東方現幻夢   作:カミユ

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今回かなり雑になってしまいました。
それでも良い人はどうぞ


第15話 永遠亭

 Side 夢華

 

 白玉楼から帰って来てから次の日、本(昨日紫さんが落としたせいで縁側に落ちていた。傷や折れていたりはしていない)のクライマックスを読んでいた

 

「まさかこの人だとは…」

 

 などと独り言を言っていると早苗ちゃんが隣にいた

 

「どうしたの?」

「あの竹林見えますか?」

「うん見えるよ」

 

 本を閉じ、早苗ちゃんが言った竹林は人里の向こうにある。ちょうど妖怪の山と反対側かな

 

「竹林だけどどうしたの?」

「今の季節が夏なのに竹林だけ雪が降っているのがおかしいと思わないのですか!?」

 

 確かに雪が降っているけど…

 

「幻想郷だから夏に雪が降っても不思議じゃないかな」

「確かに幻想郷は常識にとらわれてはいけないからと言って雪が降るのはおかしくないですか?」

「じゃあ奇跡が起こった」

「なら納得です」

 

 凄い速さで納得しちゃったよ。まあ奇跡が起こったなんて言われたら僕も信じちゃうね

 その時スキマが開いた。その瞬間に本を横にそっと置く

 

「あの…そこまで警戒されるのは…」

「自業自得です」

「すみません」

 

 僕の行動に少し肩を下げている紫さんが出てきた

 

「紫さんどうしたんです?」

 

 早苗ちゃんが聞いたので紫さんは顔を上げる

 

「幻想郷で夏に雪が降ることは今までなかったよ。一年中寒かったことはあったけどね」

 

 ということは誰かが雪を降らしているということかな?

 

「他にも紅魔館の周りに霧が出ていたり、博麗神社には雨が降っていなかったりとか色々あるわ」

「こっちには影響無いですよね?」

「えぇ今はね」

 

 今後こっちにもあるかもしれないということか

 

「さてと…」

「どこに行くんですか?」

「あの竹林にだよ。なんか面白そうな気がするからね〜」

「じゃあ私も行きます!」

 

 そう言うと早苗ちゃんは支度をしに行った

 

「お待たせしました〜」

 

 2分くらいで戻ってきた。

 

「じゃあ行こうか」

「はい!」

「気をつけてね〜」

 

 紫さんの言葉を聞きながら雪が降っている竹林に向かって飛ぶ。

 

「一度人里に行きましょう」

 

 人里の上空で早苗ちゃんがいきなり止まり提案してくる

 

「どうして?すぐそこじゃん」

「あの竹林は『迷いの竹林』と言われていて一度入るとなかなか出る事ができないのですよ。私も一人で行った時に迷いました」

「迷いの竹林か…(能力使えばすぐなんだけど面白くないからな〜それだと)…うん。良いよ。でもどうして人里?」

 

 知らない場所で能力使用は本当に面白くない。例えるならストーリーが全て分かっていて興味の無い映画を観るのと同じくらい。危険な場所や迷った時とかは例外だけどね

 人里の人が迷いの竹林のことをよく知っているのかな?

 

「妹紅さんがよく知っています。なので迷いの竹林に行くときは妹紅さんが居ないと大変です。私は妹紅さんが偶然通りかかって助けてもらいました」

「妹紅が…でも迷うのが分かっているのにどうして竹林に入るの?」

 

 今更ながらに気づく。迷うのが分かっているのに行く人は好奇心旺盛な探索者か偶然そこに入る人ぐらいだよね

 

「言っていませんでしたっけ?竹林の中に『永遠亭』というところがあって、病院なんですよ」

「そうなんだ。じゃあ妹紅探そっか」

 

 という事で、妹紅さんを探すために人里に降りる。まず僕達は妹紅の家がわからないからよく居るらしい寺子屋に向かう。徒歩で

 

「あら夢華くん?」

 

 寺子屋がある道を歩いていると前方から白髪ロングヘアの女性が話しかけてきた

 

「朱鳥さん。久しぶりですね」

「えっと…誰ですか?」

 

 早苗ちゃんは小さな声で聞いてくる。まあ初対面だからね

 

「私は月城 朱鳥。夢華くんとは前に会ったの。よろしくね」

「私は守矢神社の巫女をやっています。東風谷 早苗です。よろしくお願いします!」

「フフフ礼儀正しい子ね」

 

