東方現幻夢   作:カミユ

9 / 65
前回謎の登場人物が登場しましたが、しばらくは(多分)でません。

今回はあのキャラが登場します。


第8話 紅魔館の門番

 Side 夢華

 

 時刻は午前7時頃。いつもの変わらず四人で朝食を食べていた所で神奈子さんからこれからのことを聞かれた

 

「幻想郷に来てから少し経つけど少しは何処かに行ったらどうだい?」

 

 確かにまだ博麗神社と人里、妖怪の山しか行っていない。妖怪の山は常にいる感じだけどね…

 

「うーん……じゃあ本がたくさんある所…かな」

 

 幻想郷にもあるよね?図書館みたいな所

 

「変わりませんね〜夢華くんは。そうですねー…では紅魔館にはどうでしょう!」

「紅魔館?」

「吸血鬼の住む館だよ。危険な場所だから人はあまり近付かないけど夢華くんなら大丈夫だよ」

 

 諏訪子さんから説明された吸血鬼の住む館…っていう事は吸血鬼しか居ないのかな?

 

「いえ、吸血鬼の他にも人間や妖怪、魔法使い…魔女でしょうか?それと悪魔と妖精が住んでいます」

「そこの地下に大図書館っていうところがあって、大量の本があるんだよ」

 

 何その行きたくなる説明は!これは行くしかない!ところで早苗ちゃんは心を読めるようになったのかな?

 

「幼馴染みですので」

 

 また読んだ!幼馴染みって言葉便利だよね〜

 

「じゃあ朝食食べ終わったら行こうかな〜」

「私もついて行きます!場所分かりませんよね?」

「そうだね。一緒に行こう!」

「はい!」

 

 方角が分かれば一直線に進めばいいけど…

 

「「「「ごちそうさまでした!」」」」

 

 早苗ちゃんと食器を洗っている間ずっとワクワクしていた。何があるかな〜ラノベあるかな〜。それに魔法使いの人に聞きたいことあるし。

 

 食器を洗い終え、支度を済ませる。

 

「では行きましょうか」

「レッツゴー!」

 

 僕は魔法陣に乗り、早苗ちゃんは飛ぶ。僕は紅魔館の場所がわからないから早苗ちゃんが先導してくれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Side 諏訪子

 

「本当に仲良いよね。あの二人」

「幼馴染みだからじゃないか?だが、本当に仲良いな。夢華くんになら早苗は任せられるよな」

「だね。強いし、優しいしねぇ〜」

「紅魔館で戦いそうだな…」

「夢華くんは戦うのは好まないんだがな〜。きっと無理なんだよな」

 

 そんな会話をしている。夢華くんは大丈夫。そう思うのだけど…やっぱり…

 

「ーー心配なことは夢華くんの暴走だな」

「うん。万全の私達でも勝てるかどうか…」

「でも夢華くんも成長している。もしかしたら私達でも無理かもしれない。もしもの時の為に備えておくか」

「そうだね」

 

 空気が重くなっていく。

 その時に椛がやって来た。

 

「すみませんが夢華さんは居ませんか?」

「ついさっき紅魔館に行ったよ」

「そうですか…」

「何かあったのかい?」

 

 神奈子が椛に問う

 

「昨日人里の子供が妖怪の山に入ったことは知っていますか?」

「まぁ少しだけだけど」

 

 昨日の夕食の時夢華くんが少し言っていた。人里の子供が気づいたら妖怪の山に居て、狼の妖怪に襲われたらしいが夢華くんが救ったと。どうやって子供が移動したのかは夢華くんもよくわかっていないらしい

 

「人間が山の中枢辺りまで来れることは霊夢さんや魔理沙さん、夢華さん達みたいに強くない限り滅多にありません」

「それで?」

「子供がいた場所に行ったのですが、そこで火薬の匂いがしたのです。なので夢華さんに協力してもらおうと思いました」

「わかった。夢華くんが帰って来たら伝えておくよ」

「ありがとうございます。では」

 

 椛は帰って行った

 

「神奈子。何かありそうだね」

「私達も調べておくか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Side 夢華

 

「夢華くん!あそこが紅魔館ですよ!」

 

 早苗ちゃんに言われた場所を見ると湖の沿岸付近に全体が紅かく、窓が少ない館が建っていた。

 悪趣味と思わなくはないけどなんでこんなに紅いの?

 

「紅いね」

「紅魔館ですから」

 

 何故か納得してしまった僕が居る

 

「では入りましょう!」

「うん良いけどさ…」

 

 紅魔館の門の側で立ったまま寝ているチャイナ服で赤髪の長髪で三つ編みの女性が居た。妖力だから妖怪かな?

 まさかこの人が門番なんて事はないよね?

 

「早苗ちゃん。門の近くで立ったまま寝ている人が門番じゃないよね?」

「門番ですよ」

「……え?門番?寝ているよね?」

「えぇ寝ていますね」

「紅魔館は大丈夫なのかな?そもそも空飛べるからあまり門番必要ないよね?」

 

 身もふたもないことを言うけど侵入し放題だよこのままじゃ。

 

「起こした方がいいよね?」

「そうでしょうね」

 

 とりあえず魔法陣から降りて、門番の人に近寄る。

 

「おーい起きて下さ〜い!朝の…八時か九時位ですよー」

 

 近くから起こそうとしても全く動かない。いい夢でもみているのか幸せそうな表情だ。

 何度か起こそうとするがなかなか起きない。仕方がないから揺らして起こそうと手を伸ばすと、急に門番の人に手を掴まれた。

 

「侵入者!」

「え?」

 

 門番の人の掴む手が強くなる。

 

「イタタ!」

 

 折れる!これは折れる!とっさに手を払う。

 

「大丈夫ですか?夢華くん!」

「うん大丈夫だよ」

 

 まあ少し腫れてるけどね。これくらいなら問題はないよ

 

「紅魔館の門番紅 美鈴(ホン メイリン)侵入者を排除します!」

 

 門番の人改め、美鈴さんが身体を半身に傾け左手を前に、右手を引いた状態で構える。

 多分、美鈴さんは拳法を使うと思う。なんとなくだけど…中国拳法かな?

 うーん。苦手なんだよね。拳法使う人。こういうのは絢斗君が適任なんだよね

 

「あの〜僕はただ寝ていたのを起こそうとしただけで侵入者じゃないですよ」

 

 一応ちゃんと誤解だということを知ってもらおうとするが…

 

「問答無用!」

 

 美鈴さんはこちらに向かってくる。

 何このデジャブ…

 美鈴さんの蹴りを後ろに跳び、距離を取る。

 

「はあ!」

 

 美鈴さんは前に踏み込み、拳をたたみ込んでくる。僕はとっさに腕を交差し、受ける

 

「グッ…」

 

 ボギン!という音とともに僕はそのまま後ろに一メートル程飛ばされ、地面を転がる

 

「夢華くん!」

 

 早苗ちゃんは駆け寄ってくる。

 左腕は真っ赤に腫れていて、変な方向に向いており、力が入らない。完璧に折れてるね

 

「これはなかなかヤバイね。左腕が全く動かないよ」

「夢華くんは下がっていてください。ここは私がやります」

「いや、早苗ちゃんは下がっていて。骨折完治」

 

 左腕を激痛に耐え、支え、能力を使う。左腕はくっつき、ちゃんと動く。骨折なんていつぶりだろう。魔界だっけ?

 

「!!!」

 

 能力を使い、骨折を治すと美鈴さんは警戒し、その場で構える

 

「なんですかあなたは。奥底から来る黒い気は一体なんですか?」

 

 黒い気?何それ僕は知らない。横で早苗ちゃんが明らかに動揺したような素振りをするが気にしない。

 僕は立ち上がり、美鈴さんにもう一度訊く。

 

「もう一度言いますよ。確かに僕は紅魔館に用があり、入ろうと思いました。けれど門番の人である美鈴さんが寝ていたので起こそうとしました。だから僕は侵入者ではありません!」

 

 懇切丁寧に言う。そして最後を強調する。ここを分かってくれないと話にならない。

 

「あなたは危険です。そんな人を門番として見過ごせません」

 

 話が通じない。なんかふて寝したくなってきた。

 僕は「はあ」と溜息をつくと構える。

 何でだろうまたデジャブを感じる。

 

「行きます!」

 

 美鈴さんの言葉とともに僕も距離を狭める。魔力を両手両脚に集める。美鈴さんは蹴りを、僕は拳を繰り出す。お互いぶつかり合う。

 

「え?」

 

 多すぎないくらいの魔力を集めたつもりだったけど美鈴さんは痛がる素振りはない。妖怪だからなのか。それとも僕と同じように脚に集めたのか…

 僕と美鈴さんは同時に半歩下がる。と同時に魔力を右手に集めてストレートに殴る。

 

「甘い!」

 

 僕の攻撃は右に流される。

 

「だったら!」

 

 流された勢いのまま一回転して左脚でかかと落としのように攻撃しようとする。しかし、その事を気付かれたのか足を少し浮かせた時に右手首を掴まれ、右方向に軽く投げられ、胴体がガラ空きになる

 

「しまっ…」

「隙あり!」

 

 僕のお腹に拳をたたみ込んできた。とっさに左手とお腹に魔力を集める。さっきよりも多く集めたから痛みはないが、少し飛んでいる状態だからまた後ろに飛ばされる。悲しいかな、これが経験の差ってやつなのか…そもそも僕はサポートなんだよね。

 

「なら!」

 

 やり方を変えれば良いだけ。反応できないスピードまで加速すれば良い。後ろに多めに魔力を使い、魔法陣を展開する。魔法陣を踏み台のようにし、加速しながら蹴りを放つ。

 美鈴さんは反応できなかったのかそのまま蹴りが横腹にあたる。美鈴さんは横に飛ばされる。

 

「まだまだ!」

 

 僕は追い討ちをかけるように接近する。そして美鈴さんを蹴り上げる。美鈴さんはまた反応できずに蹴り上げられる。

 魔法陣をまた踏み台のようにし、跳ぶ。美鈴さんを追い越し、一回転し、

 

「打符 一発入魂」

「!」

 

 美鈴さんは腕を交差し、防ごうとする。右手に魔力を集める。僕の攻撃が当たる瞬間に美鈴さんが消えた。

 

「……え、えー」

 

 当然急に消えた美鈴さんに当たるはずもなく、空振りする。

 何だろうこの渾身の一撃を失敗したような脱力感は…いやそのままだよ、これ…

 

「どこに…居た」

 

 消えた美鈴さんを見つけるために周りを見るとすぐに見つかった。門の前に膝をついている。その横に銀髪で美鈴さんみたいに三つ編みのメイドさんが居た

 

 そのまま降り、地面に着地する

 

「えーと話できますか?」

 

 一応念のためにもう一度訊いてみる。

 

「えぇ大丈夫です」

 

 メイドさんは明らかに警戒しながら了承してくれた。

 さっきと同じように説明する

 

「成る程。分かりました。これはこちら側に非があります。申し訳ございませんでした」

 

 そう言って警戒を解き、謝罪と一緒にお辞儀をする。やっと分かってくれて嬉しい

 

「いえ、もう過ぎたことを言っても仕方がありません。なのでもう良いですよ」

 

 そう言うとメイドさんは態勢を直し、自己紹介をする

 

「私は紅魔館のメイドを勤めております。十六夜 咲夜(いざよい さくや)と申します」

「僕は上殊 夢華です。よろしく」

 

 咲夜さんは真っ直ぐこっちを見ている。何だろう?

 

「すみませんが私と一戦やっていただけませんか?」

 

 え?会っていきなり戦おうとか…血気盛んなのかな?というか弾幕ごっこはどこに行った。今更だけど…

 

「あの〜弾幕ごっこではないのでしょうか…」

 

 早苗ちゃんがいつの間に移動したのか隣で控えめに手を挙げて質問する。全くもってその通りだよ

 

「お嬢様が『弾幕抜きの実力を見て見たい』とおっしゃったので。美鈴はどちらでも」

 

 え〜また戦うの?でもここで戦わなかったら中に入れなさそうだし、仕方がない…

 

「分かりました。(嫌だけど)やりますか」

 

 僕は嫌々了承した。

 

「私も、やります」

 

 咲夜さんの横で膝をついていた美鈴さんが立ち上がりながら言う。

 

「なら私もやります!」

 

 早苗ちゃんが意気込む。

 ……けど

 

「早苗ちゃん。悪いけど少し待ってて」

「どうしてですか?」

 

 早苗ちゃんは納得いかないように言う

 

「これは弾幕無しだよ。それだと怪我をしちゃうよ。それに、あっちは僕を指名しているから早苗ちゃんは戦わなくていいんだよ?」

「でも!……いえ、夢華くんはこうなったら言っても聞きませんよね。だったらせめて」

 

 早苗ちゃんはどこか諦めたように言う。そして両手を未だに腫れている左腕にかざす

 

「見てください!これが私の奇跡です!」

 

 そう言うと同時に左腕が光りだす。暖かく安心するような光。どんどん痛みが引いていく。光が消えると腕は治っていた

 

「凄い!治ってる!」

「どうですか⁉︎これが私の奇跡!【奇跡を起こす程度の能力】です!」

「ありがとう早苗ちゃん!」

 

 早苗ちゃんは得意げに腰に両手を当てる。ついに早苗ちゃんの奇跡を見ることができた。『奇跡は起きるものじゃなくて、起こすものです!』みたいな事を言いそう。

 今更だけど早苗ちゃん能力あったんだ。

 

「じゃあ頑張ってください!」

「うん!」

 

 門の前で黙って待ってくれていた二人に向く。

 

「お待たせしましたー」

「いえお気になさらず」

「では、始めましょう」

 

 僕は魔法陣から魔導書を、咲夜さんは時計を取り出し、美鈴さんはさっきと同じように構える

 

「「「行くよ(ます)!」」」




何となく区切りが良かったのでここまでにしました。次回は二人と戦います。

戦闘描写って難しいですね。ちゃんと皆様に伝わるか不安です。改善点があったら教えて下さい。できるだけ直します

感想、評価お待ちしております!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。