「そろそろ時間ね。」
リアスがそう言い立ち上がる。
決戦の日、俺達は部室に集まっていた。
アーシアはシスター服、黒歌は最初に合った時の和服を着崩した感じの服、他は学園の制服だ。
中央の魔法陣に集まり転送の瞬間を待つ。
集められるだけの情報を集めて対策もしてあるけど何が起こるか分からないからな、警戒は最大限しておこう。
エアリィも頼むぜ。
『ガッテン!まかせて!』
そうこうしているうちに魔法陣が輝き出す。
さあ、いくぜ!アーシアは守りきる!その上でディオドラは完膚無きまでに叩き潰す!
「なんと言うか・・・分かってたけどここまで露骨に仕掛けてくるとは。」
転送された先はだだっ広い場所だった。
「どうする?」
「もう少し様子を見ましょう。あそこに神殿みたいなのがあるけどそれも罠の可能性もあるわ。それに──」
俺の問に答えるリアス。リアスが言葉を止めた直後周囲に変化が現れた。
フィールドの至る所に魔法陣が展開されていく。
「私達の事、随分と過大評価してくれてるのかしら?」
朱乃がウンザリした口調で呟く。
確かに展開されている魔法陣の数は百や二百じゃきかない。
魔法陣から出て来た悪魔が叫ぶ。
「忌々しき偽りの血縁者、グレモリー!ここで散ってもらう!」
さてさてどうしますかね?と思った時
「キャッ!」
アーシアの悲鳴が聞こえる。
声の聞こえた上空を見上げるとアーシアを捕らえたディオドラがいた。
「やあ、リアス・グレモリーと赤龍帝。アーシア・アルジェントはいただいていくよ。」
「アーシア!!・・・・・・なんてな。連れていけるもんならな。」
「なに?」
ディオドラが俺の言葉に訝しげにしていると
ドガアアァァァァン!
ディオドラが攻撃を受けて吹っ飛んでいた。
「ぐっ!どういうことだ!」
攻撃を食らったディオドラが叫ぶ。
「お〜、意外とタフだな。」
「アーシア・アルジェントは攻撃魔法は使えないはずだ!」
取り乱しているのかアーシアの口調が変わってるのに気づいてない。
「イッセーの読み通りで笑っちゃうね。」
朱乃が苦笑しながらディオドラを見ている。
「言ったろ?あそこまで妨害されてるんだから執着半端ないはずだって。真正面から戦い挑めない奴なんてこんなもんだって。ここまでカッチリ嵌まるとは思わなかったけどな。」
「どういう事だ!魔力も気配もアーシア・アルジェントで間違い無かったはずだ!」
バカにされたディオドラが激昂する。
「事前にお前が
「なっ!」
驚愕するディオドラにリアスが続ける。
「観念しなさい!ディオドラ・アスタロト!冥界を裏切り、
リアスの言葉を聞いたディオドラは不敵に笑う。
「はっ!投降するつもりはないね。数では僕等の方が圧倒的だ!この数にどう対抗する気だい?」
「ディオドラ〜、周りをよく見るんだな。」
「なんだと!?」
周りを見渡したディオドラが驚愕する。
見ればあちこちで戦闘が開始されていた。
とはいえ、予定より人数が少ないような?
