ちょっと昼夜君のピラーズブレイクでの作戦を考えてました。
ある程度は固まってますがちょっと細かいところを・・・ね?
と言うことで今回もどうぞ。
ナルとの交信が切れた後、ホロともやろうとしたが幹比古に止められた。
どうにも精霊と接触するのはかなりの体力を消耗するらしい。
実際俺もかなり疲れた。ホロは明日まで持ち越しだな。
しかし・・・ただのペットと思っていたら霊鳥が憑いているとは・・・。
世の中不思議なことがあるもんだ。
俺は漸くの事で部屋に戻った。
「おかえり、昼夜」
「よーぉ、いったい二人そろって何してるんだ?」
駿と鋼は部屋の防音性能が高いのにわざわざ固まって話をしていたようだ。
「アハハ・・・ちょっとね・・・」
「丁度良い、お前って許嫁とかいるのか?」
「許嫁? なんでそんな話が?」
どうやら恋バナとやらを二人でしていたようで、そこで俺の話になっていたそうだ。
「許嫁はいないな。彼女もいないし」
「ほほう・・・じゃあ好きな人はいるのか?」
「好き・・・ねぇ・・・」
少しばかし考える。恋愛として好きな相手・・・。
「・・・いないな」
「は? てっきり昼夜なら恋した経験ぐらいあると思ったが・・・?」
「そもそもの話だ。恋したところで何になる?
俺は十師族四葉に名を連ね、戦略級魔法を操る魔法師。
どうせ国とか民衆はとっとと結婚して次の世代を作れとでもいうんだろう」
「・・・なんかすまん」
恋に理想を抱いてはいけない。想像すれば絶望する。
恋という感覚に気づいていた時からわかっていたことだ。
「ま、そんなこと考えてたら誰かを好きになることなんてできやしないしな」
俺はナルとの交信でも疲れていたので、とっとと寝ることにした。
たまには一日中とか眠ってみたいものだ。
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目を覚めると色あせた空間。この部屋は昔自分が暮らしていた部屋。
そしてそこにある椅子に座り本を読んでいる、顔の見えない少し長め髪の少女。
自分は・・・この少女を知っている。
なにか、凄い大切なことを忘れている。
「あら、また来たのね」
これは夢だろう。そして俺は何度もこの夢を見た。
僅かに記憶にかかる霧が消えていく。
「これで何度目かしら? あなたは何度も私を忘れていたけど・・・」
「・・・あなたは?」
「あら? いつもより幾分か態度が柔らかね?」
少女に感じるのは理由のわからない同族嫌悪、そして懐かしさ。
「私は四葉
いや、彼女を含めれば2号ね。まあ、彼女は半分偶然の産物だけど」
四葉・・・ヒルヨ? そんな名前どんな記録にも残っていない。
「とは言えあなたは私を覚えていないでしょうね・・・。
私の力を羨み私の魂を自分の中に内包したなんて思い出したくもないでしょうし」
俺が、この少女の魂を内包した? だとして一体どうやって・・・?
「それと、私は別にあなたを嫌ってないわ。同族嫌悪はしちゃうけどね」
何故俺は彼女に同族嫌悪を感じる? それは彼女も同じ?
「私は自分と言う檻から抜け出せた。
結局あなたと言う檻の中だけどここも悪くないわ」
彼女は自分を完全調整体と呼んだ。そしていま彼女の魂は俺の中に?
次々に湧き上がる疑問符。だが、世界は止まることを許さない。
「まあ、気になったのならお母様に聞きなさいな」
彼女の周りに白い細かい粒子が舞う。
「チッ・・・!」
考えるのは後でいい。彼女は俺を攻撃するつもりだろう・・・。
白い粒子は机の上に集まり・・・クッキーが入ったバケットが現れた。
「は?」
「昼夜も疲れているでしょうし、話くらいでよければ聞くわよ」
「・ ・ ・ ・ ・ ・」
なんか緊張して損をした。と言うか夢の中のはずだけど何故クッキー?
