魔法使いと無口な兵士   作:nobu0412

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だいぶ遅くなってすまぬ、調子も出ないし割りかし忙しい・・・鬱ぅ


本質

アカンサスを出発し馬車を揺らしながらただ広がる草原の向うへと進み続けて居た。

 

目的地である王都、ロッサムへと向う。

木造の馬車で乗って来た時のとは違い歩きで進む人員はおらず、操縦が1人、警戒が2人で外に出ていた。

ラビットが操縦しそこにセラとセナの2人が挟むように座っていた。 やや距離は近めだが。

 

「あら? ちょっと近すぎるんじゃないかしら? ラビットが困るわよ、セナ?」

 

「そのセリフはそのままセラに返してやる。 少し離れたらどうだ?」

 

不思議と乙女の戦いが始まっているのを馬車の中から4人は見ていた。

 

「なにこれ」

 

「ラビットが名前に因む時が来ちまったな」

 

※子供いっぱい

 

「むぅ・・・やはりわからん」

 

「こっちでもわかるように話して欲しいです・・・」

 

後ろでMk18をラビットから借り後方を警戒するブリーダーとちょうどラビットの後ろの辺りにいるスタンプは英語で喋っていた。

そんなくだりをしばらくずっとやっていた。

何事もなくただ進み続ける中で人はやはり退屈をしてしまう。

そしてどこかしらで刺激を求めるのが人間の性だった。

 

「ラビット、通訳頼む。 黒いの、ラビットとの出会いは?」

 

「黒いのって、私?」

 

「あ、それ聞きたいです!」

 

ラビットが通訳しながら話すと割と盛り上がり結局何やかんや交代しながら見張りや操縦をしていた。

 

 

 

 

夜になり一度野営をすることになり見張り役以外は仮眠を取っていた。

セラが体を揺すられ意識が戻り始める

目を開けるとフィリスが私の体を揺らしていた

 

「セラ、交代だ。 私ももう限界だ」

 

欠伸をし持ってきた毛布にくるまるとすぐに寝てしまった

私も準備して荷台から出る

荷物運搬用の荷車のため遺憾せん乗り心地はもちろん、寝心地も良くない

まだある眠気を覚まし荷台から出た

 

空を見上げると星が煌びやかに、まるで空の装飾品のように存在感を放ち輝いていた

 

そんな夜空は明るいが地上は暗く、あまり視界は良くない

慣れれば別だがそれまでに何か起こらないか不安である

 

ふと馬車を見上げるとそこには誰かが座っていた

星の光が影を作るように、その存在感を放っていた。

ラビットだ

 

中で寝ているみんなを起こさないようにゆっくり静かに馬車に登ってラビットの隣に座る

 

「星が綺麗ね・・・」

 

暗くてわかりづらいが頷いた気がする

静かに時間が流れていく。

こんな時間がいつまでも続けばいいと願うがそうは行かなかった

 

ラビットのPRC152がスタンプから受信したのだ。

 

『ラビット、お客さんだ。 ブリーダーを呼んでんでくれ。』

 

ラビットから敵襲の兆候があると聞き馬車の中で眠る全員を静かに起こして周り

全員が起きると馬車の後ろに集まった。

 

「よし、今の状況は前方開けた場所で前から大勢来そうな気配だ。 側面、後ろに回るのが少数。 」

 

地面に簡易的に状況を確認できるように描いた。

 

「賊の可能性が高いな。 夜襲で大勢の場合此方が圧倒的に不利だな。おそらく後ろにも回るだろう。」

 

「あぁ。 だが仕掛けられる前に気づけたのは良かった。 スタンプに感謝だな」

 

「ど、どうするんですか? あんな数捌ける自信ないですよぅ・・・」

 

「弓矢か飛び道具を防ぐために馬車は前方に対しての盾に使う。横は少数だ、先に片付けて前のを殲滅しよう。 スタンプ、ラビット、後ろをやってから脇をやれ。そのあと前に来い。他は待機だ。」

