鉛色の巨人になったが、楽しんでいこうと思います!   作:バサカバサカ!

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ふと勘違い小説を書きたくなったのでチャレンジ!
喋れないから、ジェスチャーで返すけどそれ故にうまく意図が伝わらない!
そんな勘違いを書きたい!


鉛色の巨人と銀髪の盗賊

 いやー、異世界転生!

 異世界転生だぜ!!

 女神アクア様にFateのヘラクレスの能力を頼んで転生しましたよ!!

 

 異世界についた俺だが、なにやら周りの物が小さいのだ。

 そう、何を隠そう。

 俺はヘラクレスの能力ではなく、Fateのヘラクレスになっていたのだ!

 

 身長250何とか!

 体重300kg越えだった気がする!

 全身筋肉の塊で、上半身は裸だ!

 下半身には鎧なのか服なのかわからない腰巻がある!

 そして、俺の身の丈ほどある岩を削りだした彼の様な斧剣だ!

 

 これはどうみてもヘラクレスで間違いない!!

 ゲームで何度も見た姿と同じだしな!

 

 なんでヘラクレスの体になってしまったのかはわからないが、そんなことはどうだっていい!

 重要な事じゃない!

 

 男の憧れである筋肉である!

 高身長である!高身長である!!

 チビだった俺がどんなに欲しても手に入れることができなかった身長が今ここに!

 

 ヘラクレスの体と言う事は身体能力やスキルなどきっとそのままである!

 確認はできないけど!

 魔王討伐だって簡単にできそうだ!

 流石にすぐにはいかないけど!

 

 それにしても周りにいる皆が小さいぜ!

 これが身長の高い奴のみが見れる世界って奴か!!

 興奮して辺りを見渡していると、何やら呆れた様な視線を感じた。

 

 っておお!!

 視線を感じちゃったよ!?

 前世でも視線を感じるなんてことなかったよ!!

 おまけに気配までわかるぞ!!

 この視線の主は俺に近づいてきている!!

 

 あえてそちらに顔を向けずに気配だけを感じ取る。

 これだけを言葉にすると、今の俺は達人の様に見えるな!

「ねぇ君! ちょっといいかな?」

 そんなことを考えていたら、視線の主が声を掛けてきた。

 そこで俺が振り返ると俺は思わず呻いた。

 

 おしい!

 銀髪だが、髪が長くないし、目も赤くない!

 イリヤポジにはなれないな!

 

 ってそうじゃないだろ。

 思わず思考が変な方向に走った。

「■■■■■?」

 とりあえず返事をと思って、なんですか?と言おうとしたら口からはうめき声の様な音しか出なかった。

 

「…………」

「? えっと……?」

 どうやら姿だけでなく声帯までバーサーカー仕様らしい。

 ちくしょう!

 虎聖杯の時はしゃべってたじゃん!

 あの渋くてダンディボイスで喋りたかった!!

 まぁ、言っても仕方ない。

 27でちびだった俺が、高身長になりたいと言うくらい言っても仕方ない。

 

 仕方ないので、俺は自分の喉を指して、首を横に振るジェスチャーをした。

「喉……もしかして、しゃべれないの?」

 少女の言葉に俺は頷いた。

 すると少女は頭に手を当てて小さく呟いた。

「……アクア先輩……一体何をやらかしたんですか……」

 おや?

 かなり小さな声だったが、今この少女の口から、俺を転生させてくれた女神さまの名前が出てきた。

 しかも先輩?

 

 疑問に思っても言葉に出来ないので、適当に考察しておこう。

 あと、俺を見上げながらしゃべるのは大変そうなので、しゃがんでおこう。

 

 しゃげむと同時に、少女が顔を上げた。

「えっと、ごめんね。私はクリス。君は日本から来た人で間違いない?」

 クリスの言葉に驚きつつも頷いた。

 クリスは、女神アクア様を先輩と呼んでいた。

 ということは、クリスは神様、もしくは神様見習いと言った所だろうか?

 異世界なら神様になる手段もありそうだし。

 

「良かった。女神エリス様から君を助ける様に神託を受けてね。君がまともに生活できるようにサポートしなさいって」

 女神エリス様は女神なのだろうか?

 頭の悪い考えが浮かんだ。

 

 態々信徒でもない俺を助けるためにクリスを遣わしてくれたなんて!

 喋れないと言う事実が今しがたわかったので、凄く助かります!!

 

 女神エリス様に感謝の祈りを捧げておこう!

 女神アクア様には転生させてくれた感謝を祈りを!

 教会とかあるかな?

 どちらの教会にもいくぜ俺は!

