東方現幻夢   作:カミユ

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今回は前回、夢華が新聞を読んだ日と同じで、前回は8時でした


第14話 白玉楼

 Side 夢華

 

 霊夢との弾幕ごっこの次の日の午前10時、僕は大図書館で借りた本を縁側で読んでいた。ジャンルはミステリー。本を読んでいたらいきなりスキマが目の前に開き紫さんが顔を出した

 

「こんにちは夢華。昨日ぶりね」

「………こんにちは」

 

 いきなりの事なので挨拶が遅れてしまった

 

「どうしました?」

「私の親友が貴方に会いたいらしいから連れて行くわ」

「唐突ですね」

 

 マイペースな人だな〜

 

「じゃ行ってらっしゃい」

「え?」

 

 紫さんの言葉とともに下にスキマが開く。

 

「うわあ。またかよ」

 

 そのまま重力に従い落ちていく

 

 スキマから落下したけど魔法陣を展開して上に乗っている。僕は取り敢えず下を見る前にあることに気づいた

 

「肌寒い?」

 

 今の季節は夏。夏なのに肌寒いくらいの気温だ。それに

 

「大きい木だな〜」

 

 視線(まっすぐ)の先には夏なのに枯れて葉が全く無い巨木があった。枝の周りに白い…なんだろう…分からないけど表現するなら魂みたいな物体?があった

 

「降りないとね」

 

 この事は考えても分からないので紫さんに聞いてみよう。で、下を見たら立派なお屋敷が建っていた。二階などがなく、池や橋、庭など和風というか昔の貴族の人達が居そうだ。お屋敷の周りには塀がある。塀の外側には木と魂みたいな物体?が浮いていたりしている

 

「これ不法侵入だよね。どうしよう…一回出てから入ったほうがいいよね?」

 

 まだ庭には降りていないから門みたいなところまで行こう。こんなところを見られたらここに住んでいる人に勘違いされそうだし…

 そう思い門のところまで移動した。

 

(門番?…なのかな?)

 

 門の上を通過する寸前で門の下を見たら白髪でカチューシャをつけて、刀を二刀ほど持っている女の子がいる。しかも木の周りに浮いていた魂?みたいなものがいる

 

 何となく門の上の場所に音を立てずに静かに着地する。

 

(どうしよう。このまま降りたら疑われる…だからといってこのままの状態でいるとお屋敷の中に居る人に見られる)

 

 降りて事情を説明しようかな、と考えていると

 

「気配!誰!?」

「あ…」

 

 いきなりこちらに顔を上げた。

 

「あ…あの〜えっと…こんにちは」

「侵入者!」

 

 女の子は門の上まで跳び着地してからゆっくりと刀を構える。背は僕と同じくらい

 

「は…話をしましょう?」

「せいっ!」

「よっと。話聞いてくれない」

 

 どうしよう。とにかく誤解をとかないと。

 

「僕は紫さんのスキマに落ちて来たからね?これは不可抗力だよ」

「なっ!紫様を言い訳に使うとは…貴女はこの、白玉楼の庭師魂魄 妖夢(こんぱく ようむ)が成敗します!」

「神様助けて…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Side 早苗

 

「ハッ…誰かが助けを求めている!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Side 夢華

 

 もうヤダ…本気で誰か助けて。絶対紫さんこの状況観て笑っている!

 

「はあ!」

「やるしかないのか…」

 

 妖夢ちゃんが斬りかかる。バックスップで距離を取り避ける。すぐに魔法陣から魔導書を取り出し、火のページを開く。

 

「炎魔法 火弾」

「遅い!」

 

 魔法陣を展開してから撃つまでの間に距離を詰められる。早すぎるでしょ。もしかしたら文さんよりも早いとか…

 

「く…」

 

 真横に振るわれた斬撃をしゃがむ。頭の上では刀が通過した音がする

 しゃがんでいてさらにたった今妖夢ちゃんの攻撃を避けている今がチャンス

 すぐに氷のページにする

 

「氷魔法 氷結世界」

 

 魔法を使った瞬間に僕と妖夢ちゃんの周りが凍る。話を落ち着いて聞いてもらうために妖夢ちゃんを腰のところまで凍らせた。これで身動きは取れないはず

 

「なっ…凍った?」

「お願いです落ち着いて話を聞いて下さいお願いします」

 

 一応刀を振るわれても避けられる位置に移動し、お願いする

 その時お屋敷の襖が開く。

 

「妖夢その子は今日来るお客様よ」

「幽々子様…え?という事はこの人が夢華さんですか?」

「あ…はい僕は夢華です」

 

 妖夢ちゃんが幽々子という人?の言葉で落ち着いてくれた。

 

「中に入ってちょうだい」

「はい。あ、妖夢ちゃん魔法陣の下にしばらくいてね」

 

