このぞんぞんな世界に救済を!   作:ちょむすけ

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カズマさんのキャラ難しいな。あとアクアとかも。


この異世界パーティーに日本の家を!

「ぷーくすくす。ねえ聞いたさっきのカズマ『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!』って、いつもは得意げに魔王を倒したってカズマさんって自慢してるくせに、ぷぷっ」

 

近場にあった一軒家に飛び込み中のゾンビをバインドでしばって適当な部屋に転がしたあと、潜伏スキルで隠れてなんとか一休まで来た時にアクアがムカつく顔でこっちを煽って来た。

 

ってか、潜伏スキルが効くってことはアンデッドじゃないってことか。

 

「さっき逃げてる時に浄化魔法が効かないって泣き喚いてた駄女神は放っておいてだ。これからどうしようか」

 

「ちょっと誰が駄女神よ、このヒキニート!」

 

…マズイことになった。俺たちが日本に来ちまったのはいい。

 

あと、なんか日本が映画みたいな大事件に巻き込まれてバイオハザード的な世界観になってるのもまあ、一万歩くらい譲って良しとしよう。

 

そう考えながら俺はアイリスの方に目を向ける。

 

「どうかしたのですか、お兄様?」

 

これって帰ったら俺がまた国家転覆罪みたいなのに処される案件なんじゃないだろうか。

 

「マズイぞカズマ…アイリス様が私たちに巻き込まれたのは本当にマズイ!!」

 

「これ帰ったら確実に牢屋にぶち込まれるパターンなんじゃ…」

 

そんな心配をしながら俺たちが顔を真っ青にしてると。

 

「大丈夫ですお兄様。お父様にちゃんと言っておきますから……これはただ単に魔王を倒した勇者様とお供を連れて婚前旅行に出ただけだと」

 

なんていい妹なんだ!後半はよく聞こえなかったが、アイリスがどうにかしてくれるらしい。

 

「な、何を言ってるのですか貴女はっ!本当に最近はカズマみたいに手段を選ばなくなってきましたよこの娘!」

 

「…そろそろこれからどうするかを考えようよ、まだ帰る方法すらもわかってないんだし」

 

「それもそうだな、よし帰った後のことは帰った後に考えよう」

 

うん。今までもどうにかなって来たんだ、きっと今回もなんとかなる。

もし仮に、殺されたとしても『リザレクション』で蘇生してもらえば問題ない。

 

「で、とりあえずだけど学校を目指そうと思う」

 

「学校…?なぜだ?」

 

ダクネスが聞いてくる。まあ、あの世界は教育制度がまだあんまり広まってない上に、自然災害があんまり怒らないからな。

 

「いやこの国な、割とシャレにならないような大災害が割と頻繁に起こるんだよ。で、学校なんかはその避難所によく使われるんだ」

 

「なるほど…この国ではこんな災害がよく起こるのか…恐ろしいな」

 

そう言いながら、ダクネスは窓の外に目を向ける。

 

「いや、さすがにこんな災害はそうそうおこらねーよ。巨大な地震が起こってその地域が壊滅したりってのがたまにあるくらいだ」

 

「いや、それもそれで問題だろ!」

 

「だから災害時の決まりごとがしっかりしてんだよこの国は」

 

「なるほど…我が国でもそういう避難所のようなものを作った方がいいかもしれませんね」

 

「学校を目指すのはいいのですが、そもそも道はわかるのですか?」

 

「それは問題ない。なんせ俺この辺りに住んでたし道はわかる」

 

「なんと!カズマが育った街なのか、ここは!」

 

そうやってなんだかんだと説明してるとクリスが沈痛な面持ちで話しかけて来た。

 

「じゃあ助手くんの実家とかも寄った方がいいのかな」

 

「いや、いいです」

 

それは本当に勘弁してほしい。

 

「な、何を言ってるんですかお兄様!ご両親が心配じゃないんですか!?」

 

「そうですよ!カズマは世間では鬼畜だのクズだのと言われていても人並みの情はあると思ってたのに!」

 

いや、そうじゃない。今の言い方だとそうとも取れるだろうがっていうか今世間で鬼畜とかクズとか言われてるって言った?何?そこまで広まってんの?

 

「いやそうじゃなくて!生きてるならどこぞに避難してるはずだし、もし家にいたら絶対あいつら見たくなってるって。いくら鬼畜とか言われてる俺も親のゾンビとか見たくないぞ?」

 

「そうですか、それもそうですね。ええ私は信じていましたとも!」

 

おい。お前さっき散々俺をこき下ろしてただろ。

 

「で、一番近い避難所が学校だから家族探すついでに行こうってことだね」

 

まあ、親と弟が生きてたとしても、俺はもうこの世界では死んでるからそれはそれでめんどくさいことになるだろう。

 

親がいた時の言い訳とか考えた方がいいんだろうか。

 

「じゃあ学校は明日行くってことで、とりあえず家の中で食えるもの探すぞー。あとそこの冷蔵庫…でっかい箱は絶対に開けるなよ、フリとかじゃないからな。絶対後悔するからな!」

 

さっき、ここの電気が付くか一応試したがやっぱり付かなかった。

つまり、あの冷蔵庫の中身は…やめよう。想像するだけでも口からクリエイトウォーターしそうだ。

 

「……あんまいいのねぇな。間違いない、この家地震が起きたらまず間違いなく食糧難に喘ぐことになる」

 

「そうなったから、この家の中でゾンビになってるんじゃない?」

 

「そもそも、この世界のゾンビってどうやって増えてんの?」

 

「それはあれじゃないオーソドックスに噛まれたら仲間入りってことじゃないの?」

 

「それだけじゃここまで爆発的に広がってねえだろ、下手したら空気感染するんじゃ…」

 

