真「はぁ、なんか嫌な予感がする・・・」
昼「御当主様、少しお話が・・・」
真「ギャァァァァァ」
水波と早めに食事を食べて、早めに学校に向かう。
学校にはクラブ出来ている生徒以外は誰もいなかった。
水波を図書室に送った後、俺は教室に向かった。
教室にはまだ誰もいなかった。俺は人形を作ることにした。
昨日作りかけた一高制服水波だ。人形があると何かと便利だ。
暫くして生徒が何人か入ってくるが、誰も声はかけない。
昨日達也たちと仲良くしたからだろうか?そんなプライド捨てればいいのに。
そう言う意味では鋼やエイミィが差別意識が薄くて助かった。
そんなこんな話していると、俺のディスプレイに連絡が来る。
『四葉君、今日のお昼、生徒会室でどうかしら?
因みに深雪さんと達也君も来るんだけど、
来なければ、今日女の子と一緒に登校したこと深雪さんに伝えるわね♡
小悪魔生徒会長より』
どうにも昨日の事が根に持たれているようだ。
取り合えず、用事がなければと返答しておく。
ホントに大きな用事がなければ行くとしよう。
「おはよう、昼夜君」
「この声は、鋼か。おはよう」
鋼が来たのだし例の漢字について聞くとしよう。
「ところでだが、この漢字の読み方と、出来れば意味も教えて欲しい」
「ん? どれだい?」
俺は持ってきたメモ帳に『恋愛』と書く。
「・・・、えーと昼夜君。からかってるの?」
「いや、本気でわからん。昨日俺の護衛に出されたのだが全くだ」
「えーとね、その意味は・・・」
「昼夜!朝一緒にいたうちの制服じゃない女の子は一体誰⁉」
そう言ってやってきたのはエイミィだった。
「待て四葉! 女ってどういうことだ!」「しかも他校のを連れ込んだのか!」
「俺の護衛だ。訳有って今日は図書室にいてもらってる」
「いや、昼夜。君に護衛は必要ないんじゃないかな?」
「一人だと留守の間に家に侵入されるかもしれない。
そうじゃなくても家の周りはうちの精鋭が見張ってるが」
ここでうちのクラスは二つに分かれた。
鋼、エイミィたちの『その女子は俺の護衛だと信じる派』
その他主に男子の『その女子は俺の彼女では?派』
まぁ信じてくれる仲間がいるのは有り難い。
そんで色々言い合って、鋼とエイミィ以外は散っていった。
「で、鋼、これは何て読むんだ」
「それはね、レンアイだよ」
「それで意味は?」
「私が言う!それはね・・・」
それからエイミィの話を聞いて・・・。
(俺は一体何をやらかした!)
昨日盛大にやらかしたことに気づいた。
水波はあの言葉をどう解釈しただろう?
いや、今はそのことは考えても仕方ない。
水波に危険が及ばないよう目を張らなければ!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
二時間目の途中、俺の眼は校内に忍び込む輩を目撃した。
細目で紺の略式化された法衣を着た坊主の中年男性だ。
こんな目立ちやすい格好だが、魔法を併用している。
そのせいか意識から外されそうになるがそう言う訳にもいかない。
そして、俺に気づいたのか急遽走り出した。
魔法と走力で俺の眼から逃げるつもりか。
『見るものは見られている』言葉の通りだ。
そんなことはどうでもいい。俺は授業を中退して男のもとに行く。
「待った!」
俺はやっとのことで男の正面を取った。
因みに魔法で声も姿も周りに見えないようにしている。
「まさかこんなに早く見つかるとはねぇ」
「あんたか? 昨日水波を襲ったのは?」
「なんの事かな? 昨日と言えば弟子を使って少し脅かしはしたが?」
「そうか、なら弟子の責任は師匠がとらないとな」
俺は魔法を発動する。
「でも僕が襲わせたのは・・・っと、いつの間に?」
これほどの魔法、そして走力の持ち主だ。学校でやれば吹き飛びかねない。
だから疑似瞬間移動でこの近くの山まで俺とこいつを飛ばした。
無論、風は起こさずに。
「俺の周りに手を出したこと、後悔させてやる」
「ふむ、君は何やら勘違いしているようだが、いいよ。僕が相手になってあげる」
一触即発、どちらかが動けばそれで始まる。
だが互い動かない。いや、ほんのわずかに動いている、目だけが。
互いにそれだけで相手が動きを読んでいることを悟る。
故にどちらも動けない。
(なら!)