 お互いが自己紹介する。朱鳥さんに妹紅がいるかどうか聞いてみる

 

「朱鳥さん。妹紅見かけませんでした?」

「妹紅さん?妹紅さんだったら迷いの竹林に入って行ったのを見たわよ」

「ありがとうございます!」

 

 朱鳥さんに礼を言って迷いの竹林の方に歩いて行く。「気をつけてね〜」と朱鳥さんが手を振りながら言ってくれたのでこっちも手を振る

 

「うわ〜本当に雪が降ってる」

「ですね。今の季節には助かるのですが寒くないですか?」

「寒いね。指がかじかんでいるよ」

 

 迷いの竹林入り口?前に着いてから寒くなる。冗談抜きでやばい。ただ今僕は半袖(白)半ズボン(黒)の服を着ている。早苗ちゃんは変わらずに巫女服で来ている

 

「ここで奇跡を使って雪を溶かしますか?」

「待って。この足跡がある。妹紅のかな?」

 

 早苗ちゃんが能力を使おうとする時に下を見ると足跡が竹林に向かっていた。朱鳥さんの話だと妹紅は竹林に入ったみたいだからこの足跡を辿っていけば会えるからね。

 でもこのままでは凍死しそうだから魔法を使おう。

 

「早苗ちゃんこれ持ってて」

「これは?」

 

 早苗ちゃんに小さい魔法陣を渡す。

 

「それは魔力で動くカイロみたいなものだよ。僕が注いだ分だけ熱を発するものだよ。とりあえず五時間分にしておいたよ」

「ありがとうございます。でも五時間分ですか。見つかりますねそれだけあれば」

 

 そんなわけで二人で歩いている。ついさっき来たのか雪が降っていても足跡は分かる

 

「あ、兎がいる」

 

 横を見ると兎がいるのを発見。

 

「なんでいるんだろう」

「竹林にはたくさんいますよ。それに月の「うわっ!」夢華くん!?」

 

 早苗ちゃんが説明している時に兎に近づいて行くと落とし穴に落ちた。

 

「痛ててて…」

 

 上を見ると大きな石が大量に落ちてくる。マジか…

 

「脱出脱出」

 

 魔法陣で防ぎながら軽くジャンプして脱出。

 

「大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ。もしかしてここら辺って罠だらけだったりする?」

「私の時は罠に引っかかりませんでしたが…まだあるかもしれないので気をつけましょう」

「だね」

 

 地面を特に注意しながら先に進む。と、その時後ろから気配を感じた

 

「そこの竹に隠れている人出てきて」

「え?」

 

 後ろを振り向くと…なんて言えばいいのか…人間に兎の耳がある?白のワンピースを着て、首から人参のネックレスを下げている女の子が現れた

 

「うさうさ。よく分かったね」

「何となくだけどね。初めまして。僕は上殊 夢華。よろしく。えっと…」

「私は永遠亭に住んでいて迷いの竹林の兎たちのリーダーの因幡 てゐ(いなば てい)。よろしく。あんたのことは妹紅や新聞からで知ってるよ」

 

 てゐちゃんと言うのか。多分さっきの罠を作ったのはてゐちゃんだね

 

「さっきの罠はてゐちゃんが作ったの?ここまで来るのに20個くらいあったんだけど」

「そんなにあったのですか!?」

「うさうさ。よく分かったね。鈴仙は毎日引っかかっているのに」

「レイセン?レイセンって…」

 

 僕が最後まで言い終わる前にまた後ろから誰かの気配を感じた。またか…と思いながら後ろを見る

 

「てゐ…やっと…見つけた…お師匠様が呼んで…いたわよ…」

 

 疲れているのか所々言葉が切れながらこちらに来る。外の世界の高校とかにありそうなワイシャツを着た兎の耳で腰まで長い薄紫の髪の人(兎?)がてゐちゃんの言っていたレイセンなのかな?

