遊戯王OCG’s─変態デュエリスト「古霊 真由美」の1日─   作:レモンの人

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今回はリクエストに応えまして、格安デッキをご紹介!

注意:本来ならばより強力なカードの投入が推奨されますが、あくまでも低予算デッキですのであしからず……。


予算3000円!?【パシフィスHERO】

「予算3000円でデッキを作れ!?」

 

いつも通っている格安美容室で安い化粧品を一緒に買っていると店長の息子さんの「堅太」君にそんな事を言われた。「予算は3000円・友達の間で勝てるくらいのデッキ・カッコイイ」が条件だ。

 

「うーん…困ったわねぇ……」

 

頬を掻きながら少し考える。確かに3000円の予算さえあればいくらでもデッキは組める。でも漠然とし過ぎていて正直…。

 

「カッコイイモンスターって何で戦いたいの?融合?儀式?シンクロ?エクシーズ?ペンデュラム?」

「HERO!HEROで戦いたい!」

「HEROデッキかー……HEROならなんでもいい?」

「うん!お願いおばちゃん!」

「よし!おばちゃんに任せときなさい!戦えるデッキに仕上げてあげるから!」

 

ドンと胸を叩き私は会計を済ませて店を出た。後ろで何か声が聞こえた気がするが今はそんな事よりデッキ構築が先だ。

 

「真由美ちゃーん!化粧品は〜?」

 

 

 

******************

 

 

「よく来たわね。堅太君。今から出来たデッキで試作実験をするわよ。って事で翔太君。実験体よろしくね♪」

「真由美さん…また変なデッキを……」

「じゃかましい!次こそ勝つ!」

「(まだあの時のデュエルを根に持ってるんスか…)」

 

デッキとマットをテーブルに用意して準備万端になったところで私は堅太君にサムズアップした。

 

「私の動きをじっくり見てなさい」

「うん!」

「じゃあ行くわよ!翔太君!」

 

「「デュエル!!!」」

 

 

真由美 LP8000

 

翔太 LP8000

 

 

「先攻!」

「後攻!」

「「じゃんけんぽん!!」」

「よし!私の勝ちね!先攻は貰った!私のターン!」

 

手札も理想的だし、これは行けそう!

 

「『E・HERO スパークマン』を召喚!」

 

 

E・HEROスパークマン 星4 ATK1600

 

 

「カードを2枚伏せてターン終了!」

「僕のターン!ドローっス!

 

 

「僕のターン、ドロー!自分フィールドにモンスターが存在しない場合このカードは手札から特殊召喚出来る!『WW-アイス・ベル』を特殊召喚!」

 

 

WW-アイス・ベル 星3 ATK1000

 

 

「その後、デッキからWWモンスター1体を特殊召喚できる。この効果でデッキから特殊召喚したモンスターはリリースできず、この効果を発動するターン、自分はレベル5以上の風属性モンスターしかエクストラデッキから特殊召喚できない!チューナーモンスター『WW-グラス・ベル』を特殊召喚!」

 

 

WW-グラス・ベル 星4 ATK1500 チューナー

 

 

「アイス・ベルはこのカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、相手に500ダメージを与える!さらにグラス・ベルの効果をチェーン発動!グラス・ベルは召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキから『WW-グラス・ベル』以外のWWモンスター1体を手札に加える。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は風属性モンスターしか特殊召喚できない!『WW-スノウ・ベル』を手札に加える。そして500ダメージ!」

 

 

真由美 LP8000→7500

 

 

「さらに、チューナーモンスター『WW-スノウ・ベル』は自分フィールドに風属性モンスターが2体以上存在し、風属性以外のモンスターが存在しない場合にこのカードを手札から特殊召喚する!」

 

 

WW-スノウ・ベル 星1 ATK100 チューナー

 

 

「畳み掛ける!レベル3のアイス・ベルにレベル4のグラス・ベルをチューニング!シンクロ召喚!『WW-ウィンター・ベル』!」

 

 

WW-ウィンター・ベル 星7 ATK2400

 

 

「ウィンター・ベルの効果発動!自分の墓地のWWモンスター1体を対象としそのモンスターのレベル×200ダメージを相手に与える!グラス・ベルを選択し800ポイントのダメージを与える!

