四葉のもう一人の後継者   作:fallere

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ちゃんとこっちも投稿しますよー。



九校戦編 九節

まあ予想通り、俺が用意したCADを使った三人は余裕で本選進出。

 

しかし三人ともちゃんとやってくれるから、こっちも作り甲斐があるものだ。

 

エイミィと駿はともかく、雫は準々決勝からCADが変わるので最終調整に向かう途中。

 

「第一高校の北山さん?」

 

後ろから声をかけてきたのは、三高の十七夜選手と愛梨。

 

「ちょっと待って、なんで四葉君がいるのかしら?」

 

「雫のエンジニアが俺だから」

 

愛梨はパンフレットを確認する。そこには『司波達也』とは書かれているが。

 

「頼まれたから引き受けた。ただ、多分そこの名前の奴でも同じ結果だぞ」

 

下手しい今より結果がいいかもしれん・・・。

 

「愛梨、悪いけど少し黙ってて。三高の十七夜です。

予選を拝見しました。大変いい腕をされてますね。

あなたと準決勝(・・・)で対戦するのが楽しみです」

 

そう、雫と十七夜選手が当たるのは準決勝。次はあくまで準々決勝だ。

 

「そっか、次の試合は当然勝つ自信があるってことなんだね。

わかった、私も準決勝楽しみにしてる」

 

ここで次勝てるかもわからないなど言うなら少し小言を言うつもりだったが、

しっかりと返したので言う必要はないだろう。

 

「さあ雫、準決勝までの準備をしに行くか」

 

雫がその気なら、エンジニアである俺もそう答えるべきだろう。

 

結果として互いにトラブルはなく、準決勝は矢張り雫と十七夜選手だ。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

『矢張り準決勝注目カードはこの二人!

 

予選では新魔法『アクティブ・エアーマイン』で会場を興奮の渦に巻き込んだ

クールビューティー!

準決勝でも圧倒的魔法力でライバルを制圧するか⁉

第一高校、北山雫選手‼

 

なんと本大会パーフェクトを二度記録!

その正確無比な起動予測に並ぶものはなし!

連鎖を奏でる『アリスマティック・チェイン』は準決勝でも炸裂するのか⁉

第三高校、十七夜栞選手‼

 

早くもこの二人が激突します! 両選手の活躍をお楽しみください』

 

「どうやら相当注目されてるみたいだな」

 

雫に声をかけてみるが・・・

 

「大丈夫、正直勝つ未来しか見えない」

 

「それは頼もしいな」

 

どうやら緊張はしてないようだ。エイミィの相手は一高の選手なのでもう大丈夫とのこと。

 

「序盤は多少リードを許すくらいでもいい。重要なのは・・・」

 

「後半戦、だね」

 

「分かってるなら言う事はないな。じゃ、絶対勝って来いよ!」

 

「うん」

 

雫がステージに上がる。

 

そしてまた、十七夜選手も上がっている。

 

ホイッスルの音とともに、新人戦女子 スピードシューティング準決勝が始まった。

 

『準決勝と同じく十七夜選手の赤いクレーの起動が逸らされている!』

『北山選手の必勝パターンだ!』

『いや違う! 軌道を逸らされたのにも関わらず白いクレーの連鎖が続いている⁉』

『あの北山選手の戦術を覆したぞ!』『なんて高度な戦いだ!』

 

現在、ほんのわずかに十七夜選手が優勢ではある。

 

「準々決勝を一回見ただけで合わせてきたか。

雫に使わせた魔法は中心に高出力振動魔法の機雷を置き、

収束魔法により自色のクレーをその中に、敵色のクレーを外に追い出す仕組み。

 

収束魔法の効力を分けて起動式を数種類用意した。

そのどれもに対応できる構築できるのは流石の空間把握能力だが・・・」

 

映像を見た時、ほんの一瞬だったが、雫が確かに笑っていた。

 

そして逆に、十七夜選手は疲労と何か毒づくような表情を浮かべていた。

 