 

ブリーダーがMk48を構える。 PVS -15越しに敵が見える。

PEQ15の赤外線照準を起動した。

目に見えない光線がどこに銃口を向けているのがわかる。

 

ラビットがtac300にサプレッサーとCNVD、銃につける暗視装置を付けている際にセラが近寄った。

 

「ラビット、私ができることはない? 少しでもあなたの力になりたいの。 お願い・・・」

 

必要ないと意思表示するがセラは頑なだった。

 

 

 

すると考え込むと持っていたTEAM Wendy カーボンヘルメットをセラに被せた。

スタンプと同じGPNVGを下ろすとセラの視界が緑を基調に明るくなって見えた。

驚いてはいたがそういうものと理解しラビットを見ると差し出されたのはスポッティングスコープだった。

 

 

 

 

「よし、回り込んだぞ・・・」

 

1人の男が呟く。

事の発端としてはとある人物が馬車を襲撃しろと命令を下し総勢40名が駆り出された。

中には普通の冒険者や賞金稼ぎなどがいるがほとんどは裏で作られた部隊のようなものだった。

 

4人で行動し両脇を固めてから合図を出し最後に背後に回り4方から攻める作戦だった。

こちらは左から回り後ろに到着した2人だった。

向こう側から2人の仲間が合流して合図である灯を出そうとした時だった。

 

 

 

 

合図を出される前にその男の脳幹は吹き飛ばされたのだから。

 

 

 

 

 

「命中よ。」

 

ラビット、セラ、スタンプが並んで伏せ初弾はラビットの一撃だった。

距離にして200m。 風もなく狙撃するにはあまりに短い距離のため苦など感じなかった。

敵としても離れすぎるわけにはいかない。

その分移動距離が長くなるからだろう。

しかしこっちからすれば格好の的以外なんでもなかった。

 

ボルトアクションのライフルで静かに真後ろの4人組を殺害した。

 

「よし、向こう側は頼んだぜ。」

 

少し離れ右側面の敵を索敵した。

ラビットも少し離れ左側の敵を索敵する。

セラもいるため早く見つけることができた。

 

「ラビット、林の中にいるわ」

 

小声で伝えるとラビットが照準を合わせ4発撃ち込むとTAC300をスリングで吊るしMk18に持ち直した。

 

『ラビット、終わったな? 前に行くぞ。』

 

無線でスタンプが連絡を入れ移動を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソッ・・・合図が来ねぇ。 まさかやられたのか?」

 

「そんなわけあるかよ。 それならもっと騒いで馬車に動きがあるはずだろ?」

 

前方の林の中、というより森の入り口で40名近くの集団は来るはずもない合図を待っていた。

「馬車の連中は寝静まってる。 今行ってもいいくらいだ。」

 

「ならいいが、合図はどうする?」

 

「そのうち来るさ。 あんまりにもこねぇなら・・・」

 

そんな会話をしていると突如少し離れた場所から悲鳴が聞こえる。

 

「ひ、ひいぃ!?」

 

「なんだ? どうした」

 

「こ、こいつがいきなり死んだんだ!」

 

そこには心臓付近から血を流し倒れる者がいた

 

「・・・クソッ! 攻撃だ! 突撃しろ!」

 

その合図で待機していたものたちが動き始めた。

 

 

 

 

 

 

「どうだ、様子見の1発は」

 

「待て・・・動いた。 アホどもがやってくるぞ」

 

ナイトビジョンの先には横一列に広がり突っ込んで来る者たちだった。

その数おおよそ40名

 

「いい的だ。 俺は右から、ラビットは左をやれ。」

 

その場に伏せてバイポッドを立て射撃を始めた。

ラビットたちと違いMk48は大きな破裂音とマズルフラッシュを立てベルトリンクで繋がれていた7.62mm×51弾とリンクが排出しながらバースト射撃をしていた。

 