 

 

真由美 LP7500→6800

 

 

「続けて!レベル7のウィンター・ベルにレベル1のスノウ・ベルをチューニング!シンクロ召喚!いでよ!『クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン』!」

 

 

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン 星8 ATK3000

 

 

「大人気ないぞ!ブー!」

「ひどいッ!?」

 

いきなり効果耐性付きのクリスタルウィングはセコい!

 

「バトル!クリスタルウィングで─」

「ストップ。バトルフェイズ開始時にトラップ発動!『メタバース』!デッキからフィールド魔法を手札に加えるか発動する!『幻煌の都 パシフィス』発動!」

「パシフィス!?」

「パシフィスはルール上「海」として扱うフィールド魔法よ。効果を発動するターン、自分は効果モンスターを召喚・特殊召喚できないけど1ターンに1度、自分が通常モンスター1体の召喚・特殊召喚に成功した場合にデッキから『幻煌龍』カード1枚を手札に加える効果があるの。それだけじゃないわ。1ターンに1度、自分フィールドにトークンが存在せず、相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動した場合に自分フィールドに『幻煌龍トークン』(幻竜族・水・星8・攻/守2000)1体を特殊召喚するの」

「つえー!」

「しかも字キラだしね。平均10円で販売してる店舗が多いわ」

「でも攻撃は止められないッスよね?スパークマンを攻撃!」

「え?止めるわよ。罠カード『砂塵のバリア─ダスト・フォース─』。相手モンスターの攻撃宣言時に発動出来、相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て裏側守備表示にする。この効果で裏側守備表示になったモンスターは表示形式を変更できない。どんな耐性があろうが無駄よ」

「えぇ……」

「因みに単価もノーマルなら平均50円未満で買えるわ。自信がないなら数枚入れるのがオススメよ」

「酷い…カードを2枚伏せてターンエンド」

「じゃあ行くわよ!私のデッキの本領発揮よ!ドロー!罠カード『幻煌龍の戦禍』!このカードはフィールド魔法『海』があるなら手札から発動出来る!自分フィールドのモンスターが通常モンスターのみの場合、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する!クリスタルウィングは裏守備になった事で効果破壊耐性を証明出来ない。よって破壊される!」

「しょーめーって?」

 

いい質問ね。

 

「クリスタルウィングは破壊耐性を付与するスノウ・ベルの効果を受けていたわ。でも、裏守備になったら付与されている証拠をどうやって出せばいいと思う?」

「うーん……できない」

「そうよ。だから裏守備の状態でも破壊出来るのよ!」

「クリスタルウィングが…」

 

これで邪魔なカードは消えたわね。これで攻められる!

 

「装備魔法『幻煌龍の螺旋波(スパイラル・ウェーブ)!スパークマンに装備!装備モンスターは戦闘破壊耐性を毎ターン1度だけ得る!さらに2体目の『E・HEROスパークマン』召喚!」

 

 

E・HEROスパークマン 星4 ATK1600

 

 

「さらに通常モンスターが召喚に成功した事でパシフィスの効果を発動!『幻煌龍の戦禍』を手札に加えるわ。このままバトル!2体のスパークマンでダイレクトアタック!」

「押されてるッス…!」

 

 

翔太 LP8000→4800

 

 

「さらにバトルフェイズが終了した事で『幻煌龍の螺旋波』の効果!自分の手札・デッキ・墓地から「幻煌龍 スパイラル」1体を選んで特殊召喚し、このカードをそのモンスターに装備する。」

 

 

幻煌龍 スパイラル 星8 ATK2900

 

 

「その後、相手の手札がある場合、相手は手札を1枚選んで捨てる!」

「うげぇ」

「カードを1枚伏せてターンエンド」

 

ここまでは順調だ。捨てられたのはSRベイゴマックス…っていうか手抜きしてない!?さっきのターンで手札にあったでしょ!?通常召喚権もあったのに!!!ムカつく……。

 

「じゃあ僕のターン!さってと…」

 

翔太君は引いたカードと捨てられたカードを何度か確認してから動き始めた。

 

「じゃあ本気で行きますかね。『烈風の結界像』を召喚!」

「!!!!!!」

 

 

烈風の結界像 星4 ATK1000

 

 

烈風の結界像…!風属性以外の特殊召喚を封じるカード!させない!

