?ビーシャなら戦力的な心配はないし、立場的にも問題ないけど…どうして?」

「それは……その、犯罪組織との戦いだったらモンスターも出てくるよね?普通のクエストより大変になるよね?」

「うーん…まあ、多分そうだと思うけど…」

「だったらきっと、それはわたしの為になるから。…だからねぷねぷ、わたしにも戦わせて」

「…………」

 

ビーシャがどういう本心で、参加したいと言っているのかは分からない。でも…ビーシャの言葉は、目は本気だった。軽い気持ちなんかじゃないって、よーく伝わってきた。でも同時に、犯罪組織との戦いも遊びじゃない。わたしが女神化すれば四天王クラスでも出てこない限り大丈夫だとは思うけど、絶対じゃない。

戦いの危険性と、ビーシャの思い。どっちも簡単にはどうこういえない事で、だからこそちゃんと考えなくちゃいけなくて……だからわたしは真剣に考えて、答えを出す。

 

「…分かったよ。明日は宜しくね」

「ほんと!?うん、頑張るよ!」

「……いーすん、いいよね?」

「はい。ネプテューヌさんに任せた以上、判断はネプテューヌさんに委ねます」

「だったらこれで決定だね。…油断も深追いもしない、これだけは約束だよ?」

「了解!」

 

……そんな事があって、わたしとビーシャは明日犯罪組織残党の制圧に向かう事となった。もしかしたら犯罪組織じゃないのかもしれないけど…それならそれで良い。だってそっちの方がわたし達も国民の皆も安全だからね。

一つだけ引っかかるとすれば、それはビーシャの本心。それがビーシャの抱えてるかもしれないものと同じかどうかは分からないけど……どちらにせよ、困った時に頼れる友達ってスタンスは守っていこうと思うわたしだった。




今回のパロディ解説

・殺意の波動
ストリートファイターシリーズに登場する要素の一つの事。殺意の篭るネプテューヌ…強いて言うならVⅡ(R)での悪堕ち状態が該当しそうですね。

・ロボっぽいやつ
原作シリーズの一つ、新次元ゲイムネプテューヌ VⅡ及びVⅡRに登場する敵、ダークパープルの事。あれは結局ロボットなのでしょうか?かなり謎です…。

・マスターグレード
ガンプラことガンダムプラモデルのシリーズの一つの事。ガンダムやガンプラ好きなら知ってると思いますが、あれも通称はMG…うちの作品の兵器名と紛らわしいですね。

・札付きワルズ
天才てれびくんシリーズの一つ、大天才てれびくんに登場する組織(チーム?)の事。何故かふと思い出しました。懐かしいなぁと思う方も多少はいるのではないでしょうか。

・大魔王
お笑い芸人、DJ、音楽プロデューサーである古坂大魔王こと古坂和仁さんの事。そういえばネプテューヌシリーズって、魔王はいますが大魔王はいないんですよね。

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