Side 夢華
「フ、フラン!?どうしたんだぜ!?」
魔理沙が金髪の女の子のことをフランと言っている。どことなくレミリアに似ている気がする。髪の色と翼、服が違うくらいかな?
「フラン!」
「どうしたのお姉様?」
下の方でレミリアがフランちゃんを呼ぶ。フランちゃんはレミリアの妹なんだ
「私はただ遊びたいだけだよ」
「じゃあ遊ぼうよ」
「え?」
何故かレミリアが不思議そうな声を出す
「遊びたいんでしょ?だったら遊ぼうよ」
「良いの?じゃあ…」
「夢華逃げて!」
「え?」
レミリアが叫ぶ。「なんで?」と問う前に--
「
そんな声が聞こえて、いつのまにかフランちゃんが目の前に居た
そして僕のお腹にフランちゃんの腕が通っていた
Side レミリア
私の視界は一つのことに釘付けになっている。夢華がこちらを向こうとした時に妹のフラン(フランドール・スカーレット)が夢華のお腹を手で刺した
「夢華ーーーー!」
気がついたら私は叫んでいた。フランは吸血鬼で夢華は人間。吸血鬼の攻撃は人間にはひとたまりもない。その証拠に夢華の体から血が噴水のように溢れ出ている
「咲夜!急いで夢華を永遠亭に連れて行って!」
「分かりましたお嬢様!」
夢華は咲夜に任せておけば良い。永遠亭に連れて行けば問題ない。だからフランをどうしようか考える。
咲夜が時を止めるその時–−−
「ねぇ腕抜いてくれない?痛いんだけど」
「「「「「え(は)?」」」」」
「今ので壊れないの〜お姉さん凄いね。壊しがいがある!」
夢華は本当に人間か疑いたくなるようなことを言う。普通ならそのまま気絶するか、全力で抵抗するかだけれど夢華は冷静…いや、これが日常茶飯事みたいな言い方だ
これを見た早苗、フランを除くみんなは驚いている。早苗に関しては、ため息をついている。
フランは上機嫌だ
「とりあえずデコピンね〜」
「え?」
夢華の呑気な一言にフランは抵抗できずにくらう。ゴンッ!という音が響く。そのまま夢華の体から腕が抜ける。今のデコピンを人間がくらったら最悪死ぬかもしれない一撃だ
「さて…あれ?治りが悪いな?どうしてだろう…傷口完治」
「傷の治りが遅い…これは誰かに妨害されている…?」
隣でパチェが言う。確かに夢華の魔力の流れが少しおかしい。誰かに妨害されている。もしくは気がつかない内に体に負担がかかりすぎているのか…
その時、かすかに気配を感じた。近くに誰かいる?そう思い気配がした方を見る。…が誰もいなく、気配は感じない。と同時に夢華の魔力の流れが元に戻る
「おいどうするんだぜ?このままフランは夢華に任せるか?」
魔理沙がこちらに降りてきた。とは言え少し迷っている。今のフランを止められるのはできる…がここで夢華の本気も見てみたいと思いもある
「あ…離れますよ!ここにいると巻き込まれます!」
急に早苗が叫ぶ。夢華の方を見ているのでそちらを向くと、耳に何か付けていた。
「夢華くん!やるなら外でやってください!ここでは本に被害が及びます!」
「了解〜じゃあフランちゃん。外で遊ぼうか」
「分かったよ。じゃあ行こうか」
夢華とフランは図書館から出て外まで行く。猛スピードで
「パチュリーさん今から強力な結界を張ってください。そうしないと紅魔館にものすごい被害が及びます」
「それは耳に付けた物が理由?」
「そうです。あれはヘッドフォンといって本来は機械につなげて音を聞く物です。夢華くんはよくヘッドフォンを使っていました」
「もしかしてそのヘッドフォン?という物に細工かしら?」
「えぇ、あのヘッドフォンには夢華くんの能力を使えなくする、魔法を強化するものです」
「それじゃあ夢華が危ないじゃないか!最悪死ぬぞ!」
「夢華くんの魔力は能力が6、魔法に4の割合で使い分けています」
「どういう事です?」
「そういうことね」
魔理沙とこあはまだ分かっていないような反応をする。けど、パチェと咲夜は分かったようね。
「では魔理沙さん。二つに分けていたもののうち、一つが無くなったらどうなりますか?」
「そりゃあもう一つに集中…そういうことか!」
「能力に回っていた魔力が魔法に回る。ということは魔法が最大まで強化されます。それにおの状態にならないと使えない魔法もあります」
「じゃあ咲夜と美鈴と戦った時は…」
「えぇ通常の半分もありませんでした」
「アレよりも強くなる…の?」
「そうです。早くしないと紅魔館が破壊されます」
「分かったわ」
パチェは結界を張る準備をする。
「フラン…」
私はフランの心配をする。咲夜と美鈴を半分以下の力で勝てる相手にフランが勝てないと思ったから
Side フラン
今私と紫髪のお姉さんと紅魔館の外にいる。美鈴は居なかった。恐らくお姉様達といるのだろう。天気は曇りだから外に出ても問題はない
「じゃあ何して遊ぶ?」
お姉さんは気軽に話しかけてくる。さっきお腹を貫いた人物に話すような口ぶりではないはずなんだけど
「それは当然殺し合いだよ」
「え〜鬼ごっことかかくれんぼでしょ。普通〜」
「それじゃあつまらないよ。私は前まで地下にいたの。けど最近魔理沙が来てくれて地下から出てきた。みんなと遊べてとても楽しかった。けれどね?私は壊したいの。いろんなものを。人を、物を、自然を壊したい!だから!