 

「手札から『幻煌龍の戦禍』を発動!このカードはフィールド魔法『海』があるなら手札から発動出来る!結界像を破壊する!」

「そっちはブラフっス!魔法カード『死者蘇生』!墓地の『クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン』を特殊召喚!」

 

 

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン 星8 ATK3000

 

 

「でもパシフィスの効果も起動する!私のフィールドにトークンを特殊召喚する!」

 

 

幻煌龍トークン 星8 DEF2000

 

 

「トークンはルール上通常モンスター…よって、パシフィスの効果により私はデッキから『幻煌龍の戦禍』を手札に加える!」

「さらに罠カード『タイラント・ウィング』発動!ドラゴン族モンスターの装備カードとしてこのカードは装備出来る!装備モンスターの攻撃力を400ポイントアップする!さらに装備モンスターはモンスターに2回攻撃出来る!」

 

 

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン ATK3000→3400

 

 

「!!!!!」

「さらに、クリスタルウィングがレベル5以上の相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時にこのカードの攻撃力はそのダメージ計算時のみ、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする!バトル!クリスタルウィングでスパイラルを攻撃!この瞬間、クリスタルウィングの攻撃力は3400にスパイラルの攻撃力2900を追加して6300となる!」

 

 

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン ATK3400→6300

 

 

「幻煌龍の螺旋波の効果!1ターンに1度だけ戦闘破壊を防ぐッ!」

 

 

真由美 LP6800→3400

 

 

「でも、次でトドメっス!クリスタルウィングでスパイラルを攻撃!」

「させるか!速攻魔法発動!『収縮』!モンスター1体の元々の攻撃力を半分にする!クリスタルウィングの攻撃力を半分にする!」

 

 

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン ATK3400→1900

 

 

「やる──!」

「でもこれ以上スパイラルを防ぐ事は出来ないッ!」

 

 

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン ATK1900→4800

 

真由美 LP3400→1500

 

 

「ターンエンドっス。この瞬間、タイラント・ウィングは自身の効果で破壊されるッス」

「収縮の効果も終了するわ」

 

 

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン ATK1900→3000

 

 

「私のターン!ドロー!」

 

戦禍は無駄遣い出来ない。あの伏せカードが気になる…!ずっと沈黙したままってのが凄く気になる。使うか…?

 

「手札から『幻煌龍の戦禍』発動!私が破壊するのは伏せカード!」

「助かるッス!通常罠カード『ハーピィの羽根吹雪』の効果発動!」

 

私のバカ!ブラフを踏んじゃったじゃない!

 

「ハーピィの羽根吹雪が相手によって破壊された場合、デッキか墓地から『ハーピィの羽根帚』を手札に加える!」

「まだ私の闘志は燃え尽きちゃいないわよ!魔法カード『馬の骨の対価』!自分フィールドの効果モンスター以外のモンスター1体を墓地へ送りデッキからカードを2枚ドローする!スパークマンを墓地へ送り2枚ドローする!2度目の正直……引いたわよ!速攻魔法『超融合』!」

「…!?」

「超融合は手札1枚を墓地へ送って発動する速攻魔法よ。自分・相手フィールドから融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する!召喚条件はE・HEROと風属性モンスター…!クリスタルウィングとスパークマンを融合!融合召喚!『E・HERO Great Tornado』!」

 

 

E・HERO Great Tornado 星8 ATK2800

 

 

「さらにトークンを攻撃表示に変更!」

 

 

幻煌龍トークン DEF2000→ATK2000

 

 

「バトル!Great Tornadoとトークンでダイレクトアタック!貰った!!!」

「やっぱり出し惜しみしてベイゴマックスを握ったのが失敗だったッス……」

 

 

翔太 LP4800→0

 

 

 

*********************

 

 

「こんな感じかしらね。駆け引きとか必要になるけど色々と弄って遊べるデッキよ」

「おばちゃん、そのデッキ買ってもいい?」

「……流石に小学生からお金を巻き上げるのは主義じゃないわ。代わりにコレ、デッキレシピだから好きなようにアレンジして組んでみてね♪」

「ありがとうおばちゃん!」

「じゃ、気をつけてね〜!」

 