「気づいたな。予想通りだ。

あれを特化型だと思い込んで作戦を立ててきたな。

だが、残念だがあれは照準付き汎用型CAD、ハードは俺の分野だ。

それ用のソフトを組むのは少々手こずったが、あれ位なら大したことはない」

 

 

 

三高side

 

「馬鹿な! 照準付き汎用型CADなんて聞いたことがないぞ!」

 

「いや、去年の夏にデュッセンドルフで発表された新技術だよ」

 

その場にいた全員が、吉祥寺の方を向く。

 

「ただ、デュッセンドルフで公開された試作機は実戦に耐えるレベルじゃないんだ。

動作は鈍いし精度は低い、本当に『ただ繋げた』の技術的意味しかない作品なんだ」

 

「待てよ! だが現に北山選手が使ってるのは速度も精度も特化型と同等だぞ!

しかもちゃんと系統の異なる起動式を処理するなんて・・・そんな実験あったのかよ⁉」

 

「・・・なあ一色、まさかとは思うが・・・」

 

そこで声を上げたのは、新人男子のエースである一条だった。

 

「ええ・・・彼女のCAD四葉君が用意したものよ・・・」

 

「CADをいじるのは趣味とか言ってたが・・・これは趣味の範囲じゃないぞ・・・」

 

「私もここまでとは思ってなかったわ・・・」

 

だが同時、一色は昼夜の言っていたことを思い出す。

 

『司波達也でも同じ結果だと思うぞ』

 

その言葉通りなら・・・いや、昼夜はくだらない嘘はつかないと一色と一条は知っている。

 

現に、エイミィではないもう一人の選手滝川と言う選手は達也が担当しており、

魔法力は他の選手と変わらないが、危なげない勝利を手にしている。

 

つまり、一高は化け物エンジニアが二人いるという事だ。

 

「と言うことは、先ずその司波達也がエンジニアを務める競技。

それから何処かわからない四葉昼夜が引き受けている選手の競技は、

デバイスで2,3世代分分のハンデを負っていると考えるべきだ・・・!」

 

 

雫side

 

(昼夜はカーディナル・ジョージに対抗するにはこれくらいしないとって言ってたけど、

まさかこんなものを用意しているなんて思いもしなかったな)

 

しかし、それが恐ろしいほどに手に馴染む。

 

まるで、自分のためにだけ用意したかのように。

 

(・・・いや、それが当然か。昼夜なら使用者に一番合う道具を用意するだろうし)

 

現にエイミィと駿も文句を言うどころか絶賛だったので、

その評価は間違っていないだろう。

 

雫の相手である十七夜は、連鎖は続いているが所々ミスがあり、

それをふさぎこんでいる状態だ。

 

(対策されてる可能性もあるかもって言ってたけど・・・対策されてないなら)

 

そしてついに、十七夜の連鎖が止まってしまった。

 

「私の、勝ち」

 

逆に雫は機雷の範囲に入ったクレーを逃すことなく、最後まで問題なく事が運ぶ。

 

『試合終了! 北山選手、決勝進出‼』

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

昼夜side

 

「雫、お疲れ様」

 

壇上から戻ってきた雫に労いの言葉を贈る。

 

「ん、昼夜、ありがとう」

 

「まあ雫なら俺がCAD用意しなくても勝ったと思うが」

 

「うんうん、昼夜が用意してくれたCADだから頑張れた」

 

「それは嬉しいことを言ってくれるが・・・達也でも同じ判断だったと思うしな」

 

再び雫は首を横に振る。

 

「昼夜が用意してくれたことに意味がある」

 

褒められるのも悪くはないのだが・・・。

 

「っと、悪いが駿のところに行ってくる。相手はカーディナルジョージだし」

 

「うん、行ってらっしゃい」

 

昼夜はまだ気づいていない。気づかないようにしているのかもしれない。

 

気づいてしまえば・・・ヒルヨでもない鏡像(ホンモノ)の自分を見てしまうからか?

