超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth2 Origins Progress 作:シモツキ
お姉ちゃん達がかなり強引な尋問で情報を引き出した日の翌日。わたし達はプラネタワーの玄関先にいた。わたしやお姉ちゃん他プラネテューヌ組はお見送りの為に、ユニちゃん達は自国に戻る為に。
「ネプギア、しっかりネプテューヌの手綱を握ってなさいよ?ネプテューヌは何しでかすか分からないんだから」
「えへへ、それ程でもないよ?」
「褒めてないわよ…」
「あはは……」
額を押さえるノワールさんにわたしは苦笑い。お姉ちゃんの表面的な部分しか知らない人が言ったならお姉ちゃんにも良いところがあるんです、ってフォローするところだけど…ノワールさんはお姉ちゃんの良いところもちゃんと知った上で言ってる筈だもんね。
…と思っていると、ユニちゃんがお姉ちゃんの前へ。…なんだろう……?
「ネプテューヌさん、ネプギアの事お願いします。ネプギアも結構何しでかすか分からない面があるので」
「えっ……わ、わたしも心配されてる…?」
「あっはは、言われちゃったねネプギア。…でもよかったじゃん。こんな事、仲良くなくちゃ言ってもらえないよ?」
「そっか…そうだよね…ふふっ、わたし言ってもらえて嬉しいよ、ユニちゃん」
「なっ……!ち、違うわよ!あ、アタシは女神として他国の事も気にかけただけ!勘違いしないでよね!」
「おぉう、これはまた綺麗なツンデレが…ノワールノワール、わたしも実は心配してもらえて嬉しかったんだよ?ありがとっ!」
「なぁっ……!だ、抱き着くんじゃないわよ!わ、私だってイストワールやコンパ達が割を食う展開を危惧して言っただけなんだからね!」
わたしが微笑み、お姉ちゃんが抱き着くとユニちゃんとノワールさんは二人揃って顔を赤くしていた。そんな様子を見ていると、ついからかいたくなっちゃうんだよね(勿論ユニちゃんをだよ?お姉ちゃんはノワールさんを既にからかう気だけど…)。他の皆さんに半眼で見られてたから止めたけど…。
「ユニってば、ネプギアにああやって言われるとすぐわたわたするわよねー」
「……?…ラムちゃんも、たまにしてるよ…?」
「うっ…わ、わたしのはあれよ!…えっと…えーっと…ほっさ…?」
「発作!?えぇっ!?ラムちゃんわたしのせいで偶に発作起こしてたの!?」
「…そ、そんなにおどろくことだったの…?」
「あぁ……安心なさい、ネプギア。この様子じゃラムは適当に言っただけよ」
「そ、そうなんですね…よかったぁ…」
もう自国に帰ってもお互い頑張ろうね、とか充電器のアイデアを貯めておこうね、とか玄関先に来るまでに色々話していたのに、やっぱりわたし達は最後まで賑やかになってしまう。…でも、いいよね。賑やかな方がわたし達らしいもん。
「…この様に無邪気な仲の良さは、わたくし達にはないものですわね」
「私達は皆大人だからね。……一応…」
「心に刺さる一応ですわね……では、そろそろ行くとしましょうか」
賑やかにお喋りするのは楽しいけど、このままだといつまで経っても戻れない…そう気を使ってくれたのか、ベールさんは丁度いいタイミングで声を上げてくれた。そしてそれに頷き荷物を持ち直すイリゼさん。今回イリゼさんは、前回分かれた時と同じ様にリーンボックスへ行く事になっていた。
「…ネプギア、何かあったら頼ってよ?前の時はアタシが助けてもらったんだから」
「そうそう、わたしたちが力になってあげるんだから、たよりにしなさいよね」
「助けあい、だよ?」
「皆……うん、もしもの時はお願いね。でもわたしだって何かあればまたすぐに行くから、皆もわたしを頼りにしてね」
