遊戯王OCG’s─変態デュエリスト「古霊 真由美」の1日─ 作:レモンの人
私の名前は「
「溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムでダイレクトアタック!《城之内ファイヤー》!!!」
みんな私がデュエリストである事をまだ誰も知らない。
******************
「はぁ……ここもダメか」
帰り道、いつも通っているカードショップの一軒目近くに大学の知り合いが屯して喋っていた。今日は行けないみたいだ。どうしても「デュエリストとしての自分」より「体裁の良い自分」を演じようとしてしまい、勇気を出して入る事が出来なかった。
「あ、鞠菜さん!」
「ごきげんよう。坂田さん」
「この後、美味しいスイーツショップに行くんだけど一緒に行かない?」
「きょ、今日は…用事がありまして、また今度ご一緒させてください」
「そっか!ごめんね!じゃあ気を付けて帰ってね!」
知り合い達に手を振り、私は踵を返して他のカードショップを探した。が、今日に限ってどこも知り合いばかりで中々入れそうにない。
「(今日くらいデュエルがしたいのに…)」
今週は家族揃ってのテニス観戦・バイオリンコンクール・女子グループとのスイーツ巡り・生け花教室とデュエルどころではない状況でストレスがガンガン溜まっていた。
「(………どうしましょう)」
と、思っていた時…突然右隣を1人の男子が同じ速度で歩き始めた。恐らく…ナンパでしょうか?
「やぁやぁ、美しいキミ。オレと食事でもどうだい?」
「申し訳ありませんが…本日は予定が詰まっております」
「そうかい?それにしては変なストレスの匂いがするけど?」
「!?」
この人…私のストレスに気付いて……!?
「あぁ…なるほどね。そういう…」
彼は被っているテンガロンハットを指で持ち上げると、私の肩を抱き耳元で囁いた。
「ならとっておきの場所、知ってますよ?デュエリストのお嬢さん」
「ッ!?!?」
バレた…!!!なんで……
「まぁ、その前に………目眩ましでもしますかね」
テンガロンハットの男子は、そのまま建物の裏路地を回った後…突然、私をお姫様抱っこして走り始めた。
「な、何をなさるのですか!?」
「追っ手を巻くのさ!嫉妬深い雑草達を躱してね!」
彼は角を数回曲がると、見えた先に止まっていた高級車に私を押し込めると運転手に何か告げてから車に乗らず別方向へ走って行った。走り出す車の中で、私は『誘拐されたのか?』という思いと『とっておきの場所』というワードにときめく思いとで混乱しながら…取り敢えず、運転手の女性の様子を見ていた。
********************
「って、事で『迷えるデュエリスト』1名様入りまーす!」
「お…お邪魔…します」
「やーい誘拐はーん!警察にチクるぞー!」
「おいバカやめろ」
私は目の前に居るお嬢様を一瞥した後、遊斗君にブーイングした。女の子攫うのはサイテーね。
「まぁ、色々溜まってるみたいなんだ。ストレスの溜まったデュエリストを解放するにはデュエルしかないと思うんだけど?」
「そうッスね。確かにストレス溜まってそうな顔してるッス」
「そうだったのですか!?」
「おぅ、そうさ」
遊斗君はそう言うと、女の子のほっぺを優しく撫でた。顔を真っ赤にする女の子に対し、遊斗君のイケメン顔が妙にイラっとくる。
「少し頬が緊張していて、口角がかたーくなってるよ。柔らかくしてあげなきゃ」
「遊斗キモーい!」
「なんでそうなる!?小林もブーイングやめろや!どつき回すぞ!」
「そんな事より!デュエルしましょ!ほら、ここ座って!」
「確かに、拉致同然なんで警察呼ばれてる可能性だってあるッス……って事は僕らも共犯!?」
冷静に考えたら………と、思ったらセバスティアンさんが遅れて入店して来た。
「警察と海野家の方には私から連絡しておきました。大事には至りませんのでご安心を」
出た。太陽家お得意の口封じ!一体幾らの金が吹き飛んだ!言え!
