東方現幻夢   作:カミユ

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途中から三人称視点です


第12話 不幸な調査

 Side夢華

 

 紅魔館の出来事から次の日の朝8時ごろ椛ちゃんが僕を訪ねてきた。

 

「おはようございます。夢華さん」

「おはよう椛ちゃん。調査頑張ろうね」

「はい。では行きましょう」

 

 昨日守矢神社に帰ってから神奈子さんに明日椛ちゃんと人里で起きた事(8話)の調査をやりたいらしい。

 椛ちゃんや天狗の人達の調査だと火薬の匂いがした。火薬の匂いは木で途切れているらしい。

 

「まずはその場所に行ってみましょう」

「そうだね。あっちだっけ?」

 

 今飛んでいる場所からだいたい西だった気がする

 風土君が襲われた場所に降りる

 

「さて…どうしようか」

「何がです?」

 

 僕が能力の事で考えていると椛ちゃんが問いかけてくる

 

「何で調べようかと思ってさ」

「???」

「痕跡をどうやって探ろうかって事だよ。あまり能力使いたくないからね」

「では手っ取り早くやるならば犯人ですが分からなければ火薬の事をお願いします」

「OK」

 

 やることは決まったね。まずは犯人だけど…過去を観よう

 

「過去詮索」

 

 魔法陣が目の前に現れる。

 

「うわっ…驚きました」

「あーゴメンゴメン。驚かすつもりは無かったんだけどね」

「それは何ですか?」

「今から過去を観るんだよ。この魔法陣に日にち、時間を…ほいほい。はい。これで2日前の妖怪の山の事を観れるよ」

「では失礼します」

 

 僕と椛ちゃんが魔法陣を観る。そこに映っていたのは………砂嵐のようなものだった。

 

「あれ?おかしいな故障?」

「これって機械なんですか?」

「違うよ…ん〜どうしてだろう?」

「何者かの妨害か、能力の不発ですかね?」

「能力の不発は今までなかったと思うから…妨害…というよりも証拠を消された…が正しいかな?」

「ではどうしますか?」

「そりゃあ証拠を消されたなら、消される前に居て、見ればいいんだよ」

 

 椛ちゃんが「え?」みたいな顔をする。

 

「この木だよね?」

「そうですが…どうするのですか?」

「そりゃあこうやるんだよ。時間操作」

 

 火薬の匂いがした場所だけ時間逆行する。その場所にはお互い干渉できない(やろうと思えばできる)

 

 火薬の匂いがした場所の時間だけ戻るその瞬間

 

「夢華さん!私達囲まれました!」

「え?あ…能力が…」

 

 時間操作はかなりの集中力が必要になるから椛ちゃんに言われて集中力が途切れてしまった。後でまたやらないと

 

「数は16匹です。どうしますか?」

「そうだね。この場所から離れるとその隙に過去とかの証拠を消されそうなんだよね」

 

 さてさてどうしようかな〜能力は…調査のためにとっておこう。となると魔法かな

 

「私が妖怪達の相手をします。その隙に…」

「あれも相手するの?」

 

 僕はその相手の方を指さす。指の先は巨人だった。

 大きさは三メートルくらいで、服は着てない。数は4体

 

「幻想郷に巨人って居るの?」

「どうでしょう。幻想郷ならば巨人くらい居ても不思議ではありませんが私は見たことがないですね。今初めて見ました」

「ということは…立体起動装置の出番かな〜」

 

 多分この巨人は進撃かな。放っておけば人里に行くのは分かりきってる。

 

「能力使わないといけないかな〜これは」

「出来れば能力の使用はしないでください」

「そうなると魔法で時間稼ぐから誰か呼んできて。出来れば神奈子さんか諏訪子さん」

 

 死亡フラグを建設しました〜。死亡フラグはへし折るもの!

 

「大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ。もしかしたら近くに萃香ちゃんが居るかもしれないしさ」

「〜〜分かりました。死なないでくださいね!」

「大丈夫だ。問題ない」

 

 話しているうちに妖怪と巨人が僕達を包囲している。よく見たらあの妖怪前の奴(8話)だね

 

「僕が道を作るからそこを行って」

「分かりました!」

「炎魔法 火剣!」

 

 椛ちゃんが向いている方向に火の刀を放ち、妖怪と巨人に攻撃する。妖怪と巨人が回避する

 

「今だよ!」

 

 僕がいうのとほぼ同時に椛ちゃんが飛び出した。妖怪は何もすることができなかったが、巨人はすぐに反応し椛ちゃんを捕まえようと手を出す

 

「させないよ!」

 

 火の刀で巨人の手を刺す。「ウガアアアアアア」と手を抑える。椛ちゃんはもう遠くまで移動している。

 

「追わせないよ」

 

 椛ちゃんを追おうとしている巨人達の前に立ちふさがる(魔法陣の上に立っている)ように移動する。両手を前に出し魔法陣を出す。

 