わたし達も、お姉ちゃん達も、各国へ分かれるパーティーメンバー全員が挨拶の言葉を交わして、皆さんはそれぞれの国へ。プラネテューヌにはお姉ちゃんがいるし、プラネテューヌ担当のメンバーだっているから、わたしは一人なんかじゃ決してないけど……それでもやっぱり、友達や仲間が一度に帰っちゃうのは少し寂しいね…。
「…何かあった時は、プラネテューヌの事を気にせず行けばいいからね?プラネテューヌはわたしがちゃーんと守るからさ」
「え?」
「ふふーん、なんで分かったの?って顔してるね。…ネプギアの事なら手に取るように分かるよ。だってわたしはネプギアのお姉ちゃんだもん」
「お姉ちゃん……」
「あら、珍しく姉らしい事言うじゃない」
「ねぷねぷは偶にお姉ちゃんみたいになるですね」
「ちょ、ちょっと…折角いい感じの事言ったんだから、水を差さないでよ…」
わたしが声に反応して振り向いた時、お姉ちゃんは腰に手を当てにっこりと笑顔を浮かべていた。すぐにアイエフさんとコンパさんに突っ込まれてむぅぅ…って表情になっちゃってたけど……お姉ちゃんの優しさは、ちゃんと伝わったよ。
周りから見れば不真面目で、姉らしくないって言われるお姉ちゃん。不真面目っていうのは…まぁ、正直に言えばわたしもそう感じる事があるし、完璧な人だとは思ってないけど……それでも、お姉ちゃんはわたしにとってお姉ちゃんなんだなぁ…と思う瞬間だった。
*
「ネプテューヌさん、今からお出かけですか?(。・ω・。)」
「うん、国民の皆と交流してこようと思ってね。国民との触れ合いは女神にとって大切でしょ?」
「そうですね。ではついでにこのクエストもこなして来て下さい(・Д・)ノ」
「はー……い?」
皆が行っちゃってから数時間後。こっそり抜け出……じゃなくて、女神らしい事をしようと思っていたら、いーすんがクエストの書類を持ってきた。その書類に書いてあったのは、多分常人の域を超えてない人には手に余りそうなモンスターの討伐依頼。
「…えっといーすん…このクエストって、ついで感覚でやるようなレベルじゃないよね…?」
「では交流をついでにして、クエストをメインにすればよいかと( ̄ー ̄)」
「あ、そっかぁ…っていやいやいや。もー、駄目だよいーすん。人との関わりをついで感覚にしちゃ」
やれやれと首を横に振るわたし。んもう、人と人との繋がりが女神の力なんだから、交流を二の次にするなんて論外だよね。いーすんってば教祖なのに分かってないのかなぁ?
……なーんて思ってたわたしだけど、気付いたらいーすんの顔が近くにあった。
「…近くで見てもやっぱりちっちゃいね」
「でしょうね…人との関わりをついで感覚にしてはいけない。それはその通りだと思います( ˘ω˘ )」
「でしょ?だからクエストはまた今度って言う事に……」
「…一応訊いておきますが、交流という名目で子供達と遊ぼうなんて思っていませんよね?(-_-)」
「えっ……?」
「お店でお惣菜を貰ったり、お菓子を食べさせてもらったりしようなんて思っていませんよね?(´ー`)」
「あ、えと…それは……」
「散々遊び呆けた挙句、さも熱心に仕事してきたみたいな顔して他の仕事をわたしに押し付けたりは──」
「よぉーし!クエストも大事なお仕事だもんね!行ってきまーす!」
クエスト書類をポケットに突っ込んで、わたしはダッシュ。い、いやーよく考えたらクエストだって道中とかギルドとかで色んな人と会うもんね!そう考えたら交流との親和性高いもんね!それなら一遍にやる方が無駄がないもんね!あっはは、なんかいーすんの溜め息が聞こえたけど…「ネプテューヌさんはしょうがない人ですね…」的な意味合いじゃないよね、きっと!……さ、さーて!見透かされて焦ったとかじゃなくて、あくまで自主的な気持ちで頑張るよー!