そこから何を話したは憶えていない。
人の夢は・・・儚く消える。
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目が覚めた。夢の記憶はうっすらと残っている。
「四葉ヒルヨ・・・彼女は一体・・・?」
名前を憶えていても、その存在を思い出すことが出来ない。
なにか、自分と大きなつながりがあったはずなのに・・・。
夢の通りであるならば、彼女は俺の中にいるわけだ。
「考えても仕方ない。今日は九校戦初日、確か会長のスピードシューティングに、
委員長のバトルボードが見ものか・・・」
あのお二人ならそう簡単には負けないだろう。
食事も済ませてスピードシューティング会場に向かう。
会場はすでに満席。まあ、一番が会長だ。黄色い声援も飛んでいる。
因みに今は水波と二人きりだ。
「別に俺と一緒に行動しなくったっていいんだぞ」
「いえ、私は昼夜様のガーディアンですから」
「とは言え、席もほとんど空いてないな」
さっきも言ったが文字通り満席だ。空いてる席なんて・・・。
「もしかして昼夜お兄様ですか?」
後ろから声をかけてきたのは・・・と言うかそう呼ぶのは一人しかいない。
「泉美に香澄か。真由美さんの競技を見に来たのか?」
「それもそうですが、せっかくなので昼夜お兄様の競技も見れたらなと」
「そりゃあ負けるわけにはいかないし楽しませてやらないとな」
モノリスはともかくピラーズは飽きさせはしないだろう。
あと、さっきまで少し上機嫌だった水波が少し不服そうだ。
「でも席はいっぱいだぞ」
「大丈夫、お父さんがわざわざ指定席用意してくれたから」
指定席なんかはお金を払う必要があるので一般客は使わない。
「実は丁度二席余っていますのでご一緒にどうですか?」
正直願ってもない提案だ。立ち見も悪くないが座れるにこしたことはない。
「じゃあ遠慮なく使わせてもらうよ」
指定席もほとんど埋まっていた。この人気は流石エルフェン・スナイパーだ。
そして本番が始まった。
真由美さんが使うのは『魔弾の射手』と『マルチスコープ』。
「スピードシューティングは予選と本戦で作戦を使い分ける選手が多い。
予選は一人だから広範囲を巻き込む魔法を使えるが、本戦は敵のクレーも混じっている。
その中、真由美さんは予選本戦ともに魔弾の射手で突破するので有名だ」
生成されたドライアイス弾が空を飛ぶクレーを一つ残らず撃ち抜いていく。
結果はパーフェクト。本戦出場確定だろう。
「凄いですね・・・」
「真由美さんの先天的スキル『マルチスコープ』があるとはいえ、
クレーを一つ残らず破壊するのは簡単なことじゃない。
あんな悪戯好きな性格でもちゃんと一高の三巨頭なんだよな」
泉美と香澄が頷く。正確に関してはあの小悪魔はどうにもならない。
「では次は渡辺様のバトルボードですね。行きますよ昼夜様」
「え、あ、ちょっ・・・ひっぱるな・・・」
何故か水波は俺の腕をつかんで引っ張っていく。
水波に連れられてバトルボードの会場についた。
「まあ当然ボクたちもついて行くけどね」
「腕を握って・・・羨ましい・・・」
まあ、せっかくなんだからみんなで見たらいいだろう。
「いやぁ・・・しかし委員長堂々と立ってるな」
「私からすれば昼夜お兄様も何時も堂々としてますよ」
「「私(ボク)もそう思います(うな)」」
なんだかさっきから三人とも妙に張り合ってる気がする・・・。
何か仲が悪く様なことでもあったのか?
「三人って何か接点ってあったのか?」
「私が通っている学校は香澄様、泉美様と同じ学校です」
「え、マジで?」
それは聞いてなかったぞ・・・。別に言わなければならないことではないけど。
「学校では仲良くやってるのか?」
「はい、私は素性が割れてるので変に気にかけなくていいですし」
「私も(昼夜お兄様の事とか)よく聞きますし」
「ボクたちでよくお昼ごはん食べたりしているよね」
そうだったのか・・・。学校で問題がないとかは聞いていたが、ちゃんとやってるんだな。
「なんだか安心したな」
「え?」
「いや、水波が学校でもちゃんと暮らせてて安心した」
「そ、そうですか///」
「泉美と香澄もありがとうな」
「い、いえ・・・私もよく(話)してくださってますし///」
「むぅ・・・こう言うところがずるいよね///」
何がずるいのだろうか?
そう思った矢先、スタートのホイッスルが鳴った。
「始まったか・・・」
始めに行動起こしたのは四高、後方の水面を爆発させ波を作った。
妨害としてはよくある手だが、自分も動けなくなるようではな・・・。
「早くも委員長と七高の一騎打ちか」
この波を制したのは委員長と海の七高。
「これは・・・どうなのでしょう?」
泉美はどちらが有利かいまいちと言った所だ。
「身体技術では委員長、魔法技術では七高の選手が余裕があると思う。
委員長は移動魔法と硬化魔法を使っているが七高は移動魔法のみだな」
「「「硬化魔法?」」」
疑問符を頭を上に浮かべる三人。
「じゃあヒントだ。硬化魔法の基本は?」
「えーと・・・物質の相対位置の固定だよね・・・あ!」
どうやら三人とも気づいたようだ。
「委員長はボートと自分をオブジェクトを形作るパーツとして固定している。
それだけじゃないな・・・さっきの坂の逆流ではベクトル反転の加速魔法。
それに加えて振動魔法で波の影響を少なくしている。
これで本当にあの人が二十八家どころか百家でもなく、
有名な古式や外国の家のものでもないんだよな・・・」
他校がうじうじ言うのも分からんでもない。
七高は委員長の後ろについてコーナーに入る。
「七高が仕掛けた!」
声が上がる。七高は大きく余裕を取った委員長とは逆に内側に入る。
「・・・いや、オーバースピードだ」
七高は速度を制御できていない。このままでは壁に、最悪委員長にぶつかる。
(・・・上手く出来すぎている?)
何となくそう思い、眼を向ける。魔法発動の予兆は委員長たち以外は見えない。
委員長は七高の選手を受け止めるための魔法を発動していた。
しかし、魔法発動の予兆が委員長の足元に発生する。
魔法の効果は水面の下降。そして俺はそれに対する打つ手がない。
委員長の魔法はその変化で不発に終わり、七高の選手にぶつかりコース壁にぶつかる。
俺はすぐさま硬度をクッションレベルにした障壁魔法を発生させる。
そして俺自身も疑似瞬間移動でその場に向かう。
周りからは悲鳴が上がる。だがそんなものは今はどうでもいい。
「係員! 救急車と救急箱を早く!」
係員はすぐに俺の指示に従って連絡および救急箱を持ってきた。
委員長たちは気絶している。真由美さんたちも駆けつけて応急処置を施す。
俺たちにできるのはそこまで。後は救急隊員に任せるしかない。