SAO帰還者のIS   作:剣の舞姫

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ぎゃあああ携帯使えなくなった!!!

戦闘描写が一番書きやすいっすね……スランプ関係無く。
でも、まだスランプ継続しています。今回は本当に長い……日常系が全くとは言いませんが、すんごく思い浮かばなくなってしまっています。
ハイスクールD×Dやリターンが全然ネタ浮かばなくなって、困った。
この作品だって、戦闘シーン終わったら恐らくスランプ継続していれば思い浮かばなくなりそう。


第七十二話 「閃光VS赤目」

SAO帰還者のIS

 

第七十二話

「閃光VS赤目」

 

 セシリアとMが戦っている頃、教室で一般生徒や来場者の避難誘導を行っていたラウラとシャルロットは丁度休憩で学園祭を見て回っていた箒、それから騒ぎを聞きつけた簪とクロエの三人と合流を果たした。

 二人から事情を聞いた箒と簪は直ぐに紅椿と打鉄・弐式を展開して避難する人達に万が一が起きないように空中から護衛を兼ねての避難誘導と、クロエの護衛を開始する。

 

「箒、すまないがハイパーセンサーを広域索敵モードにして避難客の誘導先に武装した人間が居ないか確認してくれ」

「了解した……よし、大丈夫だ。この先に危険は無いようだ」

「でも、さっきの騒ぎで一部校舎の壁が崩れそうになっている所がある……箒、クロエをお願い」

「頼む」

「簪さん、僕も一緒に行くよ」

 

 簪がクロエの護衛を箒に任せてシャルロットを抱えながら脆くなっている校舎の壁の撤去に向かった。

 残った箒とラウラはクロエの護衛をしながら避難誘導を続けているが、やはり人数が人数というだけあって思うように進まない。

 

「よう! ハーゼの嬢ちゃんにツバキ嬢ちゃん」

「お前は……クライン!?」

「師匠!」

 

 すると、三人の所に現れたのは真耶と共に避難誘導の手伝いをしていた遼太郎だった。一応、彼も一般人として避難する側の筈なのに、何をやっているのか。

 

「クラインだけじゃないぜ」

「エギルもか」

「アタシ達もね!」

「お手伝いしますよ!」

「お兄ちゃん達が戦ってるんだから、協力くらいするよ」

「リズベットさんに、シリカ、リーファも」

 

 それだけじゃない。エギルの妻と流石に避難したらしいが、シンカーとユリエールの二人も協力に駆けつけている。

 

「流石に戦えっていうのは無理だけどよ、避難誘導くらいなら俺達にも出来るからな。それに、子供達が頑張ってるのに大人の俺達がおめおめ逃げてたんじゃ男じゃねぇ!」

「ちょっとクライン、あたしとシリカとリーファは女なんだけど」

「ユリエールさんもですよリズさん!」

 

 こんな騒ぎだっていうのに、流石はSAO生還者というだけあって随分と落ち着いている。人手が足りないのもあるので、今回は彼らの協力を得る事にしたラウラは早速だが指示を出して避難誘導の振り分けを行う。

 その際、遼太郎には真耶が付いていて、何かあれば真耶が教員用にと学園祭の間持たされている訓練機へ通信を入れる事になっているので、問題は無い。

 

「後は頼む……」

 

 避難が随分とスムーズになってきたのを確認したラウラは、上空へと目を向ける。そこでは、瞬光を纏った明日奈がザザを相手に正しく閃光の如き応酬を繰り広げていた。

 

 

 学園上空では、瞬光を纏った明日奈がランベントライトを片手にザザのエストックと激しい火花を散らしていた。

 お互いに獲物は細剣であり、使用するソードスキルも同じ細剣スキル。更に付け加えるのなら、二人ともアインクラッド時代は同じスピード重視のステータス振り分けをしていた完全速度型のプレイヤーだったという事もあり、戦い方は非常によく似ている。

 

「っ!? くっ、はぁあああ!!!」

「……っ」

 

 明日奈の目にも留まらぬ突刺の嵐をザザはエストックで捌き切って逆に同じように突刺の嵐をお見舞いする。

 明日奈もザザ同様にランベントライトでエストックの刃を弾くことで捌き、隙を見てはランベントライトの刃をエストックの刃に思いっきり叩き付けて弾き飛ばそうとしていた。

 

「くっ!」

「男と、女の、力の差……わからないお前じゃ、ない」

「そうね……でも、だからこそ速度で負けるわけにはいかない!!」

 

 ここで、ザザの乗るISについて説明する。

 赤目のザザこと、本名:新川昌一が乗る専用機ハングドマンはイタリアの第2世代型ISであるテンペスタを元にして亡国機業(ファントム・タスク)が束の所から強奪した無人機ゴーレムのデータと融合させ完成した第3世代機だ。

 故に、Pohやジョニー・ブラックの機体よりも速度という点では抜きん出ており、瞬間最高速度はイタリアの第3世代機であるテンペスタⅡをも上回っている。

 その漆黒の装甲に、まるで返り血を浴びたかのような赤いペイントが施されたハングドマンという機体は、正しくザザが乗る事を前提にして作られており、赤いペイントはまるでアインクラッドで彼が手に掛けた者達の血潮なのではないかとすら思ってしまうほど。

 

「衰えた、な……アインクラッドに、居た頃の、閃光のアスナは、もっと速かった……もっと、鋭かったぞ」

 

 ザザの放ったリニアーを同じリニアーで相殺しようとして出来ず、胸の装甲を掠った明日奈を見て、ザザがそんな事を言ってきた。

 

「っ! ええ、そうでしょうね。確かに、あの頃に比べれば今のわたしは衰えたのかもしれない」

 