 

 とりあえず、この場では手を合わせて祈りを捧げておこう。

 天まで届け!我が祈り!

【ありがとうございます】

 今までの人生でかなり真剣に祈った。

 

 目を開けると、何故かクリスが慈愛の瞳で俺を見ていた。

 何故に?

 思わず首を傾げると、クリスは可笑しそうに笑った。

「なんでもないよ」

 なんでもないらしい。

 

 そんなこんなで、クリスにこの世界の事を色々と教えてもらった。

 会話できないので、頷いたり首を傾げたりするだけだったが、クリスは楽しそうに教えてくれた。

 一通り教えてもらった後は、クリスの提案で服屋に行くことになった。

 

「流石にその姿だとね、服を買いに……いや、注文しにいこうか!」

 とはクリスの言葉である。

 買いに行くじゃなくて、注文に行くと言うあたり、ヘラクレスサイズの服は扱ってないようだ。

 異世界なら巨人くらい居るんじゃないの?

 

 そんなことを思いながら服屋へ。

 会話ができない俺に代わって服の注文から代金の支払いまでしてくれたクリスには、頭が上がらない。

 ちなみに、サイズの測定は服屋の外で行った。

 服屋の前で鉛色の巨人をメージャーで測る様は、異様な雰囲気が出ていた事だろう。

 

 クリスのお蔭で衣食住の衣はどうにかなった。

 上着とズボンと下着を各5つずつ。

 靴とスリッパを一つずつ特注した。

 しめて六万エリス。

 全部クリス持ちである。

 

 これは早々に冒険者ギルドで働いてお金を返さねば!

 とりあえず、クリスには誠心誠意頭を下げて感謝を表しておいた。

 頭を下げられたクリスには、すぐに頭を上げる様に乞われた。

 

 この恩は何倍にもして返すよ!

 

 

 さて場所は変わって冒険者ギルド

 幸い大きい作りになっていて、俺が入っても大丈夫だった。

 クリスの案内の元、冒険者カードを作る魔道具に手をかざしてカードが完成した。

 流石は英霊最強の一角と言うべきか、ステータスがぶっ飛んでいた。

 知力以外の全ステータスが人間の限界を超えていた。

 知力は平均よりも高い程度だった。

 中身が俺だからね、仕方ないね。

 

 脳筋此処に極まれり!

 

 ヘラクレスの体じゃなければ、ステータスも普通だったんだろうなー。

 流石ヘラクレス、パネェ!

 

 ちなみに、種族の所には半神半人と書いてあった。

 完全に前世の俺はどこかへ飛んでますね。

 べつにいいけど(震え声)

 

 そして、異世界おなじみの職業!!

 ヘラクレスならキャスター以外なら何でもなれると言われていたからな!

 実に楽しみだったぜ!

 何故か職業適性が【狂戦士】しかありませんでした(笑)

 

 もうこれは女神アクア様が脳筋で行きなさいと言っていますね。

 間違いない。

 受付の人に若干怯えられながらも狂戦士となった俺。

 最初からスキルポイントと言うものもあったので、クリスに頼んでスキルを選んでもらっている。

 

 カードが小さすぎて自分でスキルを選ぶ事ができないからな!

 仕方ないよね!

 迷惑かけてごめんねクリス!

 

 そんな俺の内心をクリスは全く察する事なく、スキルを選んでスクロールしていく。

 随分ハイテク?なカードですね。

「規格外だとは思っていたけど、その想像すら簡単に超えていくね、君は。なにこのポイントの多さ。四桁のスキルポイントなんて見た事も聞いた事もないんだけど」

 呆れたように笑いながら、クリスはどんどんスキルを選んでいく。

 そんなクリスに笑顔を浮かべて、サムズアップしておく。

 ヘラクレスだからね!

 

 そんな俺を見て、クリスはため息をついた。

「正直、狂戦士のスキル全部とれるよこれ。宴会芸スキルはいらないだろうけど」

 

 宴会芸スキル!?

 一体どんなスキルがあるのだろうか!?

 クリスの後ろに回り込んで、文字を眺める。

 花鳥風月って何ぞ?

 腹踊りとか、その辺はわかるけども。

 花鳥風月って何ぞ?

 名前がカッコいいけど、なんぞ?

