転生したら更にチートになりました   作:デンドロビウム

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朱璃編です。

書こうと思っててやっと書けました。


番外編 出会い

 

 

「フリーズランス!」

 

私の放った魔法をくらい倒れる追手達。

 

まったくしつこい連中だ。

 

少し自由に生活させろと言い、それを拒否されたからこっそり抜け出してきただけだというのに。

 

「これで少しはゆっくり・・・出来そうにないか。」

 

別方向からさっき倒した奴等と違う気配が迫ってくる。それもとびきり強い奴が。

 

「奴等の次は堕天使か・・・それも幹部クラスの。神滅具(ロンギヌス)でも無いのにどういう事だ?」

 

確かに亜種の禁手(バランス・ブレイカー)に目覚めていて珍しいのかもしれんが、それにしたって幹部クラスが出て来る物だろうか?

 

考えを巡らせているうちに目の前まで気配は迫っていた。

 

勝てないとは思うが一応構えを取り魔力を練る。

 

「ちょっと待った!戦いに来たわけじゃねぇ。」

 

向こうから声が掛かる。

 

神器(セイクリッド・ギア)持ちを狙って来たんじゃないのか?堕天使はそういう事をしているって聞いた事があるんだかな。」

 

「ま〜、ある意味正解だが排除してるわけじゃなく保護してるんだよ、誤解だ誤解。」

 

「それで?私もその対象なのか?その割にはあんたは大物っぽいな。暇なのか?」

 

私の言葉に溜息をつきながら

 

「暇な訳じゃね〜よ。前にお前が使った亜種の禁手(バランス・ブレイカー)の映像を見てな、興味が湧いたんで直接会いに来たんだよ。」

 

そういえば以前に追手が多くて面倒くさかったからまとめて凍らしたな。あの時か。

 

「わざわざ会いに来るなんて酔狂な奴だな。私は姫島朱璃だ。お前は?幹部クラスみたいだが。」

 

「アザゼルだ。」

 

幹部どころか総督様か。とんでもないのが出て来たな。

 

「やっぱり暇なんじゃないのか?堕天使の総督様が会いに来るなんて。」

 

皮肉を込めて言ってやる。

 

「意地悪な奴だな、元々グリゴリは研究者が多かったからな、争いより色々な研究してる方が性に合ってるのが多いんだよ。ま、そういう意味では暇人の集まりかもしれんがな!」

 

そう言い私の後ろに迫っていた新たな追手を光の槍で倒す。

 

「邪魔しやがって、無粋な連中だな。ここじゃゆっくり話もできね〜な。どうせ姫島家から逃げてるなら俺が保護してやるからアジトに行って話ししよ〜ぜ。お前の魔法はちょっと変わってるからな、それと神器(セイクリッド・ギア)の話も聞きたいしな。」

 

嘘は言ってなさそうだな。まあ、どの道追手に追われ続けるくらいならアザゼルに着いて行ったほうが面白そうだな。

 

「分かった。世話になろう。」

 

「そうか。着いて来な。」

 

そうしてアザゼルとグリゴリに行く事になった。

 

 

 

それからアザゼルと色々な話しをした。

 

研究者と言っていただけあり魔法や神器(セイクリッド・ギア)についての造詣に詳しかった。

 

「しっかし、どこまで温度を下げれるか実験している時に禁手(バランス・ブレイカー)に目覚めて挙句に絶対零度になってたなんて初めて聞いたぜ。面白い奴だ。」

 

「魔法使いなんてほとんどの奴が探究者だからな。私は特にその傾向が強いらしくてな。よく没頭し過ぎて家の者に怒られたよ。」

 

アザゼルは笑いながら

 

「そりゃ、格式や伝統を重んじる姫島家だからな。ある意味朱璃は異端だな。しかも朱雀を受け継いでるんだろ?家に戻すのに必死にもなるわな。」

 