 明日奈だけじゃない。和人も、一夏も百合子も、あの世界で戦っていた時と比べて実力は間違いなく劣っている。

 確かにISは一歩間違えれば相手を殺しかねない物で、それに乗って戦っているとはいえど、やはりルールに則って命を掛けない戦いというのは剣士達の刃を衰えさせるのに十分だったようだ。

 無人機襲来やシュヴァルツェア・レーゲンの暴走、臨海学校の時の銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)との戦いなど、これら命懸けの実戦はあったが、その3回だけの実戦で、しかも日常的に行っているのではなく間を置いての戦いでは実戦の勘というのも鈍るのは当然だろう。事実、4人とも自分の実力が衰えたという実感があるのだから。

 

「それでも! 守るべきものが背中にある以上、わたし達は負けられない!!」

 

 ゆっくり、明日奈は右手のランベントライトを肩の高さまで持ち上げ、切っ先をザザに向けると、体を横に向けて左手を刃に添える。

 閃光のアスナ、そしてバーサク・ヒーラーのアスナが得意としている必殺の構え、この構えを取った時の明日奈は間違いなく本気の証。

 

「はぁああああああっ!!!」

「む……っ!」

 

 瞬時加速(イグニッションブースト)で一気に接近してきた明日奈のランベントライトによる横薙ぎを受け止めようとしたザザだったが、そのエストックの刃に明日奈はランベントライトの刃を滑らせるよにして弾いた。

 瞬間、もの凄い金属音が当たり一面に響き渡り、地上に居る者達もあまりの音に耳を塞いでしまった程だ。

 

「んぬぅっ!」

「っ!」

 

 突刺、払い、薙ぎ、様々な攻撃を放つザザに、明日奈は悉くを弾いて応戦し、カウンターのようにランベントライトにライトエフェクトの輝きを纏わせる。

 

「せぇええあああああ!!!」

 

 四発の突刺を放ち、更にその場で回転しながら遠心力を加えた五発目の突刺を出す細剣ソードスキルの一つ、ニュートロンがザザに直撃した。

 だが、ザザもやはり元々の実力だけなら攻略組クラスに届いていた程の人間というだけあり、ニュートロンの後、スキル後の硬直代わりとして設定されているISの一時的な機能低下の隙を突いて同じく細剣ソードスキルを発動する。

 

「っ! くぅっ!?」

「ふん!」

 

 突進しながらの6連撃は元々速度重視系スキルの多い細剣スキルでは珍しいパワー重視系のスキルの一つ、スピカ・キャリバーだ。

 

「きゃあ!?」

 

 最後の一撃が相当に重かったらしく、明日奈の手からランベントライトが弾き飛ばされてしまった。

 武器を失った明日奈に、トドメとばかりにザザのエストックの凶刃が向かうが……あろう事か明日奈はエストックの刃を左腕の装甲に食い込ませる事で受け止め、右手を手刀の形にして右手をライトエフェクトによって輝かせる。

 

「せぁああああ!!」

「ぬぅううっ!!」

 

 エクストラスキル体術の上位スキル、エンブレイザー。ゼロ距離から手刀を相手に突き刺すという強力な一撃はザザの乗るハングドマンの左の非固定浮遊部位(アンロックユニット)に突き刺さり、スラスターの一部を破壊した。

 

「まだ!!」

 

 更に追い討ちとばかりに左手の装甲に食い込んだエストックの刃を抜くと、その左手に高速切替(ラピッドスイッチ)の要領で素早く展開した一本の細剣でソードスキルを発動する。

 

「その剣は……!」

「力を貸して、ウインドフルーレ!!」

 

 明日奈が持つ細剣、ウインドフルーレはアインクラッド攻略がまだ第1層だった頃から暫くの間、ずっとアスナが愛用してきた細剣だ。

 流石にウインドフルーレでは通用しなくなってからは鉱石に戻して、その鉱石で新しい細剣を作り、その繰り返しの果てにランベントライトが生まれたという経緯がある。

 ランベントライトとは言わば明日奈にとってウインドフルーレの子孫のようなもの。このウインドフルーレこそが、明日奈の剣士としての原点だった。

 

「これが、今のわたしよ!!」

 

 明日奈とザザ、お互いに発動したソードスキルは全く同じ、速度重視の突進系細剣ソードスキル、ヴァルキリー・ナイツ。

 速度重視の9連撃という超高速の突刺の応酬は、目にも留まらぬ速度で行われ、お互いにスキル後の一時機能低下が終わった直後に素早く動き出した。

 だが、ここで明日奈は距離を取るべきではなかったのだ。何故ならザザはエストックを持つ右手とは逆の左手に、新たな武器を出して、明日奈に向けたのだから。

 それは、誰がどう見ても判るスナイパーライフルだった。それも、L115A3という銃に詳しい者であれば誰もが顔を顰めるであろうある意味凶悪な狙撃銃。

 無音の暗殺者(サイレント・アサシン)と呼ばれるそれは、銃口が真っ直ぐ明日奈に向けられ……。

 一発の銃弾が、サウンド・サプレッサーによって小さくはなっているが確かな銃声と共に明日奈へ向かって放たれた。




激突する黒と黒。
人の命を奪った咎を、十字架を背負う二人の戦い。
片や奪った命の重みを忘れず罪を背負う覚悟を持つ剣士。
片や奪った命の重みに快楽を覚え罪の意識を持たない殺人者。
血に濡れた手に握る剣は、背負った覚悟の差によって輝くか、鈍く光るか。
次回、SAO帰還者のIS。
「人殺しの十字架」
さぁ、パーティーの始まりだぜぇ!! イッツ・ショウ・ターイム!!!

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