それでは「冥王」どうぞ!
~ハンコックside~
「あ、姉様私たちこれからどうなっちゃうの…?」
「ソニア、マリー大丈夫。大丈夫だから」
そう言い妹たちを慰めるが自分自信も恐怖を感じている。
両手と首には手錠と首輪が付けられている。
急に人拐いにここまで連れてこられ、初めて見る男の顔。そしてここがヒューマンショップだということは気づいていた。周りには自分たちと同じ売られる予定の男女数名がいる。中には人魚もいた。
アマゾン・リリーでも人拐いにあった者は今までにも何人かいる。
その者たちの行方は今も分からない。
ということは自分たちも二度と帰れないと思ってしまい震えていた。
「さーて、てめぇらそろそろ時間だぜ」
見張りの男が私たちを見てニヤニヤしている。
「おー、お嬢ちゃんたち運が無かったなぁ。まぁましな飼い主に買われることを祈るんだな!」
嫌だ嫌だ。
男は汚く、卑怯な存在。
「(こんな者どもに買われるなんて絶対やだ!)」
涙を流し、下を向く。
「動くな」
「!…な」
「(…………え?)」
顔を上げると、どこから現れたのか
紺色の着物を着ている男が、後ろから見張りの男の首に触れるか触れないかの距離で刀を添えている。
「何もんだてめぇ「しゃべるな」ひぃ!」
周りの人たちは喋らない、否喋ることが出来ない。着物の男から漂わせている殺気により声が出せないのだ。
「…………首輪と手錠の鍵と金庫の場所を教えろ」
「か、鍵は俺が持ってる。金庫はあ、あそこだ」
「そうか…………ご苦労様」 グキッ
「ッ!……………………」 バタッ
見張りの男の首をへし折り、そのままゆっくりと倒した。
「鍵…鍵…………これか」
男は鍵を見つけると私たちの方へ来る。
すると私へ手を伸ばし
「(え、え!な、何!?)」
何かされると身構える…………が
ポン ナデナデ
頭に手を乗せて撫でた。
「怖かったろ、もう大丈夫だ」
優しく暖かい声。先程とは大違いだ。
「俺はクロガネ。助けにきたぜ」
その男…………いやクロガネさんは笑顔でそう言ってくれた。
「……………………ありがとう////」
ふと胸の中に温かい何かが広がっていく。けれど不快じゃない。これを恋と知るのはそう長くはなかった。
~クロガネside~
「(何キザなことやってんだ俺ぇ!!)」
只今ハンコックの頭を撫でてます。いやーさわり心地良いね。…………おい今このロリコンって思ってたやつ、後で月牙天衝な
「今からこの鍵を渡す。但し音をあまりたてるなよ」
順番に鍵を渡していき、全ての手錠と首輪が外れた。
「んで、金庫を………」
意外とすぐ近くに金庫があった。誰も盗まれると思っていなかっただろうな。にしてもでかいな、2mくらいあるぞこれ。
「さすがに金庫の鍵はねぇか。んじゃ……」
鬼徹を武装色で纏い金庫の扉だけを斬った。すげぇ切れ味、スッって入ったぞ。
中にはざっと5億ベリーぐらいあると思う。札束のプールができそうだった。
札束は綺麗に纏められていたので、適当に分けて皆に渡した。
「あの?これは」
一人の男性が聞く。
「ここから出た時の資金に使ってくれ。どうせここの金だ、罰はあたらないだろう」
まぁ、一人辺り100万ぐらい?かな。あまりにも持ちすぎると逃げるのにじゃまだからな。
「あんたはどうする、金必要か?」
でかい水槽に入れられていた女性の人魚に話しかける。
「わ、私は魚人島まで行けば家族がいるので大丈夫です」
「そうか」
俺は皆を見渡し
「今からここに火をつける、その隙に脱出するぞ。出た後は各自で行動してくれ。くれぐれも再び捕まることなんてするんじゃねぇぞ」
何か忘れているような……おっと、忘れてた確か……あった!悪魔の実、しかも3つ。
もしかしたらこれメロメロとヘビヘビか?だったらハンコックたちにあげるか。
「それじゃぁ皆裏口の近くにいてくれ」
「でも外に出たら大勢の人がいるが……」
さっきの男の人鋭いな。
「そこら辺は安心しな。今外誰もいないから」
「?」
俺はステージのカーテンの上まで登り持ってきた酒をカーテンに染み込ませていく。酒?そこいらの海賊から拝借してきた。ちなみにウォッカ10本(ワインボトルサイズ)。
酒が空になると降りて時を待つ。
『さぁ皆様ご来店頂きまことにありがとうございます!』
始まったな。そろそろこっちにも店員が来る頃だ。
俺はマッチでそこらの木の板を燃やしカーテンに全力で投げた。
ねぇ知ってる?ウォッカって種類にもよるけど
アルコール度数40%なんだって!(>_<)(ちなみに日本のビールは大体4から5%)
「今だ!」
皆一斉に外に出る。
カーテンは一瞬で燃え上がり火の壁と化す。
「な、なんだ」「おい!どうなってる!」「商品の安否を急いで確認しろ!」
おー、相当焦ってるな。でも
「お前らの自業自得だ」
俺は鬼徹を峰の方で構え
「フンッ!」
横一閃で斬撃を飛ばす。
峰で撃ったからカーテンは切れない。けどそのまま客席へ飛んでいき……
「「「「「ぎゃぁぁ!!」」」」
天竜人にも当たる。
よし、ハンコックたちを追いかけるか。
なぜ人がいない理由。それは
「「「………………………………」」」
「おっハンコックたち、おーい!」
「クロガネさん!」
「お前らなんで立ち止まってんだ?早く逃げるぞ」
「いや、だって…………
「なんで嵐の中外に出したんですか!!」
そう、俺がぶつかったサイクロン二個がここに来た。来る時間は大体予測できたからな。ぴったり豪雨のタイミングで出れたぜ。
「この天気の中だからこそだ。これだけの豪雨なら人もまず出ないし海軍もそうすぐには来ない」
「でもどんどん雨脚が強く……って痛くなってるよ!」
小さいころのハンコック、可愛いなぁ。おい今このロリ(以下略)
「大丈夫だ。とりあえず俺に捕まれ」
「え?なん「早く」わかった……ソニア、マリーおいで」
「「は、はい」」
俺は死神の姿になり低く姿勢を構える。
「ちょっ何!?その姿!」
「後でな!喋ると舌かむから口閉じとけよ」
瞬歩で目指す場所は………ぼったくりBARだ!
「ちょっ……きゃぁぁ!!」
「着いたぞ」
「や、やっと……着いた」
「おいおいお前らバテるなよ」
まったく、最近の若いもんは……
「入るぞ。後ろについてな」
ぴったりくっつく三姉妹。いや、歩きずらいのですが…………
カラン コロン
「あらいらっしゃい。雨宿り?それとも何かいる?」
「いえ、ここにいる方に用があって」
「ほぅ、私のことかね」
店内に一人、新聞を読んでいる眼鏡をかけた金髪の人がいた。
「(若い!俺が知っているレイリーは白髪だけどまだ白髪ないし、普通にスーツが似合う格好いい大人だ!)あぁ、あんたに頼みが会ってな」
「コーティングかね?この天気じゃ暫くは無理だが」
「いや、こいつらアマゾン・リリーの出身なんだ」
「ふむ?では何故…………そういうことか」
「さすがは冥王、鋭いな」
「分かった。そちらに関しては知り合いがいる。なんとかしよう」
「よし!お前ら良かったな!帰れるぞ」
「え?本当?」
「あぁ、本当だ!」
「「姉様…………」」
「ソニア……マリー…………私たち島へ帰れるって!」
三人は抱き合い。泣き出した。
「「「うわぁぁん!よかっだぁ。よかっだぁ!」」」
俺たち三人はその様子を温かく見守っていた。
「君はあの子たちにとっての救世主ね」
「よしてください。あ、改めて俺はクロガネだ」
「私はここの店主のシャッキーよ」
「私はレイリーだ」
「知ってるよ。元海賊王の副船長さん」
「君も中々の実力者だな。ふふ、血が騒ぐ」
「さすがに海賊王の右腕に勝てるとは思っていませんよ。今は」
「そうか。これからが楽しみだ」
パン パン
シャッキーが笑顔で手を叩き
「皆今日はうちで泊まってらっしゃい。美味しいご飯もたくさん用意するわよ」
「ありがとうございます。シャッキーさん」
「「「ありがとうございます!」」」
「支払いはクロガネ君の出世払いでね」
「利子10倍で返しますよ」
「期待してるわよ♪」
この日シャボンディ諸島の1つのBARから楽しそうな子供の声と笑い声が聞こえた。
ハンコック12歳なのでこんな感じかなと思って書きました。
それでは次回もお楽しみに!