四葉のもう一人の後継者   作:fallere

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先週投稿できなかったのは許してください・・・。
忙しかったり忙しかったりしたんです。いつか埋め合わせできればするので・・・。

本日はピラーズブレイク深雪vs雫です。

最後に何か勢いで作ったものがありますので楽しんでくれると嬉しいです。


九校戦編 十六節

エイミィは動けるようには回復したが、次の試合である雫戦には出られないだろう。

 

しかし、深雪の相手も同じ状態で準決勝を棄権するとの事なので・・・

 

「戦わずに同時優勝でどうかって運営が行ってきてるのだけど・・・」

 

「取り合えずエイミィは棄権するべきでしょうね。想子の枯渇が回復してません」

 

「わかったわ。じゃあ皆提案を受け入れるってことで・・・」

 

「待ってください‼」

 

会長の声をさえぎったのは雫であった。

 

「私は・・・戦いたいと思います。

深雪と本気で戦えるこんな機会を私は逃したくないです」

 

それでこそだ。力は挑戦するためのものだ。雫が本気だから、俺は最高の得物を用意した。

 

「雫が私と戦いと言うなら、私にそれを断る理由はありません」

 

「そう・・・じゃあ大会委員会に伝えておくわね」

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「雫、CADの調子はどうだ?」

 

「ばっちり・・・昼夜はさ、私が勝てると思う?」

 

勝てると思う・・・か。

 

「少なくとも、勝つのをイメージしないと負けるな。

魔法師は現実をイメージで上書きする。特に相手は深雪だ」

 

「・・・うん、そうだね。私、絶対に深雪に勝つよ」

 

「その心意気だ。勝ってこいよ、雫」

 

「じゃあさ、勝ったら何かお願い聞いてくれる?」

 

お願いか・・・まあやる気が出るならそれくらい安いもんだろう。

 

「俺にできる限りの事なら聞いてやるよ」

 

「ふふ、わかった。じゃあやっぱり絶対に勝たないと」

 

そこまでしてのお願いなのか・・・。いったいどんなお願いをされるのやら。

 

 

雫side

 

(絶対に勝って・・・それで昼夜に・・・)

 

雫は軽く約束のことを考え、かぶりを振り、それから集中モードに入る。

 

深雪が相手では、余計なことでは断じてないが、雑念は振り払わないと勝てないのだ。

 

深雪に勝つためにわざわざ昼夜に頼んだのだ。(雑念があったのは否定しないけど・・・)

 

実況に名前を呼ばれステージに上がる。

 

対面には既に深雪が立っていた。

 

(深雪、初めて見た時は圧巻の一言だった。

だけど私も今まで頑張ってきた。その成果すべてをこの一戦に賭ける!)

 

ブザーが鳴り響き、ピラーズ女子の決勝の幕が開いた。

 

深雪が発動したのは『氷炎地獄(インフェルノ)』。

指定エリアの運動エネルギーを別のエリアに移動させ灼熱と極寒を発動する魔法。

 

大して雫の魔法は『共振破壊』。

周波数を無段階に変更し、対象と共鳴したところで周波数を固定し増幅する魔法。

 

雫はさらに、情報強化で氷柱を熱から守っていて互角に見えるのだが・・・。

 

(だめだ。情報強化じゃ直接の改変は阻止できても上がった気温のせいで氷が溶かされる)

 

その上、雫の魔法は氷炎地獄の余波で振動を抑えられている。

 

このままでは、雫の氷柱が先に崩れるのは火を見るよりも明らかであった。

 

(なら⁉)

 

雫は振袖から、もう一つの得物を抜いた。

 

「な⁉」

 

一瞬、深雪の目に驚きが浮かぶ。

 

雫の手に握られていたには僅か二発しかないリボルバー式CAD。

 

その1弾目から新たな魔法が紡がれる。

 

その魔法は『フォノンメーザー』。日本語にすれば『音量子増幅機』だろうか。

文字通り音が質量を持つまで増幅させ、それを熱線として照射する魔法である。

 

その威力は絶大で、深雪の氷柱の一つが見る見るうちに解けていく。

 

・・・だが、粉砕判定が入る前に深雪も新たな魔法を紡ぎだす。

 

その魔法は『ニブルヘイム』。

領域内の物質を均一に冷却し、時には液体窒素すら発生させる広域冷却魔法。

 

(やっぱり来た! 昼夜が言っていたけどこれほどだなんて・・・!)

