四葉のもう一人の後継者   作:fallere

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これまでのあらすじ。
(前略)
(中略)
(後略)
訳:今までの話を見てください



追憶編 九節

昼夜side

 

 

もはや胸の傷の痛みすらも無くなり、ただ生ぬるい感覚と、

視界狭まっていくのを待つことしかできないと思ったが・・・。

 

「・・・ん?」

 

しかし、意識が急にはっきりする。

 

「昼夜‼」

 

すると深雪がいきなり俺の胸に頭を預けてきた。

 

「おわっ!・・・ええと・・・」

 

目線を上げると、達也が立っていた。右手のCADを向けて。

 

「達也助けてくれたのは嬉しいけど右のCADは分解用じゃなかったっけ⁉」

 

俺は恐怖を感じて息継ぎ一つもせずに言い切った。

 

「全く、これで気を失ってたら強度最高の分解を使うところだったぞ」

 

もう少し遅ければ確実に殺られるところだった・・・。

 

「そうなったら俺の気分がよくないからな」

 

あ、一応気分は害することになるんだ。まぁそれほどではないだろうけど。

 

「それより昼夜、お前の情報がずいぶん小さくなってるぞ?」

 

「あ~、そういやおなかすいたな・・・」

 

俺はバッグに入れていた大量のチョコレートバー出す。

 

それを深雪にかからないようにどんどん食べる。

 

「んでモグムシャ・・・風間さん、これは一体どういうことですかムシャゴク?」

 

達也に遅れて入ってきた風間さんに話しかける。

 

「・・・わが軍から反逆者が出たようだ・・・申し訳ない。

罪滅ぼしにはならないだろうが、望むことはなんなりと言ってくれ。

国防軍として出来る限りの便宜を図ろう」

 

風間さんにそこまでの権限がムシャムシャあるかどうかは疑問だがモグモグ、取り合えず・・・

 

「正確な状況を教えてください。敵は大亜連合ですね?」

 

俺の代わりムグムグに達也が聞いたゴクンゴクン。

 

「確証はないが、恐らく間違いないだろう」

 

風間さんが答えると同時に俺も大量のチョコバーを食べ切った。

 

「敵を水際で食い止めてるというのは、嘘ですね?」

 

達也が矢継ぎ早に質問する。口がチョコの味になったので次は水をがぶ飲みする。

 

「そうだ、名護市北西の海岸に敵がすでに上陸している。

慶良間近海も敵に制海権を握られている。兵員移動も妨害を受けた」

 

結構ガボガボ酷い状況ゴクゴクだなゲッホッゲッホ・・・むせた。

 

「だが案ずることはない。ゲリラについてはさほどの数ではなかった。

軍内部の反逆者も間もなく片付くだろう」

 

「・・・プハァ、上陸地点の確保が終了したからゲリラとかは用済みだろ。

捨て駒失ったって『国民多すぎワロタww』とか言ってる大亜連合には痒くもないだろう」

 

「・・・・・・」

 

水を飲み終えた俺の言葉に風間さんは黙ってしまう。

 

図星だったから・・・だけではないようだがそれはどうでもいい。

 

「んじゃ次、深夜さんと桜井さん、そして深雪を指令室にでも保護してください。

どうせ民間人用のシェルターよりも強固なんでしょう?」

 

「分かった。防空指令室の装甲の強度はシェルターの二倍だ」

 

やっぱりな。

 

「では最後にアーマースーツと歩兵用装備一式を貸してください。

と言っても、消耗品はお返しできませんが」

 

その時スマホが震える。電波はギリギリはいるようだ。

 

そこにはお母様からのメールが・・・

 

『思う存分暴れて構わないわ。

 昼夜に歯向かう事の恐ろしさを存分に教えてあげればいいわ。

                   あなたを愛する母より』

 

「何故だ?」

 

風間さんは達也の要求に疑問を上げる。

 

「彼らは妹に手をかけました。その報いを与えなければいけません」

 

それが達也の決断。無論俺も・・・。

 

「俺は装備入りません。この身とCAD一つ?・・・二丁で殲滅します」

 

お母様からの連絡の意味は要するに目立てという事だろう。

 

