転生したら更にチートになりました   作:デンドロビウム

99 / 102
そういえば書いてなかったな~と。


番外編 禁手化(バランス・ブレイク)!!

 

 

「ふう。」

 

俺は息を吐き禁手化(バランス・ブレイク)を解除する。

 

その俺を見ながら朱乃が

 

「そういえばイッセーとイリナってどうやって禁手(バランス・ブレイカー)に至ったの?再会した時には至ってたわよね?イリナはいつの間にかだったけど。」

 

「「えっ!」」

 

イリナと二人して同時に声を上げる。

 

イリナを見れば物凄く暗い表情になっている。俺も同じ状態になっているだろう。

 

「ちょ、二人共どうしたの?!」

 

朱乃は俺達の状態を見て焦っている。

 

俺達が至った話は俺とイリナには深いトラウマとして刻み込まれている。

 

そして俺は話し始める。

 

小学2年にして至り深いトラウマが刻まれたあの修行の事を。

 

 

 

小学2年の夏休み、3日で宿題を終わらせられるというスパルタを施され、4日目の早朝に俺とイリナは家の庭に集められた。

 

「うふふ〜。宿題良く頑張りました〜。」

 

母さんがニコニコしながら俺達に告げる。

 

だかあのニコニコは更成る地獄の始まりだと理解した。

 

「さて〜、今日から一週間集中特訓を始めたいと思います。はい、これサバイバルセットね〜。」

 

そう言って俺とイリナにリュックとサバイバルナイフを渡す母さん。

 

「「・・・。」」

 

俺とイリナは母さんの笑顔に呑まれて何も言えない。

 

「リュックには薬や包帯の救急セットと水に携帯食料が入ってます。」

 

そこで一息ついてから

 

「イッセーちゃんとイリナちゃんにはこれから一週間とある山でサバイバル生活をしてもらいます。昨日教えた山で食べられる物の知識を活用して頑張ってね。それではいってらっしゃ〜い。」

 

言い終えると同時に俺達の足元に魔法陣が現れ俺達は問答無用で転移させられた。

 

 

 

「「・・・。」」

 

さっきから言葉がでない。

 

展開が早すぎて二人共頭が追いついていない。

 

「え〜と・・・。」

 

「どうする?」

 

小学生に一週間サバイバルとか何考えてやがる!

 

とりあえず落ち着いて考える。

 

「よし、ギルドにいた時の事を思い出そう。」

 

「そ、そうね。」

 

イリナも少しは落ち着いてきたみたいだ。

 

「まずは寝るとこ、拠点の確保かしら?」

 

「そうだな〜、それから食料だな。取り敢えず移動するか。」

 

「そうね。呆然としててもどうにもならないしね。」

 

そうして俺達は山を散策することにした。

 

 

 

散策する事30分程。

 

俺達は洞窟を見つけた。

 

「ここいいんじゃね?」

 

「そうね。中確認して何もいなければ良いんじゃないかしら?川も近かったし。」

 

中に入り奥へと進む。

 

明かりはイリナが魔法で作っている。

 

「結構深いな。」

 

「そうね。でも生き物の気配も感じないし大丈夫そうじゃない?」

 

「だな、取り敢えず戻って適当に荷物置いて食べ物確保しようぜ。」

 

そうして俺は川に魚を、イリナは山菜なんかを集める事にした。

 

 

 

それから4日経過した。

 

「やっと半分か〜。」

 

「何も無いと結構長く感じるわね。食料の確保と修行しかやる事無いんだもの。」

 

「そうだな。まあ、洞窟の奥に綺麗な泉があったのは助かったな。」

 

「ええ、水浴び出来るのは助かるわね。」

 

恐らくだけど母さんはここがあるのを知っていたんだろうな〜と思う。ある程度は考えてくれていると信じたい。

 

「これならなんとかクリア出来そうだ───」

 

言いかけた所で洞窟の外に物凄い気配を感じた。

 

「イッセー。」

 

イリナがジト目で睨んでくる。

 

「俺なせいかよ!」

 

「今のフラグ───とか言ってる場合じゃないわね。」

 

「だな。ここじゃ狭いから外に出よう。」

 

そう言って駆け出し外に出る。

 

「は?」

 

「熊?」

 

気配の正体は2mを超す大きさの熊だった。

 

「赤カ○ト?」

 

「そんな事言ってる場合じゃないでしょ!!」

 

なんてやり取りしつつ俺は篭手と安綱、イリナは聖剣を出し構える。

 

「おらああああ!」

 

「はあああああ!」

 

俺とイリナは左右から熊に斬りつけるが

 

ギイイイイン!

