魔法使いと無口な兵士   作:nobu0412

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いい感じに切ろうと思ったのに長くなってしまう・・・


逃避行

現在ロッサムにに帰還し受付嬢に依頼達成を報告した。

ロッサムに帰還した際門を通ろうとしたブリーダーとスタンプは呼び止められてしまい現在身分証もといギルドカードを作成している。

格好はもちろんBDUではなくラビットが用意した現地の服装になり違和感がないようにしている。

ラビットが2人に付き添いセラたちは帰ってくるのを待っていた。

 

「どうしたものかな・・・これから」

 

ふとフィリスの言うことが耳に残る。

そう、今自分たちは狙われの身であり、いつどこで何をされるかわからない。

家か、街中か、ダンジョンか、ここでなのか。 間違いなく手段を問わない、それこそ周りを巻き込むことも厭わないだろう。

そんなことでうんうん唸っていると3人が帰って来た。

 

「何やってんだ?」

 

「これからのことだ。 どうしたものかとな。」

 

ラビットの通訳の元、会話をする。するとブリーダーがこんなことを言い始めた。

 

「しばらくは大人しくしてるか。この街を出た方がいいぞ。」

 

「なに?」

 

「さっき聞いたんだが、『最近ボヤ騒ぎや強盗が多いらしいからな』」

 

確かに何日かここにはいなかったがそんな噂など耳にしたことがない。 口ぶりからしても白々しいと言った様子だ。

 

「・・・何をする気なの?」

 

セラがラビットに向かって言い放つ。 それはどこか後ろめたい、聞き辛さそうにしていた。

 

「俺たちには俺たちのやり方がある。 それこそ野蛮ではあるが、これだけは認識してくれ。 『先にやってきたのは向こうだ』ってな。」

 

スタンプがラビットの代わりに言い放つ。といっても結局訳すにはラビットが必要だが。

 

「まぁそういうことだ。 心配すんな、こっちにも仲間はいる。 みんなでお邪魔させてもらうだけだ。」

 

「・・・そういえばラビットが生きてたの報告してなかったな。」

 

「帰った時でいいさ。それよりも、あのデールだったか。」

 

「やはり、始末するのか?」

 

「意見でも?」

 

「いや、それはいいんだが。 殺すにしてもやはり無謀じゃないか?」

 

デールは貴族故に当然護衛も多い。 選りすぐりの精鋭に魔導師団。 下手をすればおそらく軍も動くだろう。

さらには後ろ盾もいるため下手殺して刺激してしまうのは悪手だった。

 

「なるほどな。 ひとまず場所を変える。 お前の家でいいか?」

 

「え? まぁ、いいけど」

 

現在はギルドの広場の片隅で井戸端会議しており、セラの家へと場所を変えることにした。

 

「よし。 3組に分ける。 スタンプは2人、俺はコイツ、ラビットはそいつと行け。」

 

組み分けをして3組に分かれズレた時間に出発し違うルートで向かうことにした。

 

「なぜそんなことを?」

 

「・・・このギルド、だったか。妙にキナ臭え奴らがいやがる。」

 

「・・・! 奴らの回し者か・・・!」

 

「きっと追ってくるだろうから撒いてから目的地に行け。 あまり目立つな。場合によっちゃ・・・」

 

ブリーダーがローブの中でサイレンサーを装着したグロック19 Gen3のスライドを引き薬室に弾を込める。

 

「上手くやれ。」

 

スタンプとラビットが返事をするように頷く。

そしてセラたちも覚悟を決め気を引き締める。

 

「そんじゃあ皆の衆。 短い付き合いかもしれんが頼むぞ。」

 

最初に出て行くブリーダーとセナの2人が扉を開け外へと出て行った。

しばらく時間が経ち3人組のグループが出て行く。

 

「それじゃあよろしく頼むぞ。」

 

「お、お願いします!」

 

「まぁ、何言ってるかわからんが。 よろしくな。」

 

そして最後にラビットとセラの2人だった。

 

「ラビット・・・離れないでね?」

 

