転生したら更にチートになりました   作:デンドロビウム

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白夜島編はこれで終了です。


白夜島 過去編②

 

 

それから俺が目を覚ましたのは4日後だった。

 

「ぎゃああああああああす!」

 

俺は目を覚ますなり全身の痛みで叫んだ。

 

「おう、起きたかイッセー。」

 

「???????!!」

 

「アザゼルさん!いててててて・・・。」

 

「ぶっ!はははははは。まあ、禁手化(バランス・ブレイク)して全力で一撃放った反動だな。暫く安静にしてろ。」

 

「俺が攻撃する直前の攻撃ってやっぱりアザゼルさんだったんですね。」

 

「ああ、朱璃から連絡来て急いで来て着いたらあの状態だったからな、間に合って良かったぜ。」

 

「助かりました、ありがとうございます。」

 

「気にすんな、話聞いたが俺達は援護しただけだ。実際に酒天童子を止めて町を救ったのはお前だよ。」

 

「みんながいないと無理でしたよ?」

 

「過程はな。結果がそうだって話だ。これは誇っていいぞ。」

 

「はあ。ところで俺どれくらい寝てました?」

 

「4日。」

 

「・・・・・4日!学校は!?」

 

「ああ、高熱出して寝込んでる事になってる。まあ実際初日は本当に高熱出てたし今も微熱あるだろ?だから暫くは学校休んで安静にしてろ。」

 

言われてみれば確かに熱があるっぽい・・・体の痛みでそれどころじゃないけど。

 

「おやっさんは?」

 

「ああ、酒天童子なら────」

 

アザゼルさんが言い掛けた時そとから大きな足音が聞こえた。

 

ガラッ!

 

「お!イッセー起きたか!すまなかったな。ありがとう、助かった。」

 

入ってくるなり頭を下げて謝ってくる。

 

「ちょ、やめて下さい!みんなの力が無かったら無理だったんですから。」

 

「謙遜するな。お前が安綱の力を使えたから俺は今生きてるんだ、感謝してもし足りないよ。」

 

ん~人から感謝されるのは慣れないな~。

 

「ていうかおやっさんはもう動けるんですね。」

 

「あ、ああ、鬼だからな回復力は人間の比じゃないさ。とはいえ流石にまだ全回復には遠いがな。」

 

それでも動けるんだもんな~・・・羨ましい。

 

「よく言うぜ、イッセーに吹き飛ばされた妖力はまだ1/10、体の所々には軽い凍傷がまだ残ってるくせに。」

 

「うるせえよ!アザゼル!とはいえおまえのかみさんのアレ(・・)は凄いな。通常だったら解除なんてできねぇぜ?」

 

「そりゃそうだ。亜種の禁手(バランス・ブレイカー)絶対零度の霊鳥(アブソリュートゼロ・アーキオプテリクス)。魔力消費が激しくて1回しか使えないが文字通り一撃必殺だからな。神や魔王でも抗えないよ。」

 

絶対零度って・・・恐ろしい。

 

「そんで?酒天童子ともあろう奴が暴走なんてどういうことだ?」

 

「ああ、聞いてると思うが会議で知り合った奴の酒に『狭間の者(はざまのもの)の血』が入っていてな、すぐ気付いて吐き出したんだが間に合わなくて暴走しちまったんだよ。」

 

「目星は?」

 

「皆目検討が付かない。酒をくれた奴も調べたが問題なかった。」

 

「誰が何の目的でやったのかも分からないのか・・・。」

 

「ああ、あの時に全部データは無くなったはずだったんだがな。」

 

「まあ、俺の方でも調査してみるさ。」

 

「ああ、頼むぜ。和登の研究が上手くいけば問題なくなるんだけどな。」

 

「そっちの援助もしてるし、こっちでも研究はしている。とはいえもう少し時間がかかるだろうな。」

 

「いや、充分だぜ。とはいえ堕天使様がこんなお人よしとはな。」

 

俺もそれには同意。

 

「元々俺達は研究肌が多かったからな、もう戦争は望んでねぇよ。」

 

それから俺が起きたと聞いてみんなが見舞いに来てくれて色々心配されたり感謝されたりした。

 