禁忌 レーヴァテイン」
右手に紅い剣、レーヴァテインを出す。そしてそのまま振るう。
「壊れて!」
炎と弾幕がお姉さんに向かう。
「よーと」
お姉さんさんは弾幕を全て躱す。弾幕が地面に当たった瞬間に地面が抉られる。
「弾幕ごっこってなんだっけ?」
お姉さんは青ざめている
「これは弾幕ごっこじゃなくて殺し合いだ…よ!」
お姉さんさんとの距離を詰め、レーヴァテインを振るう。
「危な!」
この攻撃も躱す。
「だったら!禁弾 スターボウブレイク!」
至近距離から弾幕をばら撒く。
「近っ!」
スターボウブレイクは何発か被弾するがダメージはあまり無さそうだ
お姉さんは十メートルほど距離を置く
「フランちゃん本当に殺し合い以外やる気はないの?」
「さっきからそう言ってるじゃん」
何度も聞いてくるお姉さん。私の言葉を聞くとはぁ〜とため息をつく。そして手に持っている本のページをパラパラとめくる。めくるのが終わるとお姉さんの前に魔法陣が現れ、お姉さんを通過する。
「殺し合いは無理だけど戦闘なら少しだけやってあげるよ」
その言葉とともにお姉さんは炎を纏って現れた。
「行くよ。氷炎 炎と氷の弾幕網」
お姉さんがスペルを唱えると私の周りに炎と氷が網みたくなり、迫ってくる。さっきの魔理沙との弾幕ごっこのときは炎と氷は同じくらいの大きさだったけれど今は炎の方が圧倒的に大きい。
「暑い…」
躱しているが暑さで少しずつ体力がなくなっていく。しばらくしてスペルの時間切れになって弾幕が消えた
「お返しだよ!キュっとして…ドカーン!!」
私は右手を前に出し、緊張の目を手に移動させる。そしてすぐに握り潰す。それと同時にお姉さんの体が木っ端微塵になる。遠くからお姉様達の悲鳴が聞こえる。
「やった!壊した!壊した!」
やっと壊せた。けれどどこか虚しい。壊すという私の欲求を果たしたのに満たされない。
しばらく右手を見ていた。
その時、あることに気づく。さっき木っ端微塵になったお姉さんの本がパラパラとめくられる。そして本に火が一箇所に集まっていく
「嘘……」
火が集まり、お姉さんの形を作っていく。
「いや〜すごい能力だね〜」
何もないような調子で言う。信じられない。私はそう思う。人間は木っ端微塵になったら死ぬはずなのに…私の目の前に本を片手に笑っているお姉さんがいた
「どうなっているの?それがお姉さんの能力なの?」
「違うよ。今僕は能力が使えないよ」
「じゃあどうやって」
「魔法だよ。今の僕は炎を操る魔法に長けている状態なんだよ。今のこの状態を僕は【炎上モード】って言ってるよ」
炎上モード…炎を操る魔法に長けている状態…ということは…
「じゃあ木っ端微塵になったときは…」
「炎上モードになると、腕が吹き飛んでも木っ端微塵になっても自動的に戻るようになっているんだよ」
「ありえない…」
「魔法はありえないを、『ありえる』にするものだってお母さんが言ってたよ」
魔法はありえないをありえるにする…か…
「さて、こっちからも行くよ。炎魔法 火弾」
魔法陣が現れ、そこから大量の火が飛んでくる
「甘いよ!」
私は軽々避ける。通り過ぎていった火は消えずに遠くにあって止まっている
「お返しだよ!禁弾 カタディオプトリック!」
大きな弾幕と、小さな弾幕を放つ。
「それそれ〜」
お姉さんは私の弾幕を火で撃って消滅させて行く。大きな弾幕は数発当てないと消せないみたいだね
「炎魔法 火柱!」
私の下に魔法陣が現れ、そこから火の柱みたいな攻撃が来る
「そんなのじゃあ私には当てられないよ!」
「まだまだ!」
下だけではなく全方向から火柱が襲う。これは避けきれないと判断した私はレーヴァテインで一部を相殺して逃げる
「これならどうだ!禁忌 フォーオブアカインド!」
スペルで私は四人に分身する。私達はお姉さんを囲むように動く
「禁忌 クランベリートラップ」「禁忌 カゴメカゴメ」「禁忌 恋の迷路」「QED 495年の波紋」
それぞれが別々のスペルを使い、弾幕を放つ
「わ〜綺麗だな〜」
お姉さんは私の弾幕を見て感嘆の声を上げる。しかしその間にも弾幕は迫る
「炎魔法 火炎弾」
二つの魔法陣が現れ、さっきの魔法よりも強い火を撃つ。火と弾幕が相殺されていくが圧倒的にこちらの方が数で勝っている。