 

昼夜は深雪がピンチになればこの魔法を使うと予想していた。

 

そして、これにはフォノンメーザーも通らないであろうとも。

 

途中まで解けていた氷中の溶解が止まり、発生した冷気にフォノンメーザーが阻まれる。

 

そして、液体質素を含む巨大な冷気が迫りくる。

 

(これを食らえば次の氷炎地獄で窒素の気化した際の膨張で壊される!)

 

雫はハンマーを倒す。昼夜が託した最後の切り札の引き金を引いた。

 

放たれるは一見先程と同じ、強いて言うならば少しばかり太いフォノンメーザー。

しかし、深雪の途中まで溶かされていた氷柱に届き、溶かしきったのであった。

 

「ありがとう、昼夜。これでまだ戦える」

 

仕組んだ魔法は『フォノンメーザー・殻弾(シェルバレット)』。

一回り大きなフォノンメーザーで、一つのフォノンメーザーを包み込む魔法。

 

その仕切りを作るのが非常に難しいのだが、今回のような場合では効果が大きい。

 

包み込んだ方が冷気をそれなりではあるが奪い去り、

本命の中身が高威力に設定されていて対象に届かせるという力技でもある。

 

深雪のニブルヘイムを以てしても止められないほどの威力を出すのは至難の業だ。

 

だが、方法がない訳ではない。そして、それがあれば勝機は十分にある。

 

ニブルヘイムに直接の攻撃力はほとんどないため、魔法を切り替える必要がある。

 

対して、一つの魔法で突破できるのならその間に深雪の盤面を壊す事ができる。

 

互いに盾を貫く矛を手に入れたが、それを踏まえると有利なのは雫であった。

 

・・・しかし、キャパシティで劣っているのは雫であった。

 

「え⁉」

 

深雪は冷気塊を二つに分け、その上で氷炎地獄を発動するという離れ業を見せた。

 

フォノンメーザーを防ぐ冷気には液体窒素を混ぜず、

雫に向かう冷気には液体窒素を混ぜ氷炎地獄で発破させる。

 

広範囲を飛ばせる深雪に、雫は線でしか攻撃できない。

 

有利はあっという間に覆る。キャパシティというのは大きな要素なのだ。

 

FM・殻弾も二つのフォノンメーザーと仕切りの処理と言うハードな魔法。

 

雫は持続していた共振破壊を諦め、情報強化と氷柱の周りに僅かな障壁を用意する。

 

そのうえで攻撃を続行する。もとより不利な勝負なのだ。この程度でへこたれはしない。

 

雫の一撃が、冷気塊を貫き氷柱を五本奪う。

 

深雪の液体窒素の爆発が障壁を砕き氷柱を六本奪う。

 

そこまでだった。

 

(あ・・あれ? 眩暈が・・・)

 

雫は不意に酔ったような感覚と脱力感に見舞われる。

 

エイミィと同じ想子切れによる症状である。

 

そしてそれを悟った時に雫の視界は暗転し、体は横に倒れていっていた。

 

「昼夜・・・ゴメン」

 

それが声に出たかはわからないが、そう言った瞬間に雫の意識も途切れた。

 

 

昼夜side

 

「雫⁉」

 

急いでステージに向かおうとするが、救護班がすぐに対応し医務室に運んでいた。

 

先回りして医務室に向かってみると、雫は目をうっすらと開けていた。

 

「大丈夫か、雫?」

 

「あ・・・昼夜。ゴメンね、負けちゃった・・・」

 