俺が家に帰れたのはそれから1週間後だった。

 

 

 

「おう、遅くなったな。差し入れだ!」

 

アザゼルさんがお酒片手にやって来た。

 

母さんや朱璃さん、イリナ親子も来ていた。

 

「アザゼルか。それにみんなも来たのか。久しぶりだな。」

 

おやっさんが答える。

 

「仕事が思ったより早く片付いたんでな紫藤親子も揃ってるからみんなで行こうってな。イリナは元々明日には来る予定だったしそれならってな。」

 

アザゼルさんがそう言いみんなも入ってくる。

 

「あれ?その金髪の可愛い子は?」

 

静音さんがアーシアを見て聞いてくる。

 

「私達の新しい家族よ~。アーシア・アルジェントちゃん。イッセーの一番新しい彼女でもあるわよ。」

 

母さんが意地悪な顔をして紹介する。

 

「アーシア・アルジェントです、よろしくお願いします。」

 

ぺこりとおじぎするアーシア。

 

「ほ~、この子も悪魔か。まあそれはいいとして家族ってどういうことだ?結婚秒読みか?」

 

おやっさんが茶化しながら聞いてくる。

 

「結婚はどうかしら~?ちょっとした事件で天涯孤独になったから家の養子にしたのよ。」

 

「なるほどね~。となれば気になるのは残りの1人の彼女さんだな。美人ばっかりじゃないか。」

 

和登さんが言うが静音さんと雅さんにどつかれる。

 

「いてぇな!」

 

「相変わらずかわいい子には弱いわね。」

 

「でも確かに気になるわね?」

 

雅さんの言葉に母さんが一枚の写真を見せる。

 

「うわ!すっごい美人じゃない!」

 

「そうなのよ~、紅髪ロングでスタイル抜群、容姿端麗、文武両道おまけに悪魔の貴族の次期当主様。イッセーにはちょっと・・・すごくもったいないわ~。」

 

・・・母さん、ひでぇ。自覚してはいるが直接言われるのはさすがに傷つくんだけど。

 

「イッセーやるなぁ!どうやって堕としたんだ?」

 

「堕としたって・・・・。」

 

和登さんが聞いてくる。どう答えろと!?

 

「同じ学園で同じ部活で彼女の意に沿わない婚約を婚約者ぶっ飛ばして破棄したのよね~。」

 

イリナが答える。

 

「さながら白馬の王子かしら?リアスにとっては。」

 

「ちょ!朱乃、それは恥ずかしいだろ!てか何でイリナが答えてるんだよ!」

 

「イッセーじゃ上手く説明できないでしょ?」

 

「そうだけど!ちょっと冷たくない?!イリナさん。」

 

「そんなことないわよ~、朱乃と2人っきり(・・・・・)でデートしたから拗ねてるとか無いわよね~、アーシア。」

 

「そうですね~、でも羨ましいです~。」

 

・・・・・・拗ねてるじゃん!

 

「イッセーも大変だな~。・・・俺も人事じゃないからわかるけどな。」

 

和登さんが遠い目をしている。

 

「ですよね~。和登さんも3人ですもんね。」

 

「そこ、何こそこそ2人で話してるのかしら?」

 

静音さんが俺達に聞いてくる。

 

『なんでもありません!』

 

「怪しいわね~、私達に何か不満でもあるのかしら?」

 

雅さんがニコニコしながら聞いてくるが・・・この人怒ると笑顔になるんだけど・・・恐ろしい!!和登さんも顔を真っ青にしている。

 

「ああああ、あありませんですよ?」

 

「なんで疑問系なのかな?」

 

美琴さんも参加して3人に詰め寄られる和登さん。

 

「あはははははは!ほんとお前等見てて飽きないな!」

 

おやっさんがその光景をみて笑っている。

 

「俺は笑い事じゃ済まないな~・・・。」

 

それを見て思わず呟いたが

 

「そうよね~。明日は私とアーシアに付き合ってもらうわよ?」

 

気付くとイリナがこっちに詰め寄って来ていた。

 

「はい!もちろんでございます!」

 