 大切な事なので二度連想しました。

 

 クリスの肩を指で軽く叩く。

「うん? どうしたの?」

 でかい指で花鳥風月が書かれている辺りを指さす。

 俺の指だとスキル三つくらい指さしちゃうね。

 

「これ? 違う? あ、もしかして【花鳥風月】?」

 クリスの言葉に頷く。

 クリスは何故か可笑しそうに笑いながら、花鳥風月について教えてくれた。

 どうやらこれも宴会芸スキルらしい。

 名前からは全く想像できない。

 

「まぁ、君のポイントならこれも余裕で取れるけど、取る?」

「……■■■■」

 とりあえず頷いておいた。

 ヘラクレスが宴会芸……たいがーころしあむならありえそう。

 あとホロウとか。

 やったことないけど。

 

「その威圧感のある巨体で宴会芸……凄いシュールな絵になりそう……」

 クリスがぼそりと呟いた。

 聞こえてますよー、俺もそう思うけど。

 

 そうして、しばらくしてようやくスキルを選び終わったらしい。

「はい、これでおしまい」

 最後に取得ボタンをおして、俺の魂にスキルが刻まれた。

 ……宴会芸、水出せるじゃん!

 飲めるかな?

 飲めるなら水持たなくてよくなったぜ!

 魔力とかも異常に多いし!

 

 さて、冒険者登録したからにはクエストを受けねば!

 なにより、今の俺は借金を背負っている身!

 クリスは良いと言うかもしれないが、お金の貸し借りはしっかりとしなければ!!

 

「それじゃ、まだお昼だしクエスト行ってみる?」

「■■■■■■」

 少し気合を入れて頷きながら返事をしたら、周りが静まり返った。

「やる気があるのは良い事だけど、気を付けてね?」

 すいませんでした。

 苦笑しながら注意してくるクリスと周りの人たちに頭を下げた。

 

 

 クリスが定番だと言うのでジャンアントトードの討伐を受けた。

 三日で5匹。

 常時発注依頼なので、一杯狩ったらその分報酬は上乗せされるらしい。

 

「わぁー! 速い! 高い! 凄いね!!」

「■■■■■■■!」

 現在俺はクリスを肩に乗せて走っている。

 ちゃんと落とさないように気を使っているが、それでも馬より早い。

 あと、はしゃぐクリスが可愛い。

 

 平原を走っていると、気配を感じて立ち止まった。

「近くにジャイアントトードが居るね。っていうか、今私がスキルで感知するより先に気が付かなかった?」

 よくわかりません。

 とりあえず首を傾げておくと、クリスも首を傾げながらも肩から飛び降りた。

「反応は土の中、眠ってるみたいだね」

 土の中なら真上から刺したらどうにかならないだろうか。

 このでかい斧剣とヘラクレスのステータスならやれると思うんだけど。

 

 そんなことを思っていると、クリスの頭にピコン!と電球が見えた気がした。

 発想が古いな俺……

「ねぇ、君! さっき取得した【雄叫び】のスキルを使ってみたらどうかな? 自分の攻撃力を上げるスキルだけど、クルセイダーの【デコイ】に似た効果もあるから、土の中から出て来るんじゃないかな?」

 なるほど、それは良い考えだ。

 俺はクリスに頷いて、少し距離を取った。

「じゃあ、私は【潜伏】で隠れてるね。何かあればすぐに助けるから! まぁ、必要なさそうだけど」

 そう言って、クリスが潜伏のスキルを使うと自然に混じってわからなくなった。

 

 すごいな、潜伏。

 英霊の気配センサーからも隠れれるの?

 まぁ、それはさておき。

 さっそく【雄叫び】を使ってみますかね!

 

「■■■■■■ーーーーー!!!」

「ッ!?」

 自然に混じっていたはずのクリスの気配が出てきた。

 疑問に思って振り返ると、耳を抑えてしゃがみこんでいた。

「は、離れていたのに凄い声だねッ……!」

 もしかして、やっちゃった?

 鼓膜破れた?

 

 心配になってクリスに近づくと、クリスは急いで立ち上がり短剣を構えた。

「私の事よりほら!! さっきの叫びで近くに居たカエルが集まってきてる!!」

「■■■■■■?」

 確かに結構な数の気配を感じる。

 周りを見渡せば、地面から13匹ほどカエルが沸き出て、遠くからは10匹ほどカエルが跳ねてきている。

 23対2である。

 明らかに多勢に無勢である。

 

「まさか君のスキルがここまで強力だなんて……ごめん、私のミスだ」

 心底申し訳なさそうに謝るクリスに俺は首を横に振って、斧剣を構えた。

 アーチャーなヘラクレスなら近づかれる前にやれたんだろうが、あいにく近接しかできない俺には、近寄って叩き潰すしかない。

 

 それにしても、あのカエル俺と同じくらいの大きさがあるんじゃないだろうか。

「君は金属製の腰巻きがあるから食べられないと思うけど、その代わり潰しに来るよ。気を付けて」

 その理論で行くと、クリスは捕食される可能性があるんじゃないだろうか?