「そうですね。では………デュエルの方をやりたい…ので遊斗様。私のお相手をしていただけないでしょうか?」
「任せとけ……ってオレ!?」
いざという時に童貞丸出しの態度を取るなや。遊斗君に関しては毎度二枚目なのか三枚目なのかよく分からない。
「じゃあ、オレとデュエルしようぜ。今回は試作デッキの試運転といったところだ」
「では、私は本来のデッキで…」
互いにデッキをシャッフルしてどちらも自分で用意したマットの上にカードを並べる。さて…遊斗君は今回どんな尖ったデッキを使うのやら。そして、この海野(?)さんはどんなデッキを使うのか…見ものね。
「では、お手柔らかに」
「オレのテクで酔わせてやるよ…」
「遊斗様、キモいです」
「セバスも黙ってろ!じゃあ、行くぜ!」
「「デュエル(です)!!!」」
海野 LP8000
遊斗 LP8000
「先攻後攻はじゃんけんで決めよう」
「分かりました」
「行くぞ、せーの!先攻!」
「後攻」
「「じゃんけんぽん!」」
「先攻は鞠菜さんか。さ、遠慮なくプレイしちゃって」
海野さんは手札とフィールドを凝視すると、カードを手に取った。
「では、私の先攻…(来た)」
「さーってと、どう来るのかな〜?」
「永続魔法『冥界の宝札』を発動します。2体以上のモンスターをリリースしてのアドバンス召喚に成功した時、デッキからカードを2枚ドローします。さらに、永続魔法『ブリリアント・フュージョン』発動です」
「冥界軸最上級多様デッキ…か」
「はい、御名答です。このカードの発動時に自分のデッキからジェムナイト融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体を、攻撃力・守備力を0にしてエクストラデッキから融合召喚します!デッキより『ジェムナイト・ガネット』と『Emトリック・クラウン』を融合!融合召喚!」
手を組む動作をし海野さんは目を閉じた。Arc-Vの融合召喚のポーズだ。
「『ジェムナイト・セラフィ』!」
ジェムナイト・セラフィ 星5 DEF1400→0
「さらに、墓地のトリック・クラウンの効果発動!このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地のEmモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを、攻撃力・守備力を0にして特殊召喚し、その後私は1000ダメージを受けます!」
Emトリック・クラウン 星4 DEF1200→0
海野 LP8000→7000
「さらに通常召喚。『天帝従騎イデア』!」
天帝従騎イデア 星1 ATK800
「このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから天帝従騎イデア以外の『攻撃力800・守備力1000』のモンスター1体を守備表示で特殊召喚します。ただしこのターン、私はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚出来ません。『冥帝従騎エイドス』を特殊召喚!」
冥帝従騎エイドス 星2 ATK800
「さらに、エイドスの効果発動!自分は通常召喚に加えて1度だけアドバンス召喚出来ます!エイドスとイデアをリリースして『轟雷帝ザボルグ』をアドバンス召喚です!」
「ゲッ…!」
「冥界の宝札の効果で私は2枚ドローしますが、チェーンしてザボルグの効果発動!このカードがアドバンス召喚に成功した場合、フィールドのモンスター1体を対象とし破壊します。破壊したモンスターが光属性だった場合、その元々のレベルまたはランクの数だけ、お互いはそれぞれ自分のEXデッキからカードを選んで墓地へ送りますが、光属性モンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功した場合、墓地へ送る相手のカードは私が選びます!ザボルグを破壊!」
「ゲェ……ザボルグでズァーク呼び出された時の事を思い出したッス」
「さぁ、エクストラデッキをお見せください!」
「………では、どうぞ。お嬢さん」
遊斗君は何故か笑顔でエクストラデッキを手渡した。なんで笑顔……まさか!?
「さぁ、エクストラデッキを選んでくれよ。くれぐれも選択を間違えないように…ね♪」
●旧神ヌトス×3
●外神ナイアルラ×2
●PSYフレームロード・Ω×1
●虹光の宣告者×3
●捕食植物キメラフレシア×2
●ミレニアム・アイズ・サクリファイス×2
●サウザンド・アイズ・サクリファイス×1
●グリーディー・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン×1
「こ…これは………!?」
罠だ。遊斗君のデッキは墓地融合タイプだった!つまり…“墓地に送られると却って有利になる”デッキだったのだ。なんて陰湿なデッキをチョイスするの…!遊斗君!