「こっちも面白いだろ?酒天童子。」

 

「これは良い肴になるな!」

 

アザゼルさんとおやっさんが酒を飲みながらそんな事を話している。

 

くそう!好き勝手言いやがって!とはいえそれに構ってられる状態じゃない。

 

「まあまあそれくらいにしとけ、だけどイッセーと和登はもうちょっとなんとかならんのか?」

 

朱璃さんが止めに入ってくれる。

 

「仕方ないわね~。まあ、言質はとったから明日は楽しみましょうね、アーシア。」

 

「はい!そうですね。」

 

「ま、仕方ないわね今日は私が独り占めしたんだし。帰ったらリアスもちゃんと相手するのよ?」

 

「分かってるよ。みんな平等にだろ?」

 

朱乃の忠告に答える。こういう事を言ってくれるので朱乃には助けてもらってるな~。

 

「ところでイッセー君達はそろそろ修学旅行じゃない?」

 

美琴さんが聞いてくる。うわ~、和登さんがあっちで灰になってる。

 

「そうですね。」

 

「行き先京都よね?向こうに知り合いいるから良くしてくれる様に言っておいてあげる。」

 

「ああ、京都を守護する妖狐の一族がいたな。」

 

美琴さんの言葉に朱璃さんが言う。

 

「八坂さんね~。」

 

「え!母さん知ってるの?」

 

「昔ちょっとだけ会った事あるわよ。物腰柔らかくていい妖狐だったわよ?元気してるかしら?」

 

朱雀の家絡みだろうか?

 

「ええ、娘さんも可愛いですし、才能も高いですね。」

 

「イッセー、手出すんじゃないわよ?」

 

「ちょ!朱乃!そんな節操無い訳無いだろ!」

 

「まだ小さな子供ですし、何も無ければ会いませんよ。」

 

美琴さんがフォローなんだろうか?言ってくれる。

 

「何か困った事があったら頼って下さい。あの時の事件はこの島だけじゃなくて全妖怪が感謝していますから。」

 

「え!なんでそんな大げさな事に!?」

 

「ここは特区ですし、鬼の長たる酒天童子様を救ったという事で結構有名ですよ?」

 

「・・・・・・。」

 

大事にしすぎじゃね?戦ったの俺だけじゃないし。

 

「まあ、俺が言って良いかわからんがイッセーはそれだけのことをしたんだ。それは俺も当然だが他の妖怪達も感謝してるんだ、厚意くらいは受け取っておけ。」

 

「はい、わかりました。」

 

こうして白夜島での日々は過ぎていった。

 

 

 

「どうもお世話になりました。」

 

帰りの駅で静音さんに挨拶する。

 

母さんやアザゼルさん夫婦、紫藤夫婦は仕事ややる事があるからと転移して先に帰っている。

 

「こっちも久しぶりで楽しかったわ、安綱お願いね。」

 

「いいんですか?」

 

「ええ。こっちではもうそれ程事件とか起きないし、安綱も今の生活気に入ってるみたいだしね。」

 

「わかりました。もう少し遊びに来る頻度増やしたいと思います。」

 

「ありがとう。でも悪魔になって色々ありそうだから無理しなくてもいいわよ?」

 

「はい。では、また遊びに来ます。」

 

「じゃあね~。」

 

手を振る静音さんを後にして電車に乗る。

 

「なんだかんだ楽しかったな~。」

 

「おやっさんの甘味、前より美味しくなってたわね。」

 

「確かに。抹茶ケーキが絶品だったわね。」

 

「泡ぜんざい初めて食べましたが美味しかったです~。」

 

「そういえばアーシアってあまり和菓子とか食べてなかったもんな。」

 

「はい~。どれも美味しかったです~。」

 

「今度はリアスも連れてってあげたいな~。和菓子好きなのよね。」

 

「だな。まあ、今回はお土産で勘弁してもらおう。」

 

そうしてわいわいしながら俺達は我が家へ帰るのだった。




さて、番外編ですがまだ続きます。

次回は朱璃とアザゼルの話しです。

と、書いておかないとモノローグとか無しに唐突に始まるので。

朱璃の一人称になります。

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