「あ…これヤバイ」
お姉さんの火が私の弾幕が勝ち、そのままお姉さんを襲う。弾幕でお姉さんが見えなくなってすぐに弾幕が消えた。
しかしそこにはお姉さんは居なかった
「あれ?どこにいったんだろう?」
「あそこにいる!」
四人の私が辺りを見て、探すと少し離れた場所にお姉さんが立っていた
「あー危なかった〜。もう少しで被弾するところだったよ…」
「いつの間に」
「あ〜これ?あらかじめこの場所に魔法陣をセットしておいて、危なくなったらいつでもここに移動できるようにしたんだよ」
「もうなんでもありだね」
いつ仕掛けたのか全くわからなかった。抜け目ない人だ。そして素直な感想である
「さて、もう終わらせようか」
「え〜まだフランは遊びたいーーー!」
「雨が降りそうだからね〜」
そういうとお姉さんの周りに二枚の魔法陣が現れる
「炎魔法 吸炎」
さっきの火の魔法で当たらなくてその場に残っていた火が魔法陣に集まって行く。当然、周りに撃っていたから後ろから火が私達に飛んでくる
「させない!」
直感的に危険だと思い火を避けながら四人の私がレーヴァテインを振るう。炎をと弾幕が一緒に放たれるが炎はそのまま魔法陣に吸い込まれ、弾幕は防がれる。
「チャージ完了」
お姉さんが呟くと一枚の魔法陣を前に出す
「火炎スパーク!」
魔法陣からさっき集めた火がレーザーのようになって放たれる。
「うわー!」「キャアア!」「嘘ー!」
分身が消滅する。
「最後だよ!」
「まだフランは負けてない!」
そう言い、スペルを唱えようとするとポツポツと雨が降ってきた
「熱い熱い!」
吸血鬼の弱点の一つが流水。吸血鬼は雨も弱点なのだ。
「急いで中に入ろう!」
お姉さんはもう一つの魔法陣を私の上に移動させて雨を蒸発させる。下にいる私は暖かい空気が流れてくる
そして二人で急いで紅魔館に入った。不思議とさっきの破壊衝動は無くなっていた
Side 夢華
やっぱり雨が降ってきたからフランちゃんと一緒に紅魔館に入る。玄関にはレミリア達全員が居た。咲夜さんからタオルを渡された。ヘッドフォンを取り髪を拭く。
さっきいきなりフランちゃんが四人に分身した時天津飯かと思ったよ
「お疲れ様。ありがとうフランの相手をしてくれて」
「いいよ〜いいものが観れたし」
「いいものって?」
「フランちゃんの弾幕だよ。ものすごく綺麗だったよ!」
あの弾幕は凄く綺麗だった。また観たいくらいだよ
「あの…」
「どうしたの?」
フランちゃんが俯きながら話しかけてくる
「さっきは壊しちゃってごめんなさい」
「大丈夫だよ!この通り全然問題ないから!」
その場で両腕を広げ動かす。
「次からは殺し合いじゃなくて弾幕ごっこや普通の遊びだったら喜んでやるよ」
「本当!?」
「うん!」
僕の言葉で両目を光らせてこっちを見るフランちゃん。
「話はついたみたいだな。じゃあ私は帰るぜ〜じゃあな夢華〜」
「まあ少し待とうか魔理沙?」「どこへ行こうというのかね?」
この場の雰囲気に紛れて帰ろうとする魔理沙の肩に僕とパチュリーさんの手がポンとおかれる。パチュリーさんどこの大佐だよ
「取り敢えず帰る前に本を返してもらおう(おこう)かしら(か)?」
「何のことだからわからないのぜ〜」
パチュリーさんのセリフと同じようなことを言う。魔理沙は冷や汗を流す
「どさくさに紛れて本を盗もうとしているわね?」
「気づかれてるからね〜」
「逃げるのぜ!」
魔理沙は箒に乗って逃げる。それを僕とパチュリーさんが追う
「楽しそう!フランも混ぜて混ぜて〜」
「フランもかよ!」
「今回は私が許すわ!みんな魔理沙を捕まえて今まで盗まれたパチェの本を取り返すのよ!」
レミリアの言葉でさらにフランちゃんが楽しそうに魔理沙を追う
「妹様楽しそうですね」
「そうね。フランのあんな笑顔がまた観れてよかったわ」
レミリアと咲夜さんは魔理沙を追うフランちゃんとパチュリーさんを観ながら言う
その後パチュリーさんが喘息によりリタイアし、フランちゃんがそっちを向いた隙を見て魔理沙は逃走した
炎上モードはウィザードみたいなものです。他にもモードはありますが幻想郷巡りで出せるかどうか…
フランは夢華のことを男だと知って呼び方がお兄様になりました(見た目がレミリアに似ているとかで)