「炎魔法 火炎弾!」

 

 魔法陣から炎が乱射され、妖怪と巨人を襲う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Side 椛

 

 私は守矢神社まで全力で飛んでいる。妖怪と巨人に囲まれている夢華さんのために早く応援を呼ばないと行けない

 

「早苗さん!神奈子さん!諏訪子さん!誰かいませんか!?」

 

 私は守矢神社の境内に降りる。そしてありったけの大声を出す

 

「どうしましたか!?」

 

 神社の中からドタバタと早苗さんが出てきた。神奈子さんと諏訪子さんは少し遅れて出て来る

 

「夢華さんが妖怪と巨人に囲まれて…しまいました!」

「夢華くんが!?でも夢華くんなら」

「いえ今は能力を調査のために使うと言って魔法だけで…」

「それってあれかい?」

 

 神奈子さんが指を指す。その先には巨人が火柱に飲み込まれている

 

「そうです!まだ敵の応援が来るかもしれません」

「分かりました。すぐに向います」

 

 早苗さん達と夢華さんの元へ向かう。どうかご無事で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Side 夢華

 

 椛ちゃんが飛んでいってしばらく経つ。現在巨人を燃やしている

 

「どうしようかな…もう能力使わないときついかな…炎上モード地味に疲れるからな〜」

 

 現在飛んでいるから狼の妖怪は下で吠えている。

 

「巨人どうしようかな…やっぱうなじ斬らないとかな」

 

 本当にどうしよう。これ以上火力上げたら妖怪の山の被害と証拠とかいろいろ

 

「仕方がない。うなじ斬ろうか………な?」

 

 巨人が四方から迫って来た。まあ上昇すれば回避できるから良いんだけど…

 急に巨人が全員その場で転んだ

 

「え?」

 

 4体一斉に転んだ。当然巨人が転んでら土とかが捲き上る。その中心には僕がいる。

 

「ちょっ…!」

 

 その土とかに巻き込まれる。

 

「うわ!え?まさか言わないと?あれ言わないと?」

 

 急なことでどうする事もなく吹き飛ばされる。空中を回転しいるからどっちが上か全くわからない。ギャグ漫画みたいに地面を転がっていく。ゴン!という音とともに止まる

 

「やっと止まった…ってマジかーーー!」

 

 どうやら木にぶつかったみたいだ。背中をおもいっきり打って痛い。そしてその木で待っていたのは狼の妖怪達だった

 

「厄符 バットフュージョン!」

 

 横から弾幕が飛んできて妖怪に当たる。ついでに僕にも…ヤバイ気絶しそう…

 

「夢華君大丈夫!?」

「大丈夫です。雛さん」

 

 横から駆け寄ってきたのは厄神の鍵山 雛(かぎやま ひな)さん。能力で【厄をため込む程度の能力】を持っており厄払いで払われた厄を溜め込んでいる。雛さんの近くに居ると厄がこちらに取り憑くので不幸になる。この近くに居たってことは巨人に厄が取り憑いたのかな?だから転んだのか。そしてその近くに居た僕にもと…

 因みに妖怪の山の人(?)達とは萃香ちゃんを倒してからすぐに知り合った

 妖怪達は雛さんの弾幕で気絶している。だから残るのは

 

「巨人だけど…また転んでる」

 

 恐るべし雛さん。

 

「取り敢えず離れましょう」

「そうね」

 

 雛さんの手を取りその場を離れる。これほどの不幸が起こればさすがにもう無いよね…

 

「急な浮遊感…あ(察し)」

 

 後ろでドゴーン!みたいな音が響いた。巨人がまた転んだのかな?そのせいで地面が割れた。今は能力、魔法陣を使っていないから…

 

「落ちたーーーー!」

 

 当然落ちる。雛さんも一緒に

 

「雛さんちゃんと捕まっていて!」

「え?あ…」

 

 魔法陣をすぐに下に展開して、魔法陣を踏み、即刻脱出

 

「あ…危なかった」

 

 下を見ると巨人が穴に落ちている。これなら大丈夫だね。

 

「ちゃくt…」

 

 地面に足をつけた瞬間に石が何故かものすごく滑るようになっていたらしい。ド派手に転んだ。やっぱり言わないとか…

 

「不幸だ……」

「えっと大丈夫?」

「大丈夫だけど…これ調査無理だね。滅茶苦茶だ」

 

 すぐに立ち上がって周りを見渡す。木々は折れたり倒れたり、地面は割れたり穴ができていたりしている。もう調査は無理だね

 

「あ〜どうしよう。戻そうかな」

「夢華さん大丈夫ですか?」

 

 丁度その時椛ちゃんと早苗ちゃん、神奈子さん、諏訪子さんが来た

 

「見ての通り僕は大丈夫だけど調査は無理かな」

「えっと…何があったのですか?」

 

 早苗ちゃんが聞いてくる。僕はありのままさっき起こったことを話す

 