『
そう、魔法と言う大きな動きが入ったからである。
そしてそうなることも読んでいた。俺は後ろに下がる。
が、まるで距離がなかったかのように詰められる。
蹴りを受けて木に当たる。魔法を発動する暇もなかった。
そして悟る。相手は少なくともこの距離では格上であると。
近接戦に関する才能を俺は持っていない。未だに体術は型でいっぱいだ。
俺がこの距離で満足に戦うためには魔法が不可欠である。
そしてそれはこの一回で見切られただろう。
今発動している魔法は『光学の眼』とあれのみ。つまり俺はもう他の魔法を使えない。
(魔法の選択を誤った! ここまでとは思っていなかった!)
「お前、古式の術者だな。同時に体術の会得者だ」
「よく分かったね。その通りだよ」
今できるのは言葉で時間を稼ぐことだ。
初めて視認した時も、今回も『
それに術式消失自体は元々見えないようになっている。
眼だけで勝つとなるとこの相手には非常に厳しい。
もう一度魔法を発動しようとする。次は愛用の『ドライブリザード』。
だが、再び発動前に俺を吹き飛ばす。
だが、ドライアイスの弾丸は生成され、男を狙う・・・が躱される。
「ほう、吹き飛ばされてからも魔法の標準を変更したか。君も中々のやり手だね。
それもCAD無しでこなすとは、流石は四葉なだけはあるね」
だめだ、CAD無しではこれが限界だ。校則でCADは預けているから使えない。
「・・・俺のことがわかんのか?」
「勿論だよ、初めて君の映像を見た時から怪しんではいたね。
ホントに身長の高い方が四葉昼夜なのか、ってね」
「そこからか、お前みたいなやつがなんでこんなことをしてるんだ?」
「それは君がけんか吹っ掛けてきたからだろう?」
「成程、言うつもりはないか。それならそれでもいいや」
「いやね、君が勘違いしてると・・・」
「こっからが本番だ、覚悟しとけよ!」
俺は想子を放出する。再び男は肉薄する・・・が、直前に飛びのく。
「その気は・・・一体どういうことだ?」
「気? お前は忍者か?」
「ノンノン、僕は由緒正しき忍びだよ」
「成程、古式魔法、体術の正体は忍術か」
「その通り、古式魔法の事も結構知ってるみたいだね」
忍術を完全に会得してしていて克法衣を着ている?
そんな男は・・・その可能性がある以上、少し試してみるか。
放出した想子を腕のように扱い男を狙う。だが男はそれを難なく避ける。
それを暫く繰り返す。
男はまるで俺の想子の事を知っているかのように当たろうとしない。
「お前、この想子のこと知ってんのか?」
「多分、君が考えている以上にね」
「ならこれは?」
男の後ろからカッターナイフを持った人形が迫る。
完成させた水波人形だ。それも躱されて確信した。
俺は攻撃をやめる。想子はただ俺の周りにだけ集まりシェルターを作る。
「おや? もう終わりかい?」
「・・・もしかして、『今果心』、九重八雲か?」
「その名前まで知っているのかい?」
「これでも個人的に魔法関連はひたすら漁ったんだ。古式も現代もな」
「それは勉強熱心なことだね。その通り、僕は九重八雲だよ」
俺は纏っていた想子を霧散させる。
「どうやら俺が探してる相手は九重さんではないみたいだ」
「ずっとそう言ってるじゃないか。僕が昨日襲ったのは達也君だよ」
「・・・マジで?」
「大マジさ、勿論ただの組手だけどね」
襲っておいて組手とはこれ以下に。
「昼夜様‼」
そこに水波がやってきた。
彼女が得意なのは障壁魔法だ。故に魔法的にも空間把握能力は非常に高い。
だから俺が九重さんとここに飛んだことに気づいたのだろう。
「水波! なんでここに来たんだ! 今外は危ないだろ!」
「そうですが! 昼夜様こそこんなところで何をしているのですか!」
それを見て、九重さんは・・・
「うん、取り合えず君達。今自分が知ってることを情報交換したらどうかな?
