部室ではリアスとアザゼルさんにディオドラが相対していた。
まあ、用件は・・・言うまでもないよなぁ。
隣にいるアーシアは不安もあるのだろうが緊張した面持ちで3人を見ている。
アーシアの手を俺は無言で握ってあげたら、俺を見て安心した表情を見せてくれた。
リアスがアーシアをディオドラに渡すことは無いだろうが警戒はして置いた方が良いだろうと思い、朱乃とイリナに目配せする。
2人共最初からそのつもりだったらしく無言で頷く。
「それで、次期アスタロト家当主様がアポも無しに何の用だ?」
アザゼルさんが不快感を隠す事もせずに問いかける。
「すいません。堕天使の総督殿、突然来訪したことは謝罪しましょう。それで用件なのですがリアスさん、単刀直入に言います、『
ディオドラの言葉にリアスは露骨に不機嫌な顔をする。
「ぼぼぼ、僕ですか!?」
「そんな訳ないだろ。」
言いながらギャスパーにデコピン。
「痛いですぅ。」
ギャスパーも大分図太くなったな。
前はオロオロしてたのに。
「僕が望むリアスさんの眷属は──」
「言わなくても分かっているわ。ただ、どんな条件出されてもトレードには応じないわよ。」
リアスがディオドラの言葉に被せて言った。
「それは能力?それとも彼女自身の魅力?」
「両方よ。それに家族をトレードするなんて事はしないわよ。大事な妹を渡すわけ無いでしょう?それに求婚を申し込んでる相手をトレードで手に入れようなんて気に入らないわ。今すぐ帰って頂戴、不愉快だわ。」
リアスにこれだけ言われてもディオドラは微笑したまま表情を変えずにいる。
考えが読めなくて不気味な感じだ。
「──わかりました、今日は帰ります。でも僕は諦めないよ。」
そう言いながらアーシアに近寄ってくる。
アーシアに触れようとしたその瞬間
バチッ!
朱乃が予め張っておいた結界にディオドラの手が弾かれその腕を俺が掴む。
「前にも言った筈だぜ?アーシアに気安く触るなってな。」
「放してくれないか?薄汚いドラゴンくんに触られるのはちょっとね。」
笑みは消して無いがなるほどこっちが本性か。
言い返そうか考えていると
バシッ!!
アーシアがディオドラの頬をビンタして俺に抱き着きながら
「そんな事言わないで下さい!」
アーシアのビンタに俺も驚く。
叩かれたディオドラも驚いてる様だがそれでも笑みは崩さない。ここ迄くると不気味だな。
「なるほど、わかりました。──では、こうしましょう。次のゲームで僕は赤龍帝、兵藤一誠を倒しましょう。そうしたらアーシアは僕の愛に応えて──」
「お前なんかに負ける訳ねぇだろ?」
「そうね、そんな条件出してまで手に入れようなんて奴にイッセーが負ける筈ないわね。」
イリナが挑発するように言う。
「子供みたいな事しか言えない・・・あ、子供なのね〜。おこちゃまじゃイッセーには勝てないわよね。」
更に畳み掛けるように朱乃も言う。
「この!たかが下級悪魔の分際で!」
さすがに平静を保てなくなったのか、ディオドラの仮面が剥がれた。
「小物。」
「同意にゃん。」
小猫ちゃんと黒歌も乗ってくる。
「くっ、まあいい。赤龍帝、兵藤一誠。次のゲーム僕は君に勝つよ。」
なんとか平静を装って俺に言ってくる。
「お前みたいな小物に負けねぇよ。お前が言う薄汚いドラゴンの力がどれくらいのもんか見せてやるよ。」
ディオドラと睨み合う。
さっき迄何やら通信していたらしいアザゼルさんが
「リアス、ディオドラ。ちょうどいい、ゲームの日程が決まったぞ──5日後だ。」
その日はそれで終わりディオドラは帰って行った。
アーシアは絶対渡さない。俺は気合いを入れ直した。