 

両手でそれぞれ受け止められる。

 

「嘘だろ?」

 

「そんな!」

 

二人同時に声を上げる。

 

「ガアアアアアアアアア!」

 

咆哮上げ凄い速さで突っ込んでくる。

 

それを横に避けるが

 

ドガアアアアアアン!!

 

熊が突っ込んだ崖が砕け衝撃で俺は飛ばされる。

 

「イッセー!」

 

「大丈夫だ!」

 

こっちにやって来たイリナと並び構える。

 

「こいつ本当に熊か?」

 

「私に聞かないで。」

 

その時ドライグから声がかかる。

 

『相棒、倍加上限だがこいつは普通じゃない。逃げた方がいい。』

 

「逃してくれると思うか?」

 

『仕方無い。無理するなよ。』

 

『explosion!』

 

声と共に力が増幅される。

 

「いくぜイリナ!」

 

「ええ!」

 

イリナが牽制して隙を作る。

 

「はあっ!」

 

ズバッ!

 

俺の一撃が熊の脇腹を斬るが

 

「浅い!」

 

こっちに気付いて芯をずらしたらしい。器用な熊だ。

 

「きゃああああ!」

 

俺が攻撃した瞬間に出来た隙を狙ったらしくイリナが飛ばされていた。

 

俺はイリナに駆け寄り声を掛ける。

 

「大丈夫か?」

 

「なんとか受け身はとったけど・・・。」

 

見れば左腕から血が出ている。

 

「イリナ、逃げろ。時間は俺が稼ぐ。」

 

「無理よ!」

 

「いいから行け!」

 

そう言って俺は熊に向かって駆ける。

 

「おおおおおおおおおお!」

 

熊にガムシャラに剣を振るう。

 

しかし、すべて防がれるか躱される。

 

そして

 

ドガッ!

 

熊に一撃を喰らい崖に叩きつけられる。

 

一瞬意識が飛び、気がついたときには右手を振りかぶる熊の姿が目の前に迫っていた。

 

「イッセー!!」

 

やられると思った時、物凄いオーラを纏ったイリナが熊の攻撃を受け止めていた。

 

だが、イリナは徐々に押されている。

 

このままじゃイリナが!!

 

そう思った時、俺の中の何かが切れた。

 

「うおおおおお!禁手化(バランス・ブレイク)!!」

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!』

 

全身に真っ赤な龍を思わせる鎧が装着され力が爆発的に膨れ上がる。

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

音声と共に更に力が増幅される。

 

「イリナは俺が守る!ぶっ飛べ熊やろおおおおおおおおお!!」

 

熊の懐に一瞬で入り込みアッパーで熊をぶっ飛ばす!

 

熊は抵抗する事も出来ず遥か彼方へ飛んで行った。

 

そして気は失っているが無事なイリナを確認した後俺も意識を失って倒れた。

 

 

 

「で、次に気が付いたら俺もイリナも家のベッドで、母さんが回収してくれたらしい。」

 

「熊の正体は?」

 

朱乃が最もなことを聞いてくる。

 

「母さんの知り合いの上級の妖怪が変化してたらしい。つまり母さんの仕込みだったんだけど、妖怪は俺が安綱を持ってるのを知らなくて本気で襲ったらしい。」

 

その後母さんにその妖怪はボコボコにされたとか。

 

「とはいえ顛末聞かされても、熊に関しては私達にトラウマを残したわ。」

 

「怖いってこと?」

 

「いいえ」

 

「全力で」

 

「「問答無用でぶっ飛ばす!!」」

 

俺とイリナが同時に言ったのを聞いて

 

「そういうのってちょっと羨ましいわね。共通の思い出よね〜。」

 

「それがトラウマじゃなかったらな〜。」

 

「そうね〜、朱乃の気持ちもわからなくもないけどね。」

 

「ま、あんな事は二度とごめんだけどな。どうせなら楽しい思い出増やそうぜ。」 

 

「そうね。」

 

「今度みんなで山にでも行きましょうか。」

 

「「嫌だ(よ)」」

 

朱乃の提案に俺とイリナは同時に答えるのだった。




初期設定から考えてた話で・・・すっかり忘れてました。

ちなみにイリナもこのとき禁手化(バランス・ブレイク)出来るようになったんですが、特性までは把握してなかったので色々試して今に至る感じです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。