「姉さんも結婚を好きな人とも出来ないのが嫌だっていって力技で押し切って出て行ったから、私もとなると尚更な反応とも言えるな。」

 

しかも朱雀はその頃には私が継いでいたし。まったく、こちらからしたらたまったもんじゃない。

 

とはいえ朱雀の継承は血によるものではあるが血筋の誰を選ぶかは朱雀次第でタイミングも人も選べない。気まぐれとはなかなか面倒な霊獣様だ。

 

「朱雀を司っている家なのに朱雀を継いだ者が実際は家にいないとか洒落にもならんな。とはいえ今時流行らないとも思うけどな。とりあえずここに居れば追手の心配は無いし特に何かして欲しい事もないから暫く休めばいい。先の事はそれから考えればいい。」

 

まったく、お人好しな総督様だな。実際疲れてはいるしここは甘えさせてもらうとしよう。

 

「ああ、すまんな。そうさせてもらおう。」

 

「何かあれば呼べ。じゃあ俺は仕事があるから戻らせてもらうぜ。」

 

そう言って部屋から出て行った。変わった奴だ。

 

 

 

それから数日グリゴリの中を見学させてもらった。アザゼルから許可はもらっているし割と自由に過ごさせてもらった。

 

「本当に保護してるんだな。」

 

色々見てわかったが、グリゴリでは神器(セイクリッド・ギア)持ちを保護し、使い方が分からない、未熟な者には指導もしている。ある程度慣れた者には社会に戻りたいと言えばある程度の援助もしている。残ってグリゴリの手伝いをしている者もいるが相応の待遇と報酬を出している。

 

「ここに残るのも悪く無いかもしれないな。」

 

一人呟く。居心地も悪く無いし、何より研究者が多いだけあって知識を蓄えられるし、ゆっくり研究もさせてもらえそうだ。追手や細かい決まりが無いというのが現状私には一番ありがたかった。

 

「どうだ?ここの生活には慣れたか?」

 

「ああ。久しぶりにゆっくり出来たし私なりに楽しませてもらってるよ。」

 

「そうか。そういえば昨日魔法の講師をしてくれたらしいな。すこぶる評判よかったぜ?ありがとな。」

 

感謝していれば礼を言える。当たり前なのだが総督という地位にありながら誰にでも礼を言う。アザゼルが多少適当な事をしていても部下はついてくる。裏表のあまり無いこの男が私は割と気に入っている。

 

「なに、世話になっている礼だ。気にするな。」

 

「前にも思ったが朱璃の魔力運用は凄いな。それ教えるだけで充分金になるぜ?なんだったら知り合いの魔法使いの協会で講師やってみないか?すぐ人気講師になれるぜ?」

 

ふむ、そういうのも悪くないかもな。どの道金は必要だしあって困る事はないからな。それに上手くやれば幾つかオリジナルの魔法を売って特許とれば更にいい稼ぎにもなりそうだ。

 

「人気講師は置いといても金は欲しいからな、やってみるか。アザゼル頼むよ。」

 

「ああ、連絡しとくぜ。採用するかは向こう次第だが、まあ、あの運用と制御見れば即決だろう。あれだけ出来る奴はそういないからな。」

 

魔力の運用と制御はこっちの世界に来て物心ついたときからやっているし向こうでの経験が物を言ったからな。実際こっちでも世界最高クラスだと自負出来る。

 

「それと、ここにこのまま置いてもらってもいいか?ここなら知識も入るし研究も進みそうだからな。」

 

「ああ、こっちとしてもいてもらった方が助かるな。意欲、知識、応用力どれをとっても高いからな。まあ、気が変わって別で生活したくなったら言ってくれ、無理に引き止めたりはしないし住む所も用意してやる。」

 

まったく本当にお人好しでお節介好きの堕天使様だな。人間の方がよっぽど質が悪いんじゃないか?

 

まあ、暫くはここでの生活を満喫させてもらおうか。

 

こうしてグリゴリでの私の生活が始まった。




もう一話どうぞ。

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