 氷結世界をやめ、氷が溶ける。炎のページにして妖夢ちゃんの頭の上に暖気を出す魔法陣を展開する。

 幽々子さん?はもう中に入っている

 

「お邪魔しま〜す」

 

 玄関から靴を脱いで入る。妖夢ちゃんも

 

「こちらです」

 

 妖夢ちゃんが先に歩いているのでその後を追う

 

「ここです。私はお茶の用意をして来ますのでごゆっくり。あ、魔法陣はもういいです。ありがとうございました」

「うん。ありがとう」

 

 部屋の前で止まり妖夢ちゃんはどこかへ行った。僕は目の前の襖を開ける

 

「いらっしゃ〜い」

 

 襖を開けた瞬間に幽々子さんが陽気な声で言う。丁度正面に座っている

 

「僕のことは知っていると思いますが自己紹介します。上殊 夢華です。よろしくお願いします」

「私はここ、白玉楼の主人をやっているわ。西行寺 幽々子(さいぎょうじ ゆゆこ)よ。気軽に幽々ちゃんでいいわよ」

 

 幽々子さんを幽々ちゃんとは言えない。なんか嫌だ。だから幽々さんにしよう

 

「で、幽々さん…「幽々ちゃん…」幽々さんは僕に何の用ですか?」

「そうね〜妖夢ちゃんが来てからにしましょうか〜」

 

 というわけで妖夢ちゃんが来るまで幽々さんの前に座り待つことになった。それと…

 

「紫さん居ますよね?今すぐにでて来て下さい。出てこないとFV(ファイナルベント)をクロックアップした状態で全て…」

「分かったわ!分かったからやらないでよ!?死んじゃう!」

「はい、捕まえた」

「え?」

 

 僕の脅し(目を瞑っていると本気かどうか分かる人がいるらしいので、脅す時は目を瞑っていると良いらしい。蓮舞君説)を聞いていた紫さんがすぐにスキマから出てくる。出て来た瞬間に背後に周り羽交い締めにする。紫さんと幽々さんは状況が分かっていないらしい

 

「本を読んでいたのに邪魔された。あの本借り物なんですよ?無くしたり傷つけたりページが破れたり折れたりしてたらどうするんですか?ねぇ?」

 

 紫さんを羽交い締めにしたままその場でできるだけ早く回転する。

 

「えええ?ちょっと待ってお願い回らないで謝るから!いきなり落としたことは謝るから止まって!」

「嫌です」

 

 読書の邪魔をする人に慈悲は無し!

 

「助けて幽々子ー!」

「無理ね。これは紫が悪いもの」

 

 幽々さんが微笑むと同時に襖を魔力で開ける。回転したまま紫さんを外まで飛ばす。

 

「さて、じゃあ待ちますか」

 

 紫さんを外に出したまま襖を閉める

 

「ひどいわね」

「読書の邪魔をしなければこんなことにはなりませんでしたよ」

「ごめんなさい。これからは読書をしていない時に落とすから許して」

「人を落とすことをやめて下さい」

 

 外にいたはずの紫さんはスキマから半泣き状態で謝って来た。「は〜い」と若干怪しい返事をして幽々さんの隣に座る

 

「お待たせしまし…どうしましたか?」

 

 妖夢ちゃんがお盆に四つの湯呑みをもって来た。多分紫さんが半泣き状態だから疑問に思っているのだろう

 

「カクカクシカジカ」

「まるまるうまうま…なるほど紫様が悪いと…」

「よ…妖夢まで?」

「自業自得」

 

 妖夢ちゃんは分かってくれたのかアレ。自業自得の時能力は使ってないよ。ON、OFFは出来るし、能力を使ったところで効果はさっきやったし、何より疲れるから

 

「で、お話ってなんですか?」

「妖夢ちゃんが来たからお話をしましょう〜……」

 

 なぜか幽々さんが黙ってしまった。どうしたのだろう?

 

「何か聞きたいことあるかしら?」

「(計画性ェ)そうですね。では、外にいる白い浮いているのは何ですか?」

 

 その白い浮いているものは幽々さんに細かく?周りに浮いていて、妖夢ちゃんは大きくて少し後ろの位置にいる

 

「それは魂よ」

「魂ってあの…死んだ人から出てくるアレですか?」

「そうね。幽々子はここ、白玉楼で罪のない魂の管理人みたいなことをやっているわ」

 

「そうなんですか〜」と言う前に罪のない魂が集まる場所ってことは…まさか

 

「ここってあの世ですか?」

「そう。冥界よ」

「そうなんですか」

 

 まさか生きていながら来ることができるとは…レアな体験だよね

 

「驚かないのですか?」

 

 妖夢ちゃんが少し珍しい目で見てくる

 

