「・・・つまりこれは生きているわけじゃなくて、魔道具の一種なのかしら?」
冷静さを取り戻し、案内を受け滝まで移動している最中にセラはハンヴィーを推察していたがセラの解釈とは当たらずも遠からずというものの仕方がないだろう。
窓の外の景色を見ると案内した通り洞窟の入り口についたことに気づいた。
「・・・今日のお昼に着く予定だったのにもう着いちゃった。」
彼女の立てていた計画に大きな時間の余裕ができてしまったようだ。
ハンヴィー内で準備を終わらせると扉から出て行く。
持っていくものといえば着替えぐらいだが。
ラビットはここで待機して待ってくれるようだ。今は車内で箱のようなもの、車載された無線機を使い無線を傍受している。
もっとも、受信すらしないが。
「じゃあ行ってくるわ。 ラビットも来ない?」
からかうように車内で無線機を弄るラビットに言うと窓から黒の革でできているが甲の部分だけカーボン素材で覆われた手袋、OAKLEY pilot globes に覆われた手がハンヴィーの扉の窓から出し中指を突き立てた。
どう言う意味かわからないがセラとしては行かないということを察し一人で洞窟へ入った。
洞窟に入ると蒸発しきれない水分がジメジメとした空気になり肌を通して伝わる。
一本道の洞窟をしばらく歩くと大きく、広く、澄んだ水が流れてくる滝と湖が広がっていた。
いつも使っている身軽なローブ、黒の胸当てと大きくスリットの入ったブルーのスカートを脱ぐと身につけているものを全て外す。
ストッキング、ガーターベルトをなどのものを全て脱ぎ終えた頃には彼女は一切の物を見に纏わぬ姿になった。
ゆっくりと湖に浸かると体の汚れや気になっていたアルコールの匂いがなくなってゆく。
「んんん〜! 気持ちいいわぁ〜!!」
歓喜の声をあげ湖の水の冷たさを見に感じた。
水浴びをしていると視界の陰に何かが動い他のが見えた。
「・・・誰?」
ラビット? いえ、ラビットなら私が気付けないように動く。
もしかしたら蛮族か盗賊の類かもしれない。
急いで湖から上がりローブだけに身に纏う。
セナほど正確じゃないけど、気配を感知する魔法を使う。
・・・おかしい、全く反応がない。
人はいなくても小動物などにも反応する。
そして何よりラビットにすら反応しない。
そして後ろから迫る何者かに気づかず意識は闇に落ちた。
ラビットは帰ってこないセラの様子を見に来るが湖の周辺には誰もいなかった。
しかし視界の端になにかがあった。
近寄って確認するとそれはセラが着ていた服だった。
「・・・」