堅太君に手を振った私は、少ししてからデッキを解体してケースに戻した。

 

「真由美さん…おばちゃんって言われてたけど嫌じゃないんスか?」

「小学生から見ればおばちゃんよ。ヲタク業界だったらBBA扱いだからね!怒っちゃうわ」

 

わざとらしくプリプリ怒ってみせてから私は微笑んだ。

 

「デッキを考えるのってやっぱり楽しいわ。アレだコレだと考えながら組んで…出来上がった時の快感は忘れられない。だから遊戯王は止められないの」

「真由美さん……」

「それより門限は大丈夫?夕飯近いんじゃないの?」

「やっべ、今日カツカレーの日じゃん!じゃ、また明日〜!」

「えぇ、また会いましょう!」

 

翔太君の後ろ姿に手を振った後……私は青ざめた。

 

 

 

 

「やっば!化粧品持って帰るの忘れてた!!!」




真由美「ゼェ……ゼェ……やっぱり年には勝てないわね」
翔太「20歳の癖に何言ってるんスか!?」
真由美「まぁまぁ、そんな事よりデッキ紹介の時間よ。早速オープン!」


モンスター(7)
●幻煌龍スパイラル×1
●E・HEROスパークマン×3
●沼地の魔神王×3

魔法(23)
●幻煌の都パシフィス×3
●チキンレース×1
●テラ・フォーミング×3
●ハーピィの羽根帚×1
●超融合×1
●融合×3
●ミラクル・フュージョン×2
●幻煌龍の螺旋波×1
●馬の骨の対価×2
●E─エマージェンシー・コール×3
●O─オーバー・ソウル×2
●収縮×1

罠(10)
●神の宣告×1
●幻煌龍の戦禍×3
●メタバース×2
●砂塵のバリア─ダスト・フォース×2
●貪欲な瓶×2

EX(15)
●始祖竜ワイアーム×2
●E・HERO ガイア×2
●E・HERO アブソルートZero×1
●E・HERO The シャイニング×1
●E・HERO ノヴァマスター×1
●E・HERO Great TORNADO×1
●E・HEROエクスリダオ×1
●E・HEROシャイニング・フレア・ウィングマン×1
●No.101 S・H Ark Knight×2
●No.41 泥睡魔獣バグースカ×2
●電影の騎士ガイアセイバー×1


真由美「…」
翔太「何か…物足りないッス」
真由美「それでも戦える構築にはしてあるのよ?構造上最も依存するパシフィスのサーチの為にテラ・フォーミングとメタバースを採用。沼地の魔神王も採用してデッキ圧縮を中心としたデッキとしたわ。」
翔太「パシフィスとHEROって噛み合わない気もするんスけど」
真由美「そうでもないわよ?スパークマンはエマージェンシー・コールでサーチ、オーバー・ソウルで蘇生と用途は多いのよ?ここでは採用してないけど、ヒーロー・ブラストや戦士の生還、ヒーローアライブの採用も良いわね。HERO寄りになるけど面白いデッキに仕上がると思うわ」
翔太「因みに高価なカードを採用するなら何がオススメっスか?」
真由美「………それ聞く?」
翔太「いや…遊んでいる内に物足りなくなった人向けに」
真由美「分かったわ。採用するカードは3種類。1枚目は『E・HEROオネスティ・ネオス』よ。単純に火力サポートとして機能する上にエマージェンシー・コールでサーチ出来るし融合素材にもなれるからオススメよ。2枚目は魔法カード『予想GUY』。スパークマンを直接デッキから特殊召喚出来る点で優秀だわ。3枚目は永続罠カード『潜海強襲』よ。パシフィスをデッキか墓地から発動出来るし、スパイラルを守る事も出来る。採用も十分検討内よ。私からは以上ね。大事な事はアレンジよ。ただコピーするだけじゃ面白くないわ。自分で見つける事こそが真のデュエリストの道だと私は信じてる」
翔太「ありがとうございました!………ん?レッドデーモン系が今回入ってないッスね」
真由美「私の趣味を押し付けちゃいけないしね」
翔太「確かに」

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