「幻想郷だから冥界があっても不思議ではないですし…」

「正確には幻想郷とは別の場所なんだけどね」

「…一度三途の川に行ったことがあるので」

「「「は(え)?」」」

 

 三人とも驚いてるね。まあ当然か。一度三途の川に行っているのに生きているんだから

 

「え?一度行ったことがあるの?」

「ありますよ。10歳の時に高熱を出して寝ていて気がついたら三途の川に居ました。いや〜びっくりしましたよ」

「どうやって戻ったの?」

「どうやらその時僕は仮死状態になっていたらしく、半分死んでいる状態扱いされてました。外だとお母さんが何とかしてくれたらしく、映姫さんの許可と共に帰りました」

 

 元気かな映姫さんと小町さん。何となくだけど小町さんサボっていそう…

 

「そうなのね…」

「他にはあるかしら?」

「じゃあ…(あの巨大な木は魂がたくさんあるし転生するためのものかな?だったらいいや)幽々さんと妖夢ちゃんの能力は何ですか?」

「あらあの木の事を聞くかと思ったわ」

 

 幽々さんは巨木を指差しながら言う

 

「まあ何となくですけどここが冥界であの木だけ大量の魂が集まっているので転生する木なのかな〜と」

「大方あっているわ」

「よく分かりましたね」

「なんとなくですよ」

 

 まさかあっているとは…

 

「私の能力は『剣術を扱う程度の能力』です」

「私は『死を操る程度の能力』よ」

「良い能力ですね」

 

 カッコいい能力だな〜妖夢ちゃんの能力は僕達はできなかったし…絢斗君だったら「仲間になってくれ!」って絶対に言ってる。

 

「あら私の能力を聞いて恐れない人初めてよ?」

「そうなんですか。能力は人それぞれ違うし、望んで持ったものでもないですし、何より…自分もできる事を恐れる必要はありませんよ」

「「「っ………」」」

 

 僕が言うと全員が言葉を詰まらせた。なんでだろ

 

「じゃあもし私が能力で貴方を殺そうとしたらどうするの?」

「抵抗はします」

 

 まあ黙って殺されるのは嫌だからね。抵抗くらいはするさ

 

「大丈夫よ。そんなことはしないわ」

「それは良かったです」

 

 それからしばらく話した。一番長く話したのが三途の川だった。白玉楼での話があるまで夢だと思っていたんだけど、本当だったんだ。今度行ってみようかな。

 

「昼になったし夢華はここで食べていきなさい」

「ご馳走になります」

「では食事の支度をしてきます」

 

 そう言って妖夢ちゃんは襖を開け、行った

 

 しばらくして妖夢ちゃんが大量の食事を持ってきた。例えるならルフィとかトリコとか悟空とかが食べそうな量を…

 

「多すぎ…」

「大丈夫よ…これでも少ないくらいよ」

「何が……え?」

 

 紫さんに聞こうとした時、妖夢ちゃんが皿を置いた瞬間に皿にあったご飯が消えた。何が起こった…

 これをやった犯人は消去法で考えると幽々さんしかいないのだが…まさかねぇ

 そろ〜りとゆっくりと幽々さんの方を見ると幸せそうな顔で食べていた

 

「すごく食べますね」

「早く食べないといけないわよ」

「僕は小食なので大丈夫です」

 

 妖夢ちゃんがご飯を持って来るのが大変そうなので転送用の魔法陣を渡しておいた。妖夢ちゃんは苦労人だな〜よく一人でできるよ。え?手伝えばだって?無理です

 

「ご馳走さまでした〜」

 

 なんであの量食べられるんだろう…ルフィとかトリコとか悟空とかと大食い大会やればすごいことになりそう…食材の消費量が…

 

「ふう〜食べたし、夢華はこれからどうするの?」

「そうですね。少し白玉楼の周りを見て回ります。その後は帰りますよ」

「分かったわ。じゃあまた来てね」

「さよなら〜」

 

 白玉楼を出て塀の外側にある森の中に入り魂達を見ていく。迷いそうになっても飛べばいいし最悪瞬間移動すれば問題ないからね

 

「……お墓まいりしないと…でも勝手に出て良いのかな…」

 

 独り言を言いながら森の中を歩いていく。

 

「さて、そろそろ帰ろうかな…」

 

 その場で止まり一度周りを見渡す。大量の魂があり、その魂が誰のものかは分からない。でも、もしかしたらいるかもしれないから歩いた。

 ここに居たら、会えたのならもう一度言いたい事がある。

 

(はふり)ちゃん…瞬間移動」

 

 かつて僕を助けてくれた女の子の名前を呟き、守矢神社に帰る




今回比較的に荒事は終わりました。本当はもっとやろうとしましたがこんなのも良いかなと…
三途の川、祝のところは過去編であります

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