確かに結果は雫の退場により深雪の勝利となっている。

 

「何言ってるんだ。これまで誰も深雪の氷柱を割れなかったんだ。勲章ものだ」

 

そう。深雪は氷柱にそれこそ傷ひとつつけず決勝まで来たのだ。

 

決勝もあわや完封勝利ではないかと言われていて程だ。

 

その深雪の氷柱に傷どころか粉砕判定を取れたのは本当に凄い事なのだ。

 

「それでも・・・負けは負けだよ」

 

「確かに負けだ。だけど次がない訳じゃないだろう? 次は勝てるようにしないとな」

 

雫は今にも泣きだしそうな顔で頷いている。

 

「ねぇ、二つだけお願いしてもいい?」

 

こういう時に断るのは野暮なものだろう。

 

「ああ、勿論」

 

「じゃあ、もっとこっちに寄って。昼夜の胸で・・・泣かせて」

 

「・・・わかった」

 

近づくと、雫は頭を俺の胸に押し付けて、泣き出した。

 

「がぢだがっだよぉぉぉぉ! ぜっがぐぢゅうやにいろいろよういじでもらっだのに!

あどすごじでがでるどおもっだのにぃぃぃーー!」

 

暫く雫は泣き続けた。余程勝ちたかったのか。

 

悔しいのはチャレンジしたからだ。努力したからだ。

これだけ悔しいと思えるなら、きっとすぐにまた挑戦を始めるだろう。

 

心だけでは意味がない。力だけでも意味がない。

 

二つを持ち合わせたものだけに、僕は力を貸そう。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

[想い人の恩恵]北山 雫

 

少年は己が信じ、誠の強さを持つものに恩恵を与える。

静かで時に大胆な少女への恩恵は壁を貫く矢であった。

少女は少年の恩恵を受け、決勝で大波乱を起こすのである。

 

攻撃スキル:共振破壊(振動)

発動までが遅く、敵を捕捉し続けないといけないが威力は高い。

また、情報強化の効果を10%軽減する。

 

防御スキル:情報強化+抑振

発動中、指定した系統に対する耐性が30%上昇します。

また、常に振動系に対して15%の耐性を得ます。

 

特殊スキル:勝ったらお願いを聞いてね?

敵を倒すたびに攻撃力が3%ずつ上がります。(上限30%)

 

必殺スキル:フォノンメーザー・殻弾(シェルバレット)(振動・炎)

前方の広範囲に小ダメージの防御支援を無効化する攻撃。

途中から前方の小範囲に大ダメージの攻撃が追加されます。

 

[スノウクイーン]司波 深雪

 

行動はそこまで派手ではないが少女は少年を愛している。

だが、少女は他の者より少年を知り過ぎていた。

それはときに、大胆さを奪う枷になってしまっている。

 

攻撃スキル:氷炎地獄(インフェルノ)・灼熱(振動・炎)

自分の周囲の中範囲に炎の攻撃を行います。

発動中、氷を含む攻撃に対し10%の耐性を得ます。

 

防御スキル:氷炎地獄(インフェルノ)・極寒(結界は振動・氷)

自分の周囲の中範囲に氷の結界を発生します。

発動中、全攻撃に耐性15%を得て結界内にいる相手に微ダメージを与えます。

 

特殊スキル:あなたが望むなら受けて立つわ!

体力が少ないほど攻撃力が上がります。(最大体力の30%で上昇倍率最大の40%)

 

必殺スキル:ニブルヘイム(振動・氷)

敵一体を支点に冷気の竜巻による広範囲攻撃。

発動後、暫くの間相手に炎攻撃をした場合追加ダメージが発生する。

 

 




はい! とりあえず出来上がりました。

最後のは何となくで作ってみました。
反応が良ければ、または私の気分次第でまたやります。
3DRPGみたいな感じで考えています。因みにゲーム化の予定は勿論ありません。

反応貰えると嬉しいです。

今週はこれまで、ありがとうございました!

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