思っていた所にアザゼルさんから通信が入る。
『すまん、向こうの結界が想像より固くて予定の半分位しか転送出来なかった!』
アザゼルさんにリアスが答える。
『仕方ないわ。それに想定内でもあるでしょ?』
「フォフォフォ、そうじゃの。まあ、これだけいれば対処に問題無いじゃろ。」
いつの間にか現れていたオーディンの爺さんが続く。
「爺さん!」
「わしの目とアザゼル坊の術式をもってしてもこれが限界じゃったわい。それとこの嬢ちゃんのおかげじゃな。」
そう言って一緒に転移してきたらしいイリナを見る。
「充分だ。イリナ、おつかれ。」
「まだまだよ。やっぱり実物見ないと上手く使えないわね。話だと次元の狭間も行けるって話だもの。私だと裂け目作るので限界だわ。」
少し疲労の色を見せているが問題無いだろう。とはいえ相変わらずストイックな奴だな。これだけでも凄いと思うんだけどな。
「イリナは少し休んでなさい。充分仕事したしね、それにイリナばっかり活躍させる訳にはいかないしね〜。」
一緒に来た朱乃が言う。
「さて〜、それで。ディオドラ?数がなんだって?」
「それでもまだ、こちらの方が多い!」
勝負は数だけじゃ決まらないんだけどな。
更にディオドラは続ける。
「リアス・グレモリー、ゲームを汚したとか言っていたが、貴様も変わらないではないか!本物のアーシアを連れて来ないで偽物を連れてくるなんてな!」
あ〜、見え見えの挑発を。
「あら?ちゃんとしたゲームだったら本物出してたわよ?ね、黒歌?」
リアスの言葉に頷いた黒歌が術を解く。
それと同時に俺の隣にアーシアが現れる。
「かかったな!」
ディオドラが言うと同時にアーシアの足元に魔法陣が展開し、ディオドラの元に転送される。
「かかったな、はこっちのセリフだよ。」
「そうにゃ、食らうにゃん!」
言うと同時に術を発動する。
ドオオオオオオオオン!!
術の発動と同時にアーシアが爆発し、ディオドラは又も吹き飛ばされる。
「ぐ!貴様等ああああああ!」
「どうだ?アザゼルさん特製ダミーアーシア人形。」
人形とはいえ、アーシアが爆発するってのは気持ちの良いもんじゃないな。
「本物はこっちだよ。」
そして再び今度は本物のアーシアが現れる。
「なんか複雑ですぅ〜。」
ちょっぴり涙目のアーシア。
「発案者俺だけど・・・もうやらない。」
そう言ってアーシアの頭を撫でる。
「こんな簡単にこっちの罠に掛かるとはね〜。男って・・・。」
ジト目で朱乃が俺とディオドラを見る、
「え!俺もなの?!」
「発案者イッセーじゃない。ということは・・・。」
「イリナまで?!そんなことしね〜よ!ディオドラならやりそうだなと思ったんだって!ここ迄ハマると思ってなかったし!」
実際ディオドラはアーシアに対して異常な執着してる節もあったから保険の意味だったんだけどな〜・・・あの人形。
「下級悪魔の分際で〜!」
パキィン
ディオドラの言葉と共に乾いた音が鳴り響く。
「残念でした。アーシアにもちゃんと防御魔法かけてるって。何度やっても無駄だぜ。それでどうするんだ?」
「くそっ!」
そう言って神殿の方へ逃げて行く。
「・・・みんな、追うわよ。」
リアスが呆れ顔で言う。
「仕方無いのぅ。神殿迄の道は作ってやるからきっちりカタつけてこい。」
オーディンの爺さんが言いつつ大きな槍を構える。
「グングニル!」
言葉と共に投げ放った槍は一直線に大きさを大きくしながら神殿迄の敵を薙ぎ払って行く。
『・・・』
全員呆然として言葉が出なかった。
神様ってすごい。
「たまには運動せんとな、体がなまるわい。テロリストの悪魔共、全力でかかってくるんじゃな。この老いぼれは想像を絶する程強いぞい。」
軽く肩を回しながら挑発する。
「イッセー行くぞ!露払いは私がする。神殿に急げ!」
ティアマットが周りの敵を倒しながら言ってくる。
「爺さん、ティアマットありがとう!」
「みんな、神殿に急ぐわよ!」
リアスの言葉で全員神殿に向かって走り出す。
待ってろよディオドラ!お前は俺が直接倒す!
やりすぎたかな?この後もあるんだけど・・・。
まぁ、ディオドラ嫌いだからモンダイナイモンダイナイ。