四葉のもう一人の後継者   作:fallere

2 / 52
あけましておめでとうございます!
謹賀新年。今年もよろしくお願いします!

今回の話は番外編です。
小説内の時間軸は忘れてください。


番外編
ある年の迎春会


俺は今超絶に暇だ。

 

四葉家の慶春会。要するに顔合わせだ。

 

俺は叔父様叔母様に頭を下げて回った。

 

時折何故か嫌味を言わるがお母様はそれを返すという現場が何度かあった。

 

お母様は過保護だ。既に小四の俺を隣で寝させる。

 

そのせいか、俺は親離れできない子供呼ばわりされる。いや子供だけど。

 

今も、子供同士ででも遊んでなさいとは言われたが会場を出ていいとは言われてない。

 

一体トイレに行きたくなればどうすればいいというのだろう?

 

目的もなくぶらぶらと会場を歩く。

 

そんなことをしていると、俺の目に一人の美少女が映った。

 

美少女以外の形容法がわからない位の美少女だ。

 

俺は無意識に目が奪われていた。自分の喉元に何かが近づいているとは知らずに。

 

「⁉」

 

「動くな。深雪お嬢様を見ていたな、何が目的だ?」

 

声は俺の丁度耳元で聞こえる。俺と同じくらいの身長だろう。

 

「お前、何者だ?」

 

「答えないつもりか? それでもいいがな。

大人は睨み合いと称え合い。子供は無邪気に食事中だ」

 

ゆっくりとのど元に感じる冷たさを見る。

 

「バターナイフ?」

 

「バターナイフでも剣筋とパワーで頸動脈を切れるぞ」

 

確かにこいつの言う通りだ。体を軽く動かすが全て押さえられる。

 

声を上げたらすぐやられるだろう。

 

「降参だ。俺はただその・・・深雪? を見ていただけだ」

 

「・・・そのようだな。で、御当主様の息子がなぜこのようなところに?」

 

首元からバターナイフが離れる。そして俺は向き直る。

 

この様なところと言うのはここは会場の端っこだからだろう。

 

それはそれとして俺は遺伝子を見る。魔法に関する遺伝子はほぼゼロ。

 

ある二つを除いて。それ以外は平均をはるかに超えている。

 

「四葉の忌子か・・・」

 

「なんでしょうか?」

 

しまった、口に出ていたか。

 

「すまない。叔父様たちがお前たちの事をそう言っていたんだ。

かといって俺は言うつもりはないぞ。そう言うのも無理はないとは思うが・・・。

さっきのは口が滑ってしまった。許してくれ」

 

頭を下げる。するとこいつは少し慌てたように・・・

 

「そんな、一ガーディアンの私に頭を下げないでください。気にしてませんから」

 

そう言われて頭を上げる。そう言えば質問に答えていなかった。

 

「一応、さっきの答えだ。ただぶらぶらしてただけだよ。

 

それと、敬語やめろ。俺に勝ったんだ。呼び方も昼夜でいい。」

 

「・・・わかった、司波達也だ」

 

「達也は確か・・・深夜叔母様の息子だったな? それじゃあ深雪は?」

 

「俺の妹だ」

 

それにしては年に差はないように見えるが・・・。

 

「深雪お嬢様は三月生まれ、俺が四月生まれで一応同じ学年だ」

 

「そうか、俺は小4なんだが達也は?」

 

「俺とお嬢様も同じ学年だ」

 

ほうほう、意外と話してくれるもんだ。

 

「魔法の実力は?」

 

「俺がすっぽんなら月、泥なら雲だ」

 

「それはお前の力がどちらかと言うと異能だからか?」

 

「その通りだ。因みに、四葉家次期筆頭候補と戦っても負けないと思っている」

 

それほどか。そして筆頭候補などと言われている人がいるのか。

 

俺も一応次期候補だから誰かは知っておきたい。

 

「その次期候補って誰だ?」

 

「・・・知らないのか?」

 

「ああ、少なくとも大人の話には出てこなかった。この会場にいるのか?」

 

「ああ、今俺の目の前に」

 

達也の目の前、俺しかいない。

 

「まさかとは思うが俺じゃないよな?」

 

「そのまさかだ」

 

・・・マジか。

 

「どうにも御当主様が昼夜の自慢ばかりしているので次期にするのではとの事だ。

御当主様の自慢のせいで裏では陰口も多少飛んでいる」

 

「嫌味を言われたのはそのせいか・・・」

 

「俺も今会うまで甘やかされて生きていると思ったが・・・

 

昼夜、お前殺ってるな?」

 

「そこまでわかるのか? 流石だな。ただのガーディアンにしておくのが勿体ない」

 

「俺はお嬢様以外に付くにはないぞ」

 

・   ・   ・   ・   ・   ・   ・   ・   ・   ・

 

「念のために聞くが、いかがわしい理由で見ていたら?」

 

「さっきのバターナイフで首をはねていた」

 

まて、さっき頸動脈を切るだったのに首をはねる事が出来るのか。

 

達也は重度のシスコンだ。治る見込みは低い・・・

 

「待て、俺が見ていただけでナイフがあったな?」

 

「そうだぞ、もう忘れたのか?」

 

訂正、治る見込みはないだろう。

 

「仮に俺が死んで、他の家も当主と合わせてお前たちを消しにかかったら?」

 

「全員殺すか屈服させてお嬢様を当主にする」

 

さらに訂正。治そうと考えるのすらおこがましい。これが自然だと認識しろ。

 

「んで、出来れば深雪の事を聞きたいんだが・・・」

 

達也がそこまで言う妹だ。きっと、ものすごくいい人だろう。

 

それから、凄く丁寧に深雪の話をさせられた。

 

クラスで友達を助けたとか、そんな小さなことでもどんどん話してくれる。

 

「こんなものでは足りないが・・・今日はここまでだな」

 

「ん? ああそうか。もう時間だもんな。

携帯は持ってるか? L〇NEやってるならID交換しとこうぜ」

 

「わかった、俺もお前と話せて楽しかった。今度はお前の話を聞かせてくれ。

お前しか知らない御当主様の秘密でも何でもありだ」

 

「それ話すとろくなことなさそうではあるけどな・・・」

 

そうして交換して俺たちは別れた。

 

これが俺と達也との馴れ初めだった。

 

 




日を跨いでしまったけど仕方がない。
今回のお話は達也との馴れ初めでしたが、追憶編で言ってたやつです。
今年になったら番外編をやるといったな。約束は果たせたぞ。
(期限遅れには目を瞑ってください。)
では皆さん、改めまして、よいお年を。
わたくしも皆さんのよいお年の一因となれるよう頑張ります!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。