その音を聞いた彼女たちはあまりのうるさい音に耳を塞ぐ。 リーエに至っては地面に伏せるほどだった。

 

「なんだこれは!?」

 

「すごい音です!!」

 

バースト射撃は非常に効果的に突っ込んで来る人間たちに弾丸を撃ち込んでいた。 命中率の悪い軽機関銃でもやりようによってはよく当たるのだ。

 

対照にラビットはTAC300で端から確実に一人一人仕留め100mm圏内に入るとMk18に切り替えセミオートで射撃をする。

当然Mk48よりも精度がいい銃のためどんどん人影は倒れて行く。

 

スタンプはMk13mod7で遠距離攻撃隊を仕留めて行く。

 

負け戦と踏み引き返すものもいたが遠慮なく3人の銃弾が襲いかかる。

結果はあっけなく終わり敵方で動く人影はもういなかった。

近づかれる前に全員殺害してしまったのだろう。

 

「あぁ、しまった。 1人くらい生かしておくべきだったな。 情報聞くために。」

 

「探しに行くこう。」

 

「よしラビット、俺と来い。 スタンプは後ろで見ててくれ。」

 

2人が弾倉を買えると彼女たちを置いて行くように敵陣に向かおうとする。

 

その後ろをセラとセナが付いて行こうとするとブリーダーが「お好きにどうぞ」と呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

相手側は悲惨な光景が広がる。

死体と血の池が辺り一面を地獄絵図に仕立てていた。

 

立ち込める血の匂い、虚空を見続ける瞳、銃撃の際に千切れた体の四肢、剥き出しの内臓。

 

その光景に2人は吐き気を隠せず、顔を顰める。

彼女達も冒険者である以上は人の死体を見ることはある。

モンスターに食い殺された者、盗賊に殺され身ぐるみ剥がされた者、転落事故などにより死んでしまった者、そして自衛のため自分たちが殺した者。

 

 

これほどの大量の死体を前にどうかしないはずはない。

たとえ人死を見慣れていてもこの光景は余りにも残酷で狂気を感じるのだ。

 

しかし先を歩く2人はそんな中を平気で歩いている。

この2人にはそんなこと露ほども感じないのだろうか?

この光景を作った3人の男たちはある種狂っているのかもしれない。

 

 

「だめだ、みんな死んでやがる。」

 

ブリーダーが死体の一つ一つを調べている。

セラがラビットに何をしているか聞くと「生き残りを探している。」と答えた。

 

ブリーダーが死体を小突くように軽いトゥーキックをしていると、ある死体から呻き声が聞こえた。

 

「うぅ・・・」

 

「生きてるな。 ラビット、頼む。」

 

ブリーダーが死にかけの男にラビットを通じて尋問を始める。

 

「おい、起きろ。」

 

「ぐぅっ!? ぅぅぅ・・・」

 

「おっ、おい! あまり乱暴にすると死ぬぞ!」

 

「任せとけ。お前の雇い主は? 早く言え、失血死するぞ。」

 

「・・・ちゃ、チャー・・・ル・・・」

 

「あ? 聞こえねぇんだよ。」

 

傷口に体重をかけて踏みつけると叫び出し必至に叫ぶ。

 

「チャーチル!! チャーチルだ!! デール・チャーチル!!!」

 

出て来た名前はまさかの貴族のデールだった。

その名を聞いた2人が表情を怒りに染め上げる。

どうせ身勝手な理由で自分たちを殺しに来たのだろう。

 

「デール・チャーチル、聞き覚えは?」

 

ラビットが頷くと足を退ける。

一瞬助かったように見えたがブリーダーがMk48で数発撃ち込み男は絶命した。

 

その光景はセラは一度見たことがある。

初めて出会った時にラビットがしたことと同じだった。

 

容赦も情けもないその行動に恐怖を感じる

何事もなかったかのように帰ってきた2人が馬車へと歩を進めるのに気づき2人はそれについていった。

 

 

 

 

 

 

 

 


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