魔法使いと無口な兵士   作:nobu0412

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もうそろ最終回で締めるかちょっと続けるか迷う


終わりの朝陽

ぼんやりとした気分で周りをみわたす。

ガタガタと揺れ、話し声が聞こえるのはラビットと初めて会った馬車を思い出す。

重たい頭を動かすと見たことがある天井、なにかが動く音、そして仲間たちだった。

助手席に座るセナ、後部座席で寝ているフィリス、銃座に着くリーエ、みんながいた。

そして一番逢いたかった人を探す。

ふと隣を見ると一緒に眠っていた。

 

「ラビッ・・・ト・・・」

 

すぅすぅと規則正しい呼吸で眠っている。

愛おしいその寝顔は安らかで可愛げのある表情だった。

 

「もう、無茶して・・・」

 

ただ一言だけ呟き次第に目を閉じ意識は再び闇へと落ちた。

 

 

再び意識を朦朧とさせながら目を開けるとそこは石垣で出来た建物の中だった。

周りを見ると簡易ベッドに寝かされておりどうやら仮設の医務室のようだった。

隣のベッドにはラビットが眠っている。

 

すると誰かがやって来た。

見覚えない人物だが服装からしてラビットの仲間のようだった。

 

やって来たのはマーチェスで彼らの容体を確認しに来たのだ。

 

「お目覚めかね?」

 

言語が違うため何を言っているのかわからない。

答えず様子を伺うと顎に手を当て始めた。

 

「・・・やはりラビットがないと会話がままならんな。 君の仲間を呼んでくる、待っていたまえ。」

 

何か言い残し立ち去った。

しばらくするとセナたちがやって来て一気に騒がしくなった。

 

「セラ、やっと起きたか!」

「怪我は大丈夫か? 毒は?」

「どこか気分が悪いとかありますか!?」

 

「ちょっと・・・一度にみんなで話さないで。」

 

一度に3人も話しているため聞き取りづらい。

3人もしばらくしてようやく落ち着き始めた。

 

「何はともあれ、助かってよかった。」

 

「全くだ。 どうなるかとひやひやしたぞ。」

 

「セラさんが生きててよかったです・・・」

 

「ごめんなさい、それよりラビットは大丈夫?」

 

「ラビットは大丈夫だ。 怪我だらけで死ぬかと思っていたが。 私たちが心配するほど体はやわではないようだ。」

 

「よかった・・・」

 

セナが冗談交じりに隣ので眠るラビットに目を向けた。

どうやら大丈夫みたい。

みんなが安堵の声をあげると気が抜けたのかフィリスがあくびをした。

 

「むぅ・・・眠気に勝てそうにない・・・」

 

「さすがに、私たちも辛くなって来ました。」

 

「セラ、まだ休んでおけよ。 私たちもそろそろ休む。」

 

3人はは眠たそうに重たい足取りで医務室を出て行くと再び静寂が訪れる。

怠い体は先ほどまでより言うことを聞いてくれるがセナの言う通り休むことにした。

 

しかし散々眠ったお陰で眠気がやってこない。

ボーッと天井を見上げいると隣からモゾモゾと聞こえる隣を見るとラビットが立ち上がっていた。

 

「ラビット・・・!」

 

ローブやボディアーマーは外され着ているコンバットシャツとコンバットパンツは穴や煤、そして血が滲んでいた。

 

「ダメよ、ラビット。 あなたは怪我が・・・」

 

起き上がるラビットを止めようとするがそのままセラに近寄り横抱き、すなわちお姫様抱っこで持ち上げる。

 

「えっ・・・? ちょと、ラビット!?」

 

突然の行動に驚くも成すがままにそのままセラを医務室から連れ出した。

 

お姫様抱っこをされたまま渡り廊下をそのまま歩く。

もし誰かに見られたらすごく恥ずかしいけど、嫌じゃない。

むしろこのままで居たい気持ちもあった。

 

ラビットは何も言わない。

なんとなく何も言わない方がいいと思って私も何も言わずに、ラビットに委ねた。

 

階段を登り一番高い場所に出ると外は闇が広がって居た。

下を見ても真っ暗その闇はでまるでそのまま私たちを闇に引きずり込んでくるような気がした。

 

ラビットは立ち止まりそのまま遠くを見つめている。

私はふと空を見上げると星々が輝いているのに気がついた。

 

いつもよりもなんだか新鮮で、初めて見るような感覚になった。

 

「綺麗・・・」

 

思わず呟いた言葉は星々に吸い込まれるように響く。

次第に星が見えづらくなってくる。

ラビットが向く方を見ると次第に空が明るくなり私たちを照らすように朝焼けが差し込む。

 

太陽がその姿を見せ始める。

美しく輝かしい光を放ちながら姿を現わす太陽は大地と私の気持ちを明るくし癒しを与えてくれるようで、何処か切ない。

 

始まりを示すように、彼らにとっては終わりを示す合図なのかも知れない。

 

「もしかして、これを見せてくれるために?」

 

ラビットが小さく頷いた気がした。

ラビットからこういうことをしてくれるのは何だかんだ初めてかもしれない。

 

朝陽を眺めるラビットは何処か寂しそうな気がして今まで見せてくれなかった一面を知れた気がした。

 

「出会ってからになるけど・・・今までたくさん助けてくれてありがとう。」

 

ラビットが小さく首を振った。

不思議と「気にするな。」という気持ちが伝わる。

 

「これはほんのお礼。」

 

ラビットの首に抱きつくように腕を回し、頰に優しくキスをした。

 

ラビット胸に顔を押し付ける。

正直、自分でわかるくらい顔が熱い。

恥ずかしさが大軍で押し寄せてくるのがわかった。

一方、ラビットも顔を赤く染めて居た。

 

「おい、ラビット! 傷口が広がるだろ! 大人しく寝てろ!」

 

ラビットを探しに来た隊員が下から怒号をあげる。

その声を聞いてラビットは大人しく救護室へと向かう。

 

途中起きて来ていたのかセナとすれ違ってすごい顔をされた。




R18書ききたくなって来た。

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