 

 ならクリスを守らなければ!!

 ソフトが俺とはいえ、ハードはヘラクレス!

 ならやってやれないことはない!!

 

 今度は軽く雄叫びを上げて、俺はカエルへと接近した。

 カエルが何かをする前に叩き潰す!

 斧剣を両手で持って上段から振り下ろした。

 大きなカエルが真っ二つになった。

 

 ……そういえば、なんか剣を振っただけでエミヤに傷つけたりしてましたね。

 片手で振ってあれだから、両手で振ったら斬撃が飛ぶのだろうか?

 そんなことを思いながら、更に斧剣を振る。

 

 振る振る振る振る振る振る振って振って振りまくる!

 気分は射殺す百頭!

 所で宝具ってつかえるんかね?

 

 そんな風に思考を横へ逸らしつつ、真っ二つにされてグロテスクな見た目になったカエルから目を逸らす。

 気が付けば、カエルを一掃していた。

 あれ、なんか何もさせずに終わったんだけど。

 クリスを振り返ると、引き攣った笑みを浮かべていた。

 

 あ、これやりすぎたな。

「今までいろんな人たちを見てきたけど、君なら絶対に魔王を倒せるって確信を持って言えるよ」

 そんなことを言うクリスにどういう顔をすれば良いかわからず、とにかく笑って置くことにした。

 

 帰る前に後二匹だけカエルを討伐して、討伐数25匹にした。

 そんなこんなで、早くも転生して最初のクエストが終わった。

 クエスト報酬50万エリス

 カエル買取額12万5000エリス

 

 やったぜ。

 借金返済できるぜ。

「やったね! 君の力ならもっと難しいクエストでも簡単にできるよ」

 そう言ってくれたクリスに笑みを浮かべて、握手するように手を出す。

 クリスも笑みを浮かべて、手を重ねてくれた。

「おつかれさま!」

「■■■■!」

 いいねぇ、こういうの!

 

 その後、お金を渡そうとすると拒否するクリスに何とかお金を渡して、借金を返済した!

 そうして、クリスと一緒に晩酌を終えて宿へ向かったのだが……

「君が大きすぎたね」

「……■■」

 そう、俺の体が大きすぎて、宿の人に断られた。

 お金があっても止まる所がないのである。

 馬小屋もあるが、一部屋が小さい。

 それなら野宿した方がマシである。

 

 色々と特注する必要があるなぁ。

 今日は寝るところがないから仕方ない。

 野宿するか。

 焚火も簡単にできるし、町の外に行くか。

 とりあえずクリスはもう帰さないとな。

 

 俺はクリスを指さして、宿を指さす。

「そしたら君はどこで寝るのさ?」

 俺は外壁のある方を指さした。

 すると、クリスは顔をしかめた。

 

「もしかして、外で寝るつもり?」

 その言葉に俺は頷いた。

 英雄の肉体なら問題ないのである。

 信じろ、っていうつもりで自分の胸をドンッと叩くと、ため息をつかれた。

 解せぬ。

 

「仕方ないなぁ……少し待ってて」

「?」

 クリスは宿の中に入ると、何やら荷物を持って出てきた。

 もしかして、一緒に外で寝るつもりだろうか?

「私も行くよ」

 やっぱりそのつもりだったようだ。

 だがしかし、それは流石に承諾できない。

 

 首を横に振ってクリスを持ち上げて宿へと戻す。

「ちょ!? そんな簡単に追い返さないでよ!!」

 駄目ったら駄目である。

 女の子はちゃんと宿で寝なさい。

「君が追い返しても、後で探すよ!? 暗い夜道を彷徨い歩くよ! それでもいいの!?」

 クリスの言葉に固まる。

 確かに後から来られるより一緒に移動した方が良いだろう。

 荷物だって俺が持てば、安全だ。

 

 ぬぅ……どうすればいいのか。

「私は本気だからね!」

 クリスは引くつもりはなさそうだ。

 少し考えて妙案が浮かんだ。

 

 馬小屋を借りて馬小屋の外で寝ればいいのではないだろうか?

 少なくとも外でキャンプするよりは安全である。

 

 と言う事で、クリスを持ち上げたまま馬小屋へと向かった。

 道中でクリスに色々と言われたが、翌日からはちゃんと宿で寝てほしいものである。

 

 そうして、俺の冒険一日目を終えたのだった。

 

 




まさかの金があっても泊まれない!
このまま冬が来たらヤバいぞ主人公!
しっかし、この話は続くのだろうか……?
ちょっと見切り発車すぎた気がする。
今の所まだプロットがあるから頑張ろうっと。
評価感想頂けるととてもうれしいです!

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