と言う事なんでスーツもいらないだろう。

 

一応、画像にはある程度魔法でぼかしておこう。水蒸気でも纏えば十分だろう。

 

「君が戦う理由は?」

 

戦う理由?そんなもの決まっている。

 

「俺が四葉だから。四葉は手を出したものに容赦はしない。

俺個人の理由が必要なら、俺がその思想に染まっているから。

俺も、自分の日常を壊すものは叩き潰す」

 

「・・・二人だけで行くつもりか?」

 

「自分がなそうとしているのは個人的な報復です」

 

「俺が出るのは報復に加えて一厘の十師族の義務だ」

 

「それでも別にかまわん。感情と無縁な戦争などありはしない。

復讐心を持って戦うにしても、制御されていれば問題ない。

無論、非戦闘員や投降者の虐殺を認めるわけにはいかないが」

 

「「投降する暇など与えない(ません)」」

 

「ならば良し、今回の任務は侵攻軍の撃退、降伏の勧告をする必要はない」

 

風間さんも俺たちとは違う闘志を見せる。

 

「司波達也、及び四葉昼夜、君たちを我々の戦列に加えよう」

 

「俺は軍の指揮に従うつもりはない」

 

「自分は敵が同じ以上、肩を並べて戦います」

 

風間さんは真田さんに達也の装備を持って来させる。

 

俺は俺で先に基地から出ようとする。

 

「お兄様!昼夜!」

 

その時、後ろから深雪の声が聞こえる。

 

「どうかした、深雪?」

 

「どうかしたじゃありません!お兄様はきっと止まりません。

でも・・・昼夜はお願いだから行かないで!」

 

「深雪・・・」

 

まさか、ここまで言ってくれるようになるとは思ってなかった。

 

だけど、ここにとどまるわけにはいかない。

 

「止めてくれてありがとう、深雪。でも、俺はここにいるわけにはいかないんだ。

達也の目標は魔法師が兵器ではなくなること。

でも、俺は自ら自分の体を兵器にした。だから俺は戦わないといけない。

それがただ強くあることを望んだ俺の義務。

・・・安心して、俺は必ず敵を殲滅するし、使い捨てで終わるつもりもない」

 

使い捨て、自分を道具と割り切った考え方。

 

深雪は残念そうな顔をした。俺はとりあえず頭を撫でる。

 

「深雪、さっき言った通り俺は帰ってくるつもりだ、無論達也と一緒に。

だから、深雪は俺たちが帰る場所にいて欲しい。深雪の場所は達也ならわかるから」

 

深雪は顔を上げてくれて・・・

 

「分かりました、必ず帰ってきてください」

 

勿論、とだけ答えて俺は戦場に向かった。

 

 

 

深雪side

 

 

お兄様と昼夜は角を曲がって行ってしまった。

 

「あら、昼夜も行ってしまったのね・・・」

 

「お母様・・・」

 

私は話の中で言っていた一つの言葉を思い出した。

 

「お母様・・・昼夜が言ってたのですが、自分を兵器にしたと・・・」

 

お母様は少し困ったような表情をする。

 

「・・・そうね・・・昼夜が言ったって言う事は知られてもいいという事でしょう。

でも、まずは安全な場所に移動しましょう」

 

私たちは防空指令室に向かった。

 

 

 

指令室は装甲扉を五枚抜けた先にあった。

 

中ではたくさんのオペレーターが大型スクリーンに向かっていた。

 

そのスクリーンには戦場が映っている。

 

敵兵や戦車が霧のように消える。けが人はすぐに無傷に戻る。

 

お兄様の魔法、『分解』と『再生』だ。

 

そして別のスクリーンには、夜の中で敵が閃光に飲まれて消え去った。

 

恐らく昼夜だろう、いや、夜を使えるのはこの世で叔母様と昼夜だけだ。

 

昼夜に向かう弾丸は全て跳ね返される。その弾丸は全て敵の胸を突く。

 

「そろそろ、話をしましょうか」

 

「あ・・・はい」

 

お母様は桜井さんに防音シールドを展開させた。

 

「昼夜は今でこそ『流星群』や『回復』を使えるのだけど、

生まれた時からと言うわけではないわ」

 