「何というか…ドンマイとしか言えないな…」

「右に同じく」

「調査は無理でしょうね。夢華さんが能力使えば何とかなりますか?」

「地形のことは何とかなるけど調査の方は多分消されただろうね」

「そうですか。ではご協力ありがとうございます」

「どういたしまして。じゃあ僕は帰ろうかな」

「待って」

 

 立ち上がり帰ろうとすると雛さんに呼び止められた

 

「その…ごめんなさい」

「いえ…雛さんが近くに居てくれたから巨人と妖怪を撃退できたので謝る必要はありませんよ」

「そう。分かったわ。もう厄は無いからこれ以上不幸な目にあうことはないわよ」

「そうですか。さようなら」

 

 僕達は飛び立ち守矢神社に帰る

 

「巨人はどうなったんだろう。そのまま生き埋めなのかな?」

 

 気になり巨人が落ちた穴を見るが巨人は居なかった

 

「夢華くんどうしましたか?」

「巨人がどうなったのか気になったんだけどね。居なかったよ」

「そうですか。巨人って進撃でしたか?」

「多分そうなんじゃないかな?早苗ちゃん達はこれが出来る人の心当たりとかある?」

「紫さんですかね?」

「紫としか」

「紫か紫と同じような能力を持っている人じゃないかな?」

「となると厄介ですね」

「ですね」

 

 そんな会話をしながら守矢神社に帰る。後で紫さんに聞いとかないとね

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある場所

 

「あははははははははは!何あれ面白すぎる!」

 

 その空間で先ほどまで夢華達に起こった悲劇を観てお腹を抱えて笑っていた

 

「ふふふ…あはははは。それにしてもあの子が面白いな」

「いつまで笑っているんだよ。で、ちゃんと過去まで証拠を消したのか?」

「ちゃんと消したよ。まあその為に巨人送ったんだけどね。まあいい奴らだったよ」

 

 やっと笑い終わった黒髪の青年は紺色の髪の少年に言う

 

「証拠を消したならこっちに来てくれ。また暴走している」

「また?落ち着いてくれないと俺過労死しそうなんだけど」

 

 黒髪の青年がため息をつきながら言う。さっきまで笑っていたのが嘘みたいに気だるく歩き出す

 

「で、烈っさんはどうなの?」

「まだかかるらしい。それまでに俺たちのことを気付かれるなよ」

「了解〜(バレかけていたんだけどね)」

 

 遠くから「誰か俺と戦えーーーーー!」という叫び声が聞こえる

 

「早く行かないとここ破壊されそうだな〜」

「アイツは危険人物だからな」

「そんなこと言ったらあんたもでしょ」

 

 黒髪の青年は皮肉げに言うが紺色の髪の少年は何も返さずに歩き出す

 黒髪の青年はもう一度だけ妖怪の山の方を見ると口元を押さえて笑いをこらえる

 

「今日のあの子は不幸なのかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Side 夢華

 

「もう一回見てみようかな」

 

 さっきの事が気になったから昼食を食べたら不幸な目にあった場所へと戻る。そこには青い帽子、青い服、背中にリュックを背負った河童の河城(かわしろ)にとりさんが居た

 

「にとり何やってるの?」

「おや盟友かい。さっきものすごい音が何度もしたからさ気になって来てみたんだよ。何が発明の手がかりがあるかもしれないからさ」

 

 にとりは機械系が大好きで造っていたりしている。一度見てみたことがあるけど失敗しているものが多いらしく機械の残骸が散らばっていた

 

「それは僕と巨人がやったんだよ。ものすごい不幸で」

「不幸ってことは雛か」

「そうだね。さっきはかなり焦ったよ」

 

 二人で「あははは〜」と笑っていると噂をすれば何とやら、雛さんがやってきた

 

「どうしたんです?こんなところに来て」

「ハンカチを落としちゃって探しているの」

「そうですか」

「それなら私の発明品が役に立つ!」

 

 にとりはバーン!と効果音が出そうな勢いでアンテナが付いた機械を出した

 

「名付けて『探索落物』!落としたものを探す機械さ!」

「おお〜!じゃあ早速!」

「スイッチオン!」

 

 にとりが黄色いボタンを押すとアンテナが回り出した

 

「あれが止まったらその方にある!」

「凄い!」

 

 僕達二人でテンションが上がっていると機械から煙とともにシュ〜と音が…まさかこれって

 

 その時『探索落物』が爆発した。周りの木々が爆風で揺れる

 

「えっと大丈夫?」

「問題ないさ。私は慣れているから」

「私も…」

 

 僕達は立ち上がると雛さんの頭にハンカチが落ちる

 

「これよ!あったわ」

「良かった良かった」

「これも私の発明品のおかげだね」

「爆発しなくて見つかれば良かったんだけどね」

 

 それから二人と別れて僕は博麗神社を目指す

 




次回は博麗神社に行きます。幻想郷巡りがとても長くなりそうです

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