 

「僕の知っているレイセンじゃない」

「貴女は…」

「上殊 夢華。前に妹紅が話していただろう?強すぎる人間って。あと新聞。最近の文々。新聞でよく載っていたじゃないか。博麗の巫女と引き分けたとか」

「あーそうですね。言われてみればその人です。え?女の子じゃないのですか?」

 

 本当に間違われるな〜慣れたけど…

 

「初めてまして」

「私は永遠亭に住んでいる鈴仙・優曇華院・イナバ(れいせん うどんげいん いなば)。よろしく」

 

 僕の知っているレイセンじゃないけど鈴仙は月の兎だね

 

「ちょうど良かったわ。姫様が貴方に会いたいと言っていたから来てくれない?」

「良いよ。そっちにも聞きたいことがあるからね」

「こっちよ。付いて来て」

 

 そう言って鈴仙が来た道と方向が違うようで歩き出した。でもその方向には

 

「そこに落とし穴があるから気をつけ「わーーーーーーーー!いて!」…遅かった」

「うさうさうさ。相変わらず鈴仙は面白いね」

「大丈夫でしょうか?」

「月の兎なら大丈夫でしょ」

「それもそうですね」

 

 鈴仙を救出してから罠のある場所を僕が言いながら永遠亭まで歩いていく。

 どうやら二人は雪が降っていても寒くないらしい。良いなぁ

 

「ここが永遠亭?」

「そうよ。入って。姫様を呼んで来るわ」

 

 そう言って鈴仙…混ざっちゃうから優曇華と呼ぼう…優曇華が中に入った

 

「それにしても長かったような…」

「それは私も思いました。ここまで長いとは…」

「うさうさ。早苗はともかく、夢華は初めて竹林に入ったし今は雪が降ってるからね。人間にはきついだろうさ」

 

 てゐちゃん達とあった場所から二キロほど歩いた気がする。

 

「そういえば優曇華が言ってた姫様ってどんな人?」

「うーん……あんな人」

 

 てゐちゃんが考えていると曲がり角からゆっくりと着物を着た黒髪で地面につきそうなほど長い髪の女性が歩いて来た

 

「初めまして。私はここ、永遠亭の主人蓬莱山 輝夜(ほうらいさん かぐや)よ」

「初めまして。僕は上殊 夢華。よろしくお願いします」

「とりあえず中に入りなさい。妹紅も中に入りし、貴方が聞きたいことも話すわよ」

 

 と、まだ玄関にいる僕達に輝夜さんが促す。ははは…と早苗ちゃんと笑いながら上がる

 

「うーん…幻想郷は和式が多いね」

 

 今まで幻想郷で行ったことのある場所は紅魔館を除いで和式だった。

 

「あら、貴方は洋式?だったかしら…そっちの方が好みなのかしら?」

「外の世界では殆どが洋式だったので少し以外だったのです」

「そう…ついたわよ」

 

 少し話しているうちに目的の部屋まで着いたみたい。輝夜さんに襖を開けてもらい中に入る

 

「来たか」

 

 中には何故か機嫌が斜めの妹紅と、優曇華、銀髪で後ろに三つ編みにしているて特徴的?な服(片方が赤でもう片方が青)を着た女性が座っていた

 

「妹紅どうしたの?なんか機嫌が悪いみたいだけど…」

「別に…」

 

 僕が話しかけてみると短く返して別の方向を見てしまう。これは拗ねてますね

 

「さっき私と殺し合いをしてたのだけどね。私が勝っちゃったから拗ねてるのよ」

「え?殺しあってたのに勝っていてなんで妹紅が生きてるの?」

「そこ聞いちゃうの?」

「夢華くんは案外はっきり言えますからね…」

 

 直情径行な性格だと散々言われたけど変えるつもりはあまりないね…

 

「貴方は竹取物語って知っているかしら?」

「それはもちろん…多少は…」

 

 そりゃあ有名だからね。中学かどこかで授業受けたから知ってるよ

 

「私は竹取物語に出て来るかぐや姫よ」

「な…なんだってー。え?あのかぐや姫?本物?幻想郷って本当に何でもありだね!」

 

 かぐや姫が居るなら聖徳太子がいそう…

 

「え?でも、かぐや姫は月に帰ったんじゃ」

「私は月にいた頃そこに居る永琳に蓬莱の薬…不死の薬ね…その薬を作るように頼んで私が飲んだことによって罪に問われたのよ。それで地上に落とされたわ」

八意 永琳(やごころ えいりん)よ。永遠亭で薬師をやっているわよろしく。夢華」

「よろしくです」

 

 軽く挨拶をすると輝夜さんが咳払いをし話し出す。因みに早苗ちゃんや優曇華、てゐちゃん、妹紅は黙って話を聞いている

 

「地上に落とされた後は貴方が知っている通りよ。違うといえば私が月に帰らずに迎えに来た永琳と一緒に逃げたことかしら。その後は人里離れたところに隠れていたわ」

「実際とは違うんだ…月に行った時にかぐや姫が居なかったから竹取物語は無かったのかも何て思ってたけど結末が違っただけなんだ。それに月に月人が居たから……「ちょっと待ちなさい!」…え?」