どうにも話は複雑に込み入っているようだから」
とのことなので、俺たちは情報交換をしてみた。
その結果・・・
「「//////」」
互いに盛大な勘違いをしていたことに気づいた。
水波は俺に恋愛の事に関して興味持たせたので、
お母様に粛清されるのではと思っていた。
対して俺は、水波が何者かに狙われていて、
それで守らないといけないと思っていた。
もし仮にお母様が動いていればそれはそれで成功だったのではと思うが。
「君達、どうしたらそこまで勘違いできるのさ?」
「「滅相もございません‼」」
始めの理由が特別な関係と言うワードだ。
俺は恋愛と言うものを感覚的に知っていて表す言葉を知らなかった。
理由は、深雪の達也に対する態度だった。あれはもうシスコンを超えていた。
特別な関係がわからなかったのは俺がそれを現す言葉を知らなかったからだ。
「うん、原因はお母様なのでは?」
「同意です」
よし、水波の同意も取れたので本家に電話をかける。
『もしもし、昼夜様ですか?』
「葉山さん、お母様に変わってもらえる?」
『かしこまりました・・・』
それで暫く間があって。
『昼夜、こんな時間にわざわざ電話をくれるなんてお母さん嬉しいわ。
でも、授業はサボっちゃダメよ。こんなことしてたらバカ息子って・・・』
「お母様、恋愛って知ってる?漢字でも意味でも何でもいいから」
『ああ、協会に祈りをささげる・・・』
「それ礼拝」
『期限で今年中と言う意味の・・・』
「それ年内」
こんな事がしばらく続いた。
『昼夜に何かあった時のマニュアル』はこういう時のためのものだろう。
「さて、そう言うつまらないことはもう無しね。
お母様、俺の勉強するドリルや辞書からそういうもの抜き取ってたでしょ?」
『そんなことは・・・』
「御当主様と呼ぼうかな?」
『ごめんなさい! まだ昼夜には早いと思ったの!』
ならなんで深雪たちと一緒に沖縄に行かせたのだろう?
「一応確認するけど、まさか水波に差し金向けて無いよね?」
『そんなこと・・・』
「御当主s」
『葉山さん! 今すぐ彼を止めて!』
「はぁ、そんなくだらないことで女の子殺そうとするなんて最低だと思うよ」
『・・・私も反省してるわ。ちょっとやり過ぎ・・・』
「御当sh」
『いや! 間違いなく過剰なくらいにやり過ぎたわ!
だからお願いもう許して!』
「て言ってるけど、水波はどう?」
「少しお電話をお借りしてもいいですか?」
「勿論、言いたいことは言った方がすっきりするぞ」
「それでは失礼します」
そう言って水波は顔を赤くしながら、ぼそぼそと何かを言った。
「私からはこれで以上です」
そう言って通信機を渡してくる。
「んで、そんな理由でもうこんなことしない?」
『勿論しないわ。それと、あなた水波ちゃんの事今以上に真剣に考えてあげるべきね』
「? どういうことだ?」
『分からないようならまだまだと言う事よ。じゃあ、私は仕事に戻るわ』
そう言って電話は切れた。
「ところで君達、学校はどうしたの?」
「ああ、今の時間は・・・」
「日の向きからして十二時半過ぎだね。相当話してたみたいだ」
十二時半、うちの学校では昼休み直前だ。
「・・・まずい! 水波、急ぐぞ! って水波は家か!
九重さん! また今度!」
「うん、機会があればね」
俺は水波の手を握って『疑似瞬間移動』を発動した。
水「はわわ・・・御当主様に言ってしまった///」
はい、前書きの通り真夜さんのsan値は非常にピンチです。
それと、水波√時の基点を作れました。
これで水波√がいい人にこたえられる。
この調子で昼夜君はどんどんフラグ建築していきます。
今回の事でわかったと思いますが昼夜君は自分の周りの事だとものすごく熱いです。
それに誰が引かれて、誰が相手となるか。わたくしも楽しみです。
だってこの文章、書いてるときの即興でもありますから。
全ては私の想像力次第!