「…………」

 

「…………」

 

「帰して!今すぐ私を向こうに帰して!こんなしょうもない理由でこのアクア様がゾンビになるとか絶対嫌よ!!」

 

「そんな方法知ってたら今頃もうやってるわ!!まあ、お前いれば蘇生も解毒も出来るから万が一ゾンビになってもなんとかなるだろ、俺も一応回復スキルいくつか使えるし」

 

「それならまあいいわ……あ、こんなところにウィスキーが!!」

 

「おい、それは今飲むなよ、さっき見つけたバックの中に入れとけ」

 

「なに?これが欲しいの?あげないわよ。もし欲しいんだったら私に忠誠を誓いなさい。そして敬って!敬って甘やかして!」

 

こいつはこんな非常事態になにを言ってんだろうか。

 

「ほーん、なら勝手にしろ。言っとくけど二日酔いになってぶっ倒れたら容赦無く置いてくからな」

 

「ぐっ、わかったわよ。だけどこれは私のもんだからね!」

 

「そうだな。お前が手に入れたその酒はお前の物でいいよ」

 

そう。アクアが手に入れたものは。よし、これから何か手に入ってもアクアに分けなくていい大義名分が手に入った。

 

こいつは、この世界にいる以上、こういう酒とかの嗜好品を一番安全に手に入れられるのが、敵感知や暗視、潜伏などのスキルを全て兼ね備えた俺だということを忘れてるらしい。

 

「お、焼き鳥缶発見。それも結構たくさんある。おっこっちには酒が!」

 

「へーいいおつまみになりそうね!それにお酒が増えるのはいいことよ!」

 

こいつはつい数秒前に自分が行ったことを忘れたらしい。

 

「おい。こいつはやらねえぞ。お前がさっき言ったんだろうが、手に入れた物は発見者の自由にしていいってな」

 

「カズマさん、そんな量のお酒を一人で飲むのは現実的じゃないわ、それはみんなでわけるべきだと思うの」

 

「そうだな、だからこれはダクネスやクリスあたりと一緒に飲もうと思う。お前はその手に持ってるウィスキーをチビチビ一人寂しく飲んでるといい」

 

そう言って俺がドヤ顔で言うと。

 

「ごめんなさいカズマさん!!このお酒はみんなでわける事にするからどうか私にもお慈悲を!!!」

 

おい。お前は寧ろ慈悲を与える側だろうが。

結局また他の連中にチョロいだの言われるかもしれないが、まあいい。なので。

 

「しょうがねえなぁー!」

 

渾身のドヤ顔で言ってやった。

 

「カズマカズマ!」

 

「はいカズマです」

 

「この大きな黒い板のような物はなんですか!?」

 

「これはテレビって言ってな。色んな映像番組を見ることができるけど、電気通ってないからなんの役にも立たないただの板だ」

 

「カズマ!」

 

「カズマだよ」

 

「こ、こんなところに何故かムチやロープ、さらにはなにに使うかわからないが、ブルブル震えるいかがわしい形をした何かがあるのだが!持っていってもいいだろうか!?」

 

「最後のは絶対置いてけ!」

 

この家の住民の片方はダクネスと同じ性癖してるのか。

 

流石に置いて行かせよう。アレをアイリスに見せるのはまだ早い。

 

「それはそうとカズマさん」

 

「あのバインドで縛ったまま放置してあるアレ、どうするの?」

 

「ええ。それは私も気になってました。いつものカズマだったら、バインドで簀巻きにした上で捨てると思ったのですが」

 

アレとはすぐ近くで呻りながら縛られてるゾンビである。

 

「ああ、コレな。後で使い道があるから取っといた」

 

「しかしカズマ、こうもずっと不気味な呻き声を上げられてはこちらも気味が悪く感じるぞ」

 

「なんだ、怖いのかララティーナ」

 

「なっ、私とて冒険者だ。この程度怖くなどない。ただの彼らがいたたまれないと…というか、その名前で呼ぶな!」

 

「いいじゃないかララティーナ、かわいいぞララティーナ!」

 

「くぅぅぅ」

 

ダクネスが顔に手を当てて蹲る。

 

「む〜〜〜〜!」

 

おっとアイリスもこっちをジト目で睨んできた。ダクネスを揶揄うのはこの辺にしておくか。

 

「で、その使い道とはなんですか?」

 

「いや、俺今から初級魔法を大量に使うわけだ。水道が止まってるからクリエイトウォーターは必須だし」

 

「そうですね。今のカズマはなくてはならない存在です」

 

「そうだろ。けど初級魔法とはいえ乱発したら魔力ステータスが低い俺は魔力切れをすぐに起こしてしまう」

 

「まさか…」

 

「そうだ!ここにいるゾンビから『ドレインタッチ』で魔力を吸った後で捨てる。なかなかできてるだろ!」

 

まさに完璧な作戦!難点があるとすればこの腐ってる体に触りたくないってことだ。

 

「うわ〜、流石鬼畜のカズマだわ。既にそんな体になってる死人にさらに鞭打つなんて」

 

「うるせえ!しょうがねえだろ、この世界にマタナイトとかそういう便利なもんがないんだから!俺だって触りたかねえよこんなの!」

 

「理由が分かったが、せめて彼らを別の部屋に運ばないか?流石にそれを見ながらなにかを食べるのはちょっとな」

 

「ま、そうだな。いい加減呻き声もうるさいし。よしダクネスそっちのゾンビ持っていってくれ」

 

「わかった」

 

「よし、そんで戻ってきたら飯にしよう!」

 

飯を食った後、ドレインタッチで魔力を戻した俺は出涸らしになったゾンビを家の外に捨てて寝た。




カズマさんが本当に本領を発揮するのはきっと大学編に入った後からかな。

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