「……ッ」
「さぁ、どうしますか?」
「……この8枚を…墓地へ……」
●外神ナイアルラ×2
●捕食植物キメラフレシア×2
●ミレニアム・アイズ・サクリファイス×2
●サウザンド・アイズ・サクリファイス×1
●グリーディー・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン×1
「まいどあり」
因みに、海野さんが墓地へ送ったのは
●LL─インディペンデント・ナイチンゲール×1
●WW─ウィンター・ベル×2
●捕食植物キメラフレシア×2
●PSYフレームロード・Ω×1
●ジェムナイト・セラフィ×1
●召喚獣エリュシオン×1
だった。今エクストラデッキを盗み見た(観客なのでセーフだ)が、なるほど。『WW─クリスタル・ベル』を融合召喚し、今墓地へ送った強力モンスターの効果をコピーして戦うデッキだったらしい。互いに墓地アド合戦になっている様子だ。
「…カードを1枚伏せてターンエンド!」
一見優勢に見える海野さん…だが、このターンで4枚の手札補充が出来たものの満足な展開は出来なかったようだ。やや貧弱な盤面だ。引きが弱かったのかもしれない。相手はあの尖りまくりデュエリストこと遊斗君だ。何を仕掛けてくるやら…!?
「では、オレのターン!」
「「この瞬間!キメラフレシアの効果発動!このカードが墓地へ送られた場合、次のスタンバイフェイズに発動できる。デッキから融合魔法カードまたはフュージョン魔法カード1枚を手札に加える(ます)!」」
見事なハモりと共に2人ともカードを手札に加えた。因みに内容は遊斗君が『超融合』と『サクリファイス・フュージョン』、海野さんは『ブリリアント・フュージョン』と『ミラクル・シンクロ・フュージョン』だった。どちらも採用枚数を考えれば欲しいカードは1枚しか加えられていない状況だ。
「悪くない引きだ。相手が強かったという事を恨むがいい。儀式魔法カード『イリュージョンの儀式』を発動!手札の『サクリボー』をリリースして儀式召喚!『サクリファイス』!」
サクリファイス 星1 ATK0
「サクリボーがリリースされた事でデッキからカードを1枚ドローする。さらに、サクリファイスの効果発動!1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。このカードの攻撃力・守備力は、このカードの効果で装備したモンスターのそれぞれの数値になり、このカードが戦闘で破壊される場合、代わりに装備したそのモンスターを破壊する!ジェムナイト・セラフィを装備!サクリファイスは現在値を攻守として加える為、ステータスに変化は無い。カードを2枚伏せてターンエンド」
遊斗君……結構マトモなデッキを作るようになったのね。
「私のターン、ドロー!魔法カード『ミラクルシンクロフュージョン』を発動!」
「チェーン発動。トラップカード『貪欲な瓶』。墓地のカードを5枚デッキに戻し1枚ドローする」
●ミレニアム・アイズ・サクリファイス×2
●外神ナイアルラ×2
●グリーディー・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン×1
「この5枚をデッキに戻し1枚ドロー!」
「ミラクルシンクロフュージョンの効果を処理…ッ!」
間違いなく、遊斗君が伏せたウチの1枚は超融合だ。恐らく、融合召喚が完了した瞬間に………仕掛けてくる!
「自分のフィールド・墓地から、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、シンクロモンスターを融合素材とするその融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚します!墓地の2体のWW─ウィンター・ベルを除外して融合!融合召喚!『WW─クリスタル・ベル』!」
WW─クリスタル・ベル 星8 ATK2800
「リバースカードオープン!速攻魔法『超融合』。手札を1枚コストに自分または相手フィールドのモンスターで融合召喚を行う!サクリファイスとクリスタル・ベルを融合素材とする!」
「ッ!?」
「融合召喚!『ミレニアム・アイズ・サクリファイス』!」
ミレニアム・アイズ・サクリファイス 星1 ATK0
ミレニアム・アイズ・サクリファイスの融合素材はサクリファイスと『効果モンスター』。それだけでこのカードが如何に強いかが分かる。にしてもセコい。
「でも、まだ通常召喚権は残ってます!永続魔法『ドラゴノイド・ジェネレーター』を発動!発動コストとして1000ライフを払います!」
海野 LP7000→6000
「自分メインフェイズに発動できる。『ドラゴノイドトークン』1体を自分フィールドに攻撃表示で特殊召喚します。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はEXデッキからモンスターを特殊召喚できません。この効果は1ターンに2回発動できます。このターンのエンドフェイズに、相手はドラゴノイドトークン1体を自身のフィールドに攻撃表示で特殊召喚しなければなりません!私はこの効果を2回発動し、2体特殊召喚します!」
ドラゴノイド・トークン 星1 ATK300
ドラゴノイド・トークン 星1 ATK300
「ドラゴノイド・トークンとトリック・クラウンをリリースして『虚無の統括者』をアドバンス召喚!冥界の宝札の効果で私は2枚ドロー!」
虚無の統括者 星8 ATK2500
「虚無の統括者は特殊召喚できませんが、このカードが存在する限り、相手は特殊召喚できません!」
上手い!これならミレニアム・アイズ・サクリファイスの効果を掻い潜ってダメージを与えられるだけでなく、遊斗君の場に出る筈のトークンや以降の特殊召喚を封じる事ができる!