魔法と言うのは生まれつきの才能がモノを言う。

 

お母様の行ったことは元はそれらを使う事が出来る才能がなかったということだ。

 

「昼夜の本当の魔法、それは『生体構造干渉』、要するに遺伝子操作。

ある意味私の精神構造干渉の対極に位置する魔法ね」

 

遺伝子操作、その言葉一つで昼夜の言った言葉の意味を理解した。

 

「昼夜の魔法師としての才能のキャパシティは常軌を逸していた。

『流星群』『回復』『エネルギー』それらの魔法を得てもまだ余りあるわ。

昼夜がそれらの魔法を得たのはただカッコいいから、強いから、面白そうだから。

そんな些細な理由、でも後になって昼夜は魔法が戦争に使われていることを知った。

昼夜は強くなろうとした結果自分が兵器になったと感じた」

 

「ですがそれは・・・!」

 

「ええ、すべての魔法師が魔法と言う兵器を持っている。

だけど、昼夜が得た魔法はとりわけ強力な魔法ばかり。

だから昼夜は自分を兵器と呼ぶ。人を殺すために作られたモノ。

そう割り切って、四葉の人間として生きていくことを決めた。

四葉はかつて国一つを滅ぼした。だから自分にはぴったりだと」

 

魔法師は元々兵器として開発されたことも気にしてるのでは、と話を締めくくった。

 

桜井さんも驚いている。昼夜はただ無邪気に強さを求めた。

 

それが人を傷つける力になると知らずに、殺す力になると知らずに。

 

昼夜はそれを知った時どう思っただろう?

 

私は元から使える魔法が決まっていた。才能と言う範囲が決められていた。

 

でも昼夜は遺伝子を操作をすることでその範囲を広げる事が出来る。

 

そしてその範囲を広げた価値に気づいてしまった。

 

魔法師としてそれらの強力な魔法を使う価値を。

 

それに気づいてしまった時のショックはどれだけだったのだろう・・・?

 

 

 

昼夜side

 

 

世界は夜に包まれている。敵が閃光に飲まれる。消える。

 

『流星群』派生『恒星(ファイクスド・スター)』。

 

空間内の光を光球と闇に分けさらに一定の空間の光透過率を100%にする。

 

その空間に光球を発生させ、対象内の個体、液体を気体にする。

 

要するにただ線か空間かの違いだ。

 

昼夜は一人でここ一帯の敵全てを光に変えた。

 

念のため眼を広げる。一人茂みの中に隠れている。銃を俺に向けていた。

 

銃弾が俺の下腹部に当たる。数発食らったが障壁魔法で残りを防ぐ。

 

弾丸を移動魔法で抜く。そして『回復』を発動する。

 

撃たれた傷がふさがっていく。

 

この魔法は食べることで得たエネルギーを情報次元の自分に張り付ける。

 

傷を受けた時、そのエネルギーを使って細胞を超速で分裂を繰り返す。

 

それによって傷を回復させる。

 

ただ、心臓の近くなどは傷が治るよりも先に血流がさらに傷を作る。

 

だから心臓などは最優先で守らないといけない。

 

腕がちぎれた、とかは治す方法はある。

 

因みに、俺が少食なのはエネルギーを情報次元に張り付けるため、

 

肉体的におなかが減っていても、情報的にエネルギーは足りている状態だからだ。

 

銃を撃った兵士は茂みごと光に飲まれた消え去った。

 

「やっぱり、人を殺すのは楽しいな・・・」

 

何時からそう思うようになったのかはわからない。

 

四葉としての任務を始めた後だというのは分かる。

 

兵器として生きることを決めて人を殺した。始めから抵抗はなかった。

 

始めから楽しいとは思わなかったけど、慣れたからだろう。

 

まぁ、今はそんなことを考えても仕方ない。ただ敵を殲滅するだけだ。

 

 

 




なんか中途半端なところで終わってしまいました。
『恒星』『回復』の魔法理論間違ってたら意見ください。
但し多少の理論のずれは許してください。
それと投稿遅くなってすいません。いつも通りゲームしてました。
次は早く出せるよう頑張れたらいいです。

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