*
ギルドから教会に回ってくるクエストは基本受注済みの扱いになってるから、わざわざギルドで手続きをする必要はない。…けど、最近顔を出してないなぁって思ったわたしは(出してないというか出せなかった、だけど)、ギルドに一度立ち寄って……
「頑張ろうね、ねぷねぷ!…じゃなくて、いざ頑張ろうではないか、パープルハートよ!」
「あ、うん。頑張ろーね」
ビー…プレスト仮面が、パーティーインしました。…あ、勿論旅の仲間になった訳じゃないけどね。
「…プレスト仮面、キャラ使い分けるの大変じゃない?」
「さて、何の事やら」
「まぁそう言うよね…プレスト仮面がそれでいいなら文句はないけどさ」
「そうしてくれ給え。というか、キャラの使い分け云々は君もではないかな?」
「わたし?…あぁ…わたし達女神の場合は、価値観とか思考回路そのものが切り替わってるからね。意識してやってる訳じゃないんだよ」
芝居掛かったプレスト仮面の言葉にわたしは苦笑い。使い分けを徹底してくれればそういうものかって思えるけど、プレスト仮面の時にちょいちょい素が出たり、逆に素の時にプレスト仮面じゃなきゃ知らない筈の事言いかけたりするもんだから、昨今の作品における厨二病キャラ的な印象になっちゃうんだよね…。
「…それでさプレスト仮面、お仕事はいいの?手伝ってくれるのは助かるけど、暇だった訳じゃないでしょ?」
「ふっ、わたしの仕事は子供の味方として正義を貫く事さ!」
「……確か犯罪組織の四天王にも似た様な事言ってる奴がいた気が…」
「え、そうなの!?…その人わたしじゃないからね!?」
「分かってるって。後キャラが戻っちゃってるよ」
あの時は死に物狂いだったからよくは覚えてないけど、ノワールが相手してた奴がそんな事を言っていた…と思う。犯罪神の配下なのに子供の味方、なんて何を考えてるんだろうね。Я化でもしちゃってるのかな?
そんな会話を交わしながら歩く事数十分。討伐対象モンスターの生息地付近に到着したわたし達は、そこで一度周囲を見回す。
「…さて、敵はどこにいる…?」
「上から来るよ!」
「う、上!?」
「…なーんてね。今のは言ってみただけだよ」
「……そういう冗談はよくないぞ、女神よ…」
「あはは、ごめんごめん。でも所構わずボケてこそのわたしでしょ?」
わたしの言葉を間に受けてバズーカを空へと向けたプレスト仮面は、ちょっと怒り顔。でもそんな顔をしていたのも数秒だけで、すぐにそうだねって笑顔を見せてくれた。
「でも実際にはどこにいるんだろうね。もう別の場所に行っちゃったって事はないと思うけど…」
「…まさか、地中?」
「いやいや、地中はないでしょ〜……ん?」
モンスターの生息地として指定されたのは地盤の硬い荒れ地で、見える範囲で身を隠せるような物はない。だから近くにいるならもう視認出来てもおかしくないのになぁ…と思っている最中、わたしとプレスト仮面のいる場所が日陰になった。あっれぇ?急に日陰に、しかもわたし達のいる場所だけがなるなんて変だよねぇ?一体何だろう…って……
『ほんとに上から来たぁぁぁぁぁぁッ!?』
弾かれたように日陰から跳び退くわたしとプレスト仮面。次の瞬間わたし達のいた場所に巨大なスライヌが飛び込んでくる。
前に戦ったグランディザストスライヌに比べれば随分と小さな、でもわたし達よりはずっと大きいそいつの名前は……えっと、なんだっけかな?大きいスライヌって冠詞がドでかとか特盛とか似たような感じのやつばっかりだから判別し辛いんだよね…。
「な、何故上から…まさかあのスライヌには飛行能力が…!?」
「いや、ジャンプして滞空してたのかもよ?スライヌの身体ってパラシュートみたいになりそうだし…」
言葉を交わしながらわたしは太刀を抜刀し、プレスト仮面はバズーカの砲口をスライヌに向ける。情報通りならわたし一人でも何とかなるレベルっぽいけど、サイズがサイズだし油断はしないようにしないと…。
「…プレスト仮面、久し振りに二人で戦う訳だけど…大丈夫?」
「勿論。わたしを誰だと思っているのかな?」
「その言い方だと仮面がグラサンに見えてくるね…じゃ、ぱっぱと倒しちゃうよッ!」
ぐっ、とサムズアップで答えてくれたプレスト仮面に笑みを返し、わたしはスライヌへと突撃。わたし達を見ていたスライヌはすぐに動き始め、その巨体を使った突進で迎え撃とうとしてくるけど……そこでわたしは急ブレーキ。
「頼むよ、プレスト仮面!」
「りょーかいッ!」
わたしの横を駆け抜けていくロケット弾頭。一瞬遅れてスライヌも気付くけど、柔らかく大きいその身体では回避が間に合わず、顔のど真ん中に弾頭が直撃した。
「おー、ナイスヒット!」
「ふっ、追撃は任せよう!」
「任されたよっ!」
スライヌの顔が煙を上げる中、再スタートを切ったわたしは黒煙を斬り裂く様に一閃。続けて右回転からの回し蹴りを叩き込んで、次々ダメージを浴びせていった。
けれどこれだけで終わるようならこのクエストが教会に回ってきたりはしない。蹴り付けたわたしがバックステップで距離を取ると、その瞬間にスライヌは体当たりを仕掛けてきた。
「わ、わわっ!?」
「……!だ、大丈夫!?」
「痛た…大丈夫だよー…おぉっ!?」
ぶつかった衝撃で転がるわたし。直撃そのものは太刀の峰で受けたし、転がる最中も受け身を取っていたからダメージは殆ど無かったけど…わたしが立ち上がるよりも早く、スライヌは次の突進を打ち込んでくる。
立って迎撃する余裕のないわたしは、連続跳び前転でジグザグ動いて何とか回避。でもスライヌも中々しつこくて、端から見ればまるで選手とサッカーボールのよう。こ、これじゃリアル友達はボール状態だよ!
…ってわたしを助けてくれたのは、またも顔に弾頭を直撃させたプレスト仮面だった。
「た、助かったよプレスト仮面…うぇぇ、口の中に砂利入った…」
「相手は大きさに違わぬタフさ、相手は一筋縄ではいかないぞ女神パープルハートよ」
「みたいだね…よーし、それじゃあ女神と
ハンドスプリングで起き上がったわたしは、プレスト仮面に合流し…女神化。初めはプレスト仮面もいるし、この姿のままでもやれるかなぁ…と思ってたけど、サッカーボールの気持ちが分かった後じゃあね……たかがモンスター、されどモンスターって事かしら。
「ヌラァ……」
「全く、大きさ以外はライヌちゃんと似たようなものなんだから、大人しくしていてくれればかわいいものを…ッ!」
感触を確かめるように大太刀を軽く振り……一気に肉薄。回避どころか反応もままならないスライヌに対し素早く二連撃を与え、鋭いターンで背後へ回り込む。そこで更に逆袈裟を(頭だけのスライヌに逆袈裟、というのは本来の意味的にはおかしいのだけど…皆ならどういう攻撃したのか分かってくれるわよね)仕掛け、そこからスライヌが強引に体当たりをしようとした瞬間に舞い上がる。かなりの力を有する体当たりも目標に逃げられてしまえばただの前進で…わたしの飛翔に合わせて撃ち込まれた弾頭によって、スライヌは前のめりとなっていた。
「プレスト仮面!一気に仕留めるわよッ!」
「了承したッ!」
わたしが空中から大太刀の斬っ先を向ける中、スライヌは一度バネの様に身体を縮め…跳び上がった。
身体の弾性を活かした跳躍なんて、正にバネ。跳ぶどころか地表を跳ねる事もままならなそうな巨体が空中のわたしへと迫る姿は少しばかり威圧感があったけど……まともな飛行能力も持たないモンスターが、女神のいる空へと向かうなんて愚の骨頂でしかない。
「わたし達を相手にするなら、せめて陸での反撃に徹するべきだったわね!」
翼を大きく広げ、スライヌの身体を見据え……全身の力でもって一撃。わたしの…女神の膂力を見誤ったスライヌの身体は大太刀の喰い込んだ部分を基点に大きく曲がり、そのまま落下していった。
くの字に身体を歪めながら落ちるスライヌ。もしかしたらスライヌは地面に当たる衝撃に備えていたのかもしれないけど……その衝撃は訪れない。
「背後にも目を付けていれば…いや、君には無理な話か…」
不敵な笑みを浮かべたプレスト仮面のバズーカより放たれる、先程までとは違う弾頭。それはバズーカとスライヌの中間辺りまで飛んだところで炸裂し、広がった弾頭がスライヌの身体を撃ち付けた。
面制圧の射撃を受けたスライヌの身体は、壁や地面に叩き付けたスライムの如く大きく広がる。そしてそこへ放つ、トドメの一撃。
「これで、終わりよッ!」
急降下の勢いを全て乗せて振り抜いた大太刀が、スライヌの身体を斬り裂き引き千切っていく。わたしもわたしの大太刀も止まる事なく進み続け……わたしが着地した時、スライヌの身体には致命的な傷が刻まれていた。
大太刀に付着したスライヌの身体の破片を振り払い、ふぅ…と息を吐くわたし。地面に落ちたスライヌは大きく唸り、僅かな呻きを上げ……消滅を始めた。
「これにてクエスト完了ね。プレスト仮面、怪我はない?」
「君のおかげで無傷さ」
「それは良かったわ。…じゃ、終わったし帰ろー!」
消滅しきった事を確認した後わたしは女神化を解除し、パーカーワンピとストライプニーハイに付いた砂を払う。わたしも怪我はないけど、服がちょっと汚れちゃったなぁ…。パーカーワンピはお気に入りの服だけど白の面積が多いし、汚れが目立ち易いのが玉に瑕なんだよね…。
そうして帰るわたしとプレスト仮面。駄弁りながら歩くわたし達だったけど…途中でプレスト仮面は、ふと何かを思い出したかのような顔になる。
「…っと、少し待っていてくれるかな?」
「……?いいけど…どしたの?」
「野暮用、さ」
わたしが首を傾げる中、小走りでプレスト仮面は近くの木の裏に。……え、まさかおトイ…………
「あれ?ねぷねぷ?わ、奇遇だね!」
「……あー…そういう事…」
……木陰から出てきたのは、プレスト仮面ではなくビーシャだった。…演じるの疲れたのかな…それとも目元が蒸れたのかな…?
「どうしたの?」
「いや、別に…個性は人それぞれだし、わたしも他人の事言えるような性格してないからね…」
「ふーん…それよりさねぷねぷ、クエストの打ち上げを(ねぷねぷのお金で)やらない?」
「お、いいね!…って重要な部分を()内だけに収めようとするのは止めようよ!?それはもうお金に厳しいの域じゃないよ!?軽い詐欺だよ!?」
「えー、ねぷねぷ女神なんだからお金はあるでしょ?」
「ビーシャだって大企業の社長みたいなものじゃん…」
一瞬前までプレストさんの事について考えてたのに、もう話がフルチェンジだった。…恐るべしビーシャ…他の人もそうだけど、
「…まぁでも遊びに行くのは賛成だよ。ビーシャと遊ぶのも久し振りだもん」
「ほんと?じゃあどこ行こっか?」
「そうだねぇ、動き回った後だしまずは何か食べたい……あ」
わたし達の歩く道の側にある草むら。そこからひょこり、と四角い鳥みたいなモンスターが顔を出した。けれどそのモンスターはわたし達の元に来るでも敵意を向けてくるでもなく、きょろきょろと周囲を見回した後にどこかへ歩いて行ってしまう。
「行っちゃった……今のって、わたし達に気付かなかったのかな?」
「…………」
「びっくりしたね〜…あ、そういえばわたし、前にもこんな事あったんだよ?あれは天界に行った時だったなぁ…」
「…………」
「あの時はボールで遊びながらどっか行っちゃったんだけどさ、今のといい普通のサイズのスライヌといい、見た目だけなら可愛いモンスターってそこそこいるよね……って、ビーシャ?」
友達と話すの大好きなわたしはネタを見つけるのも得意で、今みたいにちょっとした事でも話題のきっかけに出来てしまう。それでいつもならビーシャは楽しそうに聞いてくれるんだけど……今日は何故か、何の反応もしてくれなかった。
わたしに劣らず賑やかで、多分普段の精神年齢もわたしとあまり変わらないビーシャ。そんなビーシャが黙っているのが不思議で、何か考えてるのかなと思って隣を見ると……
「…………え?」
──そこにビーシャの姿はなく、ビーシャがいたのは先程仮面を取る時に使った木の後ろ。そこでビーシャは……まるで何かから隠れるように、顔だけ出してこちらを伺っているのだった。
今回のパロディ解説
・Я化
ヴァンガードシリーズの一つ、リンクジョーカー編及びそれに関する惑星クレイ物語にて起こった現象の事。作中で言ってるのはどちらかというと後者のものですね。
・「〜〜わたしを誰だと思っているのかな?」
天元突破グレンラガンにおける全体での代名詞的台詞の一つのパロディ。ビーシャの仮面の形からも分かる通り、ネプテューヌは特にカミナを彷彿としているのです。
・友達はボール
バカとテストと召喚獣の登場キャラ、坂本雄二の言ったワードの一つの事。作中のシーンを想像してみて下さい。…大変シュールですね。
・「後ろにも目を付けて〜〜」
機動戦士Zガンダムの登場キャラ、アムロ・レイの台詞の一つのパロディ。スライヌが後ろに目を付けたらキモいですね。アムロは物理的な意味で言った訳じゃないですが。
今後のOPに関するお知らせを活動報告に掲載しました。そちらを見て頂けないと「あれっ?」…となってしまう可能性があるので、読んで頂けると幸いです。