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「駿、準備は万端か?」

 

「勿論だ」

 

「女子の方はトップスリー独占みたいだし、お前だけでも表彰台に乗れよ」

 

雫たちが三人とも四位以上確定に対して、

男子はそもそも決勝トーナメントに上がれたのが駿だけだ。

 

「? 十七夜選手の実力なら滝沢さんは危ないんじゃないのか?」

 

「まあ実力を出せればの話だな。心が折れかけてるんじゃ、滝沢さんでも勝てる」

 

あの精神状態ならそれこそどんな相手にも勝つことはできないだろう。

 

「まあなんだ、俺が用意してやったCADを使って負けるなどと言う結果を残すなよ」

 

「なんかすげープレッシャーだが・・・まあ負ける気はしてないが」

 

「最初と、余裕があるなら一つ回せよ。それで大きくジョージの力を削げる」

 

決勝で使うのは同じ拳銃型ではあるが、俺のよく使うリボルバー式のものだ。

 

「分かってる、じゃあ行ってくるぞ」

 

駿はステージに立つ。カーディナル・ジョージも同じ。

 

ただ、駿のCADを見て、少し悩んだような顔をした。

 

 

 

解説の後、あっという間に始まった。

 

その瞬間、先に仕掛けたのは駿だ。

 

発動した魔法は光波振動系魔法。効果は部分的な暗転。

 

クレーを見て左に駿、右にジョージで並んでいる。

 

隠したのは右側、クレーは壊す色の選手側からよく出る。

 

つまり、ジョージの方から敵色が出やすいのだが、

隠してしまえばそこから出るまでの軌道を読む事が出来ない。

 

始めの奇襲に焦り、ジョージは反応が遅れる。

 

その後すぐに領域干渉ではがされるが、では上場。

 

それでも大きな差が出来ていないのは流石だろう。

 

一応ルールだが、相手への直接の妨害を禁ずるとはあるが、

直接妨害しているわけではないのでこのルールでの失格にはならない。

 

そもそも同じ範囲に魔法を発動する以上、干渉力による妨害は避けられない。

 

互いのスコアが70近くまで来たところ、駿がハンマーを倒した。

 

そして同じく振動系魔法が発動する。

 

効果はジョージのクレーの色である、赤のカーテンを発生させる。

 

効果は覿面で、ジョージのクレーは奥に設置した赤い幕と被り非常に見えずらい。

 

逆に、駿の撃ち落とす白のクレーはよく目立つ。

 

そして幕は、撃ち落としていい範囲のかなり奥に設置されている。

 

これにより、幕を消すには奥に意識を向けなければならない。

 

駿の場合、距離に関する感覚が非常に敏感なので貼るのは簡単だった。

 

恐らく、家業で敵との位置関係に関する感覚を鍛えられたのだろう。

 

結果として、ジョージは幕を壊す余裕がなく、不利な状態での戦闘を余儀なくされた。

 

スコアは、93vs81で森崎の勝利だった。

 

 

 




よし、取り合えず森崎君を原作よりもいい結果を与える事が出来た。
マルチキャストの練習その他諸々もしておいたんだぜ。
これが森崎Mk-2だ!
まだモノリスやってませんがね、まあ何かあっても昼夜君が敵をフルボッコにしてくれますよ。

敵が昼夜に敗れるのが先か!
この先登場予定の真夜様の親バカで昼夜の胃が破れるのが先か!
こうご期待!




昼「え! ちょマジ!」
私「マジですよ。むしろ来ないと思ってたんですか?」
昼「ここまで来ないものだからもう来ないかもって期待してた・・・」
真「昼夜~、何処にいるの~」
昼「あ、やべ! 逃げるに限る!」
私「あらら、行ってしまいました。
  まず皆さん、少し投稿遅れてしまい申し訳ありません。
  一応、今週中には間に合いましたので大目に見てくれればありがたいです」
真「あら作者、昼夜を見なかったかしら?」
私「向こうの方に走って行きましたよ」
真「ありがとう。昼夜~! お母さんはとお話ししましょう~!」
私「行ってしまった。まあ私は追憶編11,12節で学びましたから逆らわないのです
  では皆さま、次の作品でお会いしましょう。
  御閲覧、ありがとうございます!」

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