ラビットは肩を2回トントンと軽く叩いた。

きっと意思表示のうちの一つなのだろう。

 

「それじゃあ、行くわよ」

 

扉を開けて外へと出た。

外はから差し込む日差しを浴びながら歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

案の定、追尾が来た。

この手の状況は慣れてはいる、しかし問題があるとすればこの女が大丈夫か否かだった。

 

大通りを歩きながら指でジェスチャーし追尾がいることを知らせる。

伝わるか不安だったがちらりと後ろを確認してこちらを横目に頷いた。

どうやら頭が回るのかすぐに理解してくれた。

 

いまは大通りであるため仕掛けては来ないだろう。

もしくはただ見張り役だけであることもあるかもしれない。

なんにせよこちらのことを逐一掌握されるのは都合が悪い、なんとしてでも排除せねばならない。

 

路地裏に指をさして入ると追尾して来た2人組も足早に裏路地に入る。

しかしそこには2人の姿はない。 奥行きは少なくすぐに行き止まりだったのだ。

慌てた2人は近くのドアに逃げたと思い裏路地に一つだけあるドアを開こうとしたが開かなかった。

 

なんの店かわからないが裏路地の勝手口から入り鍵を閉めた。

店員が何か言おうとしたがブリーダーがグロック19を向け口元で人差し指を立てる。

店員も顔を青ざめ首を上下に振っていた。

一度外に聞き耳を立てるとドアをこじ開けようとしてるのかガチャガチャとドアノブをいじっている。

足早に店から出てその場を後にするとどうやら撒いたのかあっちこっちを慌てて探す2人組がどこかへと消えて行くのが見えた。

 

 

 

 

スタンプ、フィリス、リーエたちは人混みの多い市場で人混みに紛れている。

治安があまり良くないせいか押し売りのようなやり方をするのが多い。

 

「お兄さんこれ2つどうよ! お得だよ!」

 

ガラクタのようなものを押してけてくるように買わせようとする商人を押しのけながら3人はなかなか前に進めない。

尾行してきている者も同じだが捕捉が解けないという現状だ。

 

そこでスタンプは3方に分かれ近くに目的地を設け集結することにした。

 

「おい! あの黄色の看板を目的地に進め!」

 

ジェスチャーで『散開』と『集合場所』を設けることを伝えるとリーエはあたふたし始めるがフィリスが理解したのか手短に説明した。

 

3方に分かれたのが功を奏したのか追っては目標を絞れず、人の海に飲まれながら3人を逃してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

セラはラビットの手を引きながら走る。

運悪く通ったルートは人通りも少なく、どうしても目立つことになってしまう。

ラビットは自分より土地勘があるセラを頼りについて行くがどうしても追っ手を撒けない。

相手もプロだ、体力は勿論連携も取れるためどんどん追い込まれて行く。

 

「・・・! こっちよ!」

 

ラビットの手を引き裏路地に入る。

ここは入り組んだ構造で迷路のようになっている。

しかしそれだけ待ち伏せも多いリスクが大きい茨の道だった。

 

裏路地を潜るように進んでいるとラビットがセラを引っ張り止めた。

ちょうど目の前の角に差し掛かる時に止まった。

 

ラビットはセラと変わり前に出る。

そして曲がり角で止まりわざとブーツを地面に擦り砂利で音を立てた。

すると突然曲がり角の先から鋭い軌道のナイフがラビットを襲うが当然のように躱しナイフが石材の壁に深々と刺さると顔面に蹴りを当てた。

一撃で気絶した男が吹き飛ぶように倒れると動かなくなった。

 

角の安全確認を終わらせセラを呼ぼうとしたとき、『セラの背後から迫る男と目が合った』

ラビットがMk25を抜き照準を合わせるがセラが後ろ手で風の魔法を当てると男は吹き飛ばされ動かなくなった。

 

「私が戦えるの、忘れてない?」

 

小悪魔のようにウインクをするとラビットがMk25をしまう。

 

「さぁ、早く行きましょう。」

 

再びセラとラビットは走り出す。

まだまだ2人の行く手を阻むものは多い。


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