「上級悪魔に貴族様か・・・。」
良い奴もいれば悪い奴だっているけど貴族ってやつはどうして上から目線が多いのかね。
とはいえ現状だとある程度の地位が無いと発言出来ないのも事実だからな〜、力だけあればいいってもんじゃないってことか。
そろそろ先の事も考えていかないといけないのかもな。
なんて考えながら部活と悪魔稼業を終えて帰ってから外を軽くランニングしていると気配を感じた。
俺はランニングを止めて軽く身構えそこに声を掛ける。
「バレてるぜ〜。出てこいよ。」
声を掛けると物陰から人が出て来る。
「まさかこんな簡単にバレるとはねぃ。」
出て来たのは美猴だった。
「本気じゃなかったくせによく言うぜ。んで、なんか用か?」
「俺っちは付き添いでな、なぁ、ヴァーリ。」
声と共に美猴の後からヴァーリが現れる。
「久しぶりだな、兵藤一誠。」
「おう、久しぶり。そんで?何も無しにお前が来るとは思えないんだけど。」
「悪魔同士でレーティングゲームしてるそうじゃないか。次はアスタロト家とやるんだろ?」
「よく知ってるな。」
「ああ、アザゼルに聞いた。アザゼルにも言ったが次のゲームは気をつけた方がいい。」
「どういう事だ?」
「記録映像見たのだろう?アスタロト家と大公家の姫君との試合だ。」
確かにディオドラが帰った後、俺達はディオドラとアガレスの試合を見た。
その内容は異常だった。ほぼディオドラ1人で試合に勝っていた。他の眷属はサポート程度しかしていない。
試合を見終わった後、リアスもアザゼルさんもディオドラはあんなに強い悪魔では無かったと言っていた。
しかも途中から急激にパワーアップしたような感じでしかも短期間でこんなに強くなるとは思えないとも言っていた。
「それと同時に
「
「そこまではわからんが、可能性はある。急激なパワーアップにそれに呼応するかの様な
それが本当だとしたら益々負けられないな。とはいえ悪魔の貴族で上級悪魔がテロリストと手を組むというのもどうなんだろう?帰ったらアザゼルさんに相談してみるか。
とはいえ、だ。
「わざわざ直接言いに来るなんて親切だな。」
「君にはあんな奴に負けてもらうわけにはいかないんでね・・・ライバルとして。」
「まったく、こっちは平和に生きたいだけなんだけどね~。」
「それは仕方ないさ、ドラゴンは強い力を引き寄せるし強者も又然り。」
「ま、忠告はありがたく受けとくよ。」
「ああ。再戦できる日を楽しみにしてるよ。」
「仕方ねぇな~。落ち着いたら考えてやるよ。」
「じゃあな。」
「またな~、赤龍帝。」
そう言って二人は去って行った。
さてさてキナ臭くなってきたな、帰ったらみんなと相談しないとね。
『今代の我らの宿主は面白いな。』
面白い?
『ああ、今迄だったら即戦闘で相手が倒れるまで戦っていたからな。』
戦ったじゃん。
『そうじゃない、相手を殺すまでってことだ。仮に2回目があっても戦闘はしてたからな。今みたいに会話だけで済んだ事は無かったのさ。実際歴代の中でここまで会話した事があるのもそれを楽しいと思ったのも初めてだな。』
相棒なんだから話すの普通じゃね?
『相棒か・・・それが良かったのかも知れんな。道具としてじゃなくひとつの存在として扱ってくれている。』
道具ねぇ。分からんでもないけど意思があるんだから俺は道具とは思えないな。
ヴァーリだって会話してたし。
『くくくっ、だから面白いと言ったんだよ。』
そんなもんかねぇ。
そんな会話をしながら俺は家に帰った。
ディオドラは嫌いなんでボコボコにする予定です。
なのでゲームの進行も原作とはかなり変える予定です。