黒子side
ウィンターカップを優勝して皆で喜びながら帰ろうと思ったら灰崎くんが目の前を通り過ぎた。特に何も言われなかったけど少し気になって跡をつける。火神くんがいち早く僕がいないことに気付いてくれることを期待して。
灰崎くんが誰かに飛び蹴りをした。こっちからは後頭部しか見えないけど銀色の髪、どこかで見たことがある気がする。どこだっけ。もう少し近づこう。近づくと声が聞こえてくる。すべて聞き取れる所まで移動すると
「バスケしねぇの?」
灰崎くんがそんなことをいうことに驚いた。バスケが好きなんだろうけど1度違えた道はもう治ることはないから。
「興味はあるけど。学校行ってないんだよね。」
それにはビックリした。学校に行ってないってどういう事なんだろうか。
「なーんか灰くんがいない学校でバスケしてもつまんないし。灰くんがいる学校でもやる気が出ないんだよね。正直にいうと興味あるって言ったのウソ。レベル低すぎてやる気出ない。」
驚くべき言葉がたくさんでてきた。そんなことありえるのか。レベルが低いってキセキの世代も?どういうことなんだろうか。
「帝光2軍の癖にナマイキだなァ」
「じゃんけんで灰くんが負けたじゃん!1軍なんて興味なかったし2軍でいーや、と思ってね。」
帝光だったんだ、あの人。だから見たことがあったんですね。それにしてもあの人キセキの世代バカにしてたけど本当に強いのだろうか。
「お前海常行けばァ?リョウタと一緒だけど面白そうだしなァ」
「えー、どうしようかなぁ。正直桐皇も興味あるんだけど。まぁ行かなくてまた誰かさんに飛び蹴りされても嫌だしね。」
「ンなことしねぇよ」
「どうだか。もし俺が海常入っても灰くんがいないと意味無いんだからね?辞めないでよ?バスケ」
「うっせぇよ。俺のかってだろ?」
「灰崎ーー!?」
「あ、よばれてるじゃん。バイバーイ」
「はっ、お前実力出せよ。」
「たぶんね。」
そう言って手をあげた灰崎くんをみて僕も帰ろうかと思うと
「あ、黒くんは帰らないでね。」
「!?」
「いやー、今日は昔の知り合いにすごく会うなぁ。」
僕を黒くん、なんて呼ぶのは一人しかいない。
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「ねー、3軍なのになんで頑張るの?」
「僕はバスケが好きだからです。」
「へー。これから黒くんって呼ぶね。俺のことはなんて呼んでもいいよ。」
「じゃあ銀狐くんって呼びますね。」
「おっけー。飴ちゃんあげるね?」
「ありがとうございま………なんで激辛キムチ味なんですか。」
「んー何となく?」
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そんなやりとりを思い出す。
ついでに飴の味も思い出して口が痛くなる。あれは痛かった。