「墓地のトリック・クラウンの効果発動!このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地のEmモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを、攻撃力・守備力を0にして特殊召喚し、その後私は1000ダメージを受けます!」
海野 LP6000→5000
Emトリック・クラウン 星4 DEF1200→0
「バトル!ドラゴノイド・トークンでミレニアム・アイズ・サクリファイスを攻撃!」
「やっべ!?忘れてた!!!………なーんてね♪」
「!?」
「この瞬間!手札の『ミレニアム・アイズ・イリュージョニスト』の効果発動!このカードを手札から捨て、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる!自分フィールドのアイズ・サクリファイス融合モンスターまたはサクリファイス1体を選び、その効果による装備カード扱いとして対象の相手の効果モンスターを装備する!この効果は相手ターンでも発動できる!虚無の統括者を装備!ミレニアム・アイズ・サクリファイスは装備モンスターの攻撃力と守備力を得る!迎え討て!ミレニアム・アイズ・サクリファイス!」
ミレニアム・アイズ・サクリファイス ATK0→2500
「うっ…!?」
海野 LP5000→2700
ダメだ。これでは虚無の統括者の効果が適用出来ない…!却ってトークンが展開されて不利になってしまう!
「メインフェイズ2…魔法カード『おろかな埋葬』を発動します!デッキからモンスターを墓地へ…!この瞬間、墓地へ送った『ダンディライオン』の効果発動!私の場に綿毛トークンを2体特殊召喚します!」
綿毛トークン 星1 DEF0
綿毛トークン 星1 DEF0
「ターンエンド…」
「じゃあ、オレもドラゴノイド・トークンを戴くとしよう」
ドラゴノイド・トークン 星1 ATK300
ドラゴノイド・トークン 星1 ATK300
なんとか盤面は残した形となったが、このままではジリ貧だ。どう逆転するの…?海野さん。
「オレのターン、ドロー。チューナーモンスター『ジャンク・シンクロン』を召喚」
ジャンク・シンクロン 星3 ATK1300 チューナー
「ジャンク・シンクロンの召喚に成功した時、墓地のレベル2以下のモンスター1体を特殊召喚する!この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効となる。サクリファイスを特殊召喚!」
サクリファイス 星1 DEF0
「ミレニアム・アイズ・イリュージョニストの効果発動!フィールドに「アイズ・サクリファイス」融合モンスターまたは「サクリファイス」が特殊召喚された場合に発動する!墓地のこのカードを手札に加える!」
まずい…また吸収効果を使うつもりだ!!!
「レベル1のサクリファイスにレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!『
虹光の宣告者 星4 ATK600
「このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いの手札・デッキから墓地へ送られるモンスターは墓地へは行かず除外される。さらに、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、このカードをリリースしてその発動を無効にし破壊する。さらにさらに!このカードが墓地へ送られた場合にデッキから儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える!」
なんてこと…これじゃあ……盤面を殆ど潰されちゃうじゃない!
「バトル!ドラゴノイド・トークンで綿毛トークンを攻撃!」
「永続トラップ!『幻影剣』!フィールドの表側表示モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。対象のモンスターの攻撃力は800アップし、戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊できる。そのモンスターがフィールドから離れた時にこのカードは破壊される…!」
「そう来るか…虹光の宣告者の効果は……うーん…使ったところでこのターン削りきれないんだけどなぁ…でも、邪魔だから潰すよ!虹光の宣告者の効果発動!このカードをリリースしてその発動を無効にし破壊!」
「うっ…!」
「よって攻撃はそのまま通る!虹光の宣告者の効果でオレはサクリファイスを手札に加える。続けてもう1体のドラゴノイド・トークンで綿毛トークンを攻撃!」
「通します…!」
「ミレニアム・アイズ・サクリファイスでEmトリック・クラウンを攻撃!」
「これも通します…!ですが、トリック・クラウンの効果発動!このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地のEmモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを、攻撃力・守備力を0にして特殊召喚し、その後私は1000ダメージを受けます!」
海野 LP2700→1700
Emトリック・クラウン 星4 DEF1200→0
「まぁ、じっくりと攻略していくさ。ターンエンド」
遊斗君…ミレニアム・アイズ・イリュージョニストの効果をなんで使わなかったの…?そうやって慢心するから…。
「私のターン、ドロー!」
お、海野さんの表情が変わった…何か引いたらしい。
「遊斗さん…」
「何かな?」
「私、楽しいです!こんなにギリギリの熱い戦いが出来るなんて…生まれて初めて!」
「嬉しい事言ってくれるじゃん!オレも頑張ってデッキ構築の勉強した甲斐があったぜ!」
「だから……これが、私の最後の一手です!」
それを聞いた遊斗君に動揺が走った。手札と盤面を念入りに確認しながら、その動きを見ている。虚無の統括者はミレニアム・アイズ・サクリファイスによって奪われている為に同名カードの効果は使えなくなる。どうする気…?
「このカードは特殊召喚できず、召喚する場合は自分フィールドのモンスター3体をリリースして自分フィールドに召喚、または相手フィールドのモンスター3体をリリースして相手フィールドに召喚しなければならず、召喚したこのカードのコントロールは次のターンのエンドフェイズに元々の持ち主に戻る!」
「!!!」
「相手フィールドのミレニアム・アイズ・サクリファイス、2体のドラゴノイド・トークンをリリース!いでよ!『ラーの翼神竜─球体形』!」
ラーの翼神竜─球体形 星10 DEF?
盤面を…ひっくり返した!やった!これで虚無の統括者も海野さんの墓地へ戻る!
「私の墓地には天使族モンスターが4体…これで召喚条件は揃いました」
「召喚条k───まさか!?」
「えぇ、そのまさかです!いでよ!『大天使クリスティア』!」
大天使クリスティア 星8 ATK2800
「この効果で特殊召喚に成功した場合、自分の墓地の天使族モンスター1体を対象として発動する。その天使族モンスターを手札に加える!ジェムナイト・セラフィを手札に…いえ、EXデッキに戻します!さらに、クリスティアがいる限り、互いに特殊召喚は行えない!私はこれでターンエンド!」
これでサクリファイスデッキは総崩れ!特殊召喚に頼りきりな遊斗君のデッキでは対抗するのは困難な筈!
「へぇ……なるほどぉ…こりゃ参ったな…オレのターン!モンスターを裏守備でセットしてターンエンド。この時点で『ラーの翼神竜─球体形』の効果が発動し、このカードを元々の持ち主である鞠菜さんに返す」
「私のターン、ドロー!トリック・クラウンとラーの翼神竜─球体形をリリースして『虚無の統括者』をアドバンス召喚!」
トリック・クラウンの効果は残念ながらクリスティアの効果で妨害される。が、この盤面なら恐れる事はない!
「さらに、冥界の宝札の効果でデッキからカードを2枚ドローします!このままバトル!虚無の統括者で裏守備モンスターを攻撃!」
ミレニアム・アイズ・イリュージョニスト 星2 DEF1400
「ミレニアム・アイズ・イリュージョニストを撃破!続けて、クリスティアでダイレクトアタック!」
「これを防ぐ手立てはない……!」
遊斗 LP8000→5200
遂に遊斗君のライフにダメージが入った。形勢が完全に変わった!
「私はこれでターンエンド!」
「オレのターン!………参ったな…クリスティア対策をまるでしてなかったんだよなぁ…ターンエンド!参った参った!もう出せるモンスターが無いや!」
「私のターン!バトル!クリスティアと虚無の統括者でダイレクトアタック!」
遊斗 LP5200→2400→0
終わってみれば、海野さんの逆転勝利。なかなかやるわね…あの子。
********************
「今日は本当にありがとうございました!」
私はこのお店でとてもいい出会いを経験する事が出来た。みんな温かくて優しい人ばかりで、デュエルも皆んな似たようなデッキではなく個性溢れる面白いものばかり…こんな楽しいデュエルは久しぶりだった。
「帰りはオレが家まで送るよ。あ、夕飯一緒に食べない?いい店知ってるんだ」
「遊斗君は懲りないわねー」
「はい!御一緒させていただきます!この楽しい体験をさせていただいた御礼…というのは何というか…変なんですけど……遊斗さん?」
遊斗さん…突然のオッケー宣言に泣いて喜んでます。
「よし!セバス!車を出せ!あのお店の予約は取ってるな?」
「はい、抜かりなく」
遊斗君はノリノリで私の手を引いて高級なイタリアンのお店に連れて行ってくれた。流石にプロポーズまでは御断りしたけど、彼のおかげで色々勇気を持てた。
「(明日、話そう!)」
私はデュエリスト、海野 鞠菜………。
海野「今回はよろしくお願いします」
真由美「いえいえ、この度は投稿していただいてありがとうございます。よろしければレシピの方も見せていただければ幸いです」
海野「どうぞ!私のデッキです」
デッキ枚数
モンスター(28)
●時械神カミオン×1
●時械神ザフィオン×1
●時械神メタイオン×1
●ラーの翼神竜─球体形×1
●究極封印神エクゾディオス×1
●The Despair Uranus×2
●大天使クリスティア×1
●轟雷帝ザボルグ×3
●虚無の統括者×2
●BF─朧影のゴウフウ×1
●ジェムナイト・ガネット×1
●Emトリック・クラウン×1
●ダンディライオン×1
●雷帝家臣ミスラ×1
●素早いビーバー×3
●冥帝従騎エイドス×2
●天帝従騎イデア×3
●時械巫女×2
魔法(14)
●ワン・フォー・ワン×1
●ミラクルシンクロフュージョン×1
●おろかな埋葬×1
●打ち出の小槌×3
●ブリリアント・フュージョン×2
●ドラゴノイド・ジェネレーター×3
●冥界の宝札×3
罠(1)
●幻影剣×1
EXデッキ(15)
●暗黒方界邪神クリムゾン・ノヴァ・トリニティ×1
●召喚獣エリュシオン×1
●WW─クリスタル・ベル×1
●捕食植物キメラフレシア×2
●ジェムナイト・セラフィ×2
●LL─インディペンデント・ナイチンゲール×1
●PSYフレームロード・Ω×1
●WW─ウィンター・ベル×2
●No.29 マネキンキャット×2
●リンクリボー×2
サイドデッキ(15)
●時械神メタイオン×1
●時械神ラツィオン×1
●覇王龍ズァーク×1
●覇王紫竜オッドアイズ・ヴェノム・ドラゴン×1
●グリーディー・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン×1
●旧神ヌトス×2
●クリスタル・ウィング・シンクロ・ドラゴン×1
●No.92偽骸神龍Heart eartH Dragon×1
●No.68魔天牢サンダルフォン×1
●禁止令×1
●熱き決闘者たち×1
●王宮のお触れ×2
●王宮の鉄壁×1
海野「アドバンスを主体としたコントロールデッキとなっています。冥界の宝札が来なくてもデッキとしては回るようになっており、基本的にクリスティアや統括者で特殊召喚を封じたりザボルグで相手のエクストラ削りつつアド回収する感じですね。冥界の宝札もウラヌスを使えば上手くいえばですがサーチ出来ます」
真由美「ほぅほぅ」
海野「基本的には冥界を引いてから暴力的な展開で物量押し、素早いビーバーからマネキンキャットをエクシーズ召喚してクリスティアをリクルートしザボルグを切腹させてからのミラクルシンクロフュージョンでクリスタル・ベル。そしてそのモンスター効果をコピーすれば4000バーンと超火力で叩き潰せるといったところです。仮に相手が先に展開してきた時は時械神でケア出来ます」
真由美「なるほど、球体形のワンポイントも良かったわね。参考にさせてもらうわ」
海野「ありがとうございます」
真由美「もし、『俺(私)のデッキを見てくれよ!』というモノ好きがいらっしゃいましたら是非メッセージボックスへ!あと私からの注意点をおしらせします」
翔太「?」
真由美「ガチデッキの投稿は禁止です!この小説ではあくまで『面白さを追求したファンデッキ』を掲載した物ですのでガチデッキの投稿をなさった場合は原則受け付けない事となっていますので予めご了承下さい!以上!」
海野「私…これからゼミがありますのでここでお別れです。それでは、ごきげんよう」
真由美「バイバーイ!」
翔太「お疲れ様っしたー」