那智に案内され小会議室へ向かうル級達三人は空母寮横を歩いていた。昼前のこの時間は寮内には殆ど誰もおらず、いるのは夜間に仕事があった者や非番の者だけだ。そんな空母寮から慌ただしい音がしていた、その音に足を止める那智達四人。
「ちょっと、装甲空母姫待ってよー!」
寮から出てきたのは頭を押さえてフラフラと歩く装甲空母姫、それを追いかけているのは軽空母の隼鷹。隼鷹は装甲空母姫の物と思われる衣類を抱えていた。その理由は装甲空母姫がなにも身に付けておらず、所謂全裸状態だからだ。
「部屋から出るならちゃんと服を着ていってよー!」
隼鷹が叫ぶが、しかし聞こえていないのか装甲空母姫は那智達の方へフラフラと近づいてくる。
装甲空母姫は何事かと足を止めていた四人のうちル級へと近づいてル級の胸部装甲で頭を支える装甲空母姫、その口からは、アァ~やらヴォ~と呻き声が漏れていて、体からは濃い酒気を発していた。
「やっと追い付いた。ほら装甲空母姫、ウ〇ンの力飲んで、早くお風呂に行くよ。午後から講義があるって言ってたじゃん」
隼鷹に捕まった装甲空母姫は無理矢理ウコ〇の力を口に突っ込まれ下着だけを穿かされる。隼鷹はさらに装甲空母姫を担いで風呂場へ歩いていく。その姿はまるで誘拐か米俵のそれである、その間装甲空母姫は半死半生でされるがままだった。
「ねぇ、隼鷹。飛行場姫見なかった?昨日から帰って来てないのよ」
ル級は遠ざかっていく隼鷹に昨日から帰っていないと言う飛行場姫の場所を聞いた。
「飛行場姫なら211でぶっ倒れてるよ」
隼鷹は振り返らずにル級に返事を返す、ル級はタ級の方に視線を向けるとタ級はやれやれといった様子で空母寮の中に入っていく。
「いいのか?」
「いいのよ、弱い癖に倒れるまで飲むほうがいけないわ」
那智はタ級に蹴り起こされる飛行場姫を心配すればいいのか、蹴り起こされた飛行場姫がタ級を攻撃しないかを心配すればいいのか分からなくなった。
そんな那智の心配を抱えたまま飛行場姫をタ級に任せて小会議室に向かう一行だった。
その後、隼鷹に担がれた装甲空母姫とタ級に蹴り起こされた飛行場姫はお風呂場の一角で暫くの間、土左衛門と化していたようでお風呂場に忘れ物を取りに来た天龍がなんとも可愛らしい悲鳴を上げる事となる。天龍にとって幸運だったのはその悲鳴を聴いた艦娘や深海棲艦が居なかった事だろう。
さらに装甲空母姫と飛行場姫は講義に遅刻し、特別に追加レポートを仕上げなければならない事となった。
この作品では深海棲艦との和解が少しずつ進んでおり、テストケースとして五人の深海棲艦が大学に通っています。