「いや「え?」じゃなくて貴方月に行ったことあるの!?」

「ありますよ。去年の冬くらいに」

「じゃあ誰か言ってみて!」

「えっと…豊姫に依姫、レイセンにサグメetc…」

「嘘…」

「夢華くん本当に月に行ったことあるのですか!?」

 

 輝夜さんや永琳さん達が驚いている時に早苗ちゃんが僕の肩を前後に揺らしながら問いかけてくる

 

「うん!早苗ちゃん達が居なくなってから昏御ちゃんが「本当にかぐや姫って居るのかなー」って言ったからみんなでじゃあ行ってみよーみたいになったし、それに早苗ちゃん達を見つけることができるとも思ったから〜」

 

 早口で言っていたけどそろそろ止めてもらわないと首がもげる…

 

「なあその昏御って奴と月に行ったのか?」

 

 僕の首がもげそうになっている時にさっきまで黙っていた妹紅口を開く

 

「いや…僕と昏御ちゃん以外にあと二人」

「そいつら強いよな?」

「うん。体術は全員僕よりも上だよ。能力もあるし、昏御ちゃん一人で豊姫と戦ってたし」

「あと二人は?」

「絢斗君は依姫と、蓮舞君は司令塔をしやがら兎達と戦ってたね」

「バケモノだな」

 

 まあよく言われてた気がする。アイツからもバケモノ呼ばわりだったし

 

「じゃあ夢華は誰と戦ったの?」

 

 優曇華が聞いてくる。けどあまり覚えてないんだよな〜

 

「いや〜僕はとにかく戦いを終わらせようとして走ってたからあまり覚えてないんだよね…あ、でも護衛団長みたいな人とサグメとは戦ったね」

「はっ!?あの護衛団長と!?」

「いや…一度ちゃんと謝ったんだけど…急いでたし…」

 

 いや…あの時は本当にサグメ探さないと月が崩壊しそうな勢いだったし…

 

「じゃあ豊姫達は元気なのね。良かったわ」

 

 そしてそれからみんなで話し合った。

 

「あ…ねぇ迷いの竹林の季節外れの雪について何か知ってる?」

 

 だいたい一時間ほど話したところで目的を思い出す。

 

「分からないわね。というかこういうのは紫に聞くべきでしょう」

「その紫さんから言われて来たんですよ」

「紫も知らないとなると異変かもしれないうさね」

「異変ね〜ということは霊夢が動くのかな」

「恐らくそうね」

 

 異変については早苗ちゃん達から聞いた。異変を解決するのは霊夢なんだけど魔理沙も入っていたり…前の異変は早苗ちゃん達だと言う…

 

「夢華の能力でどうにかできないのか?」

 

 妹紅さんが…まあ僕の能力を知っているならだいたいの人はそう言う事を言った

 

「んーできなくはないけどね、あまりやりたくないんだよ。竹林の雪を解決したところでまた別のことが起きるかもしれないし、首謀者を直接倒した方がいいと思いますよ」

「じゃあ一応聞くけどこれが異変だとして、『異変解決』と言ったらどうなるの?」

「さ〜どうなるのかは僕にも分からないんだよね。もしかしたら首謀者死亡で終わったり、首謀者もろとも全員死亡エンドだったり、もしかしたら誰も死なずに終わるかも知れないから賭けになるんだよね。だから使いたくないし、使う気は一切無いよ」

 

 そう…一度使ったことがあるから使いたくないんだよね。中学の小テストで異変じゃないけどやった結果…30点だった(見直せば普通に分かった)。

 

「多分霊夢が動くと思うからその時にどうするのかを考えればいいと思うわよ」

 

 と、輝夜さんが結論を言ってくれた。まあそれしかやることないしそうしよう。紫さんの報告は「知らないみたい」しかないね

 

「じゃあ私は帰るよ。夢華達はどうする?」

「早苗ちゃんどうする?」

「良いですよ」

「じゃあお願い」

「おうよ」

「それじゃあ何か困ったことがあったら永遠亭に来てね」

「はい。それではさようなら」

 

 妹紅さんについて行き永遠亭を出る




外の世界の友人達は過去編で出てきます。三人ともチート並みに強いです。月の都は過去編であります
7話で夢華は永遠亭の